あの頃の田原さん

2011-12-09 11:51:30 | 読書メモ

原子力戦争(田原総一朗著)がちくま文庫から復刊されました。
田原総一朗氏といえば、政治家を怒らせたり、おだてたりして
本音を聞き出だす、口八丁手八丁のテレビ司会者と思っていま
したが、この本を読んで「昔はこんなにひたむきな取材をやって
いたんだ」と田原さんに対する考えを改めました。



原発をめぐる電力会社と通産省の微妙な関係は読ませますし、
経産省の様々な国民教化策(=総理大臣の席に座って考える
国民を作り出す)は、見事に成功しているかに思えます。
また東電諜報機関と言われるTCIAについても、一章をさいて
詳細に描かれており、読む方を飽きさせません。

最後にマスコミ報道について触れておきます。
この本が書かれたのは、1970年代なのですが、原子力船「むつ」
が放射能漏れを起こした時も、マスコミは(今回の東電福島
第一原発事故と同様に)レントゲン撮影を引き合いに出して
報じていました。また、御用学者の言動も当時と今で変わりが
ないことに、諦めのようなものを感じました。

それにしても「プルトニウムは遠くに飛ばない」と仰っていた
先生、今はどうしていらっしゃるのでしょうか。


原田芳雄が福島原発でアポ無し撮影『原子力戦争』
 


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