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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

イミテーション・ゲーム 感想 その2

2015-03-17 08:01:48 | イミテーションゲーム
ダラダラとまとまりのない感想ですみません。



以下、内容が含まれますのでご注意ください。



ベネディクトは本当に適役でした。
タイプキャストと言われていますが、いいじゃないですかー!
天才を演じれば右に出るものはいないんですよ。
人の気持ちがわからないKYな人物なのにベネさんが演じると人物が守ってあげたくなるような繊細な人になるんです。
これはすごい才能だと思いますよ。


吃音、本人も時々どもった話し方をしていますよね。
以前、ボニーさんも頭の回転が早くて言語が追いつけないとブログに書かれていましたが
ベネチューリングさんも頭の中ではいろいろな策や説があるのにうまく伝えられない、
言葉にすることが難しいようなそんな雰囲気がありました。

ベネディクトの切歯、これもボニーさんがチューリングに似せているとありましたが、
て、事は入れ歯?マウスピースとか?

ヒューを演じたマシュー・グードもステキでした。
実在のヒュー・アレグザンダーもハンサムさんだったらしいですね。


そして何よりこの方の存在感がすごかったです。
マーク・ストロングさん。さすがでした。


キーラもステキでしたよー。
チューリングさんがプロポーズをする場面もとても気に入りました。
ジョーンのミドルネーム、エリザベスなんですよ。
エリザベスについつい反応してしまう私と今回同行したごるちゃんは
ただのパイレーツオブカリビアン好きでした(笑)



クリストファーと出会い、過ごしたパブリックスクール時代、
若チューリングのアレックスくん、いかにも苛められそうなちょっと弱々しい雰囲気を醸し出して素晴らしかったです。
暗号でクリストファーに愛を伝えようとした日、休暇から学校に戻るはずのクリストファーの姿がなく、
校長先生に呼び出され彼が結核だった事、そして亡くなった事実を知りますが、
この時のチューリングが終始拗ねているように見えるのは、友達だったのに何も知らされていなかったからなのかなーと。

チューリングさんが生涯を通じてクリストファーのお母さんに手紙を送り続けるのですが、
今の自分がいるのはクリストファーのおかげなんだという気持ちが伝わってくるようでした。

ところで、アランくんがクリストファーに伝えようとしたI LOVE YOUの暗号、
私はこれが解けません・・・私に解けるぐらいの暗号じゃダメダメですもんね~。
と、言いつつ頭から離れません(負けず嫌い)


そしてエニグマの暗号解読という偉業。
チューリングさんがいなかったら英国は今頃ドイツだったかも、というのを見かけましたが、
欧州の主だったところはほぼナチスが侵略していて、フランスまで侵攻されていたので、
海に遮られていた英国は侵略こそされていませんでしたが空襲もされていたし、風前の灯だったんですよね。


当時英国は食糧不足に陥り米国が支援物資を送っていましたが、
輸送の途中で海に潜むUボートなどに襲われていたので物資が届きませんでした。

エニグマの解読によって、Uボートの位置も明確に知ることができ、
更にはドイツの作戦までも入手することができた事で、連合軍が優勢になりました。
連合軍の勝利を2年早めたどころか、勝利に導いたと言っても過言ではないですよね。


スパイの容疑でチューリングさんの事を調べていたスミス刑事が
結果的に同性愛発覚となってしまい思わぬ方向に進んでしまった時の表情が何とも複雑な表情でした。
取り調べの時にチューリングさんがスミス刑事に提案したのがイミテーション・ゲームでしたが
それはつまりチューリングテストなんでしょうね。

チューリングさんがなぜあまり有名ではなかった原因のひとつが
本人が論文を発表することにあまり興味がなく、マラソン選手としての活動の方に重視しいたらしいです。
こういった世界は論文を発表したモノ勝ちらしいですよ。


