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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

THIRD STAR Deleted scene その2

2016-09-25 00:10:08 | 僕が星になる前に
削除シーンその2です。
We Are Colony



Deleted-scenes:The-ferry

「フェリー」※

この場面、実際のセリフと脚本のセリフが少し違う部分もありますが、
脚本で訳しました。(リスニング力が皆無なので・・・)
しかしそれでも内容がかなり難しく、Mistyさんに助けて頂きました。
毎度、ありがとうございます!

船長→O

ジェームズが船首に座っていると船長さんが隣に座ります。
そしていきなり「あんたの寿命はあとどのくらいなんだ?」と聞くのでびっくりなジェームズ。


J:・・・長くはないよ。・・・・・あなたは?
O:あんたと同じだよ。

その言葉を聞いたジェームズがしばらく船長を見つめていると船長が口を開きます。


O:・・・痛むか?
J:うん。
O:怖いか?
J:うん・・わからないけど。あなたは?


O:そうでもないな。俺はもう年寄りだ。
J:何か違うの?
O:違うと思うよ。年季かな。
人生の半ばでやっと殺されるよりも殺す方が恐ろしいとわかったしな。
J:そうだね。それは僕もわかる。
O:あんたが悪いわけじゃないよ。
J:でももう何もできない。
友人の父親は16歳の時にガンで亡くなったんだ。
彼は素晴らしい作家だった。すごく若かったけど彼の本は今も残っている。
だけど僕には残せるものが何もないんだ。それだけが心残りで。
他のことはもう諦めがついてるんだけどね。


そう言ってジェームズはうしろでふざけてるマイルズたちを見ます。


楽しそうにビルにいたずらしているデイヴィーとマイルズ。

O:If I said you had a beautiful body would you hold it against me?(※)
J:何?それ。
O:歌だよ、ベラミーブラザーズの。
J:ああ。
O:「俺に触れてくれるか?」なのか、それとも「俺を嫌いになるか?」と言ってると思うか?
J:僕にはわからないよ。


O:もしベラミーブラザーズがこのフェリーに乗ったら
「どちらの意味もある。それが賢いやり方なんだ。」って言うだろうね。
クリエイターの話を聞いて、私はようやくわかったんだ。
つまり、どうでもいいって事なんだよ。俺の言っている事わかるか?
J:どうかな。


O:本人から説明を聞いてもわからないだろうな。
だが、理解できなくても・・・わからなくても、なぜそれが賢いのか、何が言いたいのかはわかるか?
J:わかったような・・・多分。

ジェームズは少し笑った後、遠慮がちに船長にたずねます。

J:あなたは・・・良い人生だったと言える?
O:ああ。そんな風にを考えたことはないけどね。


(※)和訳としては「If I said you had a beautiful body」は
「もし今すぐにお前の身体が欲しいと言ったら」になりますが、
「hold it against me?」の意味が二通りあるようです。
「against」が「不快」の他に「接触」のような訳もあるからなんだと思います。
だから老人の問いかけはそんな意味だと思いましたが・・・違っていたらすみませんです。



Deleted-scenes:Davy and Miles argue
「デイヴィーとマイルズの口論」※


フェリーを降りたあとカートを押しながら会話する3人。カートに乗っているジェームズは寝ています。

M:患者さんの近況報告メールをありがとう。
俺の迷惑メールフォルダはすごい事になってるんだ。だからかなり古い情報だと思ってたよ。

デイヴィーはイラつきながら頷きます。

B:お前、仕事は?探してるのか?
D:探してるわけないだろう。
M:解雇はお前にとって都合が良かったわけだ。
D:どういう意味だよ。
M:ストレス度が8もあったという話だよ、デイブ。
B:スルーしろよ、デイヴィー。ジムのお母さんがお前がいてくれて本当に助かってるって言ってただろう。
D:俺は当たり前のことをしただけだ。
俺は役に立ちたかったんだ。もちろん、失業手当は大して貰えなかったけど・・・
M:それで、ジェームズが死んだらお前は広告業界に戻るのか?
D:何だよそれ。


M:何が。
D:それがマイルズ主義ってやつか?
お前はすごく頭が良くて魅力的だと思うけど、疲れるんだよ。
M:まあ、俺は魅力があると思うけど・・・


D:ムカつくやつだな。

と、先に歩き出したデイヴィーは牛の糞を踏んでしまいます。

D:ああ、そうだよ。俺はいつもこういう目にあうんだよ!

