11日は阪神競馬場で2016年の2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズが行われました。そして、日本馬13頭が参戦した香港・シャティン競馬場の「香港国際競走」では、2つのレースで日本馬が優勝しました!
第68回阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ・芝1600m 18頭立て)は、フランケル産駒の②ソウルスターリング、アルテミスステークスを勝った⑱リスグラシュー、小倉2歳女王④レーヌミノル、デビューから3戦無敗の⑪ジューヌエコール、新潟2歳チャンピオン⑰ヴゼットジョリー、ディープブリランテ産駒①ディーパワンサ、⑧サトノアリシア、⑫アリンナなどが参戦しました。
スタートで③エムオービーナスが立ち遅れ、リスグラシューも出遅れる。ソウルスターリングは好スタートを決めた。外回り3コーナーに向かっての先行争いで、アリンナが先手を奪い、⑥ショーウェイが2番手追走。ソウルスターリングと⑬ゴールドケープが3,4番手の位置につける。内側5番手にレーヌミノル、6番手ジューヌエコール、7番手ディーパワンサ、8番手⑭スズカゼ。中団グループには⑦ブラックオニキス・⑩クインズサリナ・⑨ジャストザマリンの3頭がが9~11番手で並び、その後ろの12番手⑯シグルーン、13番手⑤ポンポン、14番手にヴゼットジョリー。後方は15番手にリスグラシュー、16番手エムオービーナス、 17番手サトノアリシア、最後方に⑮フェルトベルク。
3,4コーナー中間点を通過し、先頭のアリンナは前半800mを46.7秒で通過。ショーウェイ2番手、ケープ3番手は変わらず。4番手グループにはソウスタ・レーヌ・ジューヌ、さらにジャスマリも加わる。ディーパは中団馬群の内側、リスグラは大外に持ち出した。
4コーナーを回って最後の直線コースに差し掛かり、アリンナが先頭をキープするが、内からソウルスターリング、外からゴールドケープとレーヌミノルが追いかけ、リスグラシューも大外から一気に追い込む。ゴール残り200mを切って、今度はソウスタが先頭に躍り出ると、リスグラが外から突っ込んできたが、ソウルスターリングが先頭でゴールイン!フランケル産駒からGⅠ馬が誕生!
GⅠ10勝の怪物・フランケルの子供もまた怪物だった!ソウルスターリングが1番人気に応えて快勝し、2016年の2歳女王の座に就きました。2着のリスグラシューは、上がり3ハロンでメンバー最速(34.5秒)でしたが、スタートの出遅れが痛かった…。3着には3番人気のレーヌミノルが入りました。5番人気・ディーパワンサが4着、5着にヴゼットジョリー、4番人気のジューヌエコールは11着に終わっています。
GⅠ初勝利のソウルスターリングは、父・フランケル、母・スタセリタという血統。フランケルは現役時代に14戦全勝、200ギニー、チャンピオンステークスなどGⅠ競走で10勝をマーク。母のスタセリタもGⅠを6勝を挙げ、両親合わせて「16冠」!こんな凄い両親の下に生まれた馬が日本にいるなんて凄い…。
鞍上のクリストフ・ルメール騎手は、昨年のメジャーエンブレムに続いての阪神JF連覇。この日のルメール騎手は1日6勝の固め打ちでした。管理する藤沢和雄調教師は、98年のスティンガー以来、18年ぶりの同レース2勝目。また、関東馬はこのレース3連勝となりました。
ソウルスターリングは、札幌での新馬戦を勝利で飾ると、2戦目のアイビーステークスでも牡馬を一蹴して2連勝。3走目の今回は、重賞初挑戦、初のマイル戦、関西遠征、牝馬限定戦、多頭数と始めて尽くし。序盤から好位で追走し、直線で内側から抜け出して快勝。デビューから無傷の3連勝でGⅠタイトルを獲得しました。2歳女王は通過点、来年はクラシック制覇&さらには海外のビッグレースに挑むかもしれません。
香港・シャティン競馬場で開催された「香港国際競走2016」。1日にGⅠ競走が4レースも施行されるこのイベント、「香港ヴァーズ」はサトノクラウン、ヌーヴォレコルト、スマートレイアーの3頭が出走。メインの香港カップは、今回がラストランのモーリス&エイシンヒカリ、ステファノス、ラブリーデイ、タッチングスピーチの5頭が参戦しました。
