漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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老人介護施設の選択(その2)

2009-03-19 | 介護
前回の続き(6年前になりますが、母の介護施設を探した時の話です)

片っ端から介護施設を申し込んで、後は運を天に任せるという気分でいたら、

数日して、心配してくれたある施設の介護士から電話をもらいました。
「○○のグループホームにまだ空きがあるらしいから行ってみれば」

そこの入所金は少々高かったのですが、自宅からは車で15分、静かな住宅街の中にあり、
入居者の皆さんはおだやかな雰囲気。
そして経営者はすぐそばに住んでいたので安心だと思いました。

これを逃したらほかはないかもしれない。
失敗だったらその時はその時だ。

 
ショートステイ先の母のもとへ(私が介護施設をあちこち見て回る間、預かってもらっていた)
「引っ越しするよ」と母に。
(母は若いころから何回も引っ越ししてきたので納得は早いはずだ)
「ふ~ん、いいよ」と母。
ショートステイでさんざん「もう帰る」を繰り返していたので、喜んでそのまますんなりホームへ。(だますようで、ごめん)

このあと母がホームに慣れるまで、
まるで聞き分けの悪い保育園児をあやすようで、
私もなんだか罪悪感にも駆られて、しょっちゅう様子を見に行きました。
いやいや、本当に大変だったのはホームの介護士の皆さんです
おかげで、今ではすっかりホームが「マイホーム」になっています。

  
この後にも、その時あちこち伺って相談した他の施設介護士から、様子伺いの電話をいただくことがありました。
本当にありがたいです。
たくさんの方々に相談に乗ってもらえて本当に良かったです。
やっぱり、当たってくだけろ、です。

そうそう、親戚たちにはこのあとすぐ片っ端から電話連絡しておきました。
先手必勝です。
というより外野はうるさくしないことです。(事件は現場で起きている!)
幸い皆、よく理解してくれています。

 
ところで、
現状では母の年金と貯金を少々崩しながら、なんとかやりくりできているのはありがたいことです。
私が介護年齢に達した時は、年金は全然足りないでしょうね~

最近、弟に母の介護金額のことを聞かれたので、話したら、
「ええっ!そんなにかかるの!」
「・・・オレの時はどうなるの」
(彼はまだ子育てと家のローンに追われている)

「さあ~、ね~」・・・それこそ運を天に任せるって感じ。

老人介護施設の選択(その1)

2009-03-16 | 介護
老人介護施設をどのような視点で選ぶかもなかなか迷うところですね。
我が家の母の場合は精神科を受診し認知症という診断を受け、
ほかに体力的に不自由はなかったのでグループホームを選択したわけですが、
このとき(6年前)はじっくり検討して、というよりも、
その時巡り合ったのがこのホームだったという方が正しいでしょう。
このことはとても運がいいことです。
つまり、切羽詰まったとき、そうそう選択肢はないというのが現状です

おまけにグループホームでは今「越境」が認められず住所のある市町村内で探さなければならないようです。
(特養などその他の施設はどうなのでしょうか)
その地区の施設に空きがなければ、ずっと待っていなければならなくなります。

    

自分で看たいという気持ちはあっても私はその時すでに精神的に参っていました。
この程度しか自分はできないのかという落ち込みはあるもののどうにもなりません。

とにかく母がひとりでいる時間をなくしたい
母娘1対1では、お互いにわがままが先行して険悪になってしまう
母の病状が進み過ぎないうちに、母が納得して入所するほうが母にとっては幸せなのではないか
もしも今後、暴力行為をするような人格変化が起こったら受け入れてくれるところはないかもしれない

介護認定を受けたとき、相談する介護士がひとり付いてくれるのですが、
正直、その方からは広く情報を得ることができませんでした。

はじめて近所の特養に話を伺いに行ってみました。
「ちなみに今申し込んだら、いつ頃入所できるんでしょうか」
「何十人もお待ちです。いつになるかわかりません」
そこでいただいたアドバイス
「のんびりしていないで片っ端から施設に電話して申込書を取り寄せ、申し込みしておいたほうがいいですよ」
多くの人がそうされているので必ずしも何十人も先ではない場合もあるそうです。
(最近では、特養は介護を必要としている度合が高い人を優先するらしいです)

そこで腹をくくって、介護保険をフルに活用し母をショートステイに預けられるだけ預け、自宅から私が通えそうな施設をしらみつぶしに回りました。
特養、ケアハウス、グループホームなどなど
実際に見て、母に適したスタイルを検討しましたが、
でも、ちょっと気に入らないところでも次々と申込しておきました。

