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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

裏切りのサーカス その4

2013-07-12 11:02:33 | 裏切りのサーカス
原題:Tinker Tailor Soldier Spy

その3の続きです。

それにしてもこの邦題「裏切りのサーカス」はもうちょっとどうにかならなかったんでしょうか。
スパイ映画だとは思わないですよ、何も知らないと。
私もベネディクトが出てなければ観なかったし、まさかこんなに面白いとは思わなかったのでそれを考えると、
何かもったいない気がします。


以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

過去に戻り再びクリスマスパーティです。
このシーンが頻繁に出てくるのは、今回の事件に関わっている人たちが揃っている事、
この頃から既に悲劇が始まっている事なども含めてたくさんの思いが詰まっているからなんでしょうね。
なのでクリスマスパーティシーンは見てると本当にせつないです。
もう2度と集まる事のないメンバーが楽しそうに笑っているんだもん。コニーさんの気持ちがわかるわ。

レーニンのお面をかぶったサンタクロースが現れてみんなでソ連の国家を歌い始めます。
スパイするにはその国の事をしらなければいけないしロシア語堪能な人たちだからみんな普通に歌ってます。
アンがいないことに気づいたスマイリー、探しているとビル・ヘイドンとのキスシーン?
(そこまではっきり映っていないのですが)を目撃してしまいます。



現在。
スマイリーとギラム君が退職したウェスタビーを訪れます。
彼はジム・プリドーが撃たれた夜、コントロールの命令で当直していました。
ウェスタビーの回想
「エリスと名乗る英国情報部員が撃たれた」との連絡を受けコントロールに報告するウェスタビー。
しかしコントロールは呆然とした様子で何の指示ももらえなかったのでスマイリーに電話します。

妻のアンが電話に出て、スマイリーは今ベルリンだと告げました。

しばらくするとビル・ヘイドンが現れて現場を指揮をします。
ハンガリー大使館に電話をして「(愛する)ジムに何かあったら許さないぞ」と脅したりしていますが、
普段ちゃらちゃらしているイメージのヘイドンだったのでちょっと新鮮(笑)
考えてみればサーカス幹部の方はみなさんエリートなうえ、無能ではなれないので当たり前なんでしょうけど。

怒った顔もかわいいです。コリン・ファース。
「英国王のスピーチ」なんて、転がっちゃうくらいかわいいですよ(求む、同志!)

なぜビル・ヘイドンはジムが撃たれたのを知ったのか?もしかしたら彼がもぐら?と怪しむギラム君に
「彼は私の家にいたのだ」とスマイリーが言います。

スマイリーがベルリンから自宅に戻るとテーブルに絵がおいてあり奥にビル・ヘイドンがいました。
靴も履きかけで見るからにやってました(笑)な感じで
「絵を持ってきたんだ。アンが気に入ってね。彼女はまだ寝てるみたいだから待ってるんだ」


再び現在。
いよいよスマイリーがジム・プリドーを訪ねます。
ジムは静かにブタペストで起こったことを話し始めます。
KGBに捕まった事。そこで拷問された事。カーラが出てきて拷問が本格化した事、そしてイリーナが目の前で撃ち殺された事。
「もぐら」の事だけは話すまいと頑張っていたジムですが、最後はすべてをKGBに話します。
その後、イギリスに戻されたジムはエスタヘイスに車と1000ポンド与えられ、
「ティンカー・ソルジャー、テイラーの暗号も全て忘れろ」と言われたと話します。

なぜエスタヘイスは暗号名の事を知っていたのか。

スマイリーのシンキングタイム。
「モスクワセンターは大笑い」「モスクワからの情報はでっちあげ」
など今までの情報を繰り返しテープで聞きながらスマイリーはもぐらは誰なのか考えます。

なぜエスタヘイスはコントロールがつけた暗号名を知っていたのか。
ジム・プリドーは知っている情報全てをKGBに話したと言っていたのでカーラももちろん暗号名を知っています。
怪しいのはエスタヘイス?でもスネ夫だし(笑)

