午前中、昭和のくらし博物館を見学したあと下丸子駅前にある大田区民プラザで開催記念イベントに参加です(^_^)
登壇者が片渕須直さん、昭和のくらし博物館・館長である小泉和子さん、そしてなんとまさかの(失礼っ(^_^;)浦谷千恵さん!
浦谷さんが登壇されるなんて恐らく初のことでしょうし、こんな貴重な機会は見逃すことはできません(*^o^*)
やはり発言は少なめでしたが、博物館とのご縁をまじえて楽しいお話しを聴くことができました。
私も小泉さんについては昭和生活史関連の書籍をいくつか見て知っておりましたので、今回のトークはホント楽しみで、諸々天こ盛り盛りなイベントなのです(^_^)
写真はズバリ博物館の開設当時に出版されたもので、多数の写真と小泉さんご自身のご家族の思い出もこめたアルバムのような素敵な本です。新装版として再版されているようですので、興味ある方はご一読をオススメします。
片渕さん浦谷さんらもそれぞれ博物館との繋がりは多々あったようで、特に浦谷さんは「くらしの学校」に通い、修了証もあるのだとか。
何年も前から訪れる方であることは知っていたが、まさか映画監督をされていることは後から知って大変驚いたと(^_^;
その上、不思議な縁というか...小泉さんのお母様のお名前が スズさん、そしてその妹である叔母が リンさんであるということに大変驚きました!どちらも決して珍しい名前では無かったと思われるものの、その組み合わせに大きな繋がりを感じざるを得ませんね...。
博物館の理念「家を残し、暮らしを伝えて、思想を遺す」ことであると。
家は旧東京市役所で設計建築関係に従事していたお父様ご自身による設計で、住宅金融公庫の基準(この当時に家屋各部の規定が明確になったそうです)に沿って建てられたもの。最低一間を下宿として間貸しする条件で融資を受けられたそうなんですね。その関係者でもあったお父様が自らの家をモデルケースとして昭和26年に建てられたみたいです。
実際に外観と内部に上がると、想像以上にその想いが強く響いてきて「暮らしを伝える」意義を感じ取ることができます。板壁、天井、床、家具調度品が生き物のように語りかけてきて、何とも言えない気持ちにさせられる...。
小泉さん一家は平成が始まるころまで住まわれていたそうなんですが、ご両親が亡くなられ、家の処分をどうするか判断を迫られた折、なんとかこのまま残せないものか、江戸東京博物館などに相談を持ちかけたそうですが、興味をもたれなかったと。
こうなったら自ら保存のため動かれた...普通は断念してしまうところですが、強い意志をお持ちだったのですね...凄いことだと思います。今でこそ昭和レトロ云々でその価値が認められるようになりましたが、90年代においてはそんな空気はほとんどなかったと思います。
家屋がハードウェアであれば、ソフトウェアは暮らしや生活の保存。家電の普及と発達で便利になれば、それまで手作業で行われていた家事仕事の技術は忘れ去られていきます。それをも残そうと「くらしの学校」として活動もされています。
忘れられていくこと...それと対比して壊すものとして「戦争」があるというお話しも印象的でした。災害も壊すものだが、救援が期待できる。でも戦争にはそれすらもないということ。
儚い事物ともいえる「暮らし」ですが、大変な重労働でも全部愛おしいものと感じる。
日本人は暮らしへの思想が弱い...それを考える場所にしたいと。
正直聴いていて耳も痛いとも思いましたが(^_^;、本当に強い意志に支えられている理念なのだなぁと、どこか反省させられる気持ちでした。
動画による家事仕事の記録映像も拝見。小泉さんのお母様スズさんをモデルとして、盥と洗濯板を使っての選択、くけ台を用いての針仕事、そして子供に着物を着せる...私自身幼少期のころ、祖母などがやっていたような微かな記憶も重なって見えて、失ってしまったものの尊さとか儚さ...そして切なく愛おしいものとして見入ってしまいました。
でも...過去のことにしてしまい、昭和レトロだノスタルジーだと楽しみの対象にしてしまっている自分って何なんだろうと複雑な感情でもあります...。
実際に行動し、遺産として活動されている小泉さんには頭が下がる思いですかないです。
そんな小泉さんですが、「アニメとか好む世代ではないので...」と前置きしながらも、映画「この世界の片隅に」鋭い考察を披露されてました。
職業柄(歴史考証などもされているのだそう)その作品でちゃんと時代が正しく描かれているのか気になってしまうそうなのですが、生活描写全般において違和感が無いことに感心したとのこと(^_^)
その上で、すずさん・周作さんの無欲な愛情の示し方が印象に残られたそうです。