マイルズが笑い出すとジェームズが目を覚まします。


そして3人で大爆笑。


マイルズがデイヴィーの肩をポンと叩きます。




Deleted-scenes:Bull goes for a walk
「ビル散歩する」※

ピクニックを楽しむ老夫婦の前を通り過ぎる一行。
先頭は裸のビル。

B:ハロー。きれいですよね。


カートに乗ったジェームズも笑顔でご挨拶。
J:ハロー
D:ハロー


最後にマイルズも
M:ハロー


こういうの大好きなんです。
真面目にバカな事をやるって最高です。

この場面のシヴェルさんの裏話の抜粋も掲載されていました。

「日の出とともに岬で脚本にあるアダム・ロバートソン(ビル役)の裸で歩くシーンの撮影の準備中、
裸で歩いてはいけないという条例(もちろん私の創作)があると監督にたわいない嘘を言った。
当初、我々が撮影に選んだエリアはあまりにも遠かったんだ。
カメラの向きを変え照明をおとし彼の男性自身を守りながら大急ぎで撮影した。
アダムは丘の中腹にいる2人のエキストラの前を裸でスタスタと横切ったが、
そのエキストラは私の学校の恩師が演じていた。」

以上です。
サイトに公開されている削除シーンはこれで全部です。
シヴェルさんのブログを訳したいと思っていますがいつになるか・・・

それではこの辺で。

THIRD STAR Deleted scene その1

2016-09-22 18:29:54 | 僕が星になる前に
ご存知の方も多いかと思いますがWe Are Colonyは登録制の配信サイトで、
映画やクリップ、ビハインドシーンなど様々なコンテンツを公開しています。
クリップやビハインドシーンは一部無料になっていて、Youtubeでも公開されています。
「Little Favour」の撮影場面を一部公開して寄付を募っていたこともありましたが
コンテンツの収益で映画制作の支援をしている・・・でしたよね、確か。
(最近、物忘れがヒドイ)

そこで公開されているThird Starの削除シーンをいくつか訳してみましたが
毎度の拙訳ですので、いろいろとご容赦くださいませ。
※は有料コンテンツですが登録して250円払えば全てのコンテンツを見ることができます。
We Are Colony


Deleted-scene:The Presents
「プレゼント」※


ビルがみんなに呼びかけクロエに撮影してもらっています。


そのあとにビルがどこかに走っていくのをジェームズが目で追います。

「ビルは張り切ってプレゼントを用意したのよ。」とクロエ。
「ビルのプレゼントがイースト菌感染症なら
僕はAuntie Janeのレッグウォーマーでも興奮するようになるよ。」とジェームズ。


木を抱えてきたビルに「Oh Christ」とつぶやきます。


B:俺が種から育てた。バラファンドル湾に持っていくんだ。


B:そこでこいつは成長し続けていくと思うんだ。


そんなビルにジェームズは笑顔で「最高だよ、ありがとう。」と言いますが


「何とかしろ、デイヴィー」とマイルズに言われたデイヴィーが一言。


D:どうやって運ぶんだよ。ブリリアントなアイデアだけど。
M:ブリリアント・・・
D:ブリリアントだしラブリーだ。だけど他にもたくさん運ぶものがあるし。
M:ラブリーアイデア・・・
B:カートで運ぶから大丈夫だよ。
C:今回の旅を甘く見てるんじゃない?
B:俺たちはお前をこの地上で一番気に入っている場所に連れて行って
この木が大地に埋められるのを見せたいんだ。誰にも阻止させないからな。
ビルの宣言にため息をつきながら「俺のプレゼントは小さいぞ」とジェームズに小さな包みを渡します。


それは使い古されたペンナイフでした。


J:これは貰えないよ、デイヴィー。僕が彼にあげたやつだ、僕たちが確か・・・


D:10歳。


ふたりともしばらく黙ったままでした。
クロエが「なになに?」というような目で見ています。

B:(ジェームズに)スポーツカーが好きだといいな。お前、ラッキーな奴だよ。

マイルズはジェームズに封筒を渡します。
ジェームズがそれを開けると笑い出します。


J:プレイボーイの年間予約購読・・と、2012年支払い期日の1000万ポンドの小切手かよ。


M:俺にできるのはこれくらいだよ。
D:そうだな。


ここで終わりますが、ペンナイフの意味ありげな会話がイマイチよくわかりません。
過去に何かあったとか?

