漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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たんぱく質の生成不良:ミスフォールディング、アミロイド:腎虚(勉強会まとめ)

2024-04-23 | 老化・血流
DNAの情報に基づいて私たちは細胞1個当たり、1秒間に数万個のたんぱく質を作り出している。
「フォールディング」とは、アミノ酸がつながったポリペプチドの鎖が「正確に」折りたたまれること。その結果、酵素などのたんぱく質ができる。

もしも「正確に」できないと(ミスフォールディング)疎水性で繊維状のたんぱく質になってしまい(アミロイド)これが組織に凝集沈着すると細胞は機能できなくなる。
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、狂牛病、白内障、各種繊維症などは、この影響による疾患らしい。

地元の探鳥会にて、オシドリ♂

中医学では、このような細胞レベルでの基本作業を行い生命を維持していくのは「腎」の力といわれている。寿命が延びるとともに「腎虚」状態が長く続き様々な疾患を引き起こすので、「補腎」は大切な健康維持法です。

「補腎」の漢方薬は、中年以降の老化予防対策に用いられるのが一般的だったが、近年では、スマホなどによる目の使い過ぎや睡眠不足、運動不足、食事の不摂生などで、若い人にも「腎虚」が増加している。

「補腎」の漢方薬の中には、良質のたんぱく質やミネラルが多く配合されているものが多い。

田んぼの畔にキジ♂と♀ 鳥たちは恋の季節

「腎虚」の症状に思い当たったら、中医学漢方で養生してみてください。
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肝血虚の症状と目のツボ・春の草花を眺めて

2024-04-16 | 頭痛、めまい、目
春は肝を養生する季節です。
肝は目に開竅しその華は爪にある 肝は血を蔵す 肝は筋を主る 肝は疏泄を主る
そこで、肝血虚の症状をチェック

・目がかすんでしょぼしょぼする
・めまいや立ち眩み
・爪の色が白っぽくて割れやすい
・月経量が少ない
・こむら返りをおこしやすい

目を養生する漢方薬といえば杞菊地黄丸ですが、簡単ツボ押しもやってみてください。


散歩に出て、自然の小さなものに目を凝らすのも目によさそうです。
小さなヒメオドリコソウとキュウリグサ せいぜい2ミリくらい
キュウリグサ拡大 ムラサキ科
クワの芽吹き
サルトリイバラの花
茎が三角のミツカドネギ
ミツバアケビ
アケビ
ウワミズザクラ
春は、どんどん咲いて景色がどんどん変わっていきますね。

春の養生:古いものを排泄する、体を温める

2024-04-12 | 春の養生法
新陳代謝とは、古いものを排泄して新しいものを作り出すこと
静かに過ごした冬の間に体にたまった古いものを排泄し、気血津液のめぐりを促す春です。

溜まったものを排泄する方法は、排便、排尿と汗をかくこと



芽をだす山菜類、発汗作用のある辛味野菜、利尿や便通に効果的な根菜類や海藻類などがおすすめ

体を温める:朝は早起きし、温かいもの消化しやすいものを食べ体内の陽気を上げます。

運動して汗をかくことを春からしっかり行っておけば、体温調節が上手になり、夏の暑さや熱中症対策にもなります。
南の国からサシバがやってきた
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イライラする春・気滞

2024-04-05 | 春の養生法
寒暖差が大きい春。それだけでも気の巡りが偏りがちですが、急に気温が上がると頭が熱くなり気分が高揚しすぎて、イライラして八つ当たりしたくなったり、胸が詰まって苦しくなったり、生理前の不快症状が強くなったりしがちです。
周りの人がとばっちりを受けることにもなりかねないので、早めに対策することをおすすめします。
食べ物では、さわやかな香り、やさしい酸味、少々苦みがあるもの(山菜など)を少量、メニューに加えると気分がすっきり体のつかえが解消します。
漢方薬の味も、ふだんなら苦くてまずいと思うようなものも、気滞状態の時は、美味しく飲めたりします。体が必要としている証拠でしょうね。

辛すぎるものを摂りすぎると火に油を注ぐことになり、イライラが助長されることがあります。

漢方のご常連さんも、この時期になると「○○漢方の季節よね」と備えにやってこられます。
どの漢方を用いるかは体質によって異なるのでよくご相談ください。


ミツバアケビの花が咲き始めた。アケビ類の茎は生薬木通(モクツウ)で降火利水作用を持ち瀉火利湿顆粒などに配合されている。
やっと咲き始めたと思ったらどんどん咲き進む今年の桜。
それにしても天気がすぐれない日が続く

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本「動物たちは何をしゃべっているのか?」ふれあいの大切さ

2024-04-03 | 
対談形式で、動物のコミュニケーションを語り人間の本質をさぐる本。

グルーミングするときのグルグルというような「ささやき」が、言葉として発達したのではないかという山極さん。
しかし人間の群れは巨大になり、グルーミングなしで言葉を伝達する必要が生まれて文章ができたが、いまや単発的な文がSNSで発信される。
ふれあいという「身体性」なしに発信される言葉は、十分に文脈が読み取れず、取り違え、無意味な炎上を引き起こし、不安を掻き立てている。
コロナによる隔絶の影響も大きい。

触れ合うことをしないまま言葉だけを頼りに、人との結び付きを築き上げなけばならない現代に、人間はいまだ慣れていない。

動物は、吠え声、呼び声、叫び声、ささやきなどを持ち、その声は自然の中をよく通り、ちょうどよい群れの大きさとふれあいと身体能力とを備えて、自然の中で群れとして自立している。
人間の半数以上は都会に暮らし自力で生きていけない状態。

会って話をする、表情を読む、ふれあう、踊る、一緒にリズムをとる、そんな行為がやはり大切なのだと実感した。
先の日曜日、裏高尾あたりを歩いて1号路を下山すると桜が咲き進んんでいた。

動物たちは何をしゃべっているのか?2023年8月発行
山極寿一(やまぎわじゅいち)ゴリラと一緒に2年間暮らした人物
鈴木敏孝 シジュウカラの言葉を研究