ご自身のお母様スズさんも日々の生活において家族に愛情をそそぐことに専念し、世界がどうなっているのか、戦争の状況についても知ろうとせず、その視点もなかった...それではいけないのだと、これからの私たちは無知ではいけないのだとこの作品は語っているのではないかと。
すずさんとの対比としての径子さんはモガであり、自立し自分の行く道を自分で決めた人。だからこそ、最後に すずさんに選択肢を与える役割にとても立体感を感じることができたと。
作品に対しては、こうの史代さんの原作もキッチリ読み込んでおられていらっしゃるようで、リンさんの事にも言及されてましたが、片渕さんから「まだそこは今の映画で描かれていないので...(^_^;」とストップがかかるほど熱く語っていらっしゃいました。
私自身もここまで作品の真髄をつかれているとは...と驚くばかりでした...。
最後になりますが、同席されていた浦谷さん、こうの史代さんをして「すずさんのような人」と言われたことが本当にわかった気がしました(^_^)
人前でお話されるのが本当に苦手なようで、トーク終了とともにササ〜ッと会場から出て行ってしまわれましたが(^_^;、吶々とか細い口調ながらも食事の動作の正しい表現の難しさ、継ぎ当てや風呂敷の包み方を「くらしの学校」を通じて教えてもらったことは直接作品に描かれてはいないが反映されている...針仕事の座り方一つにおいても手慣れている人の姿勢は(考えているものとは)全く違うなど、作画における栄養として染み出ている...要約的ではありますが、作品には目に見えないところを含めて活かされているんだなぁと実感するお話しでした。
アッと言う間に1時間半の枠も終了...時間足りない、もっともっとお聞きしていたかったなと。
でも本当に有意義で楽しいひとときを過ごせました...参加できてよかった(*´д`*)
片渕さんも仰っていましたが、小泉さんのレンジは極めて広く深く、過去の作品において文献を探っていくと小泉さんの著作に出会ってしまう...なんだか後を追っているような方だとも。いろんなお話しもされていましたが、とてもここで紹介しきれないくらいの研究対象とその情報量をいただいたと思います。
トーク終了後、もう一つのお楽しみ!片渕さんのサイン会です(^_^)
ねんどろいど・すずさんへの極小サインに続き、先日ゲットした「PUTITTOこの世界の片隅に」のスケッチすずさんにまた無理言ってお願いしてしまいました(*^o^*)
白いスケッチブックにかな〜っと思っていたら、なるほど!前掛けにでしたね(^_^)
今回も楽しいお話し、ありがとうございました!
登壇者が片渕須直さん、昭和のくらし博物館・館長である小泉和子さん、そしてなんとまさかの(失礼っ(^_^;)浦谷千恵さん!
浦谷さんが登壇されるなんて恐らく初のことでしょうし、こんな貴重な機会は見逃すことはできません(*^o^*)
やはり発言は少なめでしたが、博物館とのご縁をまじえて楽しいお話しを聴くことができました。
私も小泉さんについては昭和生活史関連の書籍をいくつか見て知っておりましたので、今回のトークはホント楽しみで、諸々天こ盛り盛りなイベントなのです(^_^)
写真はズバリ博物館の開設当時に出版されたもので、多数の写真と小泉さんご自身のご家族の思い出もこめたアルバムのような素敵な本です。新装版として再版されているようですので、興味ある方はご一読をオススメします。
片渕さん浦谷さんらもそれぞれ博物館との繋がりは多々あったようで、特に浦谷さんは「くらしの学校」に通い、修了証もあるのだとか。
何年も前から訪れる方であることは知っていたが、まさか映画監督をされていることは後から知って大変驚いたと(^_^;
その上、不思議な縁というか...小泉さんのお母様のお名前が スズさん、そしてその妹である叔母が リンさんであるということに大変驚きました!どちらも決して珍しい名前では無かったと思われるものの、その組み合わせに大きな繋がりを感じざるを得ませんね...。
博物館の理念「家を残し、暮らしを伝えて、思想を遺す」ことであると。
家は旧東京市役所で設計建築関係に従事していたお父様ご自身による設計で、住宅金融公庫の基準(この当時に家屋各部の規定が明確になったそうです)に沿って建てられたもの。最低一間を下宿として間貸しする条件で融資を受けられたそうなんですね。その関係者でもあったお父様が自らの家をモデルケースとして昭和26年に建てられたみたいです。
実際に外観と内部に上がると、想像以上にその想いが強く響いてきて「暮らしを伝える」意義を感じ取ることができます。板壁、天井、床、家具調度品が生き物のように語りかけてきて、何とも言えない気持ちにさせられる...。
小泉さん一家は平成が始まるころまで住まわれていたそうなんですが、ご両親が亡くなられ、家の処分をどうするか判断を迫られた折、なんとかこのまま残せないものか、江戸東京博物館などに相談を持ちかけたそうですが、興味をもたれなかったと。
