ある時、フランクフルトのマンションが空き巣に入られた。ディナーをどこか遠くで外食し、夜遅く家に戻ったら、ベランダのドアが開いていて、空き巣に入られたことが判明した。帰宅した時、ハウスマイスター(管理人)が現場にいて、警察にも通報してくれていた。彼によると、仕事を終えて帰宅しようとした時、我が家の窓が開いていて、部屋の中を覗くと荒らされていたので、警察を呼んだということである。
盗まれた物は、現金と宝石類でたいした額ではなかったのは幸いであったが、管理人が怪しいのではないかと疑い、指紋を取っていた警察官に、彼の飲んだコーヒーカップの指紋も取るように
頼んだほどである。なぜ怪しいと感じたかというと、その日の朝、管理人から電話があり、昼間から夜にかけて外出することの確認があったからである。その間に何か作業をするようなことを言っていたが、帰宅時に現場にいたのも怪しいし、我々が帰宅する前に警察に連絡を入れたのも何となく怪しいと感じた。
指紋は取ったものの、彼が犯人である証拠はないとされた。このような盗難事件では、警察官の役割は犯人を捕まえるのではなく、保険の手続きを行うことであることがわかった。現金がいくら盗まれ、いくらの宝石が盗まれたかの査定を行い、書類を作成することである。保険に入っていたので、全額戻ると説明され、盗まれたものを申告したが、あくまで申告ベースなので不正もできるのではないかとの疑いもあった。現に、宝石は3点盗まれたので、3点で10万円と申告したが、警察官が作成した書類には、1点10万円が3点と記載されていたことが後でわかった。
いい加減といえばいい加減だが、後で何かあったらまずいと思い、警察に訂正を依頼し、宝石分は、10万円のみ保険金として受け取った。もし気がつかなかったら、30万円が払われていたと思うが、ほっとけばよかったのにと後で笑い話になったほどである。蛇足ながら、犯人の宝石への目利きはとても優れていて、たくさんあった宝石の内、3点の高いものだけが盗まれていた。自分が妻にプレゼントしていた宝石はすべて残されていたので、妙に納得したものである。
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