今回は、鎌倉彫りのような盆です。
32.8㎝x21.2㎝、高1.6㎝。 昭和?
黒色部、茶色部、彫り部の三段に彫られています。
黒や茶部は何か意味ありげなデザインですが、よくわかりません。扇?銀杏葉?
地の部分には、鼓の皮が彫られています。鎌倉彫りのような雰囲気ですが、これを鎌倉彫りと呼んでいいのかどうかわかりません。
よく見ると、皮の下に、笛らしき物があり、そばに桜の花びらが添えられています。
能の楽器の内、能管が表された工芸品は大変珍しいです。
せっかくですから、最近愛用している品(八割能管)を置いてみました。
今回の盆のように主張が少ない品は、じわっとした味わいが玄人好みかもしれません(^^;
ところで、これまでかなりの数の漆器を紹介してきましたが、いつも困っていることが一つあります。漆の表面が滑らかすぎて、電燈や窓など、いろいろなものが写りこんでしまい、写真を撮るのが大変なのです。
特に、黒漆の場合は、まるで鏡です(^.^)
なぜ、黒漆ではこんなにもはっきりと映るのでしょうか。
一つは黒色の効果でしょう。漆表面に映って反射して見える光は弱いのですが、他の色の場合、バックにある色によって、映った光が相対的にさらに弱くなると考えられのです。
もう一つの原因は、黒漆の特性にあると考えられます。黒漆は、他の色漆と大きく異なる面があるのです。古漆では良く知られている、『透ける』という現象も、黒漆ならではです。その理由を長年考え続けてきました。この間、ようやくそのメカニズムについて、一つの仮説にたどり着きましたので、いずれブログで紹介したいと思います(^.^)