そして、
Bombeは配色がきれいだなーとあらためて思いました。






電子機器などの配線の色なんでしょうけど、並べるとイイ感じですよね。
でも裏側はすごい。


こちらはエニグマ。


チューリングさんはわかりづらいユーモアの持ち主という人物でしたが
作中でもチューリングさんのジョークが何度か出てました。
わかりづらい、というよりも本気なのか冗談なのかの区別がわかりづらいのかも。
でも熊のジョークは良かったですね。
あ、クマと言えばテディベアは出てこなかったんです。ちょっと寂しいかも(笑)


映画の中でも度々三段論法が出てきていました。
映画に行く前に少しだけ原作を読んでいたらチューリングさんの手紙と
そこにあった三段論法について書かれていました。

Turing believes machines think
Turing lies with men
Therefore machines do not think

チューリングは機械が思考すると信じる。
チューリングは男と寝た。
故に機械は思考しない。

これはアリストテレスの三段論法を持ち出していたんだそうです。

ソクラテスは人間である。
全ての人間は死すべきものである。
ゆえにソクラテスは死すべきものである。

このあとソクラテスは毒人参によって処刑されていますが、
ふとソクラテスのWikiを読んだら、
当時の政治的背景による異分子の排除のために告発されていたと書かれていました。
ホッジスさんもチューリングさんの三段論法は彼の究極のブラックジョークだと言っていましたが、
ソクラテスは友人たちが逃亡を勧めるもそれを良しとせずに毒をあおったんですよね。
チューリングさんもジョーンに助けを求めることもせず、暗号解読の事も黙ったまま、
化学療法を受け入れて最後は自殺で幕を閉じてしまうし。・・・・考えすぎ?


英国が宣戦布告した時に「欧州の自由がナチスによって侵略されていく」というような表現が出てきましたが、
自由?は?てな感じでしたよ。
女性に学士を授与しないとか、同性愛者は投獄とか、何が自由なんだか、とひとりで怒ってました(笑)

連合軍を勝利に導いたのみならず、数学者として偉大な功績を残したまさに英国の英雄なのに
なぜあんな末路を迎えなければならないんでしょう。
取り調べを受けた時にMI6のメンジーズさんを呼べばよかったんですよ。
それがダメでもヒューさんとかジョーンとか、誰かに助けを求めればよかったのに。
今までずっとひとりでやってきたから、誰かに頼るとかそんな考えは浮かばなかったんでしょうかね。

解読に携わった人はみんな長い間誰にも言えなかったそうです。
新聞などで話題になっていても、自分も参加してたんだよ、英国の勝利に貢献したんだよって言いたかったでしょうね。
チューリングさんもたくさんの秘密を抱えたまま逝ってしまいました。


もちろん戦場で戦った兵士たちは何年もずっと死と隣り合わせの毎日で、
だからこそ帰国した時は英雄として迎えられます。
彼らは死と隣り合わせでもなく飢える事もなかったし、国家機密として他言できないのも理解できますが、
何、この扱い、何でこんな末路にならないといけないの、と。
ラストのベネディクトの演技が本当に素晴らしく、本人もマジ泣きしたらしいですが、
「僕にはクリストファーがいるから」
こんなセリフを聞かされると、悲しいやら悔しいやら、なんとも言えない感情が込み上げてきます。

死後恩赦が茶番だと言われていたのが何だかわかるような気がします。
こちらに恩赦のニュースとキャメロン首相の声明があります。
http://japanese.engadget.com/2013/12/24/59/

ダラダラと書いてしまいましたがこのあたりで終わりにします。
出来ればもう一度観たいですね。そして早くDVDが日本でも発売されますように。。。
早く出してくれないと思わずUK版をポチりそうなので。

最後に、以前載せていたムーアさんのスピーチとその他、TIGに関連した記事のリンクを貼ります。
人と違っていてもいい、という言葉で何だかガガちゃんの「Born This Way」の思い出しました。
肌の色が違っていても障害があってもゲイでもバイでも、それが自分なんだから受け入れよう、という歌です。


