これまで書かれた物語にまつわることや、人との出会い、野草や野鳥・・・
過去15年くらいからのエッセイをまとめたもの。
そのなかのひとつ、豊後水道にある小さな水の子島灯台の鳥の話。
地図でみると近そうだが、ひとまたぎという距離ではない。それを嵐の夜に越えようとする鳥がいるそう。それも渡り鳥だけでなく、たとえばカワセミやコジュケイまでも。渡り切る鳥のほうが多いのだろうが、暗闇の中あえなく水の子島の灯台の光に激突して息絶え、朝には落ちた鳥が累々とする。それを集めて剥製にしている資料館があるとのこと。
何の目的があってそんな行動をとるのか。渡らなければという強い決意に圧倒される。
「ときどき、ぜんたいの成り行きにすっかり弱気になると、そういう鳥たちのことを思い出したりしている」と梨木さんの言葉。
鳥に励まされる。