なぜか「牛車腎気丸ください」と言われる事がしばしばありました。
ネットで検索するとこれがいいと書いてあったそうな。
そこで、牛車腎気丸はどんな体質に使うのか、書いてみます。
処方のつくりは「八味地黄丸」に牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えたもの。
八味地黄丸は腎陽虚。牛膝は活血化瘀、補肝腎、利水通淋作用を持ち下行の引経薬でもある。車前子は清熱利水作用があるので、つまりは、下半身が冷えるタイプのむくみや小便がスッキリ出ないという症状のある人に用いると有効。
腎陽虚は、
下半身が冷える、足腰の力が弱い、下腹部のひきつり、腰痛などの症状があり、むくみや尿量減少または多尿、夜間尿、失禁、スッキリ排尿できないなどの症状が現れやすい体質。
ということで、お客様の体質を伺ってのち「牛車腎気丸でないほうがいいのでは?」というと、「でもここに書いてある!」とスマホを見せつけられるのには困ったものです。その記事は私が書いたものでもないのに、なぜ詳細に説明しなおさなければならないのでしょうか。
ネット記事を読むときは、前後も十分読み込んで、そのニュアンスをしっかり理解してください。
あ、これもネット記事か。
今朝の通勤道に咲いていたヤクシソウ(薬師草)。名前のわりに効能はないとか。
ちなみに、牛膝はイノコヅチの根で、車前子はオオバコの種子。案外身近な植物です。
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冷え性でむくむというお悩みを持つ女性は多いですね。
それは、体内の水を処理する力が足りないからです。
それなのに、水は2リットル以上飲まなきゃならないとか、水を飲むときれいになるとか思っている人、多いです。
このタイプの人は、疲れやすく、無駄に汗をかきやすかったり、頻尿、おりものが多いなどの症状もあったりします。外気の湿度が高くなるとますます体内の無駄な水が掃けないので、天気が悪いと体調が悪化し、むかむかしたり、頭が重かったり、いわゆる気象病と呼ばれる症状が出ます。
元気よく鳴いてホロ打ちするキジ♂
口寂しいから水を飲むのではなくて、口が少し乾いたなと思ったらちびりちびりと白湯でも飲んでください。冷たいものは厳禁です。
座りっぱなし立ちっぱなしはよくありません。
マメに動いて足腰を使い、循環改善をしましょう。
漢方対策では、補気しながら去湿、活血します。
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むくみ対策の復習その2
むくみを解消するには、停滞してたまっているものを動かして掃除をする力が必要で、
その原動力の一つは「脾気」つまり胃腸の元気を高めることで、
もう一つは「腎気」。この気は、病気を長患いしたり加齢によって減ってくる。
そこで「牛車腎気丸」
八味地黄丸の桂枝を肉桂に変え、牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えたもので、
腎の陽気を鼓舞して高め水の掃けをより促す
下半身、特に足首から下のむくみがひどい、寒がりで腰が重だるく、尿量が少ないなどの症状を伴いやすいタイプに向いている
胃腸の力も落ちていて下痢軟便気味なら、真武湯と合わせてもよいかもしれませんね。
むくみ対策を復習。まずは補気建中湯。
むくみの相談で来られる人の多くは慢性的なむくみ。
ものを下から上へ持ち上げるには力が必要で、その力が足りないと慢性的に下半身がむくむ
原動力となるのは胃腸の力だが、食欲がないとか食べものが偏っているとか、疲れやすいなどの状態だとなかなかむくみが解消しない
「補気建中湯」
利水作用のある生薬に加えて、名前の通り体の中(主に胃腸)の力を建て直して(補気)、気の巡りを促す(利気)生薬が配合されている。
食欲がない、すぐ腹が張る、疲れやすいなどのタイプに向いている
甘草を含まないので長期服用も安心。ただし胃腸が元気になるにはある程度の期間が必要で、
すぐにむくみがスッキリとれるわけではないが、コツコツ服用すれば次第に元気が出て体が軽くなる。
ほかに瘀血、気滞、腎虚などなどの体質もあれば、漢方薬の組み合わせも必要でしょう。