「私は16歳の時に自殺をしようとしました。
自分はとても奇妙で他人と相容れない違和感を感じ孤立しているように思ったからです。
しかし今、私はここに立っています。
他人と相容れない違和感やどこに行ってもなじめないと感じる子供のためにこの瞬間があるのだと思います。
変わっていてもいいんです。他人と違っていてもいいんです。
ありのままで生きていくことで成し遂げられるものがあるのだと私は約束します。
将来、あなたがステージに上がった時にはこのメッセージを同じように感じている人のために伝えてあげてください。」

When I was 16 years old I tried to kill myself because
I felt weird and I felt different and I felt like I did not belong.
And now I'm standing here. I would like for this moment to be for that
kid out there who feels like she's weird or she's different or she doesn't fit in anywhere.
Yes you do. I promise you do. You do. Stay weird. Stay different.
And then when it's your turn and you are standing on the stage,
please pass the same message to the next person who comes along.

チューリングさんの書いた手紙の和訳です。
チューリングさんの手紙

ボニー・マクバードさんのブログ
THE IMITATION GAME - Genius at Play その1
THE IMITATION GAME - Genius at Play その2
THE IMITATION GAME - Genius at Play その3

昨年のBFI London Film Festivalの時の記者会見を訳してくださったMistyさんの記事です。
ロンドン映画祭 記者会見 その1
ロンドン映画祭 記者会見 その2

同じくロンドンでのレッドカーペットのまとめ
閑話 BFI London Film Festival その4


本当にまとまりの無い長文ですみませんでした。
どさくさに紛れて宣伝!
ヨーロッパ戦線のドラマはBand of brothers が面白いですよ~

イミテーション・ゲーム 感想 その1

2015-03-15 23:45:18 | イミテーションゲーム
イミテーション・ゲーム観てきましたー。

14日に行くことは決めていたのですが、この日はTOHOの日だということを最近知りまして、
TOHOの日は料金が1,100円になるそうなんです。
これはヤバイ!絶対に混むよねーってなりましたがリスケがで出来ず、
TOHOは2日前からネットで販売するので頑張ることにしたんです。

で、販売開始当日の朝に電車の中で日本橋TOHOのサイトに入ったら既に満席状態で(汗)
こちらは3人だったのですが何とか前から3列目に唯一3列続きの席があったので確保。
日付変わると同時に購入すればよかったのか!と今更気づきました(笑)
前から3列目だとものすごく目が疲れるのですが、頑張って堪能してきました。

で、ちょっとだけ感想です。

以下、内容が含まれますのでご注意ください。


The Imitation Game (2014)
Director: Morten Tyldum
Writers: Andrew Hodges (book), Graham Moore


映画が終って最初に感じたのは怒りでした。
公開前からティルドゥム監督やベネディクトが何度も繰り返し発信していた事。
チューリングさんの不当な扱いに対しての怒りをとても感じました。

暗号解読だけではなくコンピューター科学においても多大な貢献をしてきた人が
こんなにも不当に扱われ、死後恩赦などに甘んじなければいけなかったのか、
そんな思いと、とにかくアラン・チューリングという人物を知って欲しい、
そして、ムーアさんもスピーチで仰っていた、
「Stay weird. Stay different. 」
変人でもいい、他人と違ってもいいじゃないか、そういったものが伝わってきました。

彼らにとってオスカーやほかの賞に関してはそんなに重要ではないような気もしました。
以前ロンドンプレミアのプレカンでも、
オスカーによってこの映画をたくさんの人が観てくれるならと、そんな事を言ってましたし。


