先週の土曜日から火曜まで4日間、夫の故郷である福岡に帰ってました。
子連れ旅行は去年の箱根以来、本格的なのは初めて。飛行機の中で果たしてうちの暴れん坊が大人しくしていられるか不安でもありましたが、いざ出発。
国内線だから、と甘く見てた私が悪かった。
機内持ち込み不可のベビーカーを事前に預けることさえ出来ず、定刻5分前に乗り込み、ほっと胸を撫で下ろす間もなく、到着まで格闘すること2時間。ほんとに全部を甘く見すぎてた私が悪かった。オモチャもろくに用意せず、お腹も減り、眠気もあったはずの息子。でも未知の場所で興奮しっぱなしではしゃぎまくり。だけど、眠気が我慢できなくなってたのと、着陸の耳の痛みが一緒になって、着陸までのおよそ15分を火がついたような大泣きで過ごし、(周りの方、本当にすみませんでした。)もう私たち親はここまでで、どっと疲れてしまいました。
到着後に夫の家族に連絡した後で、この日は天気が良かったので、福岡に行くならぜひ行ってみたかった能古島へ。(今話題ですね・・)
能古島は、福岡の姪浜という渡船場からフェリーで10分。
そこは、大好きな作家 檀一雄が晩年を過ごした場所でもあります。
フェリーから降りると、何とも長閑な島の風景。
とりあえず周りをウロウロしてるうち、子供がベビーカーで寝てしまったので、渡船場内の小さな売店兼飲食店でサザエ丼と、夫お薦めのマルテンうどん(福岡では定番の薩摩揚げがのってるあっさりしたうどん。美味)を食べました。
島は現在菜の花が見頃らしく、他の観光客は菜の花畑が見れる能古島アイランドパークへバスで移動。
私たちは、菜の花も見たいけど、もっと見たかった檀一雄旧家へ。
地図を見ながら徒歩で。渡船場からは歩いて10分くらいでしょう。途中迷って(地図にもはっきり示してはいないので)商店の人に尋ねると、今はもう家は取り壊され、新しい家が建って、歌碑だけが残されているとのこと。教えられた道を行くも、やはりわからず、諦めて引き返そうとしたところに、自転車に乗ったおじさんが通りかかり、夫が咄嗟にその人に尋ねました。
おじさんは自転車を止め、「家はもうないけど、歌碑ならあるよ。そこ上ってったとこ。」
と教えてくれました。するとそれは、私たちが引き返した地点からほんの50メートル程先。跡地に新しく建ったという家は既にそこまで見えてました。
「諦めなくてよかったね」
などと言いながら、坂を上ります。さっきのおじさんは電動自転車なのかスイスイ坂道を上っていきます。見ていると、おじさん、跡地に建った家の敷地に入っていきました。
??と思いながらその家の表札を見ると、アルファベットでDANとあり、私はそこで全てを理解。
なんとそのおじさんは、他ならぬ檀一雄の長男の
檀太郎さんでした。
新しい家が建ったと聞き、てっきり、関係ない他人がその土地を買って家を建てたとばかり思っていました。考えてみれば、そうですよね。ちなみにその家、見晴らしのいい高台に建っている為、帰りのフェリーからずっと屋根が見えて、何となく切なくなりましたよ。(そのことは、沢木耕太郎著の“檀”にも書いてあります)
私たちはその家の裏手にある歌碑の前で写真を撮り、うちの息子(名前を檀といいます)が全てを呼んだのかな~なんて勝手に感動しつつ、そこをあとにしました。
さて、檀の旅はまだ続きます。
続いては、檀一雄が最期に詠んだ詩の印してある石碑へ。(こっちは地図にちゃんと載ってます)果たして、そこにベビーカーを押しての徒歩で行けるか大いに不安ではありましたが、とりあえず出発。誰もいない静かな美しい海岸線を経て、途中途中ある道標を頼りに進んでいきます。自然探索路と名づけられた道に出ると、そこは足元はなんとかコンクリート舗装されているものの、左右は手つかずの自然自然自然が広がっています。
どんな感じかというと、竹藪はよっぽどヒドイ嵐にでもあったのか滅茶苦茶になぎ倒され、落石注意の看板に、実際ごく最近落石があったような跡、それからイノシシ注意の看板もあります。途中誰とも会いません。コンクリート舗装の道も殆ど土にまみれてしまっています。一体どれくらい続くんだろう。本当にこの道でいいんだろうか、と心配になりつつ、かといって、今更引き返すこともできず、とにかく前へ。
昔なら、こんなの何でもなかったのに、子供が出来た今、とても弱気になってしまった自分がいます。もう好き勝手気ままじゃいられないような、これが、守るべきものが出来たという弱みなのでしょうか。檀一雄のことなんて特に好きでも何でもない夫にも感謝です。文句も言わず、私に着いてきてくれる。それから時々開ける絵のように美しい景色にも感謝。霞がかった海に遠くかすんだ山が嘘みたいにそこそこに見えるのです。遠い御伽噺の景色みたい。
あと、IPHONEにも感謝でした。全く居場所がわからない私たちのために、現在地を指し示してくれる地図のアプリケーション、とってもとっても役にたちました。(途中電波が入らない箇所もあったけど)
2時間程歩き、林の中を100メートルくらい入っていったところに遂に石碑を発見しました。
なるほど。それは、本当にステキでスペシャルな場所に建っていました。モガリ笛の詩。モガリ笛とは風のヒュウヒュウいう音だそうで、今回ホテルで夜寝ているときに、これがモガリ笛かな、という独特の海風みたいなヒュウヒュウいう音を何度か聴きました。(雨の強かった昼間にも)この音は、東京では聴いたことがありません。全く独特の音がします。
帰りは、そこからアイランドパーク前にあるバス停まで歩き、バスに乗って帰りました。
能古島、堪能しました。
すごくよかった。
絶対また来る!!