Deleted-scenes:The-kart
「カート」

マイルズはジェームズたちと離れ、電話をかけています。

M:マック。何があった?・・・金がないって事以外で。
取締役会に言うわけには・・・
俺の責任だよ、マック。できることはやったんだ・・・
じゃあ、また。


電話を切りテキストを送ろうと「I Love You」と文字を打ち始めますが
悩んだあげく結局、削除してしまいます。


車庫に場面が変わり、ジェームズパパがジェームズをカートに乗せて調整しています。
デイヴィーとビルがその様子を見ているとマイルズが戻ってきます。


「ここ数週間のジムは見違えるほど体調が良さそうだった。よく食べてたしな。」と
デイヴィーがビルに話しています。


B:これまでに荘厳な風景を見た事ある?
M:真面目に?ナイアガラの滝かな。


デイヴィーの時計のアラームが鳴り、「薬の時間だ、ジム。」とデイヴィーがその場を離れます。
ビルも出ていき、マイルズをふたりになったジェームズは小声でお礼を言います。

J:来てくれてサンキュー

マイルズはゴルフクラブでボールを軽く打ちながら言います。
M:何言ってるんだ、バカじゃねーの。


その言葉に思わず笑うジェームズでした。


マイルズ演じるJJフィールドは実際にゴルフの大会にもよく出てるくらいお好きなんだそうです。

その2へ・・・

THIRD STAR その11 Final

2016-09-20 07:36:45 | 僕が星になる前に
Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。

ジェームズは自ら水の中に沈みます。
マイルズは胸が締め付けられる思いでした。
ジェームズを見下ろすと彼もマイルズを見上げていました。マイルズも沈みます。

マイルズはジェームズを押さえます。
ジェームズは息ができなくなり、けいれんします。
彼の顔には恐怖が浮かびパニックを起こし彼のために必死に頑張っているマイルズの顔に
しがみつき水面に出ようとします。 が、マイルズがしっかりと彼を掴まえています。
マイルズは強い意志をもって懸命にジェームズを押さえます。

彼自身の息も切れかかります。
水から出ようとするジェームズを押さえるのは耐えがたいほどでしたが
それでも彼らは決して視線を外すことはしませんでした。

マイルズはそろそろ限界でした。
その時、突然ジェームズの身体から力が抜けます。
彼はまだ生きていましたが、目はじっとマイルズを捉えたままでした。
マイルズはもはや彼を押さえつける必要はありませんでした。
ジェームズの肺は水で満たされ、気泡が消えていきます。彼は沈んでいきました。


静寂があたりを包みます。ジェームズの目にマイルズの背後にある青い空が映ります。
海面にゆらめく太陽の光がマイルズの背後で淡く輝きます。

マイルズはひとりきりで水面に出ます。
思い切り空気を吸い込むと彼の肺は空気で満たされます。
ジェームズはまだ海の中にいました。マイルズは彼の顔を覗き込みます。
ジェームズは死んでいました。


マイルズはジェームズを抱えて岸に向かいます。
腰の深さのところまできて彼は立ち止まります。
ジェームズが本当に死んでしまったことを信じる事ができず、少しの間動くことができませんでした。


マイルズはジェームズを運ぼうとしますが倒れてしまいます。
デイヴィーがすぐに走り寄り、マイルズを抱きしめます。
彼はマイルズの目を見つめ、もう一度抱きしめます。

それから、腕を伸ばし水の中に沈んだジェームズに触れます。
デイヴィーとビル、そしてマイルズはジェームズを水から引き揚げ、ビーチに寝かせます。
ビルは震えながらデイヴィーとマイルズを交互に見ます。
マイルズは崩れるように座り込むと海を見つめます。


