先回に引き続き、岐阜、金華山麓で焼かれた金華山焼の器です。
径 14.7㎝、底径 6.6㎝、高 8.2㎝。重 310g。大正時代。
向付と思われる器です。
先回のブログの鵜籠型香炉と同じように薄紅色の陶土が使われています。
見込みには、菊?のような花とトンボが描かれています。
重ね焼きの跡があります。
上釉の重なり(意図的?)が、うのふ状の景色となっています。
全体に灰色の釉薬を掛け、その上に色釉で絵付けをしています。
トンボと茎は鉄釉、葉は暗緑の色釉で描かれ、花の輪郭と花弁は染付です。
花は、白釉で分厚く塗られ、盛り上がっています。
葉をよく見ると、非常に細い白線で葉脈が描かれています。墨弾きではなく、針先で鉄釉を引っ掻いたのでしょう。結構、繊細な細工がしてあるのですね。
全体として、落ち着いた器に仕上がっています。金華山焼らしい渋い作品だと思います。