That's awesome

海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

A Study in Pink Audio Commentary その5

2018-05-13 11:17:34 | Sherlock S1E1 Commentary
Patrick Melrose の放送がいよいよ始まりました。
E1のみRadiotimesのサイト上で先ほど無料放送されていたようですが
毎度日本チームはDVD発売まで我慢なんでしょうね。
とりあえず私はThe Child in Timeを見終わらないと。(まだ見終わってない)

でも今回は「ピンクの研究」コメンタリー続きです。


Previous → A Study in Pink Audio Commentary その4
Next → A Study in Pink Audio Commentary その6

モ:ずっと確認しようと思ってた。シャーロックが何分間画面から消えるかを。
最後に見たのが30分すぎだから12分間出てこない。第一話の中盤なのに。



ゲ:僕のせいだ。
モ:マークが時間稼ぎをする。



恋愛に発展しない二人のやり取りは絶妙に演じられている。
一度カットしたけどまた戻したよ。
ゲ:秘密情報機関の話をしたけどマイクロフトが示す力はすべて恐ろしい。
ちょっとしたジョークでも怖いね。ジョンをもてあそんでいるようだ。
モ:ジョンは兵士の勘で不吉さを感じている。



モ:ついに登場。
ゲ:ここではモメた。
モ:ポールと議論して結局使わせたけど「ニコチンパッチが何になる?」と思ってる。
ゲ:3つもつけている。



モ:設定についてほかにどんなことを話し合った?
ゲ:ドラッグについて。このあと詳しく話そう。
科学捜査の時代に生きるホームズについて、喫煙と依存症。
モ:ドラッグについては僕らはそれほど興味がなかった。



ゲ:大した問題ではない。
ホームズファンである僕たちにしてみればドラッグのことはいつも大げさに騒がれ過ぎだ。
ホームズはドラッグを打つよりも笑っていることのほうが多いのにね。
しかもドラッグの記述は初期だけ。
現代版のシャーロックはドラッグをやるのだろうか?
ゲ:手を出すかもしれないけどつじつまが合わなくなる。
彼は退屈を紛らわして脳を衰えさせないためにドラッグをやっていた。
刺激的な事件の合間に注射を打ってたら不自然だ。
モ:やろうと思わない。
大事なのは彼を変人に描くこと。頭脳が並外れているのだから刺激が必要だ。
呼吸するために泳ぎ続けるサメと同じ。だから彼は謎を解く代わりにドラッグをやる。
ビクトリア時代はそれが彼を変人に見せる面白い表現だった。
ゲ:広告を見たり。



モ:そうそう。トンチンカンだ。
だが現代を舞台にした場合きっと18歳の彼は荒れ放題だったはずだと思った。
落ちこぼれになったらバカな事ばかりしていた。落ち着きを持てるようになるまでは。
「難問があれば満足だ」と悟るまでの彼を想像できる?相当な変人だったはず。
ゲ:原作では彼の学友の父親が推理を仕事にしたらいいと言うんだ。
そう言われたのは彼にとって初めてだった。
マイクロフトは中欧で放浪する弟に落胆していたはず。
だが突然シャーロックは生きがいを見いだした。それでも粗削りな部分は持っていた。
優しくさりげなくたしなめてくれる人物に出会い彼は初めて人間らしくなれた。



モ:自分にとって味方だからジョンには耳を貸す。彼に注意される時もあるけど。
ゲ:ジョンは「好意的な聞き手」だ。僕らと同じ。笑。
スー:みんなは「うせろ」と言う。
モ:その通り。
ゲ:もうひとつ問題になったことがある。現代版では「CSIの世界」をどう描くか。
ドラマではなく科学捜査と言う意味で。
原作ではホームズが科学捜査を考案していたが現代では?
やはり彼は特別な存在と言うことにした。
警察が証拠を集めたり計測したりするが彼の判断は・・・



