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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

The Child in Time 感想

2018-08-02 21:19:44 | The child in time


ダラダラと続けていた「The Child in Time」の全訳におつきあいいただき
ありがとうございました。
ひじょーにわかりづらかったし不完全燃焼だったと思います。
結局、テーマは何だったんでしょうね。

もちろん、私の力不足が大きな原因ですが・・・・(涙)
それはちょっとおいといて、やはり原作ありきなドラマになっているのかも。

そもそも原作はかなり長いんですよ。
それを90分にまとめること自体無理があったのではないでしょうか。

原作にはスティーヴンはもちろんチャールズはテルマ、
そしてジュリーやスティーヴンの母親に至るまでかなり掘り下げていましたが
ドラマでは全然なので余計にわかりませんよね。

原作ではチャールズの自殺の引き金になったのはテルマとのケンカでした。
テルマはチャールズが少年になってしまった原因を探っていましたが
チャールズの育った環境や公職のプレッシャーなど様々な面から察することはできます。

ドラマではほとんど語られないままチャールズが自殺してしまい、
彼に深く関わっていたスティーヴンとテルマがこの事をどう昇華したのかも
わからないまま次の場面では葬儀、そしてエンディングになってます。

ちなみに、
首相はチャールズに対して良からぬ下心を抱いているので、
監視をしたり執着心を見せたりしているようです。
そしてチャールズもそれを利用して出世していきました。
子育てハンドブックも政府、つまりチャールズが書いています。

チャールズが「ジョークブック」と呼んでいたハンドブックは子どもに厳しい内容になっていました。
彼は首相に命令されましたが結局は自分の出世のために首相に言われるまま書いています。

あとがきにもありましたが本作はサッチャリズムを押し進めた結果の
架空の世界が舞台になっているそうで、サッチャー批判が根底にあります。
その一環が子育てハンドブックです。

それとは別にケイトの行方不明事件がありパラレルワールドのような話も出てきます。

いろいろなテーマが混在しているので難しいのかもですね。
一度読んだくらいでは理解できないだろうしドラマも1、2度見たくらいではわからないのでしょうね。
チャールズの逆行も含めて「時間」そして「子ども」という概念があるのかもしれません。

ケイトは違う時間軸に迷い込んでしまったのかもしれないという伏線がありました。
なんつーか、フリンジの世界?
だからいつか戻ってきたりすることもあり得ますよってなのかな。

ジュリーのところとスティーヴンのところに現れた少年はケイトの弟だと思うので
スティーヴンと母親の体験がそのままスライドされています。

ラストはあれで良かったんじゃないでしょうか。
死体が出ない限りケイトがどこかで生きている可能性はゼロではないし、
あの夫婦が新しい命を受け入れたのは大きな悲しみを乗り越えたという事なので
以前よりも強い気持ちと絆で幸せな家庭を築いていくのでしょう。



そう思うと「つぐない」よりはかなりハッピーな終わり方なのでは・・・
と、思う事にして、終わりにしたいと思います。

ラストはかわいいオフショット・・・かな?
実生活でパパになったせいか子どもとのやりとりが以前よりもサマになってきたように思います。
パレーズエンドの男の子とのツーショットもよかったですが女の子もかわいいですよね。

ケイトを演じたのはベアトリス・ホワイトちゃん。
またこの子がすごく可愛いのよね。



次はパトリック・メルローズかな。
でもその前にシャーロックで癒されないと・・・・

The Child in Time その16(Final)

2018-07-30 21:50:46 | The child in time
The Child in Time

Director: Julian Farino
Writers: Stephen Butchard (adaptation), Ian McEwan (based on the novel by)

Previous → The Child in Time その15

これでラストです。


愕然とするスティーヴン。

ロープを切ってチャールズの身体を地面に下ろします。
チャールズのそばに座り泣き続けるスティーヴンです。


場面はチャールズの葬儀に変わります。

チャールズの葬儀でスティーヴンは弔辞を述べます。
葬儀にはジュリーの姿もありました。


「チャールズ・ジョージ・アンドリュー・ダークは唯一無二の素晴らしい男性でした。
彼は純粋さや誠実さを持ち続けたのです。それは僕たちみんなが生まれついて持っているものです。
しかし、僕たちはいつのまにか失い、そして気にも留めないのです。
彼は子どものように、世俗的な慣習にとらわれることはありませんでした。
何よりもまず、彼はいつも人の長所に目を向け、彼らに信頼を置き、心を寄せます。
彼の愛は愛しい妻、テルマへ。

そして彼の情熱は文学、とりわけ、児童文学に向けられていました。
彼は早くからその価値を認識し、愛情と思いやりのある環境の重要性と支援について話をしていました。
実際に最後に会った夜に彼は本を書いたと僕に言いました。
「ジョークブック」と彼は呼んでいます。
僕はジョークブックの意味をずっと考えていました。
彼が死を選んだ理由がそこにあるかもしれないからです。

