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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

The Great Game Audio Commentary その12

2019-03-16 09:11:12 | Sherlock S1E3 Commentary


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BC:今更ながらスコアを作ったデヴィッド・アーノルドに敬意を。
才能あふれる映画音楽家だ。マイケル・プライスもね。
厳しいスケジュールの中ごく短期間ですばらしい仕事をしてくれた。
僕が完成版を見るのはこれが初めてだ。

シャーロックがバイオリンで半音階を練習している音と
バックのオーケストラが違和感なく共存している。
まさに古いホームズと現代のホームズの融合だ。

このシリーズが持つ現代的なテンポと
古いホームズの世界が持つクラシカルな雰囲気が完璧に溶け合っている。
MG:躍動感のある現代的な曲でも古典的なムードがある。バイオリンの音も浮き上がっていない。
キャッチャーなテーマ曲を望んでいたがまさに風呂場で歌える曲が完成した。
「ブルース・パーティントン設計書」の物語が山場を迎える。

MG:映像化で苦労したのは車両の屋根に死体が載っている場面だ。
おそらく史上初だろう。
それも当然だ。21世紀の今でもなお難しい。
建物の窓辺を通っている地下鉄や電車などめったにない。
何とか探し出したけどね。

BC:地道なロケハンの賜物だ。
MG:このシーンも原作への「目配せ」だ。
ウェストの婚約者の兄「ジョー・ハリソン」はダグ・アレンが演じた。
「ブルース・パーティントン設計書」の前身ともいえる「海軍条約文書事件」と言う物語がある。
それに出てくる殺人犯の名を取った。気づく人は気づく。スティーヴンなら確実だ。
BC:お見事。

MG:美しいショットだね。
BC:本当に。
だからこそ僕らも安心して演じられたんだ。
ホームズの再解釈、つまり現代版を手掛けるのが君たちのように原作を知り尽くしたふたりだからね。
関連情報にも詳しいしキャスティングも絶妙。
だから細部に至るまで見ごたえがある。きっと原作ファンも・・・
MG:彼らは気難しいよ。
BC:いや、完璧な現代版だと思うよ。脚本を読んですぐに不安が吹き飛んだ。
MG:僕たちはこのシリーズの成功を心から誇りに思っている。
すべてはホームズへの愛から生まれた。
子どものころに胸を躍らせた物語に対する愛だ。
僕たちはこの物語の大切な核心であるホームズとワトソンの友情を描きたかった。
また本作はシャーロキアンの夢でもあるあまり知られていない原作の細部まで取り入れている。
軽い気持ちで観ている人には無意味でも熱心なファンが喜ぶ要素をちりばめてある。

(ウェスティが階段からおちる場面)
BC:すごいスタントだ。初めて観たよ。
MG:いよいよ問題のシーンだ。
バタシーの貨物操車場で夜の撮影を行った。
本物の車両の屋根に死体を載せてね。
その時だ。驚いたことに列車が脱線したんだ。
「撮影など許さない」と言わんばかりにね。
BC:そうだったね、忘れていたよ。
ダグの演技はすごくいい。
MG:以前にもポールと仕事を。
BC:ああ、そう聞いている。
脇役に至るまで考え抜かれたキャストばかりだ。
もちろん脚本の力もあるしポールの役割も大きい。

BC:いい映像だ。
MG:列車の分岐器に目を付けたドイルは天才だ。
地下鉄に乗っていて浮かんだ案かも。
原作ではマイクロフトの手紙で線路近くに住む人物が明らかに。
ホームズは彼が死体を屋根に載せたと確信する。
とはいえ、名探偵でもミスは犯す。
この事件は単にミサイル設計図を巡るものだと思っている。
だがすべてはある人物のゲームの一部だ。


MG:誰だと思う?(応答なし)黒幕は?
BC:あ、ごめん、見入ってた。
ホームズが俗悪な番組を観ているところがいい。

MG:彼はここでも推理をしてるがうれしいことに詳しいプロセスは書かずに済んだ。
ドイルと同じだ。
BC:君は得意だろう?
MG:「彼は父親じゃない。ジーンズの折り返しを見ろ。」
このセリフだけで済んだので楽だった。夢のようだ。
BC:チャイニーズレストランのドアと同じ。
MG:豆の缶詰を頼むところがいい。
ふたりとも独身だからよく食べるはずだ。