モ:例えば人間の頭脳を使わないと思いつけないことにホームズは気づく。
最も秀逸な推理のひとつは「白銀号事件」だ。
「犬の奇妙な行動に注意しろ」「何もしていませんが?」「それが奇妙だ」
犬がほえなかったため侵入者は内部の者と推測した。
コンピューターや監視カメラが何台あっても「平常である奇妙さ」には気づけない。
ゲ:子どもの頃に読んで鳥肌が立ったのを覚えている。
僕らは傑作だと思ってもコナン・ドイルには普通かもね。
だが本当に画期的なアイデアだ。様々な方法で応用できる。
だから「ヤケクソ」なレストレードも助けを求める。彼にしか気づけない。



モ:ここでシャーロックは自分の賢さを見せようとする。人に気づかせたいほど賢いんだ。
いつもは骸骨に話していたからジョンがいてご機嫌だ。「一緒に来い」と。
スー:作る相手がいない料理名人ね。
モ:笑ってくれる人がいない大物コメディアンとか。



「シャーロックはジョンと出会って人間らしくなれた。」
このモファティスの神解釈がシャーロックというドラマの基本なんですよね。
ラストのお互い探りあっている感じもすごく好き。

JW「警察には?」
SH「4人死んでるんだ。警察に話している時間はない。」
JW「なら、なんで僕に話すんだよ?」
SH「ハドソンさんが僕の頭蓋骨を持って行ったんだ。」
JW「要するに僕は頭蓋骨のかわりか?」
SH「落ち着け、君はよくやっている。それに。」
JW「それに?」
SH「君はそこに座ってテレビを見てもいいんだ。」
JW「何、君は僕に一緒に行ってほしいのか?」
SH「僕は外出する時は同伴者がいたほうがいいんだ。声に出して話せば良い考えも浮かぶ。
頭蓋骨を連れていくと注目を浴びてしまうんだ。だから・・・」

SH「何か問題が?」
JW「ああ、ドノヴァンだ。」
SH「彼女が何?」
JW「彼女が言ったんだよ。君はこういう事に興奮する、楽しんでるって。」
SH「僕は「危険」だとも言った。でも君は戻ってきた。」
シャーロックが部屋から出ます。
ジョンは少し考えてから「Damn it!」と立ち上がります。

ジョンを誘い出す言い訳がね、素直じゃないと言うか・・・うふふー。

中欧で荒れ放題だったシャーロックとか
ビクトリアSPでチラ見せした弟に手を焼く兄とかぜひドラマ化してほしいです。

アンシアとジョンとの車での会話、あやうくカットだったけど私は名場面だと思っています。
そういえばこの頃のアンシアは謎めいていて、きっと隠れた能力とかあるんだろうと思い
きっといつかお披露目してくれると思っていましたが・・・・

スパイものやるならアンシアが実はエージェントでマイクロフトの身に危険が迫り・・・
みたいなものでも良かったのに。

A Study in Pink Audio Commentary その4

2018-05-09 21:05:14 | Sherlock S1E1 Commentary
シャーロックが恋しくなってきたので、
「ピンク色の研究」のコメンタリー、続きです。
今回はジョンのターン。



Previous → A Study in Pink Audio Commentary その3
Next → A Study in Pink Audio Commentary その5


モ:ジョンがシャーロックに会った途端、不思議な世界へ引き込まれる感じを出したかった。
ゲ:サリー役のヴィネット・ロビンソン。


モ:パイロット版ではハドソンさんはサンドイッチ店を持っていたがあとで少しやりすぎだと思った。
ス:今は洋服の仕立て人?
ゲ:ビルの所有者だ。夫がフロリダで死刑になって大金が入った。いつかドラマ化を。
モ:「フロリダで処刑された無実の男」
ゲ:家賃を下げようとして。
モ:ハドソンさんは本当は夫が無実なのを知ってた。
ゲ:金にうるさい男なんだ。
モ:いい人だけどね。




ゲ:屋上に立つシャーロックを見上げる場面がカットされた。
モ:いいショットだったが皆が間抜けだと言った。
賛成派は僕とベン・スティーブンソンだけ。仕方なく引き下がった。
だが電話の謎がより深まったと思う。
ゲ:面白いアイデアだ。すごく気味が悪い。監視カメラに追われているんだよ。
鳴っている公衆電話を通り過ぎるアイデアがいい。偶然だとしてもどこか気持ちが悪い。
モ:実体験から思いついた。鳴っている公衆電話を見て次は隣の電話が鳴ったらぞっとすると思った。
ス:監視カメラを操作するなんて不思議な気分だった。
ゲ:これはカーディフだけどロンドンはどうだった?
ス:すぐ断られた。



