10月26日(土)~27日(日)
16:50~17:11坂戸市役所(38.56km)→ 20:32~49川島町役場(56.99km)→ 00:14~29川越市役所(77.05km)→ 04:43~50鶴ヶ島市役所(97.34km)→ 05:22富士見中央公園(100.46km)
第4CPの坂戸市役所を出発してからは、塩田さんと彼の友人そして私の三人一緒で歩くようになった。坂戸市街地は熟知しているので、私が先導して進む。国道407号を歩いていた時、塩田さんが突然凹地に足を引っ掛けて転んだ。
顔面を強く打ち、右目横の傷口からは血が滴り落ちている。こりゃウォーキングどころじゃないと思ったが、タオルで傷口を押さえた彼は「大丈夫」だと言う。
近くに坂戸市災害ボランティアセンターとなっている社会福祉評議会事務所があったので、私は彼をそこへ連れていった。先日のボランティアで顔見知りになった職員さんが丁度居合わせて、事情を話し救急薬品で彼の怪我を治療してもらった。
このままリタイヤかなと思ったが、治療を終えた塩田さんは歩き続けると言う。そして社会福祉協議会事務所を出て歩き始めたが、心配は杞憂であった。彼は付き添う我々二人を引っ張るように再び力強く歩を進めた。
坂戸市総合運動公園の横を過ぎると市街地を離れ、広々とした田園地帯の中を進んで行く。遥か前方に先を行く参加者のバックライトが蛍の灯りのように見える。
やがて越辺川に架かる天神橋を渡ると、此処を右折して少し先で折り返し橋桁の下を潜って越辺川の上流へ向かう。この地点は地図だと左折するように見えるので、誘導員が居なければ迷うところだった。
ここから先は川沿いの自転車専用道路を延々と進む。堰堤上で眺めが良く車も通らないので安心して歩く事ができる。国道254号の高架を潜ってしばらく進むと、「50キロ中間地点」の標識があった。それには頑張ろうとも書かれていたが、「まだ半分もあるのか。」と逆に不安な思いが強まった。
50キロ地点の標識
梅ノ木古凍貯水池の畔を過ぎると、市野川沿いの自転車道を進んで行く。やがて鳥羽井沼公園の所で自転車道を離れ、田園地帯の中を通過して午後8時半頃、川島町役場の第5CP(56.99km)へ着いた。
川島町内のコースは殆ど自転車専用路の為、この先川越市街地までは全くコンビニが無いので、このCPで多めに食料飲み物を補給する。塩田さん達の速いペースに合わせるのがしんどくなった私は、彼らに早く出発してもらい後からマイペースで歩く事にした。
川島町役場を出発して田園地帯をしばらく行くと、今度は市野川の本流、荒川堰堤上の自転車専用路を進む事になる。地図で見ると、この道は下流の上江橋まで15キロ以上堰堤上に続く。単調な道程に嫌気が差して携帯ラジオで芸人さんやアイドルのバカ話を聞きながら歩いたが、これが思った以上に私の気分をリラックスさせてくれた。ロングウォーキングには携帯ラジオは非常に有効です。
長い自転車道が終わり国道16号に架かる上江橋の下を潜ると、橋上の国道へ出て、川越市街地に向けて歩いて行く。少し先の川越運動公園へ向かう右折地点では、深夜なのに若い女性が二人で誘導をしていた。
上江橋
彼女らの激励を受けて、国道を離れ川越運動公園へ 北上する。途中のコンビニで休憩していた塩田さんらに再び合流し、その後は一緒に歩いて行く。街灯に照らされた道を進んで行くと、前方に光り輝く川越の市街地が広がった。
国道254号を越え、日付が変わった午前0時14分に、川越市役所の第6CP(77.05km)へ着いた。此処まで辿り着いてやっと完歩できる自信が持てた。しかし椅子に座ると筋肉痛で立ち上がるのもヤットコサ、脚の筋肉がガチガチになっている。足裏の豆がどうなってるのか、靴を脱いで見るのが怖い。
川越市市役所の第6CP