デイヴィーはジェームズを見下ろし、ジェームズの髪に触れようと手を伸ばしますが突然その手が止まります。
D:彼は死んでしまった。もういないんだ。
デイヴィーはジェームズをより楽な姿勢にしてあげます。
彼はテントに行くと大きなタオルを持ってマイルズを肩にかけます。

朝日が白く輝いています。
デイヴィーはビルとマイルズに目をやり、ジェームズを見ます。



ジェームズの家に警察がやってきます。
知らせを聞いたクロエは動揺しますが、すぐに冷静さを取り戻します。




冒頭のジェームズのバースデーパーティの場面。
ジェームズはキャンドルに顔を近づけます。
キャンドルは29本立っていました。

「僕はモルヒネを掲げて君たちに乾杯しよう。
何年かして、もし僕の誕生日に気づくことがあったなら、
君たちを愛していたこと、君たちが僕の人生を満ち足りたものにしたことを思い出してほしい。
そこには悲劇など存在していないんだ。」

ジェームズはキャンドルの火を吹き消します。


バラファンドル湾。
デイヴィーは息を切らしてビーチを駆け下ります。
他のふたりも既に来ています。
デイヴィーは腕時計を見て、そしてマイルズの隣に座ります。
彼らは空を見上げてソーダ水を掲げます。

James Kimberly Griffith.
1979 - 2010
不慮の溺死

夜空に星が輝いています。

「人生とは・・・何だろう?ばかばかしい!僕たちはまた始めるだけさ・・・」

ジェームズが笑い、その声は次第に消えていきます。
星だけが瞬いていました。


これで終わりです。

ラストの場面はオリジナル脚本を訳してみました。
映画では語られていないジェームズの願いを受け入れる心境がかなり表現されていたと思います。
そして、海の中でのマイルズとジェームズとのやりとりが映画よりも更に深く掘り下げられていたし、
使われている言葉がとてもきれいで、脚本とは思えないほど文学的でした。
(訳している私がアレなので伝わらないのが残念です・・・)

それぞれが何かしらの問題を抱えていた旅でした。
ジェームズはこの旅が終焉となりましたが、他の3人にたくさんの事を残していったと思います。

ビルはきっと何となく過ごす薄めた紅茶な人生ではなく、前向きに生きていくんでしょうね。
そしてデイヴィーは自分の資質を理解したように思います。
もしかしたら人に尽くす、福祉関係の仕事を選ぶのかもしれません。

マイルズにはとても大切な事をジェームズは命を懸けて伝えたような気がしてなりません。
怖いと吐露したマイルズのセリフ。
Jim. Jesus Christ, Jim. I act like I'm special, but it's fake....Jamie.... It's fake.
I'm scared. Of everything. There's no one to look after me.
「ジム。俺は人とは違うんだと言ってるけど、そんな振りをしてるだけなんだ・・・
ジェイミー・・・見せかけてるんだよ。俺は怖い。何もかもだ。俺を気に掛ける奴なんて誰もいない。」

倒産しかけた会社を背負っている事やクロエとの事など前途多難なマイルズが
誰よりも信頼していたジェームズを失ってしまう事に対しての恐怖なのだと思いました。

それに対してジェームズのセリフ。
I think, Miles David Hector Clavell, you are one of the...great man.
The stuff of heroes runs through your veins... I doubt you will escape it.
「マイルズ・デヴィッド・へクター・クラベル、お前は誰よりもすごい男だ。
お前にはヒーローの資質が備わってるんだ。逃げ出す奴じゃない。」
ものすごく意訳していますが、この場面でこれを言えるジェームズのマイルズに対する思いは
やはり誰よりも強いのだろうと感じました。
マイルズ、ミドルネームがふたつもあるなんて良家の出身なのね、とか余計な事まで考えてしまいましたが。

このあとに「They keep fierce eye contact.」とありまして、
「 fierce eye」で調べると「獰猛な目」と出てくるんです。
獰猛?ちょっとそれはさすがにどうよ?
と、思いいろいろと調べてみたら、fierceは熱烈という意味もあるというので
ここはひとまず「熱い視線」にしてみました。