電話から車に乗るようにマイクロフトの声。

モ:恐ろしいね、どこかで聞いた声だ
ゲ:ちょっとした目くらましだ。大げさだけど。
モ:実際にはマイクロフトの仕業だが視聴者には彼をモリアーティだと誤解させたかった。
ゲ:「宿敵」って発言も効果的だ。
モ:この場面を考えた時に気づいたが、兄のいう事はすべて意地悪に聞こえる。
本当はすごく心配している。
マイクロフトのイメージで参考にしたのは原作じゃなく、ビリー・ワイルダー作品だ
ゲ:I・A・L・ダイアモンドとね。
ラスボーンの映画の次に好きなのがビリー・ワイルダー監督の「シャーロック・ホームズの冒険」
過小評価されていたが物悲しくもあり愉快であり変わった作品ではあるけど様々な面で完璧な映画だ。




ス:マイクロフトは太ってる?
モ:そうだよ。だからマークに演じてもらった。
原作では肥満体となっている。彼について書かれている特徴はそれだけだ。
ゲ:賢いとも・・・
モ:雰囲気だけで実際はわからない。ワイルダーとダイアモンドは無事だよ。
ゲ:クリストファー・リーを策略家のマイクロフトにした。
モ:本人を前に言うのも何だけど、このシーンは素晴らしい。
ゲ:お世辞はやめろ。
(笑)



マニアックな会話ですね。


ゲ:僕は無理やりこの役をやらされた。
モ:スティーヴ・トンプソンのアイデアだった。
モリアーティとマイクロフトのことを話しててスティーヴが「マークはベネディクトの兄っぽい」と。
当時マークはピーター・マンデルソンの役を・・・
ゲ:ドラマのオーディションを彼の役で受けようとしてた。
だから演じやすかったよ。
以前彼を見て「マイクロフトだ」と思った。マイクロフトのほうが力があるけどね。



ゲ:ストーリーがうまく収まっていて満足している。原作の筋書きを巧みに発展させてくれた。
視聴者がこのワナに引っかかってくれたらいいね。
でも本当にうれしいことだ。もうひとりのホームズを演じることができた。
兄弟の関係も面白いしね。
モ:ジョンはとても冷静にふるまっているんだ。マーティンが彼の勇敢さを示している。
ジョンは礼儀正しい男で自分を押し殺していつも人々に穏やかに接する。
でもここでは実に勇敢なんだ。


ゲ:撃たれるのを覚悟しているような勇敢な表情だ。
モ:鋼のような力強さを持っていて皆が彼を好きになる。
シャーロックはラストで彼の勇敢さを知る。とても頼もしくて力強い友人だよ。
ゲ:ワイルダーの映画で面白いアイデアがあった。
つきあいの悪い人間が集う「ディオゲネス・クラブは実はシークレットサービスなんだ。
モ:最高だ。



ゲ:僕らは最初のうちからすべての作品を「聖典」と考えた。
原作に限らずラスボーン版やジェレミー・ブレット版。
僕は次のセリフではグラナダ版を意識した。
「ベイカー街221Bに引っ越すならば」
チャールズ・ケイの「這う人」での演技をマネた。
マイクロフトはしつこく「住むのか?」と聞きそうだ。
モ:だから弟に嫌がられる。



ゲ:ベイジル・ラスボーンの「The Spider Woman」の話もしたね。
モ:見ていない人には薦めたい、約60分の貴重な映画だ。
どの作品より内容が盛りだくさんだ。
最初の10分ですべてやり尽くしたって感じだ。
ゲ:だけどあの作品が面白いのは適切な姿勢で作られているからだ。チープであっても誠実さがあり楽しい要素がある。
「シャーロック・ホームズの冒険」の雰囲気に近いと思う。
奇妙で面白くて不思議な話が描かれている。同時に風格も感じられる。



モファティスの会話にはホームズ作品に対する深い愛情と敬意が感じられるのに、
どうしてああなってしまったんでしょう。
熱くなり過ぎたファンのせい?
でもそういったファンがいるドラマは他にもいっぱいあると思うのだけど・・・・

