3月5日に開幕した2011年のJリーグは、12月3日にいよいよ最終節を迎えました。第33節を終えて、優勝争いは柏レイソル、名古屋グランパス、ガンバ大阪の3チームに絞られました。首位・柏から3位ガンバまでの差はわずか勝ち点2。柏レイソルが逃げ切って初優勝となるのか、それとも名古屋とガンバの逆転優勝となったのか?運命の最終節の行方はいかに?
清水エスパルスVSガンバ大阪@アウトソーシングスタジアム日本平
3位からのミラクルVを狙うガンバ。これがラストゲームとなる西野朗監督のためにも勝つしかありません。試合は序盤に動き、清水が前半9分に右サイド・辻尾真二のクロス→伊藤翔のヘディングシュートが決まり1点を先制します。立ち上がりに失点を喫したガンバでしたが、前半32分に二川孝弘のパスから、最後はイ・グノのゴールで同点に追いつくと、前半39分には左サイドのCKからイ・グノが頭で合わせて逆転ゴール!イグノの連続弾で1点リードで前半を終えると、後半7分にイグノのドリブル突破→最後は二川のゴールで1点を追加。その後は清水の反撃を抑え、3-1でガンバが最終戦を勝利で飾りました。
アルビレックス新潟VS名古屋グランパス@東北電力スタジアムビッグスワン
首位とは勝ち点1差で追う2位の名古屋は、アウェーで新潟と対戦。目下5連勝中と好調な名古屋、6連勝でシーズンを終えられるか?
前半は互角の展開も両チーム決められず。名古屋は前半30分、左サイドの藤本淳吾のクロス→ケネディが高さを活かしてヘディングシュートを放ちますが、GKのセーブに阻まれて得点ならず。35分には闘莉王が頭で落としてダニルソンがシュートも決められず。0-0で迎えた後半9分、ペナルティエリア手前でのFKを玉田圭司が左足で直接決めてようやく先制点。その後は新潟の反撃を凌ぎ、名古屋が1-0で勝利。
浦和レッズVS柏レイソル@埼玉スタジアム2002
最終戦の相手・浦和レッズに勝利すれば、文句無しのリーグ制覇となる柏レイソル。優勝のプレッシャーがかかる中、大一番を迎えました。一方、15位の浦和はホームで意地の1勝を挙げ、J1残留を決められるか?
試合は序盤から柏が主導権を握り、前半6分にレアンドロ・ドミンゲスとジョルジ・ワグネルのワンツー→左サイドにいた工藤壮人がシュートを放つも決めきれない。10分にはレアンドロのクロス→工藤が飛び込んでヘディングシュートもバーの上。20分にはレアンドロの浮き球クロスにワグネルが左足ボレーを放ちますが、左に外れます。
迎えた前半29分、柏は左CKでチャンスを得ると、近藤直也のダイビングヘッドは相手DFにクリアされると、レアンドロのシュートはポスト直撃。跳ね返りをジョルジが強烈な左足シュートがゴールネットを突き刺した!セットプレーからの波状攻撃で柏が1点を先制!さらに前半37分、今度は右CKをレアンドロがクロス→ゴール前で競り合い→橋本和の後ろ向きシュートが決まる。橋本のオーバーヘッドゴールで柏2点目。前半で2点を奪った柏、優勝へ大きく前進。
前半シュート0本に終わった浦和は、後半に入り山田直輝を下げて原一樹を投入。後半7分に原口がチーム初シュートを放つと、その30秒後に右サイドの平川忠亮のクロスに柏木陽介のヘディングシュートが決まって1点を返します。
柏が1点差に詰め寄られ、優勝争いもますます面白くなっていくかと思われましたが、後半31分にCKのこぼれ球を茨田陽生がやや弱めのミドルシュート。ボールはワンバウンドした後、キャッチしようとした浦和GK・加藤順大がファンブルしてゴールイン。何ともラッキーな形で柏がさらに1点追加。試合は3-1で柏レイソルが浦和レッズを破り、初優勝を決めました!