ちなみに、アイルランドではVeryと同じような意味で使われるそうなんです。
Vaughan Sivellさんはウェールズ出身だしあまり関係はないのかもしれませんが
それを踏まえると「めっちゃ視線を交わしてる」となるのかも。
いずれにしても何だかちょっとセクシャルです。

そんな視線を交わしながらジェームズは
We are the maker's of dreams, and this little life...
「我々は誰もが皆、夢を紡ぎながらこの短い人生を生きているのだ・・・」
と、言います。
これはマイルズのお父さんの最後の言葉でマイルズの書いた小説に出てくるそうです。
ジェームズは死の直前、マイルズに小説家の夢を諦めるなと言いたかったのかもしれません。
逃げずに闘えと。


今後もこの事は誰にも語られる事のない、永遠に3人だけの秘密になるのでしょうか。
重い秘密を抱えながら、彼らは今後どのように生きていくのか、
それを考えると切ないですけど、最後のジェームズの言葉。
So I raise a morphine toast to you.
And, should you remember that it's the anniversary of my birth,
remember that you were loved by me and you made my life a happy one.
And there's no tragedy in that.
これが彼らに伝わるといいなあと思います。
もしかしたら映画にはなかったバラファンドル湾でソーダ水を掲げる場面は
ジェームズの誕生日なのかもしれませんね。

ところで、ノベライズってオリジナル脚本を小説化したものだって今更知りました。遅。
それで読んだ方はご存知だと思いますが、
ノベライズではジェームズはマイルズへ密かな思いを抱えていて、
ジェームズの死の直前にマイルズがそれに気づくんですけど、
ラストのその暗示が私にはどうにもわからなくて・・・
もしかして行間が読めてない?私。

確かにマイルズと姉の関係を知ったジェームズは必要以上に動揺していたと思うし、ラストも脚本は詩情にあふれていました。
ジェームズとマイルズは最後までお互いを見つめていて特にジェームズは死の瞬間までマイルズを見ていたり、
彼の最後の、最期の言葉がマイルズが書いた小説からの引用って、
考えようによっては、究極の愛なのかもしれません。
そう思うと、マイルズの手によって最期を迎え、
最後の瞬間までマイルズを向き合えたジェームズは幸せだったのかもですね。

この映画は景色の良さもありますが、色使いも際立っていたように思います。
色をまとめてみましたが・・・難しいなあ。


4人の旅をまとめてみました。うっとおしいほど詰めちゃった。


次は削除シーンです。

THIRD STAR その10

2016-09-17 00:26:22 | 僕が星になる前に
Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。

ラストはオリジナル脚本でいってみましたがSivell文章、難しい・・・
映画にはない場面がありますが、スチールで公開されている場面もあるので
撮影はしたけど削除したのかもしれません。



その夜、今までとはくらべものにならないほどの壮絶な痛みがジェームズを襲います。
ジェームズは何とかデイヴィーを呼びますがモルヒネの入ったバッグがない事にデイヴィーが気づき、
ビルはマイルズと探しに行きます。
息もできないほど苦しむジェームズにただそばにいる事しかできないデイヴィー。


暗闇をライト一つで探し出したビルとマイルズがテントに戻るとすぐにモルヒネを飲ませます。
ジェームズの表情はすぐに和らぎましたが、その痛みはジェームズの体力をかなり消耗させました。

夜明け前。
テントで仮眠しているデイヴィーをマイルズが起こします。


テントにジェームズがいませんでした。
マイルズに尋ねると波打ち際までデイヴィーを連れていきます。
そこにはビルに支えられたジェームズが座っていました。
ジェームズはビルに頼んで連れてきてもらっていました。


ジェームズはひどく弱っていました。
彼らは月明かりに照らされたバラファンドル湾を見ていました。
あたりはクジラたちが交信する音に包まれ、静かな水面を打ち破り息継ぎをしています。
彼らはお互いに顔を見合わせ笑いますが無言でした。


