ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

公判概略について(06/9/23)

2006年09月25日 | 大野病院事件

周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページより

公判概略について(06/9/23)

第3回公判前整理の話し合いの結果報告

 平成18年9月15日(金)に福島地方裁判所において、3回目の県立大野病院事件に対する公判前整理の話し合いが行われました。第2回目は8月11日(金)に行われましたが、争点を決めることが殆どなく終了し、3回目となったわけですが、今回も最終的な争点を決めるまでには至りませんでした。次回は10月11日(火)に行うこととなりましたが、裁判所としては、次々回11月10日(金)を最終として公判前整理を行いたい旨、検察側と弁護団(8名)に通告したそうです。従って、公判は早くて12月以降になると思われます。

 弁護団としては、当日、福島地方裁判所刑事部に、「予定主張等記載書面」を提出いたしました。その内容の主なるものは以下の通りです。

1. 本件における帝王切開手術時の子宮と胎盤の状態については、今回の胎盤は妊娠37週の胎盤としては大きかったこと、分葉胎盤様であったこと。  検察側が提出してきた証明予定事実記載書によると、子宮前壁にも癒着があったとしているが、癒着があったとはいえないこと。後壁の癒着も一部でしかも比較的軽いものであったこと。

2. 癒着の予見可能性についても、後壁の一部の癒着胎盤で、比較的軽いものであったことからも、術前に予見は不可能であったこと。

3. 手術中における大量出血は用手剥離困難になるまでの間、予見可能性はなかったこと。

4. 手術前及び手術中における予見可能性が認められないため、本件手術中の結果回避義務はないこと。

5. 加藤医師は産婦人科専門医であり、約1,200例の分娩を取り扱い、そのうち200例は帝王切開手術であり、県立大野病院では一人医長で、分娩は約350例、そのうち約50例は帝王切開手術であり、夜間及び休日でも、連絡があれば直ちに病院に駆けつけるなどの過酷な労働条件下で地域の産婦人科医療に貢献していたこと。

 今後、弁護団としては摘出した子宮の胎盤の病理についての意見書、産婦人科周産期専門医の意見書を裁判所に提出する予定であることを、裁判所に伝えました。

2006年9月22日

福島県立医科大学 産科婦人科学教授 佐藤 章

****** 参考

公判概略について(06/7/28)

福島県立医大:佐藤章教授のコメント

大野病院医療事故:裁判所が争点初提示 初公判12月に (毎日新聞)

日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会:県立大野病院事件に対する考え

日本周産期・新生児医学会の声明文