しかし、僕は考えるのをやめました。
僕は僕が愛したチャールズを記憶に残そうと決めました。
彼の優しさ、彼の笑顔や寛容な心、
そして彼の優れた才能と僕の住む世界を心地よい場所にしてくれる能力を。


君はずっと僕の親友です。」

雨の中、少年のように遊びに夢中なチャールズ。


そして砂浜を走り回るケイト。



その夜、スティーヴンはツリーに下にあるプレゼントを開きます。


それはおもちゃの無線機でした。
スティーヴンはひとつをケイトのベッドに置くと話しかけます。


S:パパよりケイトへ。
僕たちがとても愛している事、そして会いたいって伝えたいんだ。
きっとすぐに会えるね、そうしたらたくさんハグをしてゲームをするんだ。
以上、応答願います。

無線機は無言のままでした。

S:ゆっくりでいいから。ずっとここにいるからね。


翌朝、
スティーヴンは喪服のままベッドで寝ていました。
その時、無線機からケイトの声がします。


「パパ・・・パパ、私はここよ。
私を見て!ママと一緒にいるの・・・」

スティーヴンがはっとして目を覚まします。
その瞬間、電話の着信音が鳴りました。
電話の相手はジュリーでした。


S:ジュリー?
J:調子はどう?チャールズはお気の毒だったわ。
S:僕は大丈夫だよ。昨日、君を教会で見かけたよ。
そっちはどう?
J:私は元気よ。しばらく帰らなかったけどずっとあなたに電話したかったの。

S:今どこにいるの?コテージ?そっちに行くよ。
J:街に来てるのよ。心配しないでほしいんだけど、今病院なの。
できれば来て欲しいのだけど。
S:どこの病院?どこか痛むのか?
J:本当に大丈夫なの。The Alexandra Wingの17病棟。来れる?


スティーヴンはうろたえ、ジャケットを羽織る飛び出します。
歩きながら笑顔がこぼれるスティーヴン。


地下鉄に乗りながらそわそわと落ち着かないスティーヴン。


ふと横を見ると自分を見ている少年がいました。


スティーヴンもその少年に笑顔を向け再び前をみます。
ふと思い立ったようにもう一度少年の座っていた席を見ますが少年はどこにもいませんでした。


不思議そうな表情のスティーヴン。


病院につくとジュリーの病室に向かいます。
その途中、廊下でケイトが待っていました。


スティーヴンは当然のようにケイトの手をとりふたりで病室に向かいます。


病室に入るとジュリーはすでの出産の最中でした。


S:ジュリー。
J:スティーヴン。(ナースに)夫よ。

スティーヴンはジュリーの手を取ります。


J:私たちの子どもよ。弟なの。

ジュリーが苦しそうに声をあげます。
スティーヴンはずっとジュリーを安心させるように励まし続けます。



The End.

え?
と思うかもしれませんがこれで終わりなんです。
何だかすごい敗北感・・・・
行き当たりばったりではなくもっと原作を理解してからじゃないとダメだったのかも。

次に感想や補足を少し書きますね。

The Child in Time その15

2018-07-28 21:42:04 | The child in time
The Child in Time

Director: Julian Farino
Writers: Stephen Butchard (adaptation), Ian McEwan (based on the novel by)

Previous → The Child in Time その14



レイチェルが歩いています。彼女は頭に怪我を負っていました。
急ぎ足でスティーヴンの家を訪ねます。



R:こんな時間に迷惑をかけてごめんなさい。
S:血が出てるじゃないか。
R:悪いけどフランネルかなにかある?
S:ああ、入って。何があったんだ?
R:つまづいて転んだの。


スティーヴンはおでこについた血を拭いてあげます。

R:よそ見をしていて。
S:救急外来に行ったほうがいい。

レイチェルはスティーヴンの手から布を取り自分でふきます。


R:病院は行かないわ。朝になったら考えるから。
委員会に来なかったのね。
S:ああ、うん。
R:そのことで会いにきたの。無駄だったのよ。
S:確かに。
R:違うの、そうじゃない。茶番だったのよ。


レイチェルは封筒に入った原稿を渡します。

R:すでに書きあがってたわけ。子育て公認ハンドブック。
出来上がっているから私たちが何を提言しようと関係ないって事。
S:誰の公認?
R:政府。
S:読んだのか?
R:ラブレターを過去に送るようなものね。不可能よ。
それがメディアに渡ったら病棟にいる看護師長のように大騒ぎよ。
何も変わらない。こんなのジョークだわ。
それで私・・・他に相談すべき人を知らなくて。
S:そんな事ないよ。
R:バスルーム使っていいかしら。
S:もちろん。そこを左に行くとあるよ。