そして何かをつかんだ様子のスマイリーです。

とある屋根裏のような場所で外務英連邦大臣とレイコンに会います。
「あなたがコントロールを追い出してカーラを引き寄せてしまったんだ」大臣に詰め寄るスマイリー。
「私はどうすれば?」と弱気の大臣に「もぐらが欲しいものを我々は持っています」
リッキー・ターを囮にもぐらをあぶりだすことにしました。


「俺がパリに行くかわりに必ずイリーナを救い出せ。」
「努力するよ、リッキー」スマイリーはそう言いますが、既にジムから殺されたことを聞いていたはずなんですよね。
ここで真実を言ってしまうとリッキーが傷つく・・・と言うよりは協力してくれなくなると踏んで黙ってたんでしょうね。
さすが百戦錬磨の諜報部員です。


エスタヘイスが暢気に本部からエレベーターで下ってますが扉が開くとギラム君が待っていました。

スマイリーはエスタヘイスを飛行場まで連れていきます。
「忠誠心の話をしよう」と切り出し、「お前は隠れ家でソ連大使に情報を渡していただろう」と言いますが、
つまり「君はスパイ行為をしただろう」と脅してるんですね。

そこへタイミングよく飛行機が降りてきます。

そして更にギラム君が荷物を入れる準備をしたり細かい演技をして、
エスタヘイスをどこかへ送還させるように見せかけ追い込みます。

エスタヘイスは陥落します。
「アレリンもヘイドンもみんなでやったんだ。それがウィッチクラフト作戦なんだ」と喋る喋る。
ティンカー、テイラー、ソルジャーの暗号はビル・ヘイドンから聞いたことも明かします。
そして、コントロールに取り上げられてきたのにすぐにアレリンに乗り換えたことを脅し「尽くす相手を間違えたな」と言い、
「送還しないでくれ」と泣き出します。

ここでスマイリーは本来の目的を果たします。
「隠れ家の住所を教えろ」

スマイリーたちは隠れ家に行きます。部屋には録音装置や隠しマイクなどがありました。
スマイリーはギラム君に隠しマイクのある部屋で詩を朗読させます。
ベネディクトは低音でいい声しているのでここはうっとり場面です(笑)
ちなみにこの詩は英国の詩人フェリシア・ヘマンズの「Casabianca」です。


パリのサーカス支部でリッキー・ターがサーカス本部に「サーカスの安全に関する情報を持っている」と電信させます。
メンデル元警部はサーカス本部の入口を見張っています。
電信を受けたティンカー、ソルジャー、テイラーら幹部が慌てて本部に集まります。
メンデルは全員揃った事を確認し、それをスマイリーに伝えます。
しばらくするとリッキー宛てにアレリンから電信が届きます。
「詳細説明を求める」との文面に「時間稼ぎしてきたぜ、最低だろ?」と言いながらも、
うまく食いついてくれたのでガッツポーズ。


スマイリーは隠れ家に潜んでいます。ギラム君は隠れ家の外で見張っています。
いよいよもぐらの正体が明かされる時がきました。スマイリーもポーチからピストルを出します。
もぐらはサーカスで打ちあわせた後リッキーの件で必ずポリヤコフに会うと確信しているからです。
ギラム君もピストルを構え警戒しています。

家の中から人の気配と声がします。
スマイリーは靴を脱ぎ、音を立てずにその部屋に向かって歩き出します。

しばらくしてギラム君が隠れ家の2階に上がり部屋の中に入ります。
そこにはピストルを構えたスマイリー。そして狙いを定めた先にはビル・ヘイドンがいました。


刑務所に収容されているヘイドンにスマイリーが会いに行きます。

なぜ2重スパイをしたのか。
「西側はとても醜くなった。なので東側に寝返ったんだ。審美的判断だ」
スマイリーは「なぜカーラは君をサーカスのチーフにしなかったのか」と聞きます。
「僕はカーラの雑用係ではない」とヘイドンが言った瞬間「では何なのだ?」と声を荒げます。
唯一スマイリーが大きな声を出す場面です。

