後半です。
冒頭に駆け落ちしていた色男と遊女である[生駒之助と恋絹]が薬売りになって逃走しつつ踊る道行からスタート。
道行は舞踊(もちろん、人形が踊るのですよ)です。
太夫さんも三味線さんも並んで華やかです。
大体、駆け落ちが報われない展開になりますから、いっときの幸せ。ああ、切ない。
「一つ家の段」
能「黒塚」を下敷きに…となっていますが、もとが伝承なので派生した話がいくつもあり、そのひとつに類似した展開のものがあるようです(wikiより)。物語の成立の過程や作家の意図などを知る手掛かりになるので、調べると面白そうです(こういう研究をしていたので)。
山中、切り立った崖の上の家に老婆が住んでいます。
どうやら下女らしきものもいるのですが、旅人を殺して路銀を奪ったり悪行三昧。
壮年の男の腕を引きちぎったり、喉笛かぶりついて殺したり、あんさん普通のばあさんちゃいまんな。
語りもそれを予感させます。
そこへやってくるのが件の駆け落ちふたり。恋絹は臨月、具合が悪いというので、ばあさん親切にも生駒を伴って近くの薬屋に行こうと言いだします。夜ですで!観客は、その前の殺戮を知ってるから「あかんて~!行ったらあかんて~!嫁をひとりにしたらあかんて!」と徐々に高まる恐怖への心の準備を始めるのです。ばあさん=勘十郎様、不気味さが人形からにじみ出ていました。
なんと、ばあさん「生きている胎児の薬」を長年待ち焦がれていたそうで…。
この後の展開は…お分かりですね。
でも、一言言いたい。どうしても手に入れたいものなら、なぜいつ来るか分からん妊婦を山の中で待つのだ?
そんな突っ込んではいけないことが多々あります。大人ですから、それは突っ込みません。
それに、なぜそこまで悪に手を染めれるのか?その興味に行きつきます。
ばあさん、実は前半にでていた安部兄弟の母親。滅ぼされた旦那の無念を晴らすために画策していたのです。
行方不明になっていた天皇家のお子はこちらにおり、口が聞けない病気を治すために秘薬が必要だったのです。
…その処方でほんまに治るんか、とか疑問に思ってはいけません。
ここから大どんでん返しがはじまりますよ~!
ばあさん家の下女は、源氏側(※ばあさんは源氏に滅ぼされた家)の人間、しかも男が扮していたのです!
そ、そんなバカな…。
しかも、ほんとは身代わりの子どもだったので、口がきけないのを装いなさいって指示していたとか!
恋絹の死って…。
しかも、恋絹はばあさんの娘だったのです(安部兄弟の妹)!
驚愕の事実。
ああ、展開にくらくら。そういえば配役表に「●●実は○○」とたくさん書いてあったな~と述懐する私。
この「お家のために」という展開こそが文楽らしい。
家のためなら身内の死をもいとわぬ。ばあさん一本気。でも、迷惑です。
ばあさん、娘と孫の亡骸とともに谷底へ。
「谷底の段」
ここに安部兄弟もやってきます。全員大集合。
急に宝剣の話がでてきて、それが戻ったのは嫁の恋絹が死んだおかげとかなんとかで生駒さんの勘当がとけて、それぞれ戦場での再会を誓って幕が下りたのでした。
最後の大夫は靖大夫。力強い語りで着地できたような心地で劇場を後にしたのでした。
冒頭に駆け落ちしていた色男と遊女である[生駒之助と恋絹]が薬売りになって逃走しつつ踊る道行からスタート。
道行は舞踊(もちろん、人形が踊るのですよ)です。
太夫さんも三味線さんも並んで華やかです。
大体、駆け落ちが報われない展開になりますから、いっときの幸せ。ああ、切ない。
「一つ家の段」
能「黒塚」を下敷きに…となっていますが、もとが伝承なので派生した話がいくつもあり、そのひとつに類似した展開のものがあるようです(wikiより)。物語の成立の過程や作家の意図などを知る手掛かりになるので、調べると面白そうです(こういう研究をしていたので)。
山中、切り立った崖の上の家に老婆が住んでいます。
どうやら下女らしきものもいるのですが、旅人を殺して路銀を奪ったり悪行三昧。
壮年の男の腕を引きちぎったり、喉笛かぶりついて殺したり、あんさん普通のばあさんちゃいまんな。
語りもそれを予感させます。
そこへやってくるのが件の駆け落ちふたり。恋絹は臨月、具合が悪いというので、ばあさん親切にも生駒を伴って近くの薬屋に行こうと言いだします。夜ですで!観客は、その前の殺戮を知ってるから「あかんて~!行ったらあかんて~!嫁をひとりにしたらあかんて!」と徐々に高まる恐怖への心の準備を始めるのです。ばあさん=勘十郎様、不気味さが人形からにじみ出ていました。
なんと、ばあさん「生きている胎児の薬」を長年待ち焦がれていたそうで…。
この後の展開は…お分かりですね。
でも、一言言いたい。どうしても手に入れたいものなら、なぜいつ来るか分からん妊婦を山の中で待つのだ?
そんな突っ込んではいけないことが多々あります。大人ですから、それは突っ込みません。
それに、なぜそこまで悪に手を染めれるのか?その興味に行きつきます。
ばあさん、実は前半にでていた安部兄弟の母親。滅ぼされた旦那の無念を晴らすために画策していたのです。
行方不明になっていた天皇家のお子はこちらにおり、口が聞けない病気を治すために秘薬が必要だったのです。
…その処方でほんまに治るんか、とか疑問に思ってはいけません。
ここから大どんでん返しがはじまりますよ~!
ばあさん家の下女は、源氏側(※ばあさんは源氏に滅ぼされた家)の人間、しかも男が扮していたのです!
そ、そんなバカな…。
しかも、ほんとは身代わりの子どもだったので、口がきけないのを装いなさいって指示していたとか!
恋絹の死って…。
しかも、恋絹はばあさんの娘だったのです(安部兄弟の妹)!
驚愕の事実。
ああ、展開にくらくら。そういえば配役表に「●●実は○○」とたくさん書いてあったな~と述懐する私。
この「お家のために」という展開こそが文楽らしい。
家のためなら身内の死をもいとわぬ。ばあさん一本気。でも、迷惑です。
ばあさん、娘と孫の亡骸とともに谷底へ。
「谷底の段」
ここに安部兄弟もやってきます。全員大集合。
急に宝剣の話がでてきて、それが戻ったのは嫁の恋絹が死んだおかげとかなんとかで生駒さんの勘当がとけて、それぞれ戦場での再会を誓って幕が下りたのでした。
最後の大夫は靖大夫。力強い語りで着地できたような心地で劇場を後にしたのでした。