レイチェルはバスルームに向かいます。

R:これはウォーターゲートとは違う、でもすべてが偽りだった。

バスルームに入り鏡の前にたつレイチェル。

R:なぜ彼らは何か価値のある事を進めていかないの?見せかけのポーズじゃなく。
そもそも、なぜ政界入りするのかしら。


レイチェルの言葉を聞きながら原稿を見ているスティーヴン。

バスルームから出てきたレイチェル。
明かりがチカチカと漏れていた部屋に入るとツリーがありました。
そこはケイトの部屋でした。


驚いているレイチェルの後ろからスティーヴンが言います。

S:狂ったわけじゃない。ただ、何というか抑えがきかなかったんだ。


R:ごめんなさい、明りが見えたから。そんなつもりではなかったの。
S:気にしないで。自虐だろ。
R:とてもステキだわ。彼女が見たら喜ぶでしょうね。
S:そうだね。

キッチンでお茶を淹れるスティーヴン。


R:あれから何年?
S:ちょうど3年。どこかで7歳になっているはずだ。
R:「どこかで」いい言葉だわ。どこかで愛されてるわね。
S:愛されてるよ。
R:もちろん、そうね。
あなたは彼女以外、何も考えられないのでは?
S:そんなことないよ、ちゃんと考えてる。
ちょっと変わった世界で生きてるけど。
R:そうね。
S:誰がジョークブックを書いたか知ってると思う。あのレポートだよ。
R:誰?
S:彼は友人なんだ。親友だよ。



場面が変わります。
夜、テルマがチャールズを呼びますがチャールズの姿がありません。
テルマが名前を呼びながらチャールズを探します。


そして翌朝。
スティーヴンも森の中を探しています。


「チャールズ!」
「チャールズ!」
「わかった、君の勝ちだ。だから出て来いよ。」


彼が作った隠れ家にもチャールズの姿はありませんでした。
「頼む、頼むから」
スティーヴンは繰り返しながら歩き続けます。

そして、
スティーヴンの目に入ったのは・・・


チャールズは木の枝にロープを吊るし首を吊って死んでいました。
愕然とするスティーヴン。


続きます。

次回で最後です。

The Child in Time その14

2018-07-22 16:02:47 | The child in time
The Child in Time

Director: Julian Farino
Writers: Stephen Butchard (adaptation), Ian McEwan (based on the novel by)

Previous → The Child in Time その13
Next → The Child in Time その15

外でランチを食べているスティーヴン。


今日はレイチェルと一緒です。
ふたりはチェロとピアノの演奏を聴いています。


演奏に何かを思うスティーヴン。
(何を演奏しているのか調べましたがわかりませんでした。
原作にはジュリーが立ち直るきっかえだったのがシューベルトの弦楽五重奏曲ハ長調 D956 第2楽章
だったのでそれかもしれませんが・・・・)


そして川のほとりを歩くふたり。

R:本屋に行くと自分の本をこっそりチェックしてるの?
S:そうだよ、いつもやってる。
R:あなたが?
S:もちろん。自分の本が隠れていたらよく見える位置に動かしてライバルの本を隠すんだ。

爆笑するレイチェル。



S:いつから教師を?
・・・これはもう聞いたっけね。すまない。
R:ええ。答えは・・・もうずっとかなり前からよ。
S:ごめん。
R:教師は私に向いていたの。
数年前に、Head of Department (学科長?)に就任する失敗をしたけれど。
S:失敗?
R:ハードワークなのよ。スタッフは子どもたちよりも気難しいから。
S:それ、わかるよ。
R:ところで、魚になりたい少年はどうしてるの?
今はどのくらい息を止めていられるのかしら。
S:51秒かな。



レイチェルが笑います。

S:なんで笑う?
R:現実的な数字ね。
S:本当だからだよ。前回のバスタイムで彼は51秒息を止めてたんだ。
R:読むのが楽しみ。
S:書き終えることができたらね。
R:できるわよ。
S:だといいけど。

レイチェルは時計を見ます。
R:そろそろ電車の時間ね。楽しかったわ。
S:僕も楽しかった。送るよ。
R:わかるから大丈夫。次のミーティングで会えるわよね。
S:Yes.
R:Bye.
S:Bye.