柏、名古屋、ガンバの優勝争いは、3チームとも全て勝利し、柏レイソルが勝ち点72を挙げて2011年度Jリーグディヴィジョン1の優勝を果たしました!これで8チーム目のリーグ王者が誕生しました。名古屋は勝ち点71で2位となり、2連覇ならず。ガンバ大阪は勝ち点70で3位でした。
柏レイソルは1995年にJリーグ入りしてから17年目でのリーグ制覇で、1999年のナビスコカップ以来となる主要タイトル獲得。昨季はJ2で優勝し、今季はJ1王者。西野政権で優勝争いを経験した後、2002年以降は低迷が続き、2度のJ2降格を味わいました。迎えた2011年、昇格即優勝を成し遂げて長きにわたる冬の時代に終止符が打たれました。
今季は開幕3連勝からスタートし、7月中旬まで首位をキープ。一旦は4位まで順位を落としましたが、第28節から再び波に乗り始め、第29節で首位奪還。その後は最終戦まで首位を明け渡さず、引き分けを挟む6連勝でフィニッシュ。ネルシーニョ監督の手腕の良さもあれば、レアンドロ・ドミンゲスとジョルジ・ワグネルの「ブラジル人コンビ」がチームの快進撃を導き、田中順也選手が13得点を挙げました。ベテランの北島秀朗選手の存在も大きかったですね。J2から昇格したチームが、J1の強豪を抑えて優勝したのは「下克上」とも言えるでしょう。
今後は12月8日から開幕する「FIFAクラブワールドカップ」でJリーグ王者として参戦。開幕戦でオセアニア王者・オークランドシティと対戦し、順調に勝ち進めば、準決勝で南米王者・サントスと対戦できます。その後に天皇杯があり、国内2冠を狙います。優勝後はタイトな日程が続きますねえ。クラブW杯では開催国のプライドを見せつけてほしいですね。柏レイソルの選手の皆様、サポーターのみなさんおめでとうございました。
その他の試合
大宮アルディージャVSヴァンフォーレ甲府@NACK5スタジアム大宮
現在16位、浦和との勝ち点差3を追うヴァンフォーレ甲府は、大宮に勝っても浦和の結果次第で降格が決まります。試合の方は前半13分に石原直樹のゴールで大宮が先制しますが、25分に甲府が井澤惇のループシュートで同点に追い付きます。しかし、その4分後に東慶悟のヘディングで大宮が勝ち越すと、後半2分にも東がこの日2点目となるゴールで大宮1点追加。試合は3-1で大宮が勝利。この結果、柏に敗れた浦和レッズのJ1残留が決まり、ヴァンフォーレ甲府のJ2降格が決定しました。
ベガルタ仙台VSヴィッセル神戸@ユアテックスタジアム仙台
今年は東日本大震災があり、チームにとって絶対に忘れられない1年となったベガルタ。神戸に勝って有終の美を飾りたい最終戦は、前半19分に右サイドの松下年宏のクロス→太田吉彰が頭で折り返し、最後は赤嶺真吾が飛び込んで1点先制。後半に神戸の反撃を抑え、後半35分に松下のミドルシュート→赤嶺が左足でコースを変えてゴール。赤嶺の2ゴールで神戸に2-0で勝利し、4位でシーズンを終えました。
横浜FマリノスVS鹿島アントラーズ@日産スタジアム
鹿島は前半12分、柴崎岳がミドルシュートを放つが、左ポスト直撃。32分、大迫勇也が左サイドからドリブルでペナルティエリア内に進入。興梠慎三の折り返しを受けた後、1回目のシュートはGKに一旦防がれるが、こぼれ球を流し込んで1点を先制。マリノスは後半25分、右サイドでのFKを中村俊輔→大黒将志のヘディングが決まって振り出しに戻します。その後は両チームとも決定的な場面で決めきれず、1-1のドローに終わりました。
ジュビロ磐田VS川崎フロンターレ@ヤマハスタジアム
磐田VS川崎戦は、今年限りで退団となる外国人選手がゴールを挙げました。前半17分にジウシーニョがこぼれ球を押し込み磐田が1点を先制すると、前半43分にはCKからジウシーニョが頭で合わせて2点目。対する川崎は後半7分、左CKからジュニーニョがゴールを決めて1点を返すも反撃はここまで。ジウシーニョの2得点を守り切った磐田が2-1で勝利。
セレッソ大阪VSアビスパ福岡@キンチョウスタジアム
セレッソが退任するクルピ監督への惜別のゴールラッシュ!前半10分に藤本康太の右足ミドルで先制点を奪うと、同点とされた35分に清武弘嗣が勝ち越しゴールを決め、40分にはキム・ボギョンが3点目を叩きだし、前半ロスタイムには倉田秋のPKで4点目。前半だけで4得点を奪うと、後半も勢いは止まらず。後半5分に倉田がこの日2点目のゴールで5点目、その2分後には扇原貴宏のスルーパス→杉本健勇が押し込んで6点目。そして後半31分に村田和哉が7点目を挙げて勝負あり。前半4得点、後半3得点のゴールラッシュで福岡に圧勝しました。
モンテディオ山形VSサンフレッチェ広島@NDスタジアム山形
J2降格が決まっている山形、J1最後の試合で白星が欲しいところ。前半11分に宮崎光平の先制ゴールで山形が1点をリードして折り返しますが、後半に入ると広島が勢いを見せ、後半9分に森脇良太が同点ゴールを決めると、後半31分には佐藤寿人が逆転ゴール。後半43分には山岸智がダメ押しの3点目で勝負あり。後半に3点を奪った広島が3-1で勝利を収めました。
というわけで、2011年のJ1は全日程が終了しました。優勝した柏レイソル、2位・名古屋グランパス、3位・ガンバ大阪の3チームが来年のAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得。ベガルタ仙台が4位と大健闘、9位のヴィッセル神戸は、チーム初の1ケタ順位。大宮アルディージャは勝ち点42で13位、浦和レッズは勝ち点36で16位と言う結果でした。埼玉の2チームは来季もJ1で戦います!そして16位・ヴァンフォーレ甲府、17位・アビスパ福岡、18位・モンテディオ山形は来季J2降格。甲府と福岡は1年で逆戻りです。
J2では、FC東京が1年でJ1復帰を果たし、2位・サガン鳥栖がJ参入13年目で悲願のJ1昇格。3位争いではコンサドーレ札幌が3日のFC東京戦で勝利し、最後の1枚を獲得。以上の3チームが来季J1で戦います。来季は柏レイソルの連覇、鹿島・ガンバ・名古屋の王座奪還、J2昇格組の大躍進はあるのでしょうか?