4CATS

この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

「子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から」を読んで

2020-07-22 07:48:21 | 私の読書日記
ブレイディみかこさんの本を読むのは2冊目で、この本は図書館で半年くらい前に予約してやっと届いた。

素晴らしく面白い(=興味深い)本だ。

前回読んだ「労働者階級の反乱」では、どうしてイギリスがEU離脱に至ったかを実際英国人と結婚している著者自身が見たEU離脱や、国民投票を、これまでのイギリスの歴史、政治についても、私にもわかりやすく書かれていて、これまで全く知らなかったイギリスという国、王室や映画に出てくるような華々しいイギリスじゃない、もっと多くを占めている労働者階級たちにとってのイギリスを知り、とても興味深く面白かった。

そして今回の本は、その著者が生活保護受給家庭や、難民、著者曰く、「底辺託児所」で、自身が保育士として過ごした生の記録だ。

そこでは、何はなくとも毎日がとてもドラマチックだ。
子供たちも幼児にして、ドロップキックをかましたり、とんでもなくバイオレンスで、行儀が悪い。何しろ、1歳女児の最初に覚えた言葉が「FUCK」だったりするのだ・・(実際は、「アックアック」と言うらしい。)政権によって、これまで受けていた補助を止められ、日々の暮らしにも困窮するシングルマザーと子供たち、フードバンクでやっと手にしたジャガイモに思わず涙するイギリス人。読んでいて悲しいのに、思わず笑ってしまう。心に何度も灯が灯る。

もし私がもっと若い頃に、この本を読んでいたら、私も保育士を目指したかもと思う。
ブレイディみかこさんが見た世界を、これからももっともっと知りたい。

世界は、世知辛いけど、そこにも愛はあるんだよ、とこの本は教えてくれる。