しまった、また愚痴ってしまった。

A Study in Pink Audio Commentary その3

2018-03-26 21:17:28 | Sherlock S1E1 Commentary
気を取り直してコメンタリー続きです。


Previous → A Study in Pink Audio Commentary その2
Next → A Study in Pink Audio Commentary その4

ここの場面は照明の効果もあり、シャーロックが最高に美しいんです。
なのでマーティンとルパートさんの話をしていますがシャーロックの画像多めです。
元気出していきましょー。

Previous → A Study in Pink Audio Commentary その2


モ:マーティンとベネディクトは才能があること以外は正反対。
ベネディクトは俳優の「珍種」のような存在。
平凡な人には見えないしいつも変わった役を演じている。
Benedict is a magnificent exotic animal as an actor.
He doesn't look like a normal person; he rarely plays normal people.
He plays exceptional people.

「 exotic animal」は珍種なんでしょうけど「magnificent」がベネディクトらしいと
(勝手に)思うのでスルーしないでほしかったー、と今更。


でもマーティンは平凡な男をよく知っている。
彼のリアルな気難しさが大好きなんだ。
何テイク撮っても新鮮な演技を見せてくれる。
第3話で指の匂いを嗅ぎ消毒薬に気づく場面がある。
どのテイクも初めて知ったという顔をしていて驚いた。
But Martin finds a sort of poetry in the ordinary man.
I love the fastidious realism of everything he does.
I believe everything he does. It’s brand new on every take.
That sequence in episode 3 where he’s sniffing his fingers
and noticing the disinfectant and every time he did it –
I watched it in the rushes – I was thinking.
It’s like he’s genuinely noticed it every time’. It’s extraordinary.


ゲ:ジョン・ワトソン役の俳優を探すのはもう少し複雑だった。
ベネディクトは決まっていたから彼に合う相手が必要になる。
ここがキャスティングの不思議なところだ。いい俳優がやくさん来てた。
でも問題は相性だ。

「やさしい支配者」の話が出たね。
ジョン役の候補に素晴らしい俳優もいたけど
場合によっては「艦長ふたり」とか「艦長と兵士」みたいな状況になる。
それじゃ成り立たない。
モ:艦長に物を言える船医が必要。
ゲ:カーク船長とボーンズ。


モ:ある程度対等だけど艦長はひとり。
最初のジョン役の候補はマット・スミス。その後彼は「Dr.Who」へ。
ゲ:彼が去ったあと「シャーロック」っぽかったねってみんなで言ってた。

※マット・スミスはベネディクトのような役者さんですよね。
面白い・・・いえエキゾチックな顔立ちなのにだんだんとかわいく見えてくるんです。


(階段を上がる場面)
モ:マーティンとベネディクトが初めて読み合わせしたのを覚えてる。
マーティンが加わるとベネディクトはよりシャーロックっぽくなった。

(現場の部屋)
ゲ:ニューポートの住宅で撮影した。
この家を買いたかった。
エドワード調の立派な建物だけど壁に穴まで開けさせてくれた。
モ:ホームズファンへ情報。このネタは原作と逆にした。
「緋色の研究」では「RACHE」の文字を見つけて警察が「レイチェル」だと思う。
我々は「レイチェル」が正しくて警察が「復讐」だと思う設定にした。
どうなろうとシャーロックの言う事が正しいんだ。
ス:ドイツ人のバイヤーに見せたらドイツ語が出てくるから喜んでいた。
モ:コナン・ドイルはリサーチが怠慢だったから「RACHE」の意味も確認しておいた。
ゲ:日本の格闘技「バリツ」もでたらめだしね。
モ:知らなければ信じるよ。気をつけよう。


(アンダーソンが扉を閉められるところ)
アンダーソンかわいそうだな。

ゲ:舞台が現代だからと根拠もなくシャーロック・ホームズならPCを持ってると思ったわけではない。
実は原作でもホームズは現代的だった。19世紀の現代人。
頻繁に電報を打ったり受け取ったり給仕のビリーに手紙を届けてもらう、
後期の作品では部屋に電話もひいている。
だから彼をどんな情報にも通じた現代的な人間にしたかった。
紙の資料を使わない機械を駆使する男。
モ:インターネットはホームズ向き。原作では新聞の人生相談や個人広告をよく読んでいる。
きっとネットを徘徊してモリアーティの情報を得ようとするだろう。