この後スマイリーは「アンに伝えたいことはあるか?」と聞きますが、
アンとの事は自分の意志ではなくカーラがスマイリーを警戒してそのように仕組んだと明かします。
有能なスマイリーの唯一の弱点が妻だったと。
「ある時点まではそうだったよ」とスマイリーは静かに言います。


自身のトレーラーハウスでジムが回想します。クリスマスパーティです。
ビル・ヘイドンと視線を交わす二人。だけど今までとどこか違うヘイドンに違和感を持つような表情のジム。
ジムはこの時にもぐらは彼だと気づいたのかもしれません。現に彼はブタペストに向かう前日ビルに警告しに行っていました。




ジム・プリドーはライフルを持ち狙いを定めます。狙った先は外に出て金網越しに外を眺めているヘイドンでした。
ふと、ヘイドンがジム・プリドーの方を見ますが逃げるでもなくそのまま止まっています。
一瞬躊躇しますがそのまま引き金を引きヘイドンは倒れます。


私はなぜジム・プリドーがヘイドンを撃ったのかよくわからず、
「このふたり愛し合ってたし、ソ連に送還されるヘイドンの未来を思えば自分が殺してあげるしかない」
などと解釈してましたが、原作を元に解説してくださってるサイトを読んだら全然違ってました。
私の想像ってこの程度なんだなと落ち込みました(笑)

正しくは、ジム・プリドーがKGBに捕まっていたときに、
「ヘイドンの正体がサーカスにバレたときは始末しろ」という命令を受けていたようです。
それを条件にジムは英国に帰されたという事らしいです。帰さないと殺せないですもんね。
そうだったのか、なるほど!と納得しましたが、映画を観ただけじゃわかんないよーそんなの(泣)

サーカス本部に出勤するスマイリーとすれ違い思わず嬉しそうに笑うギラムくん。

スマイリーはサーカス本部に帰ってきました。しかもアレリンの後任としてサーカスチーフに着任しました。
ここまで命がけでスマイリーに尽くしてきたギラム君はそりゃー嬉しいでしょう。報われてよかったね(涙)


補足になりますが、
リッキー・ターはパリで雨に濡れてる姿を最後に出てきていません。

イリーナの消息を知ったのかどうかもわかりませんが、悲し気な姿だったので真実を知ったのかもしれません。

本当はもっとそれぞれの会話の中に深い意味が込められていると思いますが、私のレベルではこの程度です。
それでもこの映画の面白さが少しでも伝われば嬉しいです。

裏切りのサーカス その3

2013-07-05 12:14:27 | 裏切りのサーカス
原題:Tinker Tailor Soldier Spy

その2の続きです。
ピーター・ギラムの画像が多いですが主役はジョージ・スマイリーです。(笑)

以下ネタバレを含みますのでご注意ください。

ギラムが持ち帰った書類でブタペストで殺されたと思われていたジム・プリドーの偽名エリスに死んだとされた
2か月後サーカスから1000ポンド支払われていたことが、判明。
彼は生きていました。生きてひそかに帰国し学校で教師をしていたのでした。

スマイリーが帰宅するといつもドアに挟んでいる木片が落ちていました。
サーカスをやめても常に木片を挟んで外出するのはスパイの性なんでしょうか。
侵入していたのはリッキー・ターでした。彼はサーカスから命を狙われている事を説明し女を救い出してほしいと頼みます。

ここからターの回想が始まります。

リッキーはギラムの命令でイスタンブールでソ連の使節団員「ボリス」に接触しようとしますが、彼を尾行しているうちに
彼は何の役にも立ちそうにない男だったのでギラムに「取引中止」と連絡して帰国する予定でした。
ちなみに連絡はテレックス?のようなものを使って数字を打っていくんです。暗号なんですね。

だけどボリスの内縁の妻「イリーナ」に恋をしてしまいます。イリーナとデートしていたある日突然彼女が
自分の持っている情報を条件に西側に亡命させてほしい。すぐにあなたの上司に伝えてと言います。
リッキーは本部に「サーカスにとって重要な情報」そして「二重スパイがいるかもしれない」と伝えてしまいました。
ちょっと目立ちたかったと本人言ってますが、二重スパイがいるかもしれないサーカス本部に「二重スパイがいるよ」と、
報告してしまったためにイリーナはソ連側に捕まってしまい、リッキーも追われてしまうことになります。

