五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

夕顔を廻る思い

2012年09月16日 | 第2章 五感と体感
昨日は師匠の能を鑑賞してきました。
(パソコンだと「しとみ」という漢字が出てこず、私の技術が未熟で「はしとみ」と平仮名で書かざる得ません)

源氏物語に登場する夕顔の霊を描いた「はしとみ」です。「半」と「しとみ」←しとみは。昔の窓の形式のことです。板戸をつっかえ棒で支えて開ける形の戸。

「雨夜の品定め」の章で、若い公達達が、雨降る夜に女子について語り、あれこれと自分の経験や噂話に花を咲かします。
その中にも登場する夕顔は、何となく男子達の間ではミステリアスで気になる存在としても登場します。

ある日、光源氏が自分の乳母の見舞いを訪れた際、ふと隣の侘びた家に目が留まります。側近の惟光をパシリ(笑)に使い、夕顔と歌を交わすことから交際が始まります。

昨日の能は、狂言が「萩大名」。歌を詠むのが大の苦手の大名が萩の歌を廻って大騒ぎとなるお話ですが、夕顔と萩大名の素敵な組み合わせに大満足。。。その上、お腹を抱えて大笑いしました。

夕顔は、今でいうイケメン男子にモテモテで、光源氏と縁の深い頭の中将との間にはすでに女の子が生まれており、光源氏と逢瀬を交わす中、六条の御息所の怨霊に苦しめられ、儚くも命を落としてしまいます。
そのような不幸が、後の玉葛(夕顔の娘)のシンデレラストーリーを生んでいくのです。

夕顔が亡くなるシーン。そして、その後の光源氏の感情と行動の描写は絶妙な面白さがあり、夕顔という女性を巡って表れる現象のほうが私に強く印象を与えているところが、返って「夕顔」という儚い花のイメージと重なるように思っています。

儚き夢の跡。
自信満々の若き光源氏にあれだけのストレスを与えた夕顔という女性は、光源氏の将来に大きな影響を与えたと言っても言い過ぎではなさそうです。

源氏物語を人の感情と思考と行動の曼荼羅図であると解釈して読むと源氏物語を一層深く、読み解くことができるのです。

年齢を重ねる毎に読書を繰り返していくことで、解釈に深みが出てくるこの本は平家物語と同じく、我が人生を歩む友として携えている本であると、しみじみ思うのでした。

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