本当の自分の人生を
石のカプセルの中に閉じ込め
癌のように腸の奥に隠している
あわれな馬鹿者よ
神の庭から盗んできた
幸福の薔薇を身にまとい
本当の自分などすべて忘れて
永遠に嘘を生きていく
自分を許す理屈を
霧の中に探している
すべてはこれでいいのだと
嘘こそが本当なのだと
霧の中で歌い踊る
歌い踊る
幻の群れに身を投じ
砂をこぼすように
人間を失ってゆく
嘘で作った人生の花園を
きれいに剪定しながら
腸の奥で
本当の自分の人生が
うずいているのに
いつまで気づかないふりをするつもりなのか
春の予感の風が
霧を吹きはらい
薔薇は鍵のように
とげをまわして
馬鹿者の腹を開ける
もうすべては終わりだと
神の
長い溜息が
聞こえる