イリーナさん。めっちゃ美人です。

「イリーナを愛しているんです。救ってください」スマイリーに懇願するリッキー。

スマイリーはギラムにターが暗号を送った1973年11月の保安課の記録を盗んでね、と命令します。
「ただし君が捕まっても助けることはできないし私の名前も出すなよ」

それは危険が伴う任務だという事を示唆しているようでしたが、それでもギラムは引き受けます。
ここは好きな場面のひとつです。
一見やさしそうなスマイリーですが実は冷徹なスパイなんだという事、
そして自分のケツは自分で拭くのが鉄則なのが(他に例えはないのか?)この世界なんですね。

またしても緊張するギラム君ですが今回はちゃんと策を練った模様。
入口で鞄を預け種類保管室に行き目的の記録を見つけたところで車の修理工を装ったメンデル警部から電話がはいり
保険会社の電話番号を知りたいと言いギラム君が鞄を持ってきてもらい番号の書いたメモを取り出す振りをして
鞄の中に記録があるノートをしまいます。

この時修理工場でかかっていた曲が「Mr.Wu's a Window Cleaner Now」という曲で修理工たちがノリノリになっているのが映っています。

ホッとしたのもつかの間、ギラム君はアレリンに呼び出されます。
部屋に入ると幹部が勢ぞろいしていました。

「リッキー・ターとは最近会ってるか?」アレリンの質問に、
「毎日お茶してますよ」と笑顔で冗談を言うギラム君ですがちょっとそのジョークはタイミング悪すぎです。KYです。

あれ?でもちょっと空気おかしい?と気づいた時にはちょっと遅かったです。

「リッキー・ターが脱出用のパスポートで帰国しているんだ。何を企んでいるんだ?お前も逮捕するぞ。」
さんざん脅かされるギラム君。だけどスマイリーからリッキーの事は知らされていないので、ここは堂々と
「知らないし、疑われるのは迷惑だ!」と反論します。
この時のためにギラム君に何も知らせなかったスマイリーは本当に老獪なスパイです。

話しはちょっと逸れますがギラム君のスーツがいつもステキなんですよね。
特にネクタイとチーフはベネディクトの瞳の色に合わせているのかいつもキレイなブルーで。


閑話休題。

帰り際にミスターウーを歌いながらすれ違うブランド。
その歌は修理工場でかかっていた事に気づいたギラム君は電話が盗聴されていた事を知ります。
ブランドは盗聴している事を知らせる事によって「監視してるからな」と脅しています。


サーカスを出たギラム君はスマイリーの元へ急ぎますが、スマイリーの家に行くとちゃっかりリッキー・ターがいたので
取るものもとりあえず、一直線にリッキーに向かって行きます。

「お前のせいで俺は疑われたんだ!」
スマイリーは冷静に制止し、リッキーの置かれている立場を説明します。
そして11月20日の記録を見ると切り取られたあとがありました。その日付はリッキーがもぐらがいることを打電した日でした。

ホテルに戻ってきたギラム君はスマイリーに「少し休みたい」と言います。命がけで書類を盗みだしたり脅されたり、
しかもいくらギラム君本人の身も守るためとはいえリッキーの事も知らせてくれないし。
「もう僕は疲れましたよ、ジョージ」と心の中で言ったに違いありません。

そんなギラム君を察してか、スマイリーは部屋まで引っ張っていきます。

何だか浮気場面をフライデーされちゃったような画像になってしまった。

カーラとの出会いをギラムに話し始めるスマイリー。ここから回想になります。
1955年フルシチョフ体制のもと世界中のKGBが大バーゲンに出されることになり、
スマイリーは彼らを西側に連れていく仕事をしていました。
カーラも国外で活動をしアメリカに逮捕されソ連に送還される途中でスマイリーと会います。