香港ヴァーズ(芝2400m・14頭立て)は、凱旋門賞2着&ブリーダーズカップターフを制した①ハイランドリール(アイルランド)、フォワ賞を勝った②シルバーウェーヴ(フランス)、⑦ワンフットインヘヴン(フランス)、③ビッグオレンジ(英国)、地元香港の⑤ヘレンハッピースター、⑪イースタンエクスプレスなどが登場。
レースは、ハイランドリールが先手を取ると、ビッグオレンジが2番手。⑭スマートレイアーはシルヴァーウェーブと共に中団に控え、④サトノクラウンは中団より少し後ろのポジション、ヌーヴォレコルトは最後方を追走する。3コーナーのところで、ハイランドが逃げ、スマレイが3番手まで押し上げ、シルバー6番手、ワンフットも馬群の中。サトクラは後方4番手、ヌーヴォは大外に回る。
最後の直線でハイランドリールがスパートを掛けて、独走態勢を築く。このまま押し切るかと思いきや、2番手からサトノクラウンが猛追し、残り100mで1馬身差まで詰めると、ラスト50m切ったところでハイランドに並ぶと、ゴール前で抜け出して1着!日本のサトノクラウンが、ゴール前でハイランドリールを差し切って香港ヴァーズ制覇!ヌーヴォレコルトは4着、スマートレイアーも5着と健闘しました。
香港国際競走のメイン・香港カップ(芝2000m・12頭立て)は、香港マイルGⅠ2勝の②モーリス、昨年の優勝馬①エイシンヒカリ、エリザベス女王杯馬⑫クイーンズリング、3度目の香港GⅠ挑戦⑤ステファノス、②ラブリーデイの日本馬5頭に加え、⑧シークレットウェポン、④デザインズオンローム、③デザインズオンローム、⑦ガンピットら香港勢6頭が出走。
スタートでモーリスが出遅れて後方からの競馬になったのに対し、エイシンヒカリは完璧なスタートから先頭に立った。1,2コーナーから向正面のところで、エイシンヒカリ先頭、2番手に⑪ヘレンスーパースター(香港)、ラブリーデイとステファノスが3,4番手を追走し、⑩ホースオブフォーチュン5番手、6番手ブレイジングスピード、7番手シークレットウェポン、クイーンズリングは8番手追走。モーリスは10番手辺りを追走。
3コーナーを通過し、ヒカリが単騎の逃げで軽快に飛ばし、ステファノスが3番手、ラブリー4番手は変わらず。フォーチュン5番手、ブレスピ、ウェポン、ガンピットは中団。モーリスはまだ後方だ。先頭で逃げるヒカリは、大差のリードを保って最後の直線へ。このまま逃げ切り勝ちを決めるのか?後続からステファノス、ラブリーデイ、さらにモーリスと日本勢が追い込んできている。残り200mでモーリスが2番手に上がると、勢いそのままにヒカリをかわして先頭に立つ。2番手争いではラブリー、ステファノス、外からシークレットウェポンが上がってきた。最後に突き放したモーリスは、そのまま堂々と先頭ゴールイン!引退レースで快勝したモーリス、見事な有終の美を飾りました!
2着争いは香港のシークレットウェポンが制し、ステファノス3着、ラブリーデイ4着。クイーンズリングは9着、積極果敢な逃げで見せ場を作ったエイシンヒカリは最後に力尽きて10着でゴールしました。
香港国際競走は、香港ヴァーズでサトノクラウンが優勝。日本勢のヴァーズ制覇は2001年のステイゴールド以来史上2頭目の快挙です。香港カップはモーリスが2着に3馬身の圧勝劇を見せました。堀宣行厩舎の2頭が香港でGⅠ制覇です。
サトノクラウンは大本命のハイランドリールを破る大金星。ハイランドが独走して貫禄勝ちかと思いきや、サトクラが追い込んで、ゴール前でかわしました。2歳時から期待されながらも、GⅠでは「サトノの呪い」もあって不完全燃焼続き。前走の秋の天皇賞はブービーの14着でした。それがジョアン・モレイラ騎手に導かれて悲願のGⅠ制覇。モレイラ騎手は改めて素晴らしいジョッキーだと思います。
ラストランで勝利したモーリスは、前走の秋天に続いてのGⅠ勝ち。スタートで出遅れ、道中は後方にいましたが、直線で内から脚を伸ばし、逃げるエイシンヒカリを捕らえました。香港GⅠ3連勝のモーリスに、現地の実況アナウンサーも「スーパースター」と賞賛。モーリスは今年だけでGⅠ3勝したので、2年連続の年度代表馬に大きく近づいたでしょう。日本と香港でGⅠ6勝、日本いやアジアが誇る名馬がターフを去ります。