BC:コートにくるまる姿から寒さが伝わる。
少し前に窓を吹き飛ばされたからね。
MG:ガス漏れじゃない。
BC:その通りだ。だからガスストーブは使えた。
MG:実によく考えられている。
神経が行き届いているね。
BC:おかげで僕は温かかったよ。



続きます。

このドラマは音楽も良いですよね。
OPはもちろんですがS2のアイリーンのテーマやライヘンバッハも大好きです。

各方面の才能あふれる方たちが参加していますが
モファティスのホームズへの情熱が吸引力だったのでしょうか。
そう思うとやっぱり後期はモファティスの情熱が薄れていったのかな、と。

何度も書いているような気がしますが、
S1S2の良さのひとつはジョンとシャーロックのバランスですよね。
S3以降と比べると圧倒的にバランスが良いもの。

ジョンが背中を守っているからこそシャーロックが自由に動ける、
というシチュエーションが最高に好きでした。

The Great Game Audio Commentary その11

2019-03-13 19:27:04 | Sherlock S1E3 Commentary


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コメンタリー続きです。



MG:ここは?
BC:駐車場だ。いやロンドン橋の近くだな。
MG:シャーロックは原作の中でストリートキッズを情報源として使っている。
原題なら誰を使うだろう?
少年グループを使うと「オリバー・ツイスト」のファギンみたいだ。
では「ビッグイシュー」の販売員なら?

街のあちこちで売っている姿を見て彼らなら監視カメラのようにいろいろと見てると考えた。
シャーロックにうってつけのネットワークだ。
彼らに多額のチップを払うことで街の情報をもらう。
ゴーレム役はジョン・レバー。身長218センチだ。

BC:200と・・・?18センチ。
MG:ほぼ君と同じだ。


MG:このシーンはカーディフ博物館で撮影した。
実をいうと我々のすぐ隣の部屋では「ドクター・フー」の撮影をしていた。
その日は当然博物館は閉館していた。貸し切り状態だ。
一度ドアについた丸窓から隣をのぞいたら君たち二人がトランプをしているのが見えた。
驚いたが彼らは代役だったよ。
BC:代役なんていないよ。
MG:ああ、失礼。

BC:企業の名前は出すなと言いながらスタントマンの存在は明かすのか?
MG:言ってみただけだよ。
ふたりは君たちにそっくりだったんだ。
だんだんどっちが本物か分からなくなったほどだ。
MF:僕もベネディクトと間違えてよく代役とセリフ合わせを。
本人とよりもうまくいったよ。
MG:第1話はほぼ代役が。
BC:僕よりもセリフを覚えていた。


MG:ここの映像はカメラのマットボックスを外して
通常は嫌われる光のにじみをあえて取り入れている。
丸い形がテーマである惑星を思わせる。
BC:マイケル・マンの監督作みたいだ。
MG:戦局は僕たちのほうが上だよ。
BC:スタッフのおかげだね。
MG:ボイスオーバーはピーター・デヴィソン。
BC:やりがいがあった。

BC:自分で演じたがひざを痛めてしまったよ。


MG:超新星のテーマと通じている。
BC:シャーロックはついにいら立ち始める。
MG:ピリピリした緊張感のあるシーンだ。
観ていてハラハラする。
MG:ここで聞こえてくる子どもの声はスティーヴン・モファットとスーの息子が担当した。
BC:将来のため彼の宣伝を。
MF:仕事をくれる。
BC:大人になったらね。

BC:緊迫の場面だ。
観ている人も同じ気持ちだといいけど。
MG:当初は編集のチャーリーの声を使っていた。
音の高さを変えると不気味に聞こえた。
「10・・・9・・・」
BC:君と初めて脚本の読み合わせをした時を思い出す。
子どもの声を聴いて背筋がゾクゾクした。

MF:確かに怖い。
MG:この作品が持つダークな部分だね。

MG:少し前にも話したが本作の現実離れした表現について2点述べておく。
まず彼らはお金がないのにしばしばタクシーに乗る。
原作では辻馬車に乗っているから路線バスに乗せるわけにはいかない。
もう1点はさらに現実離れしている。

BC:またテロップだ。

MG:彼らの携帯は常に圏内だ。
僕が使っている携帯は自宅でさえ圏外の時が多い。
でも物語の世界では常に電波はばっちり。
MF:夢の世界だ。
MG:謎解きに必要だからね。
BC:確かに。時々電波が弱まる設定にしてもいいかも。