ジェームズをその場に残し3人はテントの近くのたき火を囲んでいました。
彼らは夜の出来事に打ちのめされていました。
海を見ていたマイルズはビルに視線を移します。
ふたりはしばらくの間お互いを見つめ、気づいたデイヴィーも彼らを見ます。
マイルズはゆっくりとビルに頷くと再び海の方を見ます。
ビルはデイヴィーを見て、それからたき火を見つめます。
(あんな苦しみをこれ以上味合わせる事などできない、3人は決心しました。)

ジェームズはひとりで海岸に座っています。
寄せては返す波に海がきらめいていました。


3人はジェイムズを見ていました。
ジェームズがゆっくりと彼らの方を振り返ると笑顔を見せます。

早朝、ビルは立ち上がると目に涙をためながらジェームズに歩み寄ります。

J:僕たちまた会えるような予感がするんだよね。
B:俺たちはフリッカーライトの中で舞ってるただのチリだけどな。
J:元気でね、ビル。

微笑んだビルの頬を涙が伝います。ジェームズは心からの笑顔を見せます。

B:俺、震えてる・・・止められない。
J:ビル、ビル!・・・お前は強い男じゃないか!またすぐに会えるよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。


デイヴィーが来ます。彼はショックを受けていました。
D:こんなの無理だ。
J:キツイよね。でもお前も言ってたじゃないか。来て良かったって。
状況を考えればそれだけでもすごく価値があったんだよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。けれどデイヴィーはジェームズを見る事ができません。
J:お前に愛される人たちが僕は羨ましいよ。


ジェームズはマイルズを見ます。

J:ありがとう。

顔を見合わせながら笑いますが次第にその笑顔は消えていきます。
その顔は幼く、そして脅えているようでした。

M:やるんだったらうまくやれよ。

突然、ジェームズから恐怖心が消えました。彼は笑って、そして海に向かって慎重に歩きます。
J:ここにいるとお前らも風邪をひくぞ!

ジェームズは海に入り浅瀬を泳いでいきます。
デイヴィーは泣き叫びながら首を振っています。
ジェームズは彼らを振り返りながら周りをゆっくりと見渡し泳ぎ始めます。


マイルズがポケットの中身を探るとわずかなコインと白い羽が出てきました。
彼はそれを見ると意を決したように投げ捨て海に向かって走り出します。

ビルがあとに続き遅れてデイヴィーも追いかけます。
ジェームズに追いついたマイルズは彼のすぐ近くを泳ぎ、反対側にはビルがいました。
泳ぎの苦手なデイヴィーは後方にいます。
ジェームズは嬉しそうでした。彼らは静かに泳いでいきます。


突然、デイヴィーがもがき始めます。
ジェームズたちは、何をふざけてるのかと顔を見合わせましたが
デイヴィーが本気で溺れているのがわかりビルが慌ててデイヴィーを救けにいきます。

その様子を見ていたジェームズとマイルズ。
ビーチに引き返すふたりに「ごめんね。」とジェームズ。



M:デイヴィーが先に死ぬとこだったぞ。

ジェームズは笑いますが突然苦しみだし浮いていることが出来なくなったので、
マイルズは自分の方へジェームズを引き寄せます。
落ち着きを取り戻したジェームズはマイルズの腕をほどき、立ち泳ぎをします。

彼らは少しの間、見つめ合います。
ジェームズの体力は消耗しきっていましたが力を振り絞ると自ら沈んでいきます。
マイルズはどうしていいかわからずにいました。彼はビーチにいるビルとデイヴィーを見ます。
そして上昇してくる気泡を見ます。静かでした

突然、ジェームズは水面から飛び出すとあえぎながらマイルズに手を伸ばしマイルズが手を取ります。
彼らは見つめ合い、そして笑います。しかし次第に笑顔が消えてきます・・・


M:お前のせいで今回の旅が台無しだよ。家に帰ろう?頼むよ。
ジェームズは悲しそうに首を振ります。
J:すまない。もし無理ならそう言ってく。
僕は出来る限り泳ぐ・・・できればひとりではなく一緒にいてほしいけど。
:ジム。俺は人とは違うんだと言ってるけど、そんな振りをしてるだけなんだ・・・
ジェイミー・・・見せかけてるんだよ。俺は怖い。何もかもだ。俺を気に掛ける奴なんて誰もいない。
J:マイルズ・デヴィッド・へクター・クラベル、お前は誰よりもすごい男だ。
お前にはヒーローの資質が備わってるんだ。逃げ出す奴じゃない。