もう後は、運を天に任せる気分でした。

つづく

老人施設の区別がわからない(その2)の続き

2009-03-07 | 介護
前回に続いて。

老人介護施設が「生活の場」としてあることの問題。

実際に利用してみなければ、各施設の詳しい事情はわかりませんが、
入所できればそれで何があっても将来は安心というわけではないのです。

生活するための最低限の面倒はみてくれても、医療については完全ではありません。
施設内に、医師、看護師、医療設備が整っていませんから。
つまり医療的処置が必要になったら、住みなれたその場所ではなく病院に入らなければならないのです。
病院に入ってしまうと、いつもの行き届いた介護サービスを受けることができません。

   

 グループホームに入所している私の母が入院することになったときのこと。
病院から誓約書にいくつかサインさせられました。
たとえば認知症であればベッドに縛る必要性も発生するのでこれを容認することとか。
母の現実を知っている私にとってみればそれも仕方がないことだと思いました。

というより、
認知症患者がこの知らない場所で
無事に入院なんてことを
成し遂げることができるんだろうか???

 まずいつものホームから連絡が入り、私が病院につくまでホームの介護員が付き添ってくれました。
入院に必要なものは母の持ち物の中からすべて用意してくれていました。
本当に頼りになります

その後は私が付き添い・・・。
つまりここからはホームのテリトリーではなく、病院に任せることになります。

見慣れぬ場所で母は入院という事実を理解するはずもなく、スキあらば点滴を引き抜こうとし、ベッドを出ようとします。
「もう帰ろう」といいます。
一瞬たりとも目が離せません。
私が着替えのために1時間ほど席を外したら、看護師にお願いしたにもかかわらず、点滴をひきはがしベッドを抜け出したため、車いすに「確保」されていました

 病室は5人で皆高齢者、ナースステーションのすぐ隣。
だけど、ちょっとみている間にも、看護師を呼びたそうにしている人、点滴を引き抜いて腕から出血している人、トイレに行きたがってる人・・・
とても一定時間の見回り看護では追いつきそうもありません。

しかし病院はホームと違って入院患者全員が具合が悪いわけで、看護師や医師は大忙し。
とてもひとりの認知症患者の機嫌を取ってる暇などありません。

 このときは幸い一晩のお泊りで住み慣れたホームに戻り、母もほっとした様子でしたが、
何日も続いたらとても付添の体力は持つはずがない。
入院中の不慮の事故などで最期を迎えたりすることも多くなるんじゃないだろうか。

あくまでもこれは母の入院時に思ったことですが。

今後どんどん高齢者は増えていく。
体や精神の病気に困る人がどんどん増える。
その中に私もいる。あなたもいるかも。
いったいどうしたら老後を安心して過ごせるのだろう・・・


介護施設を探すときも大変でしたが・・・次回はこの話題を

老人施設の区別がわからない(その2)

2009-03-06 | 介護
今年初めにそのままになっていた老人施設の区別がわからないを調べておかなければ・・・

と単語を入力したら、「特養と老健の違いってわかる?」という、まるで友人との話を聞かれていたかのようなAllaboutの記事があった。

それをコピーしておきます。
「老健」介護老人保健施設
マヒやけがの症状が安定した高齢者を、原則として3ヶ月を限度に受け入れ、自宅での生活を可能にするためにリハビリテーションを行う施設。家に帰すことを目的にしているところが、特養との大きな違い。
しかし実際には、特養の空きが出るまで、特養代わりに使われているケースも。

「特養」特別養護老人ホーム
身体や精神に障害などがあって、家庭での介護が難しい、65歳以上の高齢者が入所する施設。入所者にとっては「生活の場」であり、終の棲家となる。

「認知症高齢者グループホーム」
認知症患者が対象となる9人一単位規模の施設。「生活の場」であり終の棲家でもある。

        

実際に利用してみなければ、詳しい事情はわかりませんが、
問題は「生活の場」という言葉。
入所できればそれで何があっても将来は安心というわけではないのです。

続きはまた明日

母のねんきん特別便

2009-01-23 | 介護
母が独身の頃に働いていて、掛けた厚生年金が
「ねんきん特別便」のデータから落ちていることが、
数日前のおば(母の妹)からの電話で判明しました。

母の結婚後、変わった姓の国民年金の記録しか載っていなかったのです。

母はすでに介護保険でどっぷりお世話になっている健康状態で、
年金データの間違いがどうこうなどと確認しようがありませんでしたから、
委任状を作成して、私が社会保険事務局に出かけてきました。