MG:世界の終わりだ。
ウェンセスラスは今回のチェコがらみのネタのひとつだ。
視聴者の注意をそらすためボヘミアの封筒やチェコの名前が登場する。
すべては真実から目を背けさせるためであり最終的に深い意味はないことが判明する。
ただしその部分はカットしたけどね。
いよいよクライマックスだ。
我らがモリアーティはハリー・ポッターで言う「あの人(ヴォルデモート)だ」

MF:そろそろ行くよ。
MG:はい?
MF:帰らなきゃ。
MG:本気か?
MF:うん。初めて観たけど退屈で・・・もう観なくてもいいや。
僕は行くよ。本当は胸が痛むけど。誰か代役を頼むね。
MG:ベネディクトが君の役を演じるよ。
MF:アラン・リックマンは?
BC:(モノマネで)いや、君の役をやる。
MF:ジョナサン・ロスだね。
BC:わかる?
MF:リックマンを。
BC(モノマネで)いや、それはできない。
マーティンのマネは難しいな。僕にはできない。
MF:じゃ、行くね。
BC:(モノマネで)やあ、リックマンだ。
これから1分ほどマーティンの代わりを務める。
いよいよ第3話もクライマックスだ。


続きます。

星を見上げる場面とフェルメールの場面と最後のスコットランドヤードの場面が
好きすぎて画像を選ぶのが大変でした。
特にスコットランドヤードのシャーロックの美しさは尋常ではありません。

この頃は線も細かったから余計にそう感じるのかも。


The Great Game Audio Commentary その10

2019-03-10 10:38:53 | Sherlock S1E3 Commentary


コメンタリー続きです。


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MG:第3話はクライマックスなのでスケールを大きくしたかった。
カウントダウンの緊張感を保つことは至難の業だったよ。
画面の下に時計を出しておくわけにもいかないし。
刻一刻と迫る恐怖を感じさせつつ人物の成長や笑いも描きたかった。
だが今回のテーマは自爆攻撃だ。
一度始まってしまうと途中でのどかな要素を入れる余地がない。

BC:君が脚本を客観的な視点から書き直すという話に戻そう。
第三者の目が必要ということでスティーヴンや他に人に見てもらうんだね?
MG:そう。でも本当に気に入ったジョークや思いつきは最後まで捨てずにおくよ。
どんなにささいな案でもシーンのオチとして使えることがある。
時には物語全体のオチとしても。

MG:子どものころに読んだロアルド・ダールの文章に執筆の秘密に触れた部分があった。
運転中に物語の案が浮かんだが紙もペンもなかったので
車を止めリアウィンドウに指で書いたというちょっとしたトリックやアイデアだ。
とはいえ気に入った案も物語で浮くようだったら潔く捨てるしかない。

MF:彼女はアリソン。演劇学校で一緒だった。
BC:学校はたくさんあるよね。
MF:僕の母校が一番さ。
BC:「アリソン」も「マーティン」も多いけど君たちが一番だ。
MF:「フリーマン」も多い。モーガン・フリーマンとかね。

MG:贋作事件の手掛かりとなる超新星のアイデアだが・・・・
視聴者にヒントをどの程度与えるかは常に悩みの種だ。
自分の脚本を読みなれてしまうと明白すぎると不安になる。
だが隠し過ぎると見る人はチンプンカンプン。
ここではアレックスが星が好きだったことをさらっと描くだけに留めた。
だがあとに、あおの場所のシーンで・・・あー・・・言葉が出てこない。

MF:ギャラリー?
MG:思い出した、プラネタリウムだ。
BC:僕たちに頼っても無理だよ。初めて見るんだから。
MG:確かに。
プラネタリウムでケアンズ教授が殺され解説のテープが繰り返し再生される。
これが記憶に残るはずだ。
「多くの星はすでに死に・・・」
このようにバランスを考えながらヒントを出していく。

MF:このテロップはすごいね。
カメラが引くと壁に映っているように見える。
こんな演出見たことないよ。
MG:我々のテロップの使い方は各方面に絶賛されたよ。
僕の願いはこれを機に携帯画面の見苦しいアップが減ることだ。
MF:シンプルかつ効果的だね。ここで注目。

BC:見てくれ、変じゃないか?
(みんな爆笑)
BC:マークはアクセントの練習をさせてくれなかった。
MG:彼の武器は純粋な演技だけ。
いつものコートと同様襟を立てるのは僕の案だ。
立てないと・・・・
BC:妙だった。
MG:クールさが足りなかった。
ここでぜひ言っておきたい。
アーウェル率いる美術チームはすばらしい仕事をした。
体力の限界まで働いてくれたよ。
本当にリアルなフェルメールだ。
ただ板絵にしなかったことが心底悔やまれる。

