雑居ビル界隈での生活も、いよいよ終盤を迎えつつあります。故に、この辺りで気になるスポットには行っておかなければなりません。そんな雑居ビル界隈にポツンとあるお店で、「ふぐちりランチ」の看板が出てて、前からずっと気になりながらも、店内の様子が全く見えないんで何となく入りにくいな~なんて思って通り過ぎてたお店に、勇気を振り絞り入ってみたんです。その店の名は「ふぐ省」。
暖簾をくぐって戸を開けると、傘立てには何本ものゴルフクラブが立ち、足下にはサッカーボールが転がり、店の奥からはムード歌謡が・・・・・・ふぐ専門店でしたよねぇ?何じゃ、この厭な胸騒ぎは?しかし男・Kanother、もう後には引けない。さらなる勇気を振りぼって足を踏み入れたKanotherの目に飛び込んできた店内の内装は、フグ屋と言うよりも喫茶店。しかも小洒落た喫茶店ではなく、場末にある流行らない謎の喫茶店のそれなんです。
カウンターとテーブルが3つ、そして並んでいる椅子は不揃いで、中にはパイプ椅子に毛が生えたような代物まで。カウンターの脇には手作りっぽい真空管アンプをはじめとした古色蒼然たるステレオセットが並び、奥にはオープンリールデッキもあります。そしてカウンター自体は食器やらキッチンペーパーの類、テレビ、積み上がったCDやご主人のケータイなんかが雑然と置かれており、カウンター本来の客席としての機能は果たしていない模様。
アンプなどが並ぶ棚の横には「噂の真相」やらビートたけしやナンシー関の本、竹本孝之写真集(!)、巻数が飛び飛びの漫画本などが無造作に並べられ、飛行機のオモチャやらモデルガン、使い込まれた鉄アレイ、孫の写真?的なものが、これまた雑然と並んでおり、壁にはご主人手書きらしき、お言葉入り墨絵やら俳句が何枚も飾られております。何てか、ヒジョーに個性的な空間コーディネートではあります。まるでご主人個人のゲストルームにでも招かれたかのような。そう、個性的と言うよりは「個人的」空間コーディネートって趣きなんです。一瞬、ここが店であることを忘れてしまいそうになります。
何でこんなにジックリと店内を眺めてられるんかと言えば、このお店はご主人たった一人でやっており、且つ客もKanother独りで、主人が奥の小部屋に仕込みに入ってしまうと、このゲストルームに完全独りぼっちになるんです。しかも奥の方からザクザクと音が聞こえるところを見ると、注文の都度、野菜等を切ってんでしょう。要するに出てくるまでの時間が長いので、独りジックリと店内観察が出来てまうワケです。
そうこうしている間に、テーブルの上に置かれたガスコンロの上に、100円ショップで買ってきたような一人用土鍋で、ふぐちりが登場。具は割りと大きめなフグの身が5~6切れの他、白菜、春菊、葱、豆腐、榎茸。意外に、というと失礼ですが、ちゃんとしてます。これを火に掛けていると、ほどなく小葱の刻みを散らしたポン酢と茶碗メシが運ばれてきます。意外にってのは失礼っすね。結構充実してますよ。
フグを一切れ口に運べば、むむ!やはりフグ専門店!こいつぁ最高級の国産トラフグではないか・・・・・・とは流石に行かないですが、でもランチでこのクオリティなら十分過ぎるでしょと言い切れる味。「昼から独り鍋、しかもフグ」みたいな妙な満足感も軽く調味料になってる気がします。ご主人によると出汁は取らず、フグから出る旨みだけで作ってんですわ、みたいなことのようです。その意気もまた良しではないですか。
一頻りふぐちりを喰い終わった後は、雑炊喰いたいっすよね。やっぱ。そんな我々の気持ちを見透かすように、ふぐちりを喰ってるとご主人が「雑炊用の卵です」と小鉢に割られた生卵を持ってきてくれます。ここにも小葱が散らしてある辺りも心憎い。ふぐ省ではメシおかわりOKなので、ふぐちりの段階でメシを一膳平らげてしまったKanotherは、雑炊用にメシをおかわりして鍋に投入。煮立ったところに軽く卵を掻き混ぜながら加えて、塩で味を調えます。この「塩で」ってとこも、フグから出る旨みを味わってちょんまげってなご主人の拘りなんでしょうねぇ。
ふぐちりとしてナンバーワンとは言わんまでも、店の空気感まで含めて間違いなくオンリーワン。場末の喫茶店的ゲストルームで、奥の空きテーブルで週刊新潮を読み耽るご主人を眺めながら、昼間っからふぐちり喰いたいぜってな時は、是非この「ふぐ省」へ!
