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この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

模倣犯

2010-02-05 12:33:36 | 私の読書日記
もう既に読んだ方には、何を今更って感じでしょうが。なんせ、読まず嫌いの私なので、去年初めて宮部みゆきさんの本を読んで大はまりして以来、ついに“模倣犯”までたどり着きました、だいぶ今更ですが、感想言わせてください。

ハードカバーだと1ページを上下段にしてあって上下巻。千ページ以上。
単行本だと全5巻。
私は単行本で読んでいきましたが、これがまたそれぞれにいいところで終わってるの。

もし時間が許すなら、本当は一気に読みたかった。
けどそうもいかず、ちょびちょびちょびちょび読み進めてついに昨日読み終わったの。

もう超超超よかった。高校生の時に、ある漫画に感動して、作者にファンレターなるものを送ったこと2回だけあるんだけど今回も、もうそんなことは耳タコってくらい賞賛されまくってるだろうけど、私も作者に伝えたい。
『本当に面白かったです、最高でした!!』って

何が良いって、やっぱり長いだけあって、複数いる登場人物たちのディティールが細かくて、それだけにすごい感情移入しちゃうの。だからこそ作家なわけだろうけど、女性なのに70代のおじいさんから、高校生の男の子までよくここまでってくらい上手に描写されてて、そんなとこにもいちいち感心。
そして、あれだけ長い話なのに、途中一ミリたりとも厭きさせることなく、もう前につんのめるような感じで読めちゃうの。

特にもう最後の百ページは興奮してブルブル震えながら読んでた。自分でもすごいアドレナリン出てたと思う。面白い本っていつもそうしてくれるよね。で、ラストは涙。涙。

そんなわけで、もしもし、まだ読んでない方いたら絶対読んだ方がいいですよ!!

私自身、読み終わっちゃって、何だか淋しい。もうあの世界には入れないのかって思うと。
でも読み返してみてもいいかもな~

※ここからは、まだ読んでなくてこれから読むかもって人はご遠慮をネタバレ注意です。


複数いる登場人物のどれもが甲乙つけがたいくらい味わい深いのですが、

私は、もうカズのことを考えると泣けてくる。フィクションってわかってるのに、どうしてこんなに泣けるかなあ・・と不思議なくらいですが、カズが最後に見せた勇気すごかったよね。栗橋浩美は本当にどうしようもない男なのに、それでも幼馴染で友達で、昔も今もどんなにかコケにされ、苛められてきたのに、でもかばってくれたこともあったからって、もう鬼畜のようなヤツのほんのほんのひとかけらの善の部分を信じて、行動したカズの勇気と愛に(これこそ友愛ってやつ??)心うたれまくりでした。カズの両親は結果的に子供二人ともピースに殺されたようなもので、残りの人生どうなるのかしら、、せめて由美子だけでも生きていてくれたら、と可哀相でなりません。(フィクションってわかってるんだけどさ・・)でも、でも浩美をそうゆうことで助けたカズの気持ちはよくわかる。人にされた親切なこと(カズが昔浩美から受けたような親切な優しさ)って、ずっと心にあたたかいものとして、残ってて、たとえその人が悪いことをしても、その時の優しさのほうを人って信じたかったりするものだよね。

それから、前畑滋子。
この人のやることは、本人の葛藤と同じく、どうなのよ、どうなのよ、とやや批判的に見てたけど、最後の活躍は誇らしくて、痛快で最高だった。昭二と元鞘になったのも良いエピソード

それから有馬義男。
説得力のあるキャラクターだったなあ、本当に凄いおじいさんだった。セリフの一つ一つに重みがあって、長く生きた人はやっぱり違うなあという迫力があった。


他にも、ガミさんやら、篠崎、高井由美子もかわいそうだったし、塚田真一くん水野久美カップルも微笑ましかった。前畑滋子は「楽園」って本にも出てるらしいので楽しみ。

最後に思わず泣いてしまった箇所は

☆ 最後の最後、氷川高原の銀河という喫茶店にカズの中学時代の先生だった柿崎先生が訪れて言うセリフ。(思い出しても泣けちゃう

☆ 古川鞠子の母真知子に向けて有馬義男が心の中で言った言葉、「身を削るようにして育ててきたのに」みたいなセリフ。思い出しても胸が詰まる。

他にも言いたいこといっぱいだけど、収集つかないのでこの辺で。