BC:悔いの多い人生を送ってきたのは僕も同じだよ。
残念だったね。


MG:この場面でポールが言っていた。
「EastEnders」になってしまうと。
メロドラマ調のショットが多いので違うドラマを撮っている気分になったらしい。
MF:ポールは才能豊かだ。これまでにも素晴らしい映画を撮っている。
MG:彼と仕事をしてみての感想は?
MF:正直に?最悪だった。
嘘だよ、楽しかった。会った瞬間に好感を持った。
服のセンスもいいし、「信頼できる」と。

MG:服で判断?
MF:間違ってないはずだ。内面は外見に表れる。
ポールはいいよ。俳優としても魅力的だし。
MG:俳優じゃないよ。
MF:監督役を演じているのかと。
彼は俳優を尊重し僕らの仕事をよく理解している。
理想的な監督だ。

MG:見れば明らかだがあえて言おう。
このシリーズの映像は隅々まで見事だ。
撮影監督のスティーヴの手腕ももちろんある。
自分たちを褒めすぎるのも何だがこれほど美しい映像はテレビではめったにない。
映画的だがこれみよがしではない。
控えめで上品な映像だ。
スチールにしてもいいような見事なショットがたくさんある。
アクションでも慌ただしい見せ方はせずにフレーミングが美しい。

MF:こういうショットも大事な役割を担っている。
さっきポールの服の話をしたけど彼の美的センスは本当に優れている。
でもそれが物語や登場人物のセリフの邪魔をしたりはしない。
MG:まったくだ。
ここで触れておくがこれは本物のベイカー街ではない。
ノース・ガウワー通りだ。理想的なロケ地だった。
ベイカー街で撮る案もあったがやめて正解だった。

MF:ベネディクト、お帰り。
MG:席をはずしてた。
ベイカー街で撮影していたらさぞ大変だったろう。
物語の世界に合わせての装飾も必要だしあそこは交通量も多い。
(ふたりで星を見上げる)
それに比べノース・ガウワー通りは静かだ。
建物もいいしベイカー街の北のほうに雰囲気が似ている。



続きます。

シャーロックがかるーく飛び越えるガードレールをジョンができない場面、
ここも最高に好きです。ジョンかわいいし。

シャーロックがギャラリーを出るときに
軽快にドアを押し「Have a nice day! 」と言う場面も
両手でドアを開けるのがすごくかわいくてツボでした。

場面のひとつひとつが美しくて、
スチールのどれも映画みたいだしフレーミングの天才なのでは。

監督の撮るシャーロックはきれいだしジョンもかっこいいし好きでした。
今、監督が撮るとしたらどんなシャーロックになるのか、
それはそれで観てみたいです。

The Great Game Audio Commentary その9

2019-03-03 10:48:12 | Sherlock S1E3 Commentary


コメンタリー続きです。

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MG:ここでも思わぬ事態が起こる。
BC:この時のホームズはこう言わんばかりだ。
「しまった、ひとり失った。」
失点を悔しがっている。
MG:彼の冷徹さが際立ってるね。本音では負けを認めていない。
MF:彼とワトソンの違いがよくわかるシーンだと思う。
ふたりは違う視点から世界を見てる。

BC:ストーリーの最後には和解がある。この対立はそのために必要なんだ。
MF:その通りだ。
BC:僕としては気に入っている。
これまでは難しい推理の連続で見てる人も話を追うのに忙しかったはず。
でもここは推理ではなくホームズと言う人間を描いているからね。
MF:物語の進行を妨げることなく大切な情報を伝えてるね。彼らの人となりがわかる。

MG:物語の流れにおいて中休みとなる場面でもある。
二人の関係性がよくわかるシーンだ。二人はここでお互いの違いを実感する。
ワトソンはホームズの冷徹さに不信感を抱いていた。
だが彼の冷たさには筋が通ってるんだ。
「気にすれば助かるのか」まさに正論だ。
BC:実際の探偵や警察官、救急隊員の仕事にも同じことが言えると思う。
もちろんそういう仕事をするにはある程度の思いやりや感情移入は不可欠だろう。
だが現場のプロとしては冷静にならないと困っている人を助けられない。