史実に基づいているのでチューリングさんの行く末はわかっていても、
それでも、「もし、あの時」と考えずにはいられません。
機密故に誰にも明かすことができず、警察に取り調べを受けた時も何も言えず、
それゆえに捜査され、男娼との事が明るみに出てしまいます。
もしチューリングさんの働きが極秘じゃなかったら、そもそも暗号解読に関わらなかったら、
警察に怪しまれることもなく、コンピューターの父として輝かしく歴史に名を残していたかもしれないですね。


映画は3つの時代を行き来しながら進められていきます。

時系列に、、
チューリングさんがクリストファーと過ごしたパブリックスクールの時代
暗号解読に携わっていた第2次世界大戦の時代
警察に取り調べられ、同性愛の罪で告発される時代となっていて、ここが映画の中では現在となり、
スミス刑事の取り調べ中にチューリングさんが回顧していく、そんな流れでした。

ドキュメンタリーではないので脚色している部分も多々あったようですが、
チューリングさんの難しい理論やそこに至るまでの経緯にはあまり触れず、
重要なポイントだけに焦点をあてていて、とてもわかりやすい構成でした。

何よりもチューリングさんの人柄に対してとても優しい視点で解釈をしていたように思います。
それはブレッチリーパークの解読メンバーに対しても同様で、
チューリングさんの尊大な態度を受け入れられないヒューたち他のメンバーとの軋轢が、
ジョーンという女性の懸け橋によってチームがまとまり、Bombeによる解読が成功していく様子は、
ひたすら感動の場面でした。
作中ではBombeがクリストファーと名付けられていました。
普通の映画なら解読成功で大円団を迎えてENDになるんでしょうね。

キーラさん演じるジョーン・クラークさん、彼女はこの映画のキーパーソンになっていました。
女性数学者でケンブリッジ大学で優秀な成績を修めたにも関わらず、
この時代はまだまだ女性の扱いはかなり低く、大学でも女性に学位は授与しないポリシーがあったそうです。

この映画の原作、ホッジスさんの本はまだまだ序文も突破していない状況ですが、
チューリングさんの伝記のひとつを読んだ限りではあまりジョーンの活躍はなく、
ホッジスさんも映画におけるチューリングさんとジョーンの関係は大げさだと批判していたとありました。
(Wikiジョーン・クラークより参照)
でもティルドゥム監督はこの時代の女性も活躍していたことも描きたかったそうです。

史実はさておき、映画のジョーンは頭がよく、強くて明るく、思いやりも兼ね備えた女性です。
チューリングさんの一番の理解者で、暗号解読に導いたのは彼女の貢献なくしてあり得ませんでした。
チューリングさんの悲劇の始まりはジョーンを遠ざけたからでは・・・と思えたほどです。

Bombeを作るための機材購入をチームのリーダー、ヒューに却下されたことで、
チューリングさんはチャーチル首相に直訴、リーダーの座も獲得すると使えない人材をクビにし、
代わりの人材を募集することになるのですが、その時のクロスワードがこれだそうです。
元記事
Could you have been a codebreaker at Bletchley Park?

答えはこれ。
Telegraph Crossword Answers Across: 1 Troupe, 4 Short cut, 9 Privet, 10 Aromatic,
12 Trend, 13 Great deal, 15 Owe, 16 Feign, 17 Newark, 22 Impale, 24 Guise, 27 Ash,
28 Centre bit, 31 Token, 32 Lame dogs, 33 Racing, 34 Silencer, 35 Alight. Down: 1 Tipstaff,
2 Olive oil, 3 Pseudonym, 5 Horde, 6 Remit, 7 Cutter, 8 Tackle, 11 Agenda, 14 Ada,
18 Wreath, 19 Right nail, 20 Tinkling, 21 Sennight, 23 Pie, 25 Scales, 26 Enamel, 29 Rodin, 30 Bogie.