ソ連に帰れば処刑は確実。スマイリーはカーラを説得しますが結局ソ連に帰ることを選びます。
でも今でもKGBにいてしかももぐらの黒幕なんだから処刑を免れたって事でしょうか。
なぜ処刑されなかったのか、
映画の中では明確にされていませんので想像するしかないのですが、もしかしたら原作には書いてあるのかもしれません。

回想シーンですがカーラは出てきません。スマイリーが向かい側にカーラがいるように振舞いながら話し続けます。
一人芝居にも関わらず飽きさせる事無く話し続けるゲイリー・オールドマンの凄さを感じる場面でした。
それをじっと聞き入るギラム君。

最後にスマイリーは「君は今日から監視される。整理するべきことはやっておけ」とギラム君に言います。

ギラム君は自宅で待っている恋人のリチャードに(!)別れを告げます。
「好きな人がいるんならそう言ってくれ。理解するから」
リチャードの言葉に何も言えないギラム君はリチャードが出て行ったあとひとり泣きます。

リチャードさんがおっさんだったので最初はびっくりしましたが、
この映画のスクリプトなどを翻訳してくださってるのを読んだりすると、もっと沢山この二人の場面があったようでね。
やさしいリチャードさんとか人目を警戒しながらもこの幸せを守ろうとするギラム君とか、私生活があったようです。
カットされたのか撮影されなかったのかわかりませんが、上のシーンだけだと何だかちょっといろいろと説得力ないと思うわ。

その4に続きます。

裏切りのサーカス その2

2013-06-28 12:08:17 | 裏切りのサーカス
Tinker Tailor Soldier Spy 続きです。


スパイを題材にしてるけど、派手なアクションも危険なスタントも撃ちあいも無い静かな映画です。
特に主役のスマイリーは己の経験と勘と頭脳を基に感情を荒げる事無く淡々と任務をこなしていくのですが、
その姿にいつの間に引き込まれていきます。渋く抑えた演技が光るゲイリー・オールドマンをはじめ皆さん本当に素晴らしいです。

ここから自分の整理も兼ねてあらすじを追いながら感想を書いていきます。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

1973年ロンドン。
英国諜報部「サーカス」のリーダー、コントロールがジム・プリドーを呼び出し、ハンガリー行きを命令します。
亡命を希望しているハンガリーの将軍から情報が聞き出せるかもしれないと考えジムを派遣します。
コントロールはMI6に潜む2重スパイの存在を疑っていました。
「誰も信じてはいけない」コントロールの言葉がこの先を示唆しています。

ハンガリーで将軍の仲介役と会うジムですが様子がおかしいので一旦その場を去ろうとした瞬間撃たれてしまいます。
仲介役はKGBでその場所もKGBの手先たちに見張られていました。

自分以外の人物がほとんど関係機関の人間だったんですよねー恐ろしい世界です。
ここではまだジムの生死はわかっていません。

「サーカス」の会議室では幹部が勢ぞろいしています。
責任を追及されたコントロールは右腕だったスマイリーとともに引退することになり、書類に署名をして去っていきます。
新しいリーダーはアレリンです。

ちょっと複雑な構造の「サーカス」内部を歩いて行くふたりを悲しい顔で見送るピーター・ギラムやコニーの姿がみえます。

門の前で無言で顔を見合わすふたり。これが最後の別れとなってしまいます。
辞職後コントロールは死亡します。死亡の原因は明確にされていませんが自殺かもしれないしKGBの暗殺かもしれないですね。

その頃、アレリンとブランドは「ウィッチクラフト作戦」のために経費を認めてほしいと英国政府の諜報機関監査役、
レイコンに掛け合います。作戦の要、情報提供者となるソ連の文化担当官、アレクセイ・ポリヤコフと密かに会うための
家の家賃なので公に出来ないと言います。

レイコンに緊急の電話がかかってきます。
リッキー・ターと名乗る男は自分の身元はピーター・ギラムだけに確認してくれと言います。

レイコンがギラムに電話をし、スマイリーを連れてオフィスに来るように言います。
(この時点でリッキーの存在はギラムには明かされていません)

コントロールやスマイリーの失脚でギラムさんも閑職に追いやられたんですよね。
このペン落としちゃった、は慣れないオフィスで落ち着かないよって事ですか?

