遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ものぐさ有機農業。畑に朝顔。

2019年09月17日 | ものぐさ有機農業

7月に、畑の隅に、朝顔の苗を2本入れました。

今、この状態。2m以上になり、横にも茂っています。

毎日、満開。朝だけでなく一日中咲いています。

 

 

 

みずみずしさに溢れています。

畑で朝顔を鑑賞する?

 

いえいえ、葉が必要なのです。

なぜかというと・・・


初夏の頃になると、あちこちにアシナガバチが巣を作ります。

(どういうわけか、ことしは全く見当たりませんので、これは去年の巣の残り)

少年たちは、この巣を狙いました。

巣の中には、ハチの幼虫が巣穴に一匹ずつ入っています。

それを、魚釣りの餌にするのです。

 

濃尾平野の中下流部、この辺は、毎年、数回、必ず大水にみまわれました。そのため、排水をよくするための水路が網のようにめぐらされ、その間に、大小の野池が無数に存在しました。先ほどの、朝顔の咲いていた辺も池と水路でした。いろんな魚がいくらでもいたのです。各集落にほぼ一人ずつ川魚漁師がいて、川で生計をたてていたほどです。

当然、我々少年も、毎日やることは魚釣り。問題は、釣り餌です。春から初夏は、アザミの花の中にいる虫(ゾウムシ)、初夏から秋口は、サバ虫(ハエのウジ)、晩秋から初春は、イガムシ(白く丸い殻に入ったイラガの幼虫)、オールシーズンのミミズ。すべて、自分で調達です。なかでも、抜群の威力をもっていたのが、アシナガバチの幼虫です(初夏~初秋)。

できるだけ多くのアシナガバチの巣を見つけ、採る。これが、釣果に直結します。

 

早速、見つけました。

竹竿でつついてとります。

時には、長い竹竿で、4-5m先にある巣をとる・・・相当の技術を必要とします。

当然、ハチは反撃してきます。恐ろしいスピードで攻撃してきます。何と、竹の上をすべるように、こっちにむかって一直線に突進してくるのです。ですから、こちらも、あらかじめ、逃げる方向を決めておかねばなりません。失敗すれば、その代償は、あまりにも痛い!

というわけで、シーズン中、必ず、数発はアシナガバチに刺されました。

その時、手当てをしてくれたのはいつも祖母。その方法は、朝顔の葉を塩でもんで、刺されたところに貼るというものです。これが不思議と効いたのです。

 

後年、畑で作業をしているとき、アシナガバチに刺されました。

そうだ!朝顔!

急いで、道(中山道)を横切り、窓の下の鉢植えのところへ。

 

ところが・・・・・・

まあ、何ということでしょう。朝顔の葉がカサカサ、半分枯れかけています。とても、揉んで貼るような葉はありません。

誰かさんが、水やりをさぼっているとは言いません。この暑さ、鉢にやった水は、すぐに無くなってしまうのでしょう。

そんな訳で、畑で、自前で朝顔をつくることにしたのです。

上の写真の鉢朝顔と同じ苗からの朝顔とは信じられないほど巨大で生き生き。

 

 

これを、揉みます(できれば、少し塩を加えて)

 

そのまま患部へペタリ。テープで止めておけば、動いてもOK.

なお、この処置は時間との勝負です。早ければ早いほど良い。

 

前のブログで紹介した、戦時中の日常実用百科。まだ、一冊ありました。

昭和13年3月、主婦の友付録『必ず治る 民間療法千種』

やはり、戦時下の冊子です。

 https://blog.goo.ne.jp/chisei/e/c182f4f8cec76b7d0b23e14fa8c6e986

ずらっと、いろんな民間療法がならんでいます。

 

 

「毒虫、蛇、鼠にかまれた時の民間療法一切」の項目の中に、◆朝顔の葉が載っています。


それから、アシナガバチを甘く見てはいけません。特に、1回目や2回目がアブナイ。

アナフィラキシーの可能性があります。ハチ毒のアレルギーですが、人によっては、症状が激烈で、命にかかわることもあります。

https://blog.goo.ne.jp/chisei/e/a37da7fd8886eaf892fd47b6667edc1d

 

 

さて、畑の朝顔は、花がかなり長くもちます。

時間がたつにつれ、咲いたまま、昼顔、そして、夕顔になります。

これは、もう朝顔ではない?

 

 

朝顔の夕顔は、紫赤色に変わっています。 

もう少し涼しくなると(今年はダメかも)、次の日の朝まで花がもちます。その時には、赤色。この変化は、紅葉と同じ原理だそうですが、花では、酔芙蓉が有名です。朝顔のとなり、中山道沿いに酔芙蓉の木があり、もう蕾がふくらんできているので、咲いたらブログで報告します。しかし、酔芙蓉の花は、一日しかもちません。

冷え込んでくると、次の日の朝に咲いたばかりの青い朝顔と前の日に咲いた赤い朝顔が両方咲いていて、まるで、2種類の朝顔が咲いているような光景になります。

一方、鉢の朝顔は、咲いた先からしぼみます。葉も小さく、枯れ枯れ。

同じ朝顔ながら、鉢と畑では、これだけの違いが出るのです。

環境の影響は、驚くほど大きい。


今、川の魚は激減しています。いるのは、鯉やナマズ、ハクレンなど大型の魚ばかり。小魚がいないのです。魚の種類も非常に少ない。川で釣糸を垂れている子供も見当たりません。

原因は環境変化。川がどんどん改修され、流れがまっすぐになっているのです。よどみやワンドといった、小魚の育つ場所がなくなってしまいました。底も縁もコンクリートで張られた川は、もはや川ではなく、単なる水路なのです。

もう一つの原因は水質の悪化。一般には農薬の影響と言われますが、現在よりもっと農薬を使っていた時代でも、今より、ずっと多くの魚がいました。家庭排水もずいぶんマシになりました。では、何が?

考えられるのは、除草剤です。現在、除草剤は、農薬よりもはるかに多量に用いられます。発がん性の疑いで、フランスなどヨーロッパ諸国では使用禁止の国が増えているのに、日本では、事実上、規制なし。おまけに、日本政府は、小麦など穀物の残留除草剤の規制をさらに甘くしているのです。アメリカ、カナダなど穀物輸出国に配慮してでしょう。真っ先に配慮すべきは、国民の健康のはず。その逆をいくとは、国民賊としか言いようがありません(+_+)

その結果、国会議員の毛髪を調べたら、調査した人の7割から、残留成分が検出されたほどに汚染がすすんでいます。

雨が降れば、除草剤は、川へ流入します。人間が摂る除草剤の量とは桁違い。これでは、水の中の魚はひとたまりもないでしょう。

おさかなさんの次は、われわれ人間・・・・


 

コメント (13)
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