クロスワードを解き、テストに合格したにも関わらずジョーンさんは家族の反対があったのか
ブレッチリーパークに姿を現しませんでした。
そんなジョーンを迎えに行ったときにチューリングさんが言った言葉。
「It is the very people who no one imagines anything of who do the things that no one can imagine」
(何も考えてないと思われる人に限って誰も予測できないことをするものだ)
同性愛の罪で有罪になった時に彼女がチューリングさんにこの言葉を言ったのがとても印象的でした。


ちょっと感想とか言って全然ちょっとじゃないーーー(汗)
長くなってしまったので2つに分けます。

チューリングさんの手紙

2015-03-13 21:52:36 | イミテーションゲーム


前回の「LETTERS LIVE とかいろいろ」で和訳したチューリングさんの手紙ですが、
今日ちょっと読み返したら大量の誤訳を発見してしまいました(涙)

いつも誤訳ばかりなんですが、
今回のはちょっとヤバいほど意味が違っていた部分があったので再度訳しなおしました。
前回、読んでくれた方々には本当に申し訳ないです。

こちらのサイトに手紙を読むベネディクトの動画と手紙の原文が掲載されています。
Yours in distress, Alan


My dear Norman,

I don't think I really do know much about jobs, except the one I had during the war,
and that certainly did not involve any travelling. I think they do take on conscripts.
It certainly involved a good deal of hard thinking, but whether you'd be interested I don't know.
Philip Hall was in the same racket and on the whole, I should say, he didn't care for it.
However I am not at present in a state in which I am able to concentrate well,
for reasons explained in the next paragraph.

I've now got myself into the kind of trouble that I have always considered to be quite a possibility for me,
though I have usually rated it at about 10:1 against.
I shall shortly be pleading guilty to a charge of sexual offences with a young man.
The story of how it all came to be found out is a long and fascinating one,
which I shall have to make into a short story one day, but haven't the time to tell you now.
No doubt I shall emerge from it all a different man, but quite who I've not found out.

Glad you enjoyed broadcast.
Jefferson certainly was rather disappointing though.
I'm afraid that the following syllogism may be used by some in the future.

Turing believes machines think
Turing lies with men
Therefore machines do not think

Yours in distress,

Alan

親愛なるノーマン

戦争中の事を除けば僕は仕事について詳しく知ることは無いと思う。
どこにも旅行をしなかったのは確かだ。

彼らは徴兵されてきたんだと思う。
かなり頭脳を重労働させなければならないが、君が関心を持つかどうか僕にはわからない。
フィリップ・ホールもほぼ同じ仕事だが、おそらく彼は嫌だったと思う。
しかし、現在の僕はイラついて集中することができないでいる。
理由は次の文で説明する。

僕は自分に起こるかもしれないと常に考えていたトラブルに巻き込まれたんだ。
僕は大抵10:1の割合で起こらないと思っていたんだが。

僕は近いうちに青年との性犯罪に対する告訴で罪を認めることになる。
どのようにすべてが発覚したのかは興味深くも長い話になるが、
いつか短編にしなければならないだろうけど今は君に話している時間がないんだ。
そこには間違いなく完全に別の人間が現れるだろうけど、どういった人なのかはわからない。

放送を楽しんでくれて嬉しいよ。ジェファーソンにはやや期待はずれだったけど。
残念ながら僕は以下の三段論法がいずれ用いられるのではないかと思う。

チューリングは機械が思考すると信じる。
チューリングは男と寝た。
故に機械は思考しない。


苦悩する君の友人、

アラン


こちらのチューリングさんデジタルアーカイブのサイトにアランさんが書いた手紙の画像が掲載されています。
正直、字の判別が厳しいので私には読めませんでした。。。(苦笑)
http://www.turingarchive.org/viewer/?id=167&title=1