ゲ:「ホームズの限界リスト」を見るとわかる。
彼の知識にはギャップがある。
僕が気に入っているのは「政治の知識ゼロ 天文学 ゼロ 通俗文学 膨大」
犯罪の知識に限らず大衆の記事を読んでいるから人々の暮らしに詳しい。
つまらない不倫や下品な情事などの知識が彼の身にしみついている。


ス:原作のレストレードは?このドラマではドジな役だけど・・・・
モ:特定の描写を参考にした。あまり登場しないし書かれ方がバラバラだから。
「六つのナポレオン」の彼が好きだった。
ストーリーの最後に彼がホームズに言う。
「君を誇りに思う。警察の皆が君と握手をしたがる。」
ゲ:ホームズは感激する。
モ:ホームズもワトソンも気づいていなかったが実はレストレードはホームズを尊敬している。
だから称賛したんだ。


ゲ:だがホームズはレストレードを「最も優秀な刑事」と言っている。ワトソンの事は「バカ」と言うのに。
つまり「最も優秀」だけど自分とは違う。ホームズがいなければ自分が謎を解くかもね。
モ:だからルパートを起用した。
オーディションで他の俳優は少しコミカルに演じていた。
「ルパートならレストレードを主役にできそうだ」と言ったね。
シャーロックが現れない時はレストレードのドラマを作ろう。
ゲ:ベネディクトが休暇とか。
モ:彼にとって退屈な事件をレストレードが解決するとか。
※見たかったなー、それ。でもピンチの時に少しだけこっそりホームズがサポートするとか。
モリアーティとの出会いとかハリーを出すとかレストレードが話していた初めて会った事件とかも見たかったな。


ゲ:ルパートは洗練されているけど泥臭くて男っぽい部分も持っているところが好きだ。
若いころ歴史劇で評価された俳優の割にね。
本物の刑事っぽい泥臭さがあるすごくハンサムなのに誰にもそう言ってもらえない男って感じ。
父親っぽさもある。子どもが4人いるせいか。


続きます。

最近ちこちでモーリスがリバイバル上映されているんですね。
観に行きたい衝動に駆られなくもありませんが・・・・
アナザーカントリーもそうですが昔観た時はまだ英国俳優というものを知らなかったので
何となく観ていただけですが今観たら鼻血吹きそう・・・


A Study in Pink Audio Commentary その2

2018-03-14 06:37:16 | Sherlock S1E1 Commentary
「ピンク色の研究」のコメンタリー、続きです。

Previous → A Study in Pink Audio Commentary その1
Next → A Study in Pink Audio Commentary その3

場面はベイカーストリートに変わります。


モ:ベイカー街って言葉だけでなぜか興奮するよ。

無理に現代的にしているわけではない。
例えばベネディクトにホームズの面影がなかったら魅力がないのと同じだ。
イギリスには今もビクトリア調の家が多い。

ドアも不自然だけど「221B」と付けずにはいられなかった。
建物のドアに番地の表示があるのは妙だよね。
でも221Bは外せない。いろいろ言い訳を考えてあるよ。
ゲ:もし表示を変えたら画期的だね。221とか。

※これは額に入れて飾っておきたい場面です。
ハドソンさんがお出迎えし、ハドソンさんにハグをしてジョンを迎え入れる。
これを見てもシャーロックは社会不適合者ではないんじゃないかしら。

※そしてジョンを2階の部屋に案内するところ。
何度も書いているような気がしますけど
シャーロックは先に上がるけど足の悪いジョンが上がってくるまでドアのところでちゃんと待っていて
ジョンが上がり切ったところでドアを開けてジョンを入れるところが大好きで。
育ちの良いおぼっちゃんの所作です。