MG:ワトソンも医師だから分かる。
MF:世間には利己的な医師も多い。皆がガンディーにはなれない。
ガンディーにだって欠点はある。

MG:「ガンディー医師」か。
MF:いいセーターだ。

MG:ブランドもの?
MF:そうだよ。僕のお気に入りの店だ。
BC:店はたくさんあるよ。どこの店?
MF:ビーク通りの「アルバム」
BC:素材がいい。
MF:店はほかにもある。
BC:確かにソーホーには服の店が多い。
僕の服はスペンサー・ホール。
MF:スペンサー・ハートだ。
BC:しまった。いつも間違えるんだ。
僕の無知ぶりよりこのショットの話をしよう。

MG:ポールたちは早起きして撮影を。
MF:僕らも眠かったけど。
BC:僕は平気だ。
MF:すごく寒かった。
BC:本当にね。
MG:死体役の苦労たるや・・・・・
BC:まったくだ。僕らは厚着だし身体も濡れてない。

MG:本当に死ぬよ。
MF:献身的だな。
BC:感謝しないと。
MF:作品のために命を投げ出すなんて。
MG:テムズ川岸に遺体が上がる話は子どものころからよく読んでいた。
BC:今もよく事件になっている。
ホームズにふさわしいビクトリア時代風の舞台だ。
MG:ミシシッピ川じゃない。
BC:「父なるテムズ」さ。

MG:周囲の建造物はホームズの19世紀を思わせる。
セント・ポール大聖堂が見え、さらに開発中の現場とシティが見える。
BC:このシリーズの趣旨にぴったりだね。
ミシシッピ川だけど。
MG:当初このシリーズは6話完結する予定でゴーレムの話はその第2話で登場させようと考えていた。
エピソード自体が贋作の話だったんだ。
でもこの形になったことでゴーレムの話は10分ほどに。シャーロックの推理はより迅速になった。
当初犯人の名は「よたよた歩き(Limper)」だった。

MF:ここ好き。
MG:幽霊だね。
その後、エキゾチックな要素が欲しいと思いプラハ伝来の怪物であるゴーレムを思いついた。
殺し屋の名としてもいいし、うってつけの俳優もいる。
MF:ぴったりの人材がね。
MG:ツイてたよ。
BC:「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」にもゴーレムが。
MG:元の伝説によるとゴーレムを操る手段はただひとつ。
額にヘブライ語で「emeth(真理)」と書くと動き出し
1文字消して「meth(死)」にすると息絶える。
犯人の額にタトゥーを入れることも考えた。
だが通じないと思ってやめたよ。

MF:不要な部分を削るだけでも脚本家の苦労は大変なものだね。
一見面白そうに見えるアイデアも冷静に見極める。
BC:今回の脚本は初稿からしてすばらしかったが2週間後の第2稿があまりに進化していて驚いた。
マークはすごいよ。
MF:読み合わせも済んだのに書き直すと聞き不安だった。
でもこれはお世辞ではなく格段に良くなったよ。
BC:ふつうは撮影の都合で昼のシーンを夜にするとか、予算がないから人物を減らすとか、その程度だ。
でも今回は本格的な書き直しだった。
MF:元々いいものだったけどよりよくなった。
BC:君は天才だよ。



続きます。

シャーロックとジョンが衝突する場面は伝説と言っても過言ではないのでは。
ふたりとも絶妙な表情で心情を表現していて・・・何というか語彙不足ですみません。
シャーロックに嫌味言われてぐぬぬ・・・と新聞を見始めるジョンのほうが少し大人だったのかな。
正論を武器にするシャーロックに感情論で闘うジョン。
こんなやりとりを繰り返しながらシャーロックの情緒が育っていったのね、
と、思っていた時もありました。(泣)


6話で終わりにする予定だった話はすっかり忘れていました。
だからこそ、この6話は質が良く面白さがギューッと詰まっていたんですよね。
やっぱりライヘンで一旦終わりでも良かったんじゃないかと思ってしまうわ。
で、しばらく冷却期間をおいてから再開すればもう少し違ったかもですね。



The Great Game Audio Commentary その8

2019-02-28 21:16:37 | Sherlock S1E3 Commentary


かなり間があいてしまいましたがコメンタリー続きです。


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MG:撮影初日だ。
BC:懐かしいね。マーティン、この猫の話を頼むよ。
MF:弟役のジョン・セッションズ
MG:ステファノも。
MF:そして毛のない猫だ。
BC:ごめん、今のは内緒話だ。
MF:とにかく猫の話を。
ジョン・セッションズが着ていたシャツは生地が薄かった。
何度もひっかかれて血だらけになってたよ。
彼も勇敢だ。