以上です。
いろんな単語を見過ごしていました。はうー。
反省、反省。
今日から公開ですね。

THE IMITATION GAME - Genius at Play その3

2015-01-10 01:44:01 | イミテーションゲーム
続きです。ラストになります。

元の記事
THE IMITATION GAME-Genius at Play

A FINAL NOTE

この映画を観て私は感動のあまり涙が出ました。
ティルドゥムが言ったようにこれは「ラブ・ストーリー」で、
アラン・チューリングはクリストファー以外の人を愛することはありせんでした。
彼は生涯を通じてクリストファーのお母さんに手紙を書いています。
そして、何百万という命を救った男性はホモセクシャルだったために有罪判決を受け、
結果として自壊という不当な扱いを受けています。


HONORING THE TURING LEGACY

チューリング賞(コンピューターサイエンスのノーベル賞とも呼ばれる)は
コンピューターサイエンスの分野への貢献で世界を変えた男性や女性に敬意を表するために
1966年に設立されました。そして、私の夫、アラン・ケイは、2003年にチューリング賞を受賞しました。



私は幸運にも数人のチューリング受賞者と密に接しています。
私がスタンフォードでドナルド・クヌースとコンピュータープログラムの研究をしたのが始まりで、
それはのちに映画「トロン」(これが最初の作品で私の夫アラン・ケイとパロアルト研究所で出会い、
その後テクニカルコンサルタントをお願いしました)を書くための研究でした。

私の最初の作品はのちに映画「トロン」になりましたが、多くのアイデアがここでも触れられています。
コンピューターは融通が利かずユーモアが苦手で、マシンは美しく、なおかつ設計者だけが魂を込められ、
人間はさらに前進させ、美しい数学的作品が展開されます。
最終的にこのほとんどは(ユーモアのひとかけらも)登場しませんでした。

アラン・チューリングの持つ子供のような好奇心と仕事に対する強迫観念的なものは必ずしも同じ類ではありませんので
共存することのない奇妙な組み合わせは数学者だからなのか、それともコンピュータの天才だからなのか、私にはわかりません。
そしてそれは若干のフィジカルや人付き合いのぎこちなさとも結びつきますが常にユーモアも持ち合わせていました。
ベネディクトは並外れた精密さと優しさでこれらの本質を捉えています。

8月に私は夫のアラン・ケイとブレッチリーパークを訪れました。
この写真にはチューリングのテディベアを忙しく撮影している合間に、
「パーソナルコンピューターの父」として知られている男性のブレッチリーでの業績年表を研究している、
彼の感情に支配された作家、役者、アーティスト、そして妻である私が前方にいます。




チューリングは服を縫いました。そして声に出して講義の練習をしました。
リトルベアーの秘密です!

映画の上映とベネディクトのプロセスの話、そしてブレッチリーパークの訪問は私の中にずっと残っています。

ベネディクト、アラン・チューリング、アラン・ケイ。
まさしくビューティフルマインドです。
私は与えられた特権ですべてに繋がりがあるとささやかながら悟りました。
科学はアートです・・・そしてアートはある種の科学です。
そして私はその目撃者となれてとても幸運です。

以上です。
毎度のことですがきちんと訳せなくてごめんなさい。


ベネディクトがこの作品に真摯に向き合い、またアラン・チューリングの不当な扱いに憤りを感じているのは
今までのインタビューでも十分伝わってきましたが、
これを読んでさらに彼の役者としての生き方に感動しました。

そういえば一昨年だったと思いますが地下鉄の中で分厚いチューリングの本を読んでいるところを目撃され、
次の準備のためかしら、などと話題になっていました。

WW2での暗号解析の一端を担い、英国や同盟国を救ったにも関わらず歴史から抹消されてきた
アラン・チューリングを救いたいという監督さんをはじめスタッフやキャストたちの気持ちも痛いほど伝わるような気がします。
まだ映画は公開されていませんが、アラン・チューリングが何を成し遂げたのか、
そしてベネディクトがどのようにそれを表現したのか、
彼らの本意を少しでも理解出来たら、とそんな気持ちになりました。