マイルズは息ができませんでした。
ジェームズは彼にはできないのだろう事を見てとりますが何とか失望感を押し殺します。
J:マイルズ、お願いだ。これをやるのは恐ろしいかもしれないけど僕にとっては素晴らしい事なんだ。
ジェームズの頬に涙が流れ落ちます。ジェームズは深呼吸をします。震えで浮かんでいることができなくなっていました。
J:マイルズ!


マイルズは彼をしっかりと支えます。彼らはじっと見つめ合います。限界でした。
ジェームズは疲れ果て弱り切っていました。彼はビルとデイヴィーを見ます。
海を見て、そして空を見上げます。彼は解放されたように笑います。


彼はマイルズを見ます。マイルズも彼を見つめ続けています。
彼が身をこわばらせているのがジェームズにはわかりました。
彼らは熱い視線を交わし続けています。

J:我々は誰もが皆、夢を紡ぎながらこの短い人生を生きているのだ・・・
M:それは俺の父の最後の言葉じゃないか。
J:うん。お前の本を読んだから。

マイルズはわずかに頷きます。
彼はジェームズの肩をつかみ、そしてお互いを見つめます。


J: Godspeed

※Godspeedはアポロ計画の時に管制官が宇宙飛行士に贈った言葉で、
成功を祈る、とか幸運を祈る、とかそんな意味の言葉だそうです。

ダラダラとすみません。次で終わります。

THIRD STAR その9

2016-09-12 20:38:29 | 僕が星になる前に
Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。



そしてついにバラファンドル湾にたどり着きました。


B:「バラファンドル湾だ」
J:実は僕が来たかったのはここじゃないんだ・・・
ジェームズの言葉にみんな笑います。
J:ありがとう。
(僕の言葉をみんな冗談だと思ったのだろう。
でも僕が行きたかったのはここじゃない。もっと遠くだ。僕はそこに行くつもりだ。)


3人が大はしゃぎで海に潜り、ジェームズも足だけ海に入ります。


5年前と変わらぬ光景がそこにありジェームズはわずかな至福のひと時を過ごします。


ジェームズの身体が冷えてしまったので早めにキャンプの支度をしています。


B:波の音を聞くと穏やかな気持ちになるよな。
しばらくするとジェームズが口を開きます。
J:ごめん。みんなの人生にケチをつけるなんて。つまり僕は・・・

すると突然マイルズが告白します。
M:俺、お前の姉さんと寝てるんだ。
ジェームズは目を見開いたまま無言です。


M:10年間ずっと彼女を想い続けてるんだ。
J:Shit・・・
M:彼女がマイクと結婚した時も俺はただ黙って見ているしかなかった。
子どもを産んで幸せに暮らしていると知っても諦められなかった。
それで彼女に思いを伝えたんだ。
J:マジかよ。
M:お前が病気になった時に会ったんだ。皮肉だよな。
J:そうだな。
M:近いうちに彼女は子どもたちと一緒に俺と暮らす。
俺たちは愛し合ってるんだ。


ジェームズは何も言わずその場を離れます。

遠くに行くこともできないので近くの岩陰に来たジェームズはかなり動揺していました。
恋愛も遊びのうちだと割り切って遊んできたマイルズに潔ささえ感じていたのに
それは見せかけだけで本当はずっと一途にクロエを想い続けてきたマイルズ。

マイルズがすぐに追ってきます。
M:ジェームズ。
J:彼女の気持ちは知ってたよ。女は大抵お前を気に入るし。
M:じゃあ、どうしてそんなに驚くんだ。
J:お前が望めばどんな女でも手に入れられるのに、どうして彼女なんだ。
M:わかってるだろう。
J:子どもたちはどうするんだ。
M:大事にするさ。
J:マジかよ!いつ僕に言うつもりだったんだ。
マイルズは何も言い返しません。
J:そうか、僕には言わないつもりだっか。
M:ああ。
J:認めてほしいのか?
M:いや。必要ないよ。