レイチェルを見送るスティーヴン。


場面は変わりスティーヴンの自宅。
バスタブに沈んで息を止めているスティーヴン。


スティーヴンは小説の文を打ち込んでいます。


「君の名前は?」
赤いTシャツを着た巻き毛の少年が言いました。
「魚だよ」魚が言います。
少年は「かっこいい!」と言いました。「どうして魚なの?何かの省略なの?」
「忘れた。」と魚。「すべて忘れてしまった。」
「目覚めるごとに生まれ変わっているみたいなんだ!」
もちろん彼は大うそをついていました。
でも真実であってほしかったのです。
魚にはそれほどまでに忘れてしまいたい多くの記憶がありました。良い思い出さえも。

続けてスティーヴンは声に出しながら打ちます。


「なんて屈折してるんだ。」
中年にさしかかった男が言いました。
木登りには適さない靴をはいていたので木に登らなかった男。

目の前には遊んでいるケイトがいました。
ケイトが話します。
「仕事してるの?」


スティーヴンは微笑んで答えます。
「働ているように見える?」

首を横に振るケイト。


次の瞬間には消えていました。

S:「君の事はすべて覚えていたい。」

ノートPCを閉じるスティーヴン。

S:Everything.




続きます。
ここからやっとラストに向かって動き始めると思います。

The Child in Time その13

2018-07-15 09:06:39 | The child in time
The Child in Time

Director: Julian Farino
Writers: Stephen Butchard (adaptation), Ian McEwan (based on the novel by)

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場面はジュリーに変わります。
タクシーを呼び外出する支度をしているとドアを叩く音がするので外を見ると少年が立っていました。


不思議そうな表情でジュリーはいったん奥に入り鍵を手に取り再び外を見ると少年は消えていました。


ジュリーはドアの外に出ます。
すると家の前にいたタクシーの運転手が声をかけます。

運:タクシー呼んだ?
J:ええ。もう出るところだから少し待ってね。
運:OK。急がなくていいよ。はやく着きすぎたんだ。

ジュリーはうなずきもう一度家に入りますが腑に落ちない表情です。



場面は水族館。
水槽の前に立っているふたり。


S:僕は5分かそこら、あのこを見つけたと思っていたよ。
その5分は少なからずとても幸せだった。
「やっと見つけたんだ」って。君になんて言おうか考えていた。
逮捕されなくてよかったよ。

J:あのこが私たちを見つけないとダメなのよ。
S:諦めるてない?
J:希望を捨てることはできないわ。


少しの沈黙のあとジュリーが口を開きます。

J:どうしてあのこが生きてるって思うの?
S:あの子が死んだらきっと僕にはわかるから。
J:そうね、私も同じだわ。あのこはどこかにいる。
でもどこから探せばいいのかわからないの。
自分たちの無力さを受け入れるのはつらいわ。でもどうすることもできない。
私たちにできることはこうして待機をするだけ・・・正気を保ちながら。


公園を歩くふたり。

J:しばらく旅行に行くことになったわ。
S:どこに行くの?
J:まだ決めてないの。どこか暖かいところね。電車で行けるところ。
フランスとか?
S:どうして今なの?
J:行きたいからよ。
S:行かないでくれって頼んだら?もうしばらくいて欲しいんだ。
J:それでも行くわ。


J:ポストカード送ろうか?
S:そうだね。


場面はスティーヴンの実家に変わります。
スティーヴンが実家の庭に立っているとお母さんが来ました。


母:もうすぐ夕食よ。今はポテトを仕上がりを待っているところ。
S:暖かいところにいなよ。
母:暖かいから大丈夫。それに話があるのよ。
S:怖いな・・・・
母:あのパブに行ってきたのよ。「ベル」
S:いつ?
母:数週間前に。頭からずっと離れなくて。あなたは以前にも行ってるのよ、ある意味ね。
S:どういうこと?
母:あなたは私といたのよ。ずっとね。
私はよく覚えてるの。あなたのお父さんに私の妊娠を伝えた日だから。
私たちは結婚していたわけではないから想定外だったの。
彼に伝えるのが怖かった。でもあんなに素晴らしい日になるなんて。
あなたに初めて会った日。真実なの。

私は神経過敏になっていた。お父さんがどんな反応をするのかわからなかったの。
妊娠は悪い知らせだったのよ。

私たちは計画を立てて、そしてあなたに会ったのよ。
窓に可愛らしい子どもがいたわ。この顔よ。
あなただとわかったわ。
だから私は覚えているの。
狂ってはいないし頭がおかしくなったわけでもないわよ。


S:そんなわけない、僕は信じるよ。
母:ああ、よかった。だってこれはとても重要な事だと思ったの。
もし私が見たのがあなただとしたら・・・・
まだ生まれてもいないところにあなたがいたとしたら、ケイトも絶対にどこかにいるに違いないわ。
あなたはずっと彼女を愛し続けるの。でも彼女を愛する事は恋しがる事とは違うからね。
きっとあの子は見つかるわ。どこかにいるはずよ。


スティーヴンは声を詰まらせ頷きます。
そしてふたりは強く抱きしめあいます。



続きます。