尊大な天才を演じることの多いベネディクトですがカーン然りシャーロック然り、
そしてアサンジも、彼らの中にはとても傷つきやすいやわらかい何かがあり、
それはベネディクトが捉えた彼らの人物像なのかもしれません。
(カーンに関しては当時そう解釈したとどこかで仰っていました。)

今回のアラン・チューリングもとても繊細に演じられていると評価されていました。
それはベネディクトがチューリングの中に繊細なものを見出していたのでしょうね。

私はこの映画の原作にあたるホッジス著はまだ未読ですが、別の伝記を読んでいる最中です。
今私たちが何の疑問も持たずに駆使しているパソコンはほんの少しの動作でも裏では膨大なプログラムが実行されています。
そして、チューリングさんは当時はひたすら計算するだけの文字通り計算機だったコンピューターに
アプリケーションの概念を思いついていたようです。

そのプロセスは難解すぎて私にはとうてい理解できませんでしたが、
もし戦争がなかったら早くからこの研究に没頭することができ、そして本人の手で実現ができたのかもしれない、
そうすればチューリングさんの人生も変わっていたのかもしれないと、本当にぼんやりとですが思いました。

実はまだ読み終わっていなんです(涙)
昨年結構早い段階でこの本を読み始めたのですが何しろ難しくてなかなか進まないんです。映画終わっちゃうよー。

私はITの資格を持っているためか数学が得意だと思われがちなのですが、左脳人間なのでまったく苦手です。
会社に勤めているとSPIという適性検査なる試験を受ける機会が時々ありまして、
その中には国語と数学というか算数も入っています。算数は距離の計算とか分数の問題が多いです。
社会人としてこれくらいは常識として理解しておかなくちゃだめですよ、
という意味合いがあるんだと思いますが、私は通分もできないくらい残念な人で・・・・

話が逸れましたが、ベネディクト・カンバーバッチという俳優を知らなかったら
アラン・チューリングにここまで興味を抱くことはなかったと思います。
ベネディクトを通してたくさんの素晴らしい人物を知ることができて幸運だとあらためて思いました。

3月はいよいよTIGの上映が始まりますがまだまだ上映館が少ないようですので
この映画が少しでも多くに人に観てもらえるよう、GAGAでしたっけ?頑張ってほしいです。

拙い訳と感想をここまで読んでいただいてありがとうございました。

THE IMITATION GAME - Genius at Play その2

2015-01-08 07:29:24 | イミテーションゲーム
続きです。

元の記事
THE IMITATION GAME-Genius at Play


THE INTELLECTUAL

ベネディクトが魅力ある天才を知性の面で見事に演じることを私たちは知っています。
(ホーキング、ホームズ、ゴッホ、ティージェンス、そしてチューリング)

決して友好的ではない評論家は、彼が思考をうまく錯覚させていると言います。
しかし、彼の話を聞いてみればそれが錯覚ではないとわかります。

ベネディクトは桁外れに学習します。
この映画に対する彼の知識人としての準備として、
ホッジスのチューリングの伝記(ちなみにこの本のボリュームは決して少なくありません)を読み、
数学を少しでも理解しようと努力しました。
彼は実際に暗号を解読し、ブレッチリーパークを長期にわたって訪問もしました。
彼は宿題をこなす役者です。



数学の知識が不十分で納得できずベネディクトは2つの物理的な方法で知識を高めようと努力しました。
まず、チューリングマシンに多くの時間を費やします。
触知性の接続を見つけようとして(私は何かを溶接するのだと思った・・・)
彼は結局手を火傷しました。

2つ目は彼自身の手でいくつかのノートや図形をコピーすることでした。
(映画の中でそれらが壁にピンで留めてあるのはチューリングのものから彼によってコピーされたものだと話しています。)

筆跡を意識的に変えることでその人の気分さえも変えることができる事を
有名な美術教師のベティ・エドワーズたちが発見していて、特に興味深いところです。
筆跡で彼らの思考を真似ることができるのでしょうか?
ここにチューリングのちょっとした数学式があります。



