月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヴィンデミアトリックス・62

2022-01-14 05:26:38 | 詩集・瑠璃の籠

薄汚い嘘の仮面をかぶり
偽物の自分を生きながら
進化した人間の真似をして
実にいい人間であるかのような芝居をして
世間をだまそうとするでない

あほうは
美しいものや良いものを見ると
途端に馬鹿な真似をしたがる
見栄えや口を盗んで
そのものに化けたがる
自分があまりにいやなのだ

自分をいやがって
他人になりたがる馬鹿が
自分を正しく背負い
すばらしい自分自身となったものの真似をして
本当の自分はすばらしいなどという
それはあまりに滑稽な猿真似だ
何もわかってはいない

人間の段階が進んで
すばらしい自分自身というものが
よいということになれば
馬鹿はとんでもない嘘で
それになろうとするのだ
あほうよ

本当の自分自身というものは
嘘のない真正直な自分だ
本当にすばらしい自分自身になりたいのなら
その滑稽な嘘の仮面を
自らはぎとらねばならぬ
盗みで作った虚栄の城を
すべて崩さねばならぬ

試練を乗り越え
生まれ変わったものとして立ち
すべてを本当の自分でやりだすもの
そうなって初めて
おまえは自分はすばらしいと言える

いい加減に
そのばかばかしい芝居をやめよ
嘘で生きていながら
内部に常に虚無の風を感じながら
本当の自分の幸せを勝ち取ったものであるかのような
空しい芝居をやめよ

本当の自分自身は
おまえの背中に張り付いている
決して振り向かなかった後ろを振り向き
半身をちぎるように嘘を脱ぎ捨て
すべてを認め
本当の本当の自分に帰りなさい




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