MG:僕は助監督にたずねた。この血みどろの撮影が終わった時だ。
なぜ猫の撮影を初日に?って。答えに窮していたよ。
今思えば最初にやるのは間違いだった。
BC:初日はただでさえ大変なんだ。現場の雰囲気もぎこちない。
「僕がホームズです」と挨拶したりね。
猫のような予測不可能なものが来るとより混乱する。

MF:でもセッションズは予測可能だ。
BC:アメとムチを使い分ければ言うことを聞く。
MG:彼とは撮影まで親しくなかったので大のホームズファンと知らなかった。
MF:クイズ番組にも。
MG:優勝したね。彼には感謝している。こんな小さな役でよく出てくれたよ。
もっと目立つ悪役を頼むこともできたのに。
MF:彼と君とスティーヴンは3大シャーロキアンだ。
BC:次シーズンではセッションズを使って・・・
いや、なんでもない。
MG:猫の話に戻ろう。
(爆笑)
MG:猫は2匹いた。訓練済みと聞いていたが・・・・
MF:セッションズをひっかく訓練だな。
MG:その点は優秀だった。

MG:このシーンは最高だ。
「途方に暮れてる」というセリフには自分が犯人だと匂わせるムードも。
セッションズは視聴者にコニーの弟を疑わせるために君を見つめあえて暗い声で言った。
MF:距離が近くて怖かったよ。

BC:このシーンも楽しかったよ。
彼は狂暴な猫のせいで血だらけになったうえに僕にフラッシュを浴びせられる。
何度の執拗にね。
MG:この事件は事実に基づいているんだ。
BC:話して。
MG:かつてフランスである男が死に原因は破傷風とされた。足に傷があった。
だが実は義理の弟が飼いネコの爪に菌を塗ってたんだ。
MF:本当?まさにホームズの世界だ。

MF:時代は?
MG:1920年代だ。使えると思った。
BC:少し前の話に戻るけど、君と議論するためなら遡る価値はると思うし・・・・言い訳がましいな。
スニーカーを使っての推理のくだりだ。
MG:あれは原作でドイルが書いた様々な推理法を参考にしたんだ。
僕は子どものころからスクールバスの中で推理をしていた。
「ここの人たちはバスに乗る前何をしていたのか?」とね。
もちろん正解は「学校にいた」なんだけど・・・自分もホームズになれる気がしてた。頑張れば謎は解けると。
BC:そこが魅力だ。彼の推理は努力と勤勉に支えられてる。
MG:靴ひもを替えた回数が分かるのは常人離れしてるけどね。それができるのは彼だけだ。
ごく細かな部分の摩耗までを観察し推理する。あくまで物証に基づいてね。

BC:泥にも詳しい。色や質感から異なる場所の泥を見分ける。
MG:最近シリーズの最後に書かれた物語を読み直した。「隠居絵具師」だ。
記憶に残りにくいが殺人事件を書いた傑作だ。
印象的な点は2つ。まず臭いで臭いを隠蔽するところ。
殺人犯は死体の腐敗臭を隠すために部屋を塗り替える。臭いのきつい塗料でね。
2点目は犯人の義足だ。ホームズは彼の靴の片方がすり減っていないと気づく。
足が機能していないからだ。最後の物語とはいえ冴え渡っている。

BC:マーク、そろそろ映像に沿った話を。
MG:僕もそう思った。このシーンは逃せない。
(おばあちゃんと電話)
MG:リタ・デイヴィス。名演だった。ステキな人だ。
僕がベッドの足側に腰掛け君のセリフとカウントダウンを担当。
彼女はイヤホンから聞こえるセリフをそのまま繰り返していた。

MF:いい演技だね。
MG:このシーンは・・・前にも話したことがあるね。
物語の流れでは障害も必要だ。
ホームズだって苦い思いはする。


続きます。

おばあさんが爆発してしまった時のシャーロックが切なかったです。
ゲーム感覚で推理をしているけれど、彼は決して命を軽視してたのではなく
彼なりに必死で救おうとしていたのかな、と。

シャーロックの感情はわかりづらいところもあるけれど
BCシャーロックはちゃんと表情に出ているのがポイントですね。(と、勝手に思っています)


221Bでレストレードやハドソンさんと一緒にワイワイしているのも好き。
ふたりともシャーロックの保護者感がすごいあります。