プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★浅野川55年ぶりの氾濫

2008-07-29 09:33:39 | 日記・エッセイ・コラム

 金沢市内を流れる犀川と浅野川。この二つの川に囲まれた金沢の城下町。その一つの浅野川が昨日、集中豪雨で甚大な被害が発生した。実に55年ぶりの氾濫だった。

 犀川が男川と呼ばれるのに対し、浅野川は女川の別称を持つとおり、流れがゆるやかできれいな水を利用した友禅流しでも名高い。東山や主計町の茶屋街と寺院群、金箔工芸店が立ち並ぶ景観は、観光名所としても吸引力が高いゾーンになっている。

 被害に遭った住民は、「あっという間に水かさが増えて襲ってきた」と口を揃えるが、55年前の浅野川氾濫の状況を知っている私には別の感慨がある。当時、家が被害に遭った同級生が周りに大勢いた。雨が降るたびに洪水に遭う苦い経験から、犀川・浅野川とも護岸や堰堤のかさ上げ対策が整備され不安は一掃されたが、今回の洪水は発生した。

 城下町特有の曲がりくねった道と川沿いに民家が密集している地域に、マンションやホテル等の建造物を無制限に建ててきた都市開発。水門の開閉作業を地元の町会や商店ではなく、遠くの業者に委託させていた行政の無神経さ。河川敷に降りやすいように水門横の堰堤を切り取ってあるが、水門を早めに閉めていれば、堰堤の高さは十分だっただけに、被害を最小限に防げたとの思いが強い。

 現地を視察した県知事は、あまりの惨状に驚いたようだった。一夜あけて、被災者達は思い心を引きずりながら後片付けに取り掛かることになる。「災害は忘れた頃にやってくる」と言うが、平穏をむさぼる行政当局に対して、女川が反乱を起こした気がしてならない。