リッキーから「もぐら」の存在を明かされたレイコンはスマイリーにモグラ探しを依頼します。
実はレイコンはコントロールから「もぐら」の話を聞いていましたが、「被害妄想」だと判断していました。
しかし、今回のリッキーからの話で信憑性が出てきたため調べることにしたようです。
元々コントロールやスマイリーの時代の遺産である事と今は外部の人間だからと説得されました。

スマイリーはギラムとコンビを組むこ事と警視庁のメンデル元警部もチームに引き入れる事を条件に承諾します。

ここから「もぐら」探しが始まります。
時間軸が過去にいったり現在に戻ったりするし登場人物も多いしウィッチクラフト作戦も含めた複雑な背景もあったりで、
状況の把握がかなり難しいのですが、気楽に楽しむ事も大切です(笑)

行動開始です。
ホテルアイレイを拠点にし、まずはコントロールの自宅を調査します。
しばらくするとギラムが何かを見つけたようでスマイリーのほうを振り向きます。

やっぱり襟を立ててるし(笑)
ギラムが見つけたものはチェスの駒にサーカス幹部4人の写真と名前がつけられていたものでした。

パーシー・アレリンはティンカー。ビル・ヘイドンはテイラー。ロイ・ブランドはソルジャーでトビー・エスタヘイスはプアマン。
おお!タイトルに繋がった。これだったのですね。
て、事はスパイはプアマン?とか思っちゃいましたけどね私。

場面は過去に戻りスマイリーの回想。
「サーカス」の会議室。アレリンがウィッチクラフト作戦で入手した情報がいかにもな内容なのでコントロールが問題にしています。
「西側が欲しがりそうな情報なのが怪しいけど本物かもしれないよ」とビルが中立の立場をとります。
アレリンは、入手先のポリヤコフの身元は秘密だとし最高機密にすることも既に政府にも了承を得ていたので上司である
コントロールの頭越しに進められていることに憤慨します。

そして現在。
チェスの駒はスマイリーもありました。
更にKGBの大物「カーラ」の名前の駒もあったのをみたスマイリーはギラムにサーカスに保管してある退職者の一覧と
アレリンの下で再編成された組織図をとってきてくれ、使われた経費の詳細もだ、と指示をします。
ぶっちゃけ泥棒してきてねって命令ですよね、これ。
ドキドキと本部に入りキョキョロと厳重に保管されているキャビネットから書類を抜きとり「はー」とエレベーターで
うな垂れていると後ろにいたブランド(ソルジャー)が話しかけてきます。

内心「ひえー」のギラム君、その場を凌いで立ち去ろうとすると更に「どこに行くんだ?」と聞かれて「ランチ」と
答えると「一緒にいく」とブランドがくっついてきます。

ここでこの場面は終わるのですが、実はこのあと二人のランチシーンも撮影されていました。カットされたんですね。
ブランドが「職場に秘書たちがコントロールを恋しがってパーシーをこけにしてる。当分期待できないな」
ギラム君が「何を?」と聞くと「忠誠心」と返ってきます。

そして「タバコあるか?」とおもむろにギラム君のジャケットを探り慌ててギラム君が「そっちじゃない」とジャケットを取り返します。
彼らはギラム君が何か嗅ぎまわっている事を感づいているようで、この時もギラム君が何か持ち出したんじゃないのか?と
言わんばかりにジャケットをごそごそしたりしてギラム君を脅してるような場面でした。
この時の動揺を隠して平静を装うギラムくんですが、何気なくキョドった表情作るの、この人は本当ににうまいですね。

このシーン何でカットしちゃったんでしょうね、もったいない。
サーカス幹部がこの頃から既にギラム君を疑っていた事、そしてコントロールのカリスマ性がよくわかるシーンなのに。

退職者リストを見ているとコントロールとスマイリーが辞めた2週間後にコニー・サックスが退職したと記録にあったので、
スマイリーは彼女の訪ねるためオックスフォードに向かいます。