ゲ:これが部屋のセットだ。パイロット版とは少し違う。
居心地はいいけど学生風の汚い部屋とは違う豆をよく食べる若い独身男2人の部屋だ。


ポールは壁紙にこだわりがあってパイロット版より赤みの無いビクトリア調にした。
ポールは自他ともに認める壁紙フェチ。

スー:最初はフロアに段差があった。
ゲ:でもみんなが転ぶからやめた。


ゲ:主役ふたりのことを話す前にハドソンさん役のウーナ・スタッブスの話をしよう。
彼女は人間国宝ものの重要な役を演じた。
彼女は息子を世話する母親に近い。
モ:脚本にあったか忘れたがシャーロックは冷徹で高慢だけどハドソン夫人が大好き。
進んで抱きしめたりキスしたりしてる。
彼は常に冷たいというわけではない。好きな人には優しい。

※玄関先でハドソンさんにハグしてましたがそんな描写がなくても
ハドソンさん大好きというのはじゅうぶん伝わってきます。

ゲ:このあとのふたりのやり取りはある意味息子と母親みたい。
ハドソンさんの役はウーナ以外考えられない。


モ:ここは書きたくて書いた大好きな場面。気に入ってるし完璧に出来上がった。
ゲ:なげやりになっていた男が突然息を吹き返し悠然と歩きだす姿は見ごたえがある。


※モファットはS4で大好きと言える場面があるのかしらね。(失礼)
ジョンはシャーロックと出会って救われた、それはシャーロックも同じ。
だからふたりは一緒にいる、というのがすごく好きでした。
と、毎度同じ事ばかり言っている私。

ス:ふたりが移動するシーンのカメラワークを見て欲しい。
モ:ワイプで画面を切り替えて場面転換をしている。あり得ない撮り方だ。

モ:ここで彼は外へ。カメラが空に飛んでいく。
種明かしをすると、マーティンが横切ったのがワイプになっている。

※マーティンがワイプってこれは言われないと全然気づかないですよ。本当にすごいと思いました。


ゲ:これはベネディクトとマーティン。
紹介は以上だ。自分たちで話すだろうから。

モ:ベネディクトは現代版シャーロック・ホームズのオーディションをした最初で唯一の人物。
ゲ:「つぐない」を見た君とスーがベネディクトを挙げた時、彼と知り合いだった僕は「なるほど」と思った。
オーディションを見て完璧だと思った。
モ:君は彼を見て即決したね。30代前半の若い俳優を探していたけど、
その年齢で風格があり尊大でラスボーンっぽさと出せる俳優はめったにいない。
だから彼の他に候補がいなかった。

ゲ:それと彼は優秀な俳優で将来性があるからだ
モ:スター性がある。
ゲ:彼は確かにホームズぽいが大事なのは外見じゃなく
役になじみ自由に演じていることが重要だ。
だけど俳優としてベネディクトが偉大だと思うのは実際の彼がすごくドジで陽気な男だってことだ。
「bumbling and delightful」
ドラマのシャーロックとは全然違う。

ス:ゆうべ劇場で観たけど彼とは別人だった
モ:似ても似つかないまるで正反対
ドラマばかり見てると彼の人柄を忘れがちだけどドジで人懐こくて優しい男
唯一の共通点があるとすれば、ベネディクトは優しくてシャーロックは横柄だけどふたりとも人使いが荒い事だ
ベネディクトは「優しい支配者」って言葉が合う。


「gentle occupation」
優しい支配者、懐かしいです。
STIDの時もよく優しい支配者って言われてました。
久しぶりにスタートレック観ようかしら。

続きます。


A Study in Pink Audio Commentary その1

2018-02-26 12:45:08 | Sherlock S1E1 Commentary
「ピンク色の研究」のコメンタリーです。

リクエストを頂きましてコメンタリーを振り返ろうと思い、
日本語字幕にはない表現があるかもしれないと原文を探しましたが
英語字幕がないんですよね・・・UK版にも。

リスニング力が皆無な私にモファットさんの英語は宇宙人にも等しいので
角〇様の日本語字幕DVDから引用させていただくことにしました。

合間に少しずつですが、振り返っていこうと思います。

Next → A Study in Pink Audio Commentary その2


今回のコメンテーターはモファティスとスー・バーチューの3人。
冒頭はそのご紹介となぜ現代版を作りに至ったかの説明しています。
話す割合はゲイティス御大40% スーさん5% 
残りモファットさんじゃないかと思うくらいモファティス熱く語っています。


