F教授から突然赴任を命じられ、右も左もわからぬ最果ての新天地に家族を引き連れて移り住み、はや22年が経過しました。赴任当時は、知り合いと言えば大学の同級生(麻酔科医)が院内に一人いただけで、他には市内に知り合いは一人もいませんでした。赴任当時の病院はつぶれかけのぼろぼろの小さな病院で、一応総合病院ではありましたが一人医長の診療科が多く、医師は全員合わせても十人そこそこで、助産師も一人しかいませんでした。
あれから22年が経過し病院も新築移転して大きくなり、医師数も年々増え続け、いつの間にか百人近くにまでなってきました。産婦人科医の人員確保も22年間常に綱渡り状態を続けてきましたが、幸いなことに県内外から優秀な人材が集まり、毎年訪れる危機的状況を総力戦で奇跡的に乗り越えて、何とか持ちこたえてきました。助産師数も毎年増え続けて総勢四十人近くになってきましたが、産休や結婚退職も多く、地域の分娩や手術が一極集中して業務量が年々増え続けている中で自転車操業が続いてます。
最近、高校の同窓会があって久しぶりに出席しました。高校卒業以来四十年ぶりに会う人も多く、黒髪の美少年が白髪、はげ頭になっていたりして、最初は誰が誰だかさっぱりわかりませんでした。話しているうちに当時の記憶がだんだんよみがえってきました。高校教員をやっている人たちは60歳定年なのでそろそろ定年が近くなり、定年後の生活をどうするか?が彼らの話題の中心でした。
その時、『そうだ、自分もそろそろ定年後の生活のことを考えておく必要があるなー』と、はっと気が付きました。私の勤めている病院の医師の定年は65歳なので、定年までまだ8年半ほど任期が残ってますが、さて、その後の生活をどうするのか? 今までは毎日毎日が忙しすぎて、定年退職後のことはまだあまり考えたこともありませんでしたが、その時になって急に考え始めるようではもはや手遅れなので、今から定年退職後の生活についてもよくよく考えて準備しておくことが大切だと気が付きました。
今週末は大学の同窓会が大阪で開催され、うちの病院からも同級生5人のうち3人が出席する予定です。