ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

日本助産師会がホメオパシーを明確に否定する声明を発表

2010年08月27日 | ホメオパシー関連

コメント(私見):

8月26日に日本助産師会が発表した声明では、『会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底する』として、ホメオパシーを明確に否定しています。

現時点では、助産業務としてホメオパシーを頻繁に使用している助産師は少なからず存在します。今回の日本助産師会の声明文を読んだだけで、翌日からすぐにホメオパシー使用を自粛し始める者は少ないと思います。まずはホメオパシー使用の実態を把握する必要がありますが、開業助産師の場合、助産業務のほとんどが助産師と妊産婦と2人だけしかいない密室で行われるので、実態を把握すること自体が非常に難しいと思います。

ビタミンK2投与に関する日本助産師会の見解

****** 日本助産師会、2010年8月26日
http://www.midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/pdf/homoeopathy/homoeopathy220826.pdf

平成 22年8月26 日
社団法人日本助産師会 会長 
加藤尚美

「ホメオパシー」への対応について

 今般、日本学術会議金澤一郎会長は8月24日付けで「ホメオパシー」の治療効果は科学的に明確に否定されており医療従事者が治療に使用することは厳に慎むべき行為という談話を発表されました。日本助産師会はその内容に全面的に賛成します。

 日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。
 助産師は女性に寄り添い、女性の思いを受容し、援助することが使命ですが、医療現場にあり、命を預かるものとしての責務もございます。私たち助産師の言葉や行動は、女性にとって大きな影響力を持っているということも自覚しております。科学的に否定されているものを助産師が使えば、本来受けるべき通常の医療から遠ざけてしまいかねません。しかるべきタイミングで医療を受けられるようにすることは、助産師の重要な役割です。
 日本助産師会としては、現段階で治療効果が明確に否定されているホメオパシーを、医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、すすめたりすることのないよう、支部を通して会員に通知するとともに、機関誌及びホームページに掲載することで、周知徹底いたします。出産をサポートし、母子の健康を守ることができるよう、会をあげて、真摯にこの問題に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、現在、分娩を取り扱う開業助産師について、ホメオパシーの使用に関する実態調査をしており、集計がまとまり次第公表いたします。
 なお、妊娠、出産、子育て期にある女性やそのご家族におかれましても、助産師が助産業務においてホメオパシーを使用しないことをご理解いただきたいと存じます。助産師は、皆様にとって不利益のないよう、正確な情報の提供に努めてまいります。

(日本助産師会、2010年8月26日)

****** 読売新聞、2010年8月26日

ホメオパシーで助産師会「使用しないよう徹底」

 患者に独自の砂糖玉を飲ませる民間療法「ホメオパシー」について、日本助産師会(加藤尚美会長、会員約8500人)は26日、会員の助産師に対し「助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底する」とする見解を出した。

 日本学術会議が24日、医療関係者にホメオパシーを使わないように求めた会長談話を受けたもので、同会では、全会員に対して文書で通知するとともに、機関誌やホームページに掲載する。同会では、助産師のホメオパシーの使用実態の調査を始め、結果がまとまり次第公表するとしている。

 ホメオパシーを巡っては、この療法を実践していた山口県の助産師が、ビタミンK2シロップを与えず、乳児が昨年10月に死亡したとして、母親が助産師を訴える訴訟が起きている。

(読売新聞、2010年8月26日)