その結果残念ながら
最寄のこの事務局ではデータが出てこず、
その内容を、母が当時住んでいた県に送ることになりました。

(なにせ、私が生まれる前の話です。いろいろと質問されましたが、電話のおばの話をそのまま話すしかありませんでした。しかもその事業所の住所すらも当時と呼び名が変わっています。)

「か~るく1年以上はかかるでしょう」と大きな顔して言われました。

(薬局を出てから相談員との面接にこぎつくまで、すでに4時間以上を費やしていた私は内心不機嫌で、相談員の表情がそんなふうに見えた だけど相談員もすでに就業時刻をとうに過ぎており、あっさりしすぎる対応もわからないでもない・・・)

そう言われても、
終戦後数年のころ、とても裕福とはいえない生活環境で母は一生懸命働いていたのだろう、と思うとここであっさり手続きをあきらめるわけにはいきません。

「こちらのご本人さまの住所に結果を文書でお送りすることになります」

私の住所に送っていただくよう、委任状のチェック欄に○印をつけてあるのですが・・・

「でも、こちらの○○県に送る書類に書かれたこちらの住所に、○○県から返送されることになります。」

何年先になるか分からないのに、ですか?
(健康でない年寄りにとっては、恐ろしい話だ)

「じゃあ、この書類の隙間に、改めてそのことを書き込んでおいてください」

・・・・・・

(双方すっかり疲れております)



大変なことになってますねえ、年金問題は。

老人施設の区別が分からない

2009-01-19 | 介護
先日、友人と親の介護のことについて話していて、
「老健」とか「特養」とかの区別が
きちんと自分自身理解できていないことが判明した。
こりゃ、いかん

高齢化が進んでいる昨今、薬局にいても、
老老介護状態で困っていたり、また親の生活がすでに介護が必要となっている状態なのに別居している子供がそれに気付いていなかったり・・・
という状況を見つけることが多くなってきた。

しかし介護するという現実に、人生においてそう何回も遭遇するものではないので
実際に直面していてもなかなか気がつかなかったり認めようとしなかったりして、対策が遅れがちなことが多い。

というより、
介護の手段としてどのようなことが政策としてなされているのか、
どんなサービスを受ける権利があるのか、
手続きはどうすればいいのか、
実際にサービスを受けるまでどれくらい待たなければならないのか、
ひとつのサービスを受けることができるようになったとして、さらにその先はどうなるのか、

そんなことが、ちっともオープンにされていない状況だ。
なのでむやみに悩みが大きくなってしまう。

ほとんど「口コミ」だけが頼りの状態といっていい。

年金問題も大切だけど、介護の内容も国や県や市がもっと広告してほしいと思う。

で、少しでも困ったことがあったら、
まずは、できるだけ早く市役所に電話してみることをお勧めします。
または、近くになにかの老人施設があったら、そこへ行って職員に相談してみると、より現実的なことがわかるかもしれません。

傑作ムツゴロウ音頭。人生に乾杯

2008-09-24 | 介護
でたー、 九州ムツゴロウ音頭ー!

お世話になっている老人施設での敬老会に参加してきました。
(いまのところ私はまだ敬われる側ではない。そしてこの写真も私ではないデス残念ながら・・・)

肩をキュッキュッとすぼめるポーズが、魚のむつごろうをイメージしてるような。


手ぬぐいの目のところだけ、あいている。


おもしろすぎてぶっ飛びました。かなり手ぶれしておりますー


今日招かれたこの演者グループのメンバーもかなり年齢が高い。
だけど元気いっぱい。
踊りだけじゃなく、玉すだれや皿回しもこなす。
なので、敬老シーズンは出演予約はいっぱいだそうで、すでにクリスマスの依頼まで来ているという。

「おもしろい顔でしょう~。お面、取っても、そのまんまなのよ~」

と笑わせてくれる司会のおじさん(70代かそれ以上だと思う)は手品までやって見せてくれる。

最後に全員で写真を撮った。
「ささっ、おばあちゃん前にどうぞ」
と入居者に勧めるメンバーの女性と、おばあちゃんと呼ばれた入居者はたぶんそんなに年齢は変わらない。

この元気の差はなんだろう。

いやいや、羨ましくなるけど比べても意味がない。
それぞれの人生、オンリーワン
比較なんてできない。
どんな形であっても、価値がある。
入居者たちの表情を見ているとそう思う。

みんなの人生に、じわっと感動した1日だった。