緊急事態宣言の影響もあって中々映画を観に行けなかったが、最近公開されたハリウッド映画「MINAMATA―ミナマタ」に興味を惹かれたので久々に映画館を訪れた。
この映画は日本の公害問題である水俣病の悲惨さを、世界へ伝えた実在のカメラマンをモチーフにした実話の物語です。主人公のカメラマンユージン・スミス役をハリウッドスターのジョニー・デップが演じている。役作りのせいか映画の中の彼は以前の精悍さが失せ、老けてチョット太った仲代達也似のオッサンになっていた。
物語は過去の栄光にしがみつき酒に溺れ失意の日々を過ごしていたカメラマンユージン・スミスが、日本女性アイリーンの願いを受け、当時社会問題化しつつあった水俣病公害を取材する事から始まる。
水俣公害は水銀汚染水を垂れ流し公害の加害者であるチッソの工場が、水俣市の経済を支える基幹産業でもあった事から、チッソに味方する側と糾弾する側に市民は分裂していた。
最初の頃は取材が進まず時には自暴自棄にもなるスミスだったが、徐々に協力する人達も増え、やがて彼が撮った写真がタイム誌のトップを飾り、水俣病公害の悲惨さを世界へ広める大きな原動力となった
裁判における被災者家族側の全面勝訴で映画のクライマックスとなるが、当時のニュース映像も交えた社会派映画なので、映画の面白さという点では盛り上がりに欠けた感があるかも知れない。
しかし環境問題は今や世界を揺るがす大きな社会問題となって、人類の前途に暗雲を投げかけている。世間に警鐘を促すうえでも、この映画を多くの人に観てもらえればと思った。