「そうか。」とシニカルな笑みを見せて歩き出すジェームズを追いかけるマイルズ。
M:ジェームズ!聞けよ!聞いてくれ!
M:俺の父親がいつも俺に話していた。世の中には他の何よりも誰よりも大きくて強くて美しいものがあると。
それは何だと聞いても答えてくれなかった。それを見つけた時にわかると。
俺はそれを見つけたんだ。
J:うまくいくといいな。
無表情のまま、離れていくジェームズ。


ビルとデイヴィーに涙を見せたくなかったジェームズはずっと海を見ていました。
マイルズは黙ってジェームズの隣に座っています。


J:何もないな。


J:覚悟はできてると思っていた。でも今は・・・あと9か月生きていられれば、
ビルの赤ちゃんにも会えるしクロエの決断も見届けられるのに。
でも僕はその前に逝くし、僕がいなくてもみんなの人生は続いていくんだ。
不思議なことに、僕が一番恐れていたのはこれなんだ。
でも今は・・・ホッとしてるんだ。すごくホッとしているよ。


ジェームズはマイルズを見て笑みを浮かべますがマイルズはよく意味がわからず複雑な表情で笑い返しています。


その夜。
デイヴィーが半分焼けた本を読んでいました。
M:本、面白い?
D:ページの半分が焼けているからすごく面白い。
J:僕は泳いでくる。
D:お前、お母さんに無茶するなと・・・
J:わかってる。明日、僕は泳ぎに行って戻ってこない。
無理な事を言ってるのはわかってる、だけど頼む、泳がせてくれ。


B:ジム、そんな事できるわけないだろう。
J:できるよ。問題はやる気があるかどうかだ。
B:ずっとひとりで計画してたのか?
ビルの問いかけに躊躇しながらも頷くジェームズ。


B:お前は生きたいんだと思ってた。なぜ・・・
J:僕の人生はこれからずっとこうだから。
苦痛とそれを和らげるために薬を飲み、副作用を抑えるために別の薬を飲むんだ
お前たちも見ただろう。悪化の一途をたどるだけ。
今は気力でもっているけど、それももう限界だ。
これからは次第に痛み以外何も考えられなくなる。そうなればもう生きてる価値はないんだ。

B:どれだけ痛いのか俺には想像すらつかないが俺達には・・・
J:何?
B:やっぱり無理だ。
J:頼む。
B:お母さんやお父さんに何て言えばいいんだ?
D:バカげてる。お前が正気でこんな話をしてるなんて信じられない!


J:警察に話すのと同じ内容でいいんだ。朝起きたら消えてたと。
砂浜を探してたら海に何が浮いているのが見えた。
すぐに海から引き揚げたが手遅れだったと。
B:お前の家族を思えば別の日にしてもいいんじゃないか。ちゃんと別れが告げられるように。
J:どちらにしろまともな別れはできないんだ。
D:出来るよ。まだ時間はある。
J:僕は今までにないくらい生きてる実感を感じている。
だからここで終わりにしたい、今度こそ自分で何かをやり遂げたいんだ。
ジェームズはマイルズを見ます。


B:帰宅して普通の人がやるように薬の過剰摂取じゃダメなのか?
それを聞いたジェームズが笑います。

B:苦痛もないし眠るように逝けるよ。
J:それじゃ負けなんだ。自ら海に飛び込むのとは違う。僕は自分でその方法を選択したいんだ。
死ぬまで意識を保って、何かを感じたいんだよ。たとえ肺に入り込む海水の痛みだとしてもね。
闘っている事を実感したい。とてつもない恐怖に立ち向かうんだ。

それはジェームズの暗い情熱でした。
ジェームズはみんなを説得しようとしますがデイヴィーの答えはNoでした。
D:俺はお前をちゃんと家に帰すって約束したんだ。
ジェームズはビルを見ますがビルの答えもNoでした。
最後にマイルズを見ますがマイルズは黙ってただ首を振るだけでした。

ジェームズの目に涙があふれます。
J:そうか。わかった。いいんだ。無理な頼みだった。


続きます。