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BC:今更ながらスコアを作ったデヴィッド・アーノルドに敬意を。
才能あふれる映画音楽家だ。マイケル・プライスもね。
厳しいスケジュールの中ごく短期間ですばらしい仕事をしてくれた。
僕が完成版を見るのはこれが初めてだ。
シャーロックがバイオリンで半音階を練習している音と
バックのオーケストラが違和感なく共存している。
まさに古いホームズと現代のホームズの融合だ。
このシリーズが持つ現代的なテンポと
古いホームズの世界が持つクラシカルな雰囲気が完璧に溶け合っている。
MG:躍動感のある現代的な曲でも古典的なムードがある。バイオリンの音も浮き上がっていない。
キャッチャーなテーマ曲を望んでいたがまさに風呂場で歌える曲が完成した。
「ブルース・パーティントン設計書」の物語が山場を迎える。
MG:映像化で苦労したのは車両の屋根に死体が載っている場面だ。
おそらく史上初だろう。
それも当然だ。21世紀の今でもなお難しい。
建物の窓辺を通っている地下鉄や電車などめったにない。
何とか探し出したけどね。
BC:地道なロケハンの賜物だ。
MG:このシーンも原作への「目配せ」だ。
ウェストの婚約者の兄「ジョー・ハリソン」はダグ・アレンが演じた。
「ブルース・パーティントン設計書」の前身ともいえる「海軍条約文書事件」と言う物語がある。
それに出てくる殺人犯の名を取った。気づく人は気づく。スティーヴンなら確実だ。
BC:お見事。
MG:美しいショットだね。
BC:本当に。
だからこそ僕らも安心して演じられたんだ。
ホームズの再解釈、つまり現代版を手掛けるのが君たちのように原作を知り尽くしたふたりだからね。
関連情報にも詳しいしキャスティングも絶妙。
だから細部に至るまで見ごたえがある。きっと原作ファンも・・・
MG:彼らは気難しいよ。
BC:いや、完璧な現代版だと思うよ。脚本を読んですぐに不安が吹き飛んだ。
MG:僕たちはこのシリーズの成功を心から誇りに思っている。
すべてはホームズへの愛から生まれた。
子どものころに胸を躍らせた物語に対する愛だ。
僕たちはこの物語の大切な核心であるホームズとワトソンの友情を描きたかった。
また本作はシャーロキアンの夢でもあるあまり知られていない原作の細部まで取り入れている。
軽い気持ちで観ている人には無意味でも熱心なファンが喜ぶ要素をちりばめてある。
(ウェスティが階段からおちる場面)
BC:すごいスタントだ。初めて観たよ。
MG:いよいよ問題のシーンだ。
バタシーの貨物操車場で夜の撮影を行った。
本物の車両の屋根に死体を載せてね。
その時だ。驚いたことに列車が脱線したんだ。
「撮影など許さない」と言わんばかりにね。
BC:そうだったね、忘れていたよ。
ダグの演技はすごくいい。
MG:以前にもポールと仕事を。
BC:ああ、そう聞いている。
脇役に至るまで考え抜かれたキャストばかりだ。
もちろん脚本の力もあるしポールの役割も大きい。
BC:いい映像だ。
MG:列車の分岐器に目を付けたドイルは天才だ。
地下鉄に乗っていて浮かんだ案かも。
原作ではマイクロフトの手紙で線路近くに住む人物が明らかに。
ホームズは彼が死体を屋根に載せたと確信する。
とはいえ、名探偵でもミスは犯す。
この事件は単にミサイル設計図を巡るものだと思っている。
だがすべてはある人物のゲームの一部だ。
MG:誰だと思う?(応答なし)黒幕は?
BC:あ、ごめん、見入ってた。
ホームズが俗悪な番組を観ているところがいい。
MG:彼はここでも推理をしてるがうれしいことに詳しいプロセスは書かずに済んだ。
ドイルと同じだ。
BC:君は得意だろう?
MG:「彼は父親じゃない。ジーンズの折り返しを見ろ。」
このセリフだけで済んだので楽だった。夢のようだ。
BC:チャイニーズレストランのドアと同じ。
MG:豆の缶詰を頼むところがいい。
ふたりとも独身だからよく食べるはずだ。
BC:コートにくるまる姿から寒さが伝わる。
少し前に窓を吹き飛ばされたからね。
MG:ガス漏れじゃない。
BC:その通りだ。だからガスストーブは使えた。
MG:実によく考えられている。
神経が行き届いているね。
BC:おかげで僕は温かかったよ。
続きます。
このドラマは音楽も良いですよね。
OPはもちろんですがS2のアイリーンのテーマやライヘンバッハも大好きです。
各方面の才能あふれる方たちが参加していますが
モファティスのホームズへの情熱が吸引力だったのでしょうか。
そう思うとやっぱり後期はモファティスの情熱が薄れていったのかな、と。
何度も書いているような気がしますが、
S1S2の良さのひとつはジョンとシャーロックのバランスですよね。
S3以降と比べると圧倒的にバランスが良いもの。
ジョンが背中を守っているからこそシャーロックが自由に動ける、
というシチュエーションが最高に好きでした。