アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

旅の友~藤沢周平著「日暮れ竹河岸」

2018年10月22日 | 読書三昧

藤沢氏生前最後の短編集である。
短編集と言うより、掌編小説集である。いわゆる、ショートショート集である。

巻頭の「江戸おんな絵姿12景」は、江戸の四季を背景に、当時の下町の何気ない女性の日常を編んだ12編の掌編である。

しかも、その趣向が凝っている。
つまり、作者がざっとあらすじをメモし、それを女性編集者にわたして相応する浮世絵を選んでもらい、後に小説に仕立てるという趣向である。

編集者も、提示された「あらすじ」にふさわしい絵柄を選ぶのに相当苦労したらしいし、また、作者も「あらすじ」を選ばれた絵にふさわしく仕上げるという緊張感があったと(あとがきに)記している。

後半は、”広重「名所江戸百景」より”として、表題作など7編を収める。(都合19編)

いずれも、極めて上質のエンターテイメントに仕上がっている。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)

コメント