コメント(私見):
最近になって、産科医不足の問題が全国的に急にクローズアップされてきましたが、実はこの問題って急に今に始まった問題ではなく、ずっと以前から産科医不足は全国的に非常に深刻でした。
以前であれば、地域の中核病院であっても1人医長体制の病院が多く存在してましたし、社会的にもそのような不十分な産科診療体制が許容されてましたので、産科医が不足して分娩の取り扱いが困難となり困窮している地域に、教授のツルの一声で産婦人科医をとりあえず1人送り込んでおけば、その地域の産科診療体制の崩壊を何とか阻止することができました。
しかし、今では社会情勢も大きく変化し、地域中核病院の産科診療を少人数の常勤産科医だけで支えていくのはもはや許されないような世の中になってきつつありますし、小児科医や麻酔科医との緊密な連携も当然のごとくに求められる世の中にもなってきました。ですから、現在の産科医不足の問題に、個々の病院や自治体だけでバラバラに取り組んでいたんでは、状況はなかなか改善しないと思われます。
国全体として、県全体として、これからの周産期医療提供体制をどうやって立て直していくのか?というようにグローバルに考えて、長期的戦略のもとに、皆で一致団結して取り組んでいく必要があると思います。
****** 読売新聞、山口、2008年5月9日
小児、産科医を優先配置 県、6病院に集約計画
小児科や産科の勤務医不足が深刻化していることを踏まえ、県は、各地域の中核的な病院に医師を集中させる「集約化・重点化」の計画をまとめた。6病院を連携強化病院に指定し、医師を優先的に置くことで勤務医の負担を減らし、医療体制の充実を図る狙いだ。 【内田正樹】
集約化・重点化は、公的病院が対象。厚生労働省の方針を受け、県は有識者らでつくる「県医療対策協議会」で2006年度から必要性を検討。県内の小児人口1万人あたりの小児科の医師数(4・2人)が全国平均(4・7人)を下回っている点などを考慮し、計画を策定することにした。
計画によると、6病院は岩国医療センター(岩国市)、徳山中央病院(周南市)、県立総合医療センター(防府市)、山口赤十字病院(山口市)、山口大医学部付属病院(宇部市)、済生会下関総合病院(下関市)。
それぞれの病院(山口大医学部付属病院を除く)の医師数を小児科が現行の5、6人から8人以上に、産科も現行の3~6人を7人以上に増やすことを目標に掲げ、24時間、患者に対応可能な態勢の確保を目指す。
(以下略)
(読売新聞、山口、2008年5月9日)