私はもうすぐ出版されるシャーロック・ホームズの小説「ART IN THE BLOOD」において
有名な声の再現をコナン・ドイルの完成された作品をコピーすることによって
実現させようとしたことを認めます。

これらにはある種の意識のつながりだと言われる何かがあります。
そしてここにわずかですがコナン・ドイルの手書きの文字があります。



ビジュアルアーティスト(彼はアンドリュー・マーに話しているように遊びでペンとインクでのスケッチを
楽しんでいます。)としてのベネディクトのトレーニングは彼の図と筆跡を文字通りコピーすることによって
「チューリングの内面」への興味深いアプローチに影響したでしょう。
私は深く考えすぎているのかもしれませんが、左脳的技法は非常に詳細なアプローチと調和します。

彼の心とキャラクターの精神、そして体内に同時にクライミングすることによりベネディクトは
風洞の力によって私たちをストーリーに引き寄せる完璧にバランスの良い人間を作り上げました。


THE DIRECTOR’S DEEP ADMIRATION FOR HIS STAR

ティルドゥムは役者としてのベネディクトのプロセスと感情の持つ有効性について大仰に話しました。
彼の主役にもうひとつの代案を与えることでこの重要な時期に引き受けてもらうよう頼んだようでした。
そしてベネディクトの研究は今まで目にしてきたものをはるかに超えていました。

厳しいスケジュールに悩まされ、撮影チームはタイトな編隊を組んで動くことになりましたが、
ティルドゥムは多くの監督と違い「リハーサルに信念を持ってる」ので、このスケジュールを貫き通し、
映画界で研さんを積んだキャストを最大限に活用しました。
その選択はこの映画の質を確かなものにしました。

ベネディクトとティルドゥムはチューリングの少年時代がアレックス・ロウザーによってすばらしく演じられたと、
助演の(ここでは説明しませんが)優れた才気についてコメントしました。
私は2012年にロンドンのサウスダウンズでデヴィッド・ヘアーを目にする喜びを経験しています。
目を離さないでください。
この青年は、スターの卵です。




THE MYSTERY

チューリングの死は、ミステリーです。
リンゴによって自殺と判定されましたが、彼を知っている人たちは疑いを持っています。
映画は彼が自殺したと断定的に述べています。
そしてベネディクトのチューリングが自制心を失い、すすり泣くシーンが最後にあります。



変動エストロゲンは人の思考能力や感情を破壊するレベルにあることを思い出し,
動揺したことを私は認めなければなりません。
オスカー・ワイルドを投獄したものと同じ法律によって有罪判決が下されたとき、
チューリングは刑期の間にエストロゲン注射とその後インプラント(化学的去勢)を選びました。

そう、エストロゲンです。
私は不妊治療を経験し、死が好ましいと考えた時期があったのを覚えています。
チューリングは足に埋め込まれている薬をナイフで掘り出そうとしたと言われています。
しかしこれは謎です。
ベネディクト自身この場面は一種の解釈だと言っています。

その日のセットで彼はこの男性が克服した悲劇に打ちのめされ、
堪えきれずに泣き始めました。そしてその場面が使われました。
振り返ってみると涙は本人のキャラクターではない、といったような事を言っていましたが、
彼の言葉はその場面を撮り直すならば別の選択をするという意味だったのかどうかはさだかではありません。
しかし、それは興味深い洞察です。(私はこの権利を得たと思いたい)



続きます。

ところで、
先日こんな風刺漫画が出回ってましたね。

「心配ないよ。これはベネディクト・カンバーバッチで、彼はいつも出てくるんだよ。」な感じでしょうか。
何だかちょっと複雑ですが、こんな風刺されちゃうほど露出度が高いということなのでこれは喜ぶべき?
元記事です。
THE NEW YORKER