外務英連邦大臣とレイコン次官がスマッシュで運動しているところへ、アレリンが現れます。
アメリカの情報機関に接触することに消極的だった大臣を説得しにきました。
「ウィッチクラフト作戦でアメリカの価値のない情報をソ連に流しソ連から重要機密を流させます。なのでアメリカの情報機関と情報を共有することが重要なんです。これからはアメリカと関係を築いていかなければなりません」
その言葉に大臣は了承します。

コニー・サックスを訪ねるスマイリー

彼女は退職したのではなく解雇されたと言います。
在ロンドン大使館に文官として着任しているポリヤコフが文官ではなく軍人だということを突き止めアレリンに報告します。
カーラが元軍人を集めて組織を作り「もぐら」として潜り込ませているという噂が真実だという確信を持ちます。
しかしポリヤコフはウィッチクラフト作戦でソ連とのパイプ役を務めていたので報告を一蹴し、さらに解雇してしまいます。

コニーは昔を懐かしむように写真を出してきてスマイリーに見せます。
そこにはジム・プリドーとビル・ヘイドンの仲良し写真もありました。


そして場面は再び過去に遡ります。サーカスのクリスマスパーティでした。
みんなが楽しそうに歌をうたいながら歓談しています。

最愛の妻、アンとスマイリー。

ギラム君も楽しそう。

ちょっと怪しい雰囲気のジムとビル・ヘイドン。

そしてアンさんにちょっかい出す気満々のヘイドンさん。

今はもう集まることのできないメンバーがそれぞれ抱えてる思惑を胸に秘めてこの時だけは楽しんでいる、
そんなせつない場面ですが、もう既に悪夢は始まっているんですよね。

その3に続きます。


裏切りのサーカス その1

2013-06-23 01:47:06 | 裏切りのサーカス
原題: Tinker Tailor Soldier Spy 「ティンカー テイラー ソルジャー スパイ」

略して「TTSS」
タイトルが長い!しかも意味不明、邦題も更にまったく意味不明。
サーカスって何?サーカス団の話?映画を観るまではほんとにそう思っていましたよ、私。

この映画、初めはベネディクト目当てで観たのですが観てびっくり!面白かったです。観てよかった。
でも、背景も人物相関も難しくて・・・最初観たときはあまり理解できずに終わってしまいました
もちろん、そこを理解できなくても発端と結果はちゃんとわかるし、人物たちの駆け引きも面白いので
ぐいぐい引き込まれていくのですが、そうなるともう一度観たくなるじゃないですか。
で、すぐに二度目の鑑賞。
今回は結果を踏まえて観ているわけですが、初回でわからなかったいろいろな仕掛けがよく見えてきて更に面白い。

「一度目あなたを欺く、二度目真実が見える。」
この映画のキャッチコピーですが意味がわかりました。その通りです。

元MI6のジョン・ル・カレ原作、制作総指揮で2011年公開、日本では2012年に公開されています。
内容を1行で言うと「英国諜報部に2重スパイが潜んでいる。裏切り者は誰だ?」だと思います。

↑この中の誰かがスパイなんです。
時間ができたら原作も読みたいですね。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。


背景は1970年代、東西冷戦下。英国諜報部MI6、通称「サーカス」とソ連のKGBとの情報戦が繰り広げられていました。
主な人物紹介です。
ジョージ・スマイリー@ゲイリー・オールドマン
「サーカス」幹部のひとり。リーダー「コントロール」の右腕。

ゲイリー・オールドマンは「レオン」の時のイメージが強いのでこれを観たときは年とったなーと。
渋いおじさまになりましたね。ハリー・ポッターにも出てたらしいのですがうーん、あまり記憶にないです。

コントロール@ジョン・ハート
「サーカス」のリーダー。「もぐら」の存在をいち早く察知して動きますが阻止されてしまい失脚。
スマイリーとともにサーカスを引退しますが、すぐに死亡。

