なんというシュール、なんというシニカル!(笑)
“建築”のドキュメンタリーではないので
あしからず。
「ル・コルビュジエの家」74点★★★★
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1948年にかの有名建築家ル・コルビュジエが
アルゼンチンに建てた
実在する個人住宅「クルチェット邸」。
建築ファンが“詣で”にくるようなこの家に、
成功したデザイナー(ラファエル・スプレゲルブルド)と妻、娘が住んでいる。
しかしある朝、
彼は大きな物音で目を覚ます。
なんと隣人が自宅のリフォームを始めたのだ!
しかも、こともあろうに、美しい我が家に向けて
窓を作ろうとしているらしい。
「冗談じゃない!」と発奮するデザイナーだったが――?!
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古今東西、どこにでもある“隣人トラブル”を
シュールな心理劇に展開させた
痛快な作品。
それをよりによって
世界的に有名な建築家の家でやっちゃうんですからね(笑)
隣人のリフォームに
主人公はたまらず苦情を申し出るわけですが
一応、お隣さんなわけだし、
まあ穏便に、角が立たぬよう、うまくやろうとするわけです。
しかしそれが、
どんどん悪いほうに転がっていってしまうようなおかしみに
「あるある」と噴出しちゃう(笑)。
しかもこの隣人が、
マッチョでガタイもよく、
相当に手ごわい相手なんですよ。
『週刊朝日』9/14号の「ツウの一見」で
クリエイティブディレクターの
小池一子さんにお話を伺いまして、
小池さんが
「三谷幸喜の世界にちょっと似てる」とおっしゃってたのが
すごーくピッタリきました。
そう、それです!そんな感じ。
最初は主人公に同情しつつ、
しかし彼らの持つ
相当な優越感やナルシシズムが
次第に“イヤ~な感じ”に増幅していく、逆転の巧み。
冒頭の仕掛けのあるシーンといい、
幾何学構図なども、かなり計算されてます。
それにやっぱり
コルビュジエの家を、あますとこなく覗ける
面白さも十分。
ぜひご堪能あれ!
★9/15(土)から新宿k's cinemaで公開。10/6(土)からシネマート六本木で公開。ほか全国順次公開。
「ル・コルビュジエの家」公式サイト