「アイデアはカーディフ行きの電車の中での会話から。
お互いシャーロック・ホームズのいろいろな情報を交換をしている中で、
やっぱりベイジル・ラスボーンとナイジェル・ブルースの映画が最高だよね。」
そんな認識で一致したようです。
そして、どうして現代版を最初にやろうと考えたのが他の人だったのかと文句を言ったらしいです。

「傘を取りに行き死んだ青年はジェームズ・フィリモアだよ。」
これはソア橋に出てくるホームズの未解決事件のひとつです。


「60分のパイロット版を製作したところBBCが絶賛し、90分のミニ映画シリーズにしようとなった。
シャーロックとジョンというキャラクターはすごく存在感のあるキャラクターだから
彼らの事や友情を描こうとすると謎解きがなくなるよ。」
って、この時点で言ってたのに・・・・・

「テキストをテロップにするアイデアは監督のポール・マクギガンのアイデア。
ポールは最高なんだ。」←ホントにねー。カムバックしてほしかったです。


「レストレードは最初「Inspector Lestrade」にしてたけど
マークが夜中の3時に突然、「D.I. Lestrade.」だ!と気づいたんだ。」
昔は「Inspector」だけだったのでしょうか。現在はほぼ「Detective」ですよね。



スタンフォードと再会する場面。
パイロット版ではクライテリオンで撮影できましたが今回は公園。
小ネタでコーヒーのカップに「criterion」を入れたそうです。


シャーロック初登場は安置所で遺体にムチを打ちつける場面。


「老人の遺体を打ちつけるヒーローを日曜日のゴールデン枠で登場させるのは滅多にないよ。」とモファットさん
「オール・クリーチャーズ・グレート・アンド・スモール以来だね。」と御大。
↑何かと思ったら獣医さんの実体験をもとにしたドラマなんですね。
日本語字幕も「獣医ドラマ」になってました。


「ドイルは聡明な作家。
40年間ずっと同じシリーズを書いた。
晩年ストーリーの質はやや落ちたけど見事に変化はなかったよ。
ドイルは「傑作ではないが最善を尽くした作品だ」と後期の作品に対して言っている。」


「「ソア橋」は晩年の秀作だ。
作品を並べてみるとどれを28歳で書いてどれを60歳で書いたのか見分けがつかない。
ほとんどキャラクターに変化を加えなかった。」



「天才的だと思うのは60作品中一度だけある瞬間を描いている事、
ホームズとワトソンの純粋な愛情を表す場面があるんだ。
「3人ガリデブ」でホームズが「ケガはないな?」と言う。間違いなくその1度だけじゃないかな。」


「表面上は探偵物語だけど実は友情を描いた物語なんだ。
男の友情が描かれることは少ない。「僕たちは友達同士」なんて男は言わない。
その友情を描くのを僕は楽しんでいるよ。
表立ったテーマではないが慕いあうふたりの男の友情は重要な裏のテーマだ。」byモファット。



続きます。


あらためてこのあたりの言葉を聞くと、
わかっていてもやらかしてしまうものなのかと、そこが創作の難しさなんでしょうか。
40年間キャラクターを変化させない難しさは素人の私でも想像できます。

人は年を重ねるごとに考え方も変わりますし成長もします。
環境によって信念や志向も変化しますし、
無意識に、或いは意識的にそれをキャラクターに投影してしまうこともあります。
そんな作品を何度も目にしてきました。

今更ですがホームズが今でも愛されている大きな理由のひとつですよね。

初めてコメンタリーを聞いた時に
「ホームズとワトソンの純粋な愛情」って!と腐り気味の私が食いついた言葉です。
私はこのドラマから原作に入りました。
だからこの時は本当の意味がわからなかったのですが原作を読みついに理解したのです!(大げさ)



ラストのコメント、モファットさんはこんな事まで言ってたんですね。
すっかり忘れていましたがさすが腐男子。
でもこの熱意は確かに伝わってましたよ。
S2までは・・・・(涙)

この頃のモファットさんはどこに行ってしまったのでしょうか。
本人に聞かせたいです。
こんなに期待させといて詐欺ですか。


コメンタリーも何度も聞いたのに結構忘れているもんですね。
日ごろの不満は置いといて、↓こんな心境で楽しみたいと思います。