聞いたことあるお名前だなーと思っていたらエレファントマンを演じた方なんですね。

ビル・ヘイドン@コリン・ファース
「サーカス」の幹部。コントロールが名付けたコードネームは「テイラー」
スカルプハンターのジム・プリドーとは親友であり愛人であったとも。
スマイリーの最愛の妻、アンと不倫関係になっています。

まさかコリン・ファースが出ていたとは 相変わらず可愛いなー。50過ぎたおっさんに「可愛い」もアレですが。
何でしょうねー、表情もしぐさもとても可愛いという形容詞になってしまう不思議な魅力を持っています。
ベネディクトとのツーショットは私にとってはハーレム状態(笑)

ハーレムその2


ジム・プリドー@マーク・ストロング
冒頭でコントロールにハンガリー行きを命令されたのをきっかけに巻き込まれてしまう「サーカス」スカルプハンター。
スカルプハンターとは「首狩り人」で殺人とか脅迫などを行う、実働部隊だそうです。汚れ仕事専門て事でしょうか。

ビル・ヘイドンとツーショットの写真も出てきますが、親友というより恋人説が多いです。
ビルが同性愛者だという事もあるのかもですが、恋人のほうが後々しっくりくるように思います。

ピーター・ギラム@ベネディクト・カンバーバッチ
「サーカス」スカルプハンターの責任者でリッキー・ターの上司。
水面下でスマイリーと「もぐら」探しをします。公式サイトにスマイリーから絶大な信頼を得ていると書いてありましたが、
ギラムがスマイリーを崇拝しているほうが正しいと私も思います。
同性愛者で一緒に住んでいる彼氏がいます。(何故同性愛者設定??)

最近ベネさんの人気とマスコミ露出度がすごいです。現代版シャーロックの人気もさることながら、
ハリウッド映画「スタートレック イン・トゥ・ダークネス」に出演したのも大きいんでしょうね。

リッキー・ター@トム・ハーディ
「サーカス」スカルプハンターでギラムの部下。
イスタンブールで活動中、行方不明に。KGBに潜む2重スパイから「もぐら」の存在を知らされ、陰謀に巻き込まれていきます。

「バンド・オブ・ブラザーズ」がデビュー作とありましたが、私としたことがまったく記憶にないんです。
しかも「インセプション」のイームス役で知名度を上げたそうですが、イームスって誰??どうしよう全然覚えてないわ。
インセプションは映画館で2回、DVDで3回も観たのに。。。。私の中のHDD壊れてる?

パーシー・アレリン@トビー・ジョーンズ
「サーカス」幹部。コントロール引退後リーダーになる。
KGB幹部を情報提供者とした「ウィッチクラフト作戦」を推進する人物。コードネーム「ティンカー」

「アメージング・グレイス」にも出てましたね。個性的だから出てくるとすぐわかる(笑)

ロイ・ブランド@キーラン・ハインズ
同じく「サーカス」幹部。コードネーム「ソルジャー」

この方も「アメイジング・グレイス」に出ていました。しかもトビーさんと仲良しでした。

トビー・エスタヘイス@デヴィッド・デンシック
「サーカス」幹部・コードネーム「プアマン」
スマイリーの後ろ盾で今の地位に就くがスマイリー引退時には平気で「バイバイ」と手を振っちゃう、
時の権力者を渡り歩くタイプ。どこにでもいる「スネ夫」くんです。


コニー・サックス@キャシー・バーク
「サーカス」調査課に所属する優秀な捜査官。真実に近づいてしまったためコントロール、スマイリーとともに
引退を余儀なくされる。良き時代のサーカスを知る人物でお母さん的存在のようです。


イリーナ@スヴェトラーナ・コドチェンコワ
KGBの女スパイ。イスタンブール活動中リッキーと出会い恋愛関係に。
リッキーに「もぐら」の情報と引きかえに西側の亡命を希望するがKGBに知られてしまい後に死亡。

それにしても東欧の女性って美人が多いですよねー。

主要人物はこんな感じです。こうして見ると本当に多いです。名前もよく覚えられないので最初はここで混乱するんですよ。
相関図はこれです。小さくてごめんなさい。これを見れば背景がかなり理解できます。


その2からあらすじになります。