5月23日(土) 天気=晴れ
06:50慰霊碑横駐車場→ 07:00~07登山センター→ 07:11登山道入口→ 07:25高圧送電線鉄塔→ 08:34~45ラクダのコブ→ 09:44トマの耳(谷川岳)→ 09:54~10:16オキノ耳(谷川岳)→ 10:27~37トマノ耳→ 11:13熊穴沢避難小屋→ 11:43~46天神平スキー場→ 12:40慰霊碑横駐車場
谷川岳は以前「魔の山」何て呼ばれて恐れられていたけれど、あれは岩登りや冬山で遭難する人が多かったからで、普通に登る分にはアクセスが容易でとてもイイ山だ。古い山好きの人なら、夜行列車に乗り深夜土合駅の長い地下階段を登って谷川岳登山をした人も多いだろう。今では高速道路が通じて2時間程で登山口に来る事ができる便利な時代になった。
今日は谷川岳西黒尾根を登るべく早朝我家を出発した。西黒尾根は山頂まで標高差1200mを一気登りする急登コース、トレーニングにはうってつけで私の大好きなコースの一つだ。
遭難者慰霊碑横の駐車場
ロープウェー山麓駅の駐車場は500円を払わねばならぬので、それを惜しんで少し下の遭難者慰霊碑横の空き地に車を停める。此処は早くいかねばすぐ満車になるから要注意、車道を歩いて10分程で登山センターに着く。ここで登山計画書を提出し、車止めのゲート脇を抜けて登山口へ向かう。
登山道手前の登山センター
センターから5分程歩いて西黒尾根の登山道入口、立派な標識があるから見落とす事は無い。最初から樹林帯の急登だが、何度か通った道のせいか案外登り易い。登山口から15分程で送電線鉄塔下に着く。以前冬に登った時は、吹雪の為にここから引き返した事がある。
西黒尾根登山道入口
更に樹林の急登が続く。週末とあって何組もの登山者が前後して登っている。標高が上がると残雪が多くなるが、殆ど夏道を歩く事ができる。森林限界を越えると尾根が狭まり展望が拡がる。南に意外な近さで天神平スキー場が見える。
西黒尾根の鎖場
この先は痩せ尾根に鎖場が3か所程続く。いずれもしっかりと鎖が張られそれほど危険は無い。むしろ若干のスリルが味わえて楽しい登りと言えるくらいだ。鎖場を抜けると尾根上のピーク、ラクダのコブ(1516m)に着く。何度来てもここからの絶景は素晴らしい。谷川岳東面の岩壁群、その奥には谷川連峰はもとより越後、尾瀬、奥日光の残雪を抱いた山々が拡がりウットリと眺める。
ラクダのコブと奥に谷川岳
マチガ沢の雪渓と奥は東尾根
ここから一旦ラクダのコルに降り、山頂へ向けて一気に登って行く。急傾斜だが、夏道を行く分には危険は無い。ただザンゲ岩付近では2カ所ほど残雪の通過箇所があり、雪が薄くなって踏み抜きそうな気配でちょっとロシアンルーレットのような気分、今日のコースではここが一番の要注意個所だった。
ザンゲ岩から巻機山方面
ザンゲ岩付近の残雪通過場所(割れそうで不気味)
だんだんと右手にトマノ耳、オキノ耳の山頂が近づいてくる。やがて傾斜も緩み残雪が拡がる山頂台地に到達する。一気に西側の展望が拡がり、苗場山や志賀草津の山々が望まれる。谷川岳南峰トマノ耳(1963m)には留まらす、最高地点の北峰オキノ耳(1977m)へ向かう。
西黒尾根上部(手前トマノ耳と奥にオキノ耳)
オキノ耳山頂の東面は一ノ倉沢の岩壁で、湯檜曽川に向かって一気に削ぎ落ちている。高所恐怖症の人だと足が竦む光景だ。360度の大展望、日帰りで行ける山でこれ程の展望を誇る山は、そんなに無い。吹く風は優しく大自然の平和な風景に、この山で何百人もの人で亡くなったとは俄かに信じ難い思いだ。
谷川岳(オキノ耳)山頂
オキノ耳山頂から一の倉沢俯瞰
オキノ耳山頂から登ってきた西黒尾根
オキノ耳側からトマノ耳
20分程滞在した後、山頂を後にする。10分程歩いてトマノ耳山頂に戻り、オキノ耳にサヨナラをして天神尾根へと下山を開始する。この尾根は緩やかな道で、中腹の天神平スキー場までロープウェーが通じているから山頂までの最短コース、今日も登山者が次から次へと登ってくる。中には殆ど荷を持たず運動靴の人もいて、「残雪の所はどうすんだろ。」と危ぶむが、まあ他人の事を心配してもしようがない。
トマノ耳からオキノ耳方面
トマノ耳から天神尾根
トマノ耳から1時間程で着いた天神平スキー場は、スキーの営業は終わって今は観光客の天下、多くの老若男女が雪山の風景を楽しんでいた。時間はまだお昼前だし私は1230円のロープウェー料金を払うのが惜しくて、ロープウェー沿いの道を山麓へと降って行く。
天神尾根の途中から俎方面
熊穴沢の頭の避難小屋
天神平スキー場
残雪の残る道沿いはフキノトウやコゴミが見られ、それを捜しながら降ったので退屈する事はなかった。ゴンドラに乗った人は真下の山道を一人歩く私を見て、「変わり者がいる。」とでも思っただろうか。
天神平から山麓への下山道(奥の山は朝日岳)
山麓間近になると道が拡がり大型の建設車両が何台か置かれていた。もうその先は車道でス、キー場から1時間程で慰霊碑横の駐車場に戻った。あんまり早く帰るのも妻の手前気まずいので、水上町の無料駐車場に車を停め、近くの日帰り温泉「ふれあい交流館」でゆっくりと湯に浸かった。
この温泉は小さいけれど、便利な所にあるわりには空いており料金(550円)も安い。意外と穴場の温泉だ。素朴な接客態度も好ましくて私は何度も来ている。温泉を出ると高速料金を節約しようと一般道で我家へ向かう。渋川ICまで来て関越道に乗り、5時前には我が家に到着した。出発から帰宅までちょうど12時間の小さな旅だった。