ちなみに夜メニューはそこそこ良いお値段がついてるみたいなので、もしかすっと、こちらは「むむ!最高級の国産トラフグではないか!」かもしれませんです。

※鍋の向こうに覗いているのはテーブル脇の床に無造作に直置きされた扇風機。見るからに年代物です。
暖簾をくぐって戸を開けると、傘立てには何本ものゴルフクラブが立ち、足下にはサッカーボールが転がり、店の奥からはムード歌謡が・・・・・・ふぐ専門店でしたよねぇ?何じゃ、この厭な胸騒ぎは?しかし男・Kanother、もう後には引けない。さらなる勇気を振りぼって足を踏み入れたKanotherの目に飛び込んできた店内の内装は、フグ屋と言うよりも喫茶店。しかも小洒落た喫茶店ではなく、場末にある流行らない謎の喫茶店のそれなんです。
カウンターとテーブルが3つ、そして並んでいる椅子は不揃いで、中にはパイプ椅子に毛が生えたような代物まで。カウンターの脇には手作りっぽい真空管アンプをはじめとした古色蒼然たるステレオセットが並び、奥にはオープンリールデッキもあります。そしてカウンター自体は食器やらキッチンペーパーの類、テレビ、積み上がったCDやご主人のケータイなんかが雑然と置かれており、カウンター本来の客席としての機能は果たしていない模様。
アンプなどが並ぶ棚の横には「噂の真相」やらビートたけしやナンシー関の本、竹本孝之写真集(!)、巻数が飛び飛びの漫画本などが無造作に並べられ、飛行機のオモチャやらモデルガン、使い込まれた鉄アレイ、孫の写真?的なものが、これまた雑然と並んでおり、壁にはご主人手書きらしき、お言葉入り墨絵やら俳句が何枚も飾られております。何てか、ヒジョーに個性的な空間コーディネートではあります。まるでご主人個人のゲストルームにでも招かれたかのような。そう、個性的と言うよりは「個人的」空間コーディネートって趣きなんです。一瞬、ここが店であることを忘れてしまいそうになります。
何でこんなにジックリと店内を眺めてられるんかと言えば、このお店はご主人たった一人でやっており、且つ客もKanother独りで、主人が奥の小部屋に仕込みに入ってしまうと、このゲストルームに完全独りぼっちになるんです。しかも奥の方からザクザクと音が聞こえるところを見ると、注文の都度、野菜等を切ってんでしょう。要するに出てくるまでの時間が長いので、独りジックリと店内観察が出来てまうワケです。
そうこうしている間に、テーブルの上に置かれたガスコンロの上に、100円ショップで買ってきたような一人用土鍋で、ふぐちりが登場。具は割りと大きめなフグの身が5~6切れの他、白菜、春菊、葱、豆腐、榎茸。意外に、というと失礼ですが、ちゃんとしてます。これを火に掛けていると、ほどなく小葱の刻みを散らしたポン酢と茶碗メシが運ばれてきます。意外にってのは失礼っすね。結構充実してますよ。
フグを一切れ口に運べば、むむ!やはりフグ専門店!こいつぁ最高級の国産トラフグではないか・・・・・・とは流石に行かないですが、でもランチでこのクオリティなら十分過ぎるでしょと言い切れる味。「昼から独り鍋、しかもフグ」みたいな妙な満足感も軽く調味料になってる気がします。ご主人によると出汁は取らず、フグから出る旨みだけで作ってんですわ、みたいなことのようです。その意気もまた良しではないですか。
一頻りふぐちりを喰い終わった後は、雑炊喰いたいっすよね。やっぱ。そんな我々の気持ちを見透かすように、ふぐちりを喰ってるとご主人が「雑炊用の卵です」と小鉢に割られた生卵を持ってきてくれます。ここにも小葱が散らしてある辺りも心憎い。ふぐ省ではメシおかわりOKなので、ふぐちりの段階でメシを一膳平らげてしまったKanotherは、雑炊用にメシをおかわりして鍋に投入。煮立ったところに軽く卵を掻き混ぜながら加えて、塩で味を調えます。この「塩で」ってとこも、フグから出る旨みを味わってちょんまげってなご主人の拘りなんでしょうねぇ。
ふぐちりとしてナンバーワンとは言わんまでも、店の空気感まで含めて間違いなくオンリーワン。場末の喫茶店的ゲストルームで、奥の空きテーブルで週刊新潮を読み耽るご主人を眺めながら、昼間っからふぐちり喰いたいぜってな時は、是非この「ふぐ省」へ!
ちなみに夜メニューはそこそこ良いお値段がついてるみたいなので、もしかすっと、こちらは「むむ!最高級の国産トラフグではないか!」かもしれませんです。

※鍋の向こうに覗いているのはテーブル脇の床に無造作に直置きされた扇風機。見るからに年代物です。