私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

* バイクにその名前はやめてよ *

2017年03月30日 | 「いと をかし」なものたち

~ これは私の若き日の恋人 ~

その名は " コウタロウ "
下宿が駅や街から遠かったので(男子禁制の下宿・・・叔母の差し金)
自転車代わりに便利に使っていたバイク。



学生の内に車の免許を取ろうと、父に頼んで20万送ってもらったが、
自動車学校への手続きをぐずぐずしている内に、
いつの間にか全部使ってしまって、結果的に父を騙したことになった。

でも、父にはそのことは話さなかったので、
きっと取得済みだと思っていたと思う。

そして、ある夏休みに帰省した時
「ねえ!お父さん!バイクの免許取ってもいい?」
と恐る恐る聞いてみると

「おお!いいぞ!行って来い!」
意外にもあっさり許可が出たのだった。
そして、この時には、父の気が変わらない内に
さっさと手続きをして入学した。



入学した日に、教官が「どの大きさのに乗りたいんだ?」と聞くので
「はい!ナナハンに乗りたいです!」と喜んで答えると

「じゃあ、このバイクを端から一台ずつ起こしてみろ」というので、
まずナナハンから起こしてみようとしたが、びくともしない、
次々起こそうとするが、どれも起こせずに
結局起こせたのが150ccのバイクだった。

そこで教官が言った
「自分で起こせないバイクには乗れないでしょ!」と。
全くその通りだと思って、
素直に150cc以下の小型バイクの免許を取ることになった。



そして、めでたく免許を取得して、買ったのがこのバイク。
友達からカンパしてもらって中古を手に入れた。

下宿の自転車置き場に入れていて、ある朝乗ろうとエンジンをふかすと
おばさんが出て来て
「なんだ越後美人ちゃんのだったの?」
「はい、私のですけど・・・」
「誰か男の子を泊まらせているかと思ってたわ!」
なんて事があったりした。



そして
ある時、バイト先のマスターが
「あれは越後美人ちゃんの?」と聞くので
「はい、私のです、コウタロウって名前なんですよ!」

「エッー!コウタロウって?!」
「そうですけど、何か悪いですか?」

「その名前やめてくれない!」
「エッー!気に入ってるんですけど、なんでですか?」

「その名前ねえ、ぼくんちの息子の名前だからよ!」

「はっはっは~、そうだったんですか~」

な~んて、笑い話もあったりした。
でも、結局、このバイクの名前はずっと
"コウタロウ"だったけどね


コメント (29)
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