今月10日、英国で行われた試合結果です。
WBOクルーザー級戦:
王者クリス ビラン スミス(英)TKO8回2秒 挑戦者マテウス マスレルナク(ポーランド)
*実に9年半ぶりに2度目の世界挑戦の機会を得たマスレルナクが、8回開始のゴングに応じることが出来ずそのままTKO負け。ビラン スミスが5月に獲得した王座の初防衛に成功しました。
マスレルナクが7回終了時までに明白にリードしていたこの試合。7回終了までの公式採点では、ポーランド人が2対0(68-65x2、67-67)で有利保っていました。実際の試合内容も、攻防ともに挑戦者が大きく上回っており、僅差の判定には首を傾げたくなります。マスレルナクが試合を放棄した理由は、肋骨を痛めた事だとか。それが王者のパンチによるものかは分かっていません。
2000年4月にドイツで行われたWBOヘビー級戦でも、似たような事が起こりました。当時王者だったビタリ クリチコ(ウクライナ=首都キーウの現市長)がクリス バードを迎え、圧倒的に試合を有利に進めていました。しかし9回終了時、クリチコは自身の肩の負傷を理由に突如試合を放棄。思わぬ形で王座交代劇が起こっています。
クリチコはその後、WBC王座を獲得し長期政権を樹立。約10年前に王者のまま勇退しました。リング上では実力を示しながら、残念な結果を出してしまったマスレルナク。果たして3度目の世界挑戦の機会が訪れるのでしょうか。
下記はこの試合が終わった時点での(2023年12月10日)のクルーザー級王者たちとなります。
WBA:アルセン グラムイリアン(アルメニア/仏/防衛回数3)
WBC:ノエル ゲボール(アルメニア/0)
IBF:ジェイ オペタイア(豪/1)
WBO:クリス ビラン スミス(英/1)
OPBF(東洋太平洋):空位
WBOアジア太平洋:カムシベク クンカバエフ(カザフスタン/0)
*これまではクルーザー級と言えば日本のボクシング界からは縁がほとんどなく、地味な階級というイメージがありました。今でもその考えは変わらないのですが、欧州ボクシング界の人々から見ると、ミニマム級などの軽量級戦線はどのように映るのでしょうか。「やたらにアジア色が強く、我々とは縁が薄い階級」でしょうかね?