こうなったら自ら保存のため動かれた...普通は断念してしまうところですが、強い意志をお持ちだったのですね...凄いことだと思います。今でこそ昭和レトロ云々でその価値が認められるようになりましたが、90年代においてはそんな空気はほとんどなかったと思います。
家屋がハードウェアであれば、ソフトウェアは暮らしや生活の保存。家電の普及と発達で便利になれば、それまで手作業で行われていた家事仕事の技術は忘れ去られていきます。それをも残そうと「くらしの学校」として活動もされています。
忘れられていくこと...それと対比して壊すものとして「戦争」があるというお話しも印象的でした。災害も壊すものだが、救援が期待できる。でも戦争にはそれすらもないということ。
儚い事物ともいえる「暮らし」ですが、大変な重労働でも全部愛おしいものと感じる。
日本人は暮らしへの思想が弱い...それを考える場所にしたいと。
正直聴いていて耳も痛いとも思いましたが(^_^;、本当に強い意志に支えられている理念なのだなぁと、どこか反省させられる気持ちでした。
動画による家事仕事の記録映像も拝見。小泉さんのお母様スズさんをモデルとして、盥と洗濯板を使っての選択、くけ台を用いての針仕事、そして子供に着物を着せる...私自身幼少期のころ、祖母などがやっていたような微かな記憶も重なって見えて、失ってしまったものの尊さとか儚さ...そして切なく愛おしいものとして見入ってしまいました。
でも...過去のことにしてしまい、昭和レトロだノスタルジーだと楽しみの対象にしてしまっている自分って何なんだろうと複雑な感情でもあります...。
実際に行動し、遺産として活動されている小泉さんには頭が下がる思いですかないです。
そんな小泉さんですが、「アニメとか好む世代ではないので...」と前置きしながらも、映画「この世界の片隅に」鋭い考察を披露されてました。
職業柄(歴史考証などもされているのだそう)その作品でちゃんと時代が正しく描かれているのか気になってしまうそうなのですが、生活描写全般において違和感が無いことに感心したとのこと(^_^)
その上で、すずさん・周作さんの無欲な愛情の示し方が印象に残られたそうです。
ご自身のお母様スズさんも日々の生活において家族に愛情をそそぐことに専念し、世界がどうなっているのか、戦争の状況についても知ろうとせず、その視点もなかった...それではいけないのだと、これからの私たちは無知ではいけないのだとこの作品は語っているのではないかと。
すずさんとの対比としての径子さんはモガであり、自立し自分の行く道を自分で決めた人。だからこそ、最後に すずさんに選択肢を与える役割にとても立体感を感じることができたと。
作品に対しては、こうの史代さんの原作もキッチリ読み込んでおられていらっしゃるようで、リンさんの事にも言及されてましたが、片渕さんから「まだそこは今の映画で描かれていないので...(^_^;」とストップがかかるほど熱く語っていらっしゃいました。
私自身もここまで作品の真髄をつかれているとは...と驚くばかりでした...。
最後になりますが、同席されていた浦谷さん、こうの史代さんをして「すずさんのような人」と言われたことが本当にわかった気がしました(^_^)
人前でお話されるのが本当に苦手なようで、トーク終了とともにササ〜ッと会場から出て行ってしまわれましたが(^_^;、吶々とか細い口調ながらも食事の動作の正しい表現の難しさ、継ぎ当てや風呂敷の包み方を「くらしの学校」を通じて教えてもらったことは直接作品に描かれてはいないが反映されている...針仕事の座り方一つにおいても手慣れている人の姿勢は(考えているものとは)全く違うなど、作画における栄養として染み出ている...要約的ではありますが、作品には目に見えないところを含めて活かされているんだなぁと実感するお話しでした。
アッと言う間に1時間半の枠も終了...時間足りない、もっともっとお聞きしていたかったなと。
でも本当に有意義で楽しいひとときを過ごせました...参加できてよかった(*´д`*)
片渕さんも仰っていましたが、小泉さんのレンジは極めて広く深く、過去の作品において文献を探っていくと小泉さんの著作に出会ってしまう...なんだか後を追っているような方だとも。いろんなお話しもされていましたが、とてもここで紹介しきれないくらいの研究対象とその情報量をいただいたと思います。
トーク終了後、もう一つのお楽しみ!片渕さんのサイン会です(^_^)
ねんどろいど・すずさんへの極小サインに続き、先日ゲットした「PUTITTOこの世界の片隅に」のスケッチすずさんにまた無理言ってお願いしてしまいました(*^o^*)
白いスケッチブックにかな〜っと思っていたら、なるほど!前掛けにでしたね(^_^)
今回も楽しいお話し、ありがとうございました!