川越市役所を出発すると市街地を南へ川越駅まで歩き、そこから西へ転じ国道16号を進む。関越道の高架を潜ってしばらく行くと大袋新田の交差点で、此処を右折して広い道を北へ進む。
疲れて喉も渇いたので、途中のコンビニで休憩がてら栄養補給する。コンビニを出てしばらくすると、入間川に架かる長~い八瀬大橋を渡る。渡った先にコース案内の矢印があったので、それに従い交差点を右折した。
少し先でJR川越線の踏切を渡り歩いて行く。しばらく進んで何だか道を間違えたような?気がして、立止って地図を確認してみた。そうするとコースは川越線を越えてはおらず、南側を平行して進むようになっている。それに今北へ向かっているけれど、地図では西へ進んでいる。
道を間違えたと確信したが、塩田さんらは既に声も届かぬ程先を歩いており追い掛けて伝える気力も無い。申し訳ないが私は一人引返し、矢印の交差点まで戻った。
交差点へ戻り後から来た人達と確認すると、間違いの原因が判った。丸い電柱に張られた矢印が、微妙に動いて右折するように見えたのだ。後発の人が間違わぬよう、矢印の角度を正しい方向へ修正した後、川越線南側の県道を西へ向かって進んで行く。塩田さん達には悪い事をしたが、彼らもベテランなので直ぐ間違いに気付くだろう。
それでも不安な思いはあったが、少し先でコース案内の矢印を見つけて正しい道だと安心できた。県道沿いに西へ進み、笠幡駅を過ぎて圏央道手前の所で、左折の案内標識があった。
車も殆ど通らぬ静かな田舎道を南へ進み、川越から狭山市へ向かう県道に合流すると右へ曲がる。此処まで来ると前後に全く歩く人は居らず、一人の中年男性が私の後をピタリと追いてきていた。
サイボグハムの手前で県道を右折し、圏央道の高架下を潜ってしばらく行くと、国道407号沿いのセブンイレブンに着いた。此処から先は私のジョギングコース圏内、勝手知ったる道だ。俄然気力体力が湧いてくる。
国道407号のバイパスを抜け、国道沿いの桜並木を進んで行く。この辺りの歩道は、暗い上に水溜りが随所に残り、気を付けないと足元を濡らしてしまう。桜並木を抜けると、Y字路を右へ入り国道を離れる。そして午前4時43分に鶴ヶ島市役所の第7CP(97.34km)へ着いた。
記帳を終えると自宅へ電話する。まだ夢枕だった妻は「エッもう着いたの」とびっくりしていたが、これから起きてゴール会場へ向かうと言う。此処まで一緒に歩いた男性が「私はやっくり行きますから」と言ったので、私は一人市役所を出発する。
此処から先は見慣れた街並みの道、完歩できる喜びで身体も気力も増々快調になる。若葉駅ではエスカレーターに乗るか否か一寸迷ったが、乗ってしまえば完歩にならぬと思い階段を歩いて登り通過した。
そして昨日の午前10時にスタートした富士見中央公園へ午前5時22分にゴールした。自分では午前6時を過ぎるだろうと予想していたが、所要時間20時間を切って、思ったよりも良いタイムだった。
05:22富士見中央公園にゴール
100キロは長~い道程でした。
一昼夜ブッ続けで100キロを歩く何て事は、何せ初めての経験だったので正直不安はあった。そんな不安も完歩できた事で、70歳過ぎてもやれるもんだと自分の体力に些かの自信となった。
しかし代償は大きく、腰から下の筋肉は石膏のようにカチカチで足の裏は豆で痛くて堪らない。こんな過激な運動は、身体に悪いしもうやるもんじゃないと強く思った。会場を去る時、スタッフの人が「又来年もお待ちしてます。」と言ってくれたが、「こんなシンドイ事もう二度としません。」と応えた。
今回初めて体験した100キロウォークであったが、終わってみて幾つかの改善すべき事項もあった。まず靴はランニングシューズで歩いたが、やはり「走る」と「歩く」では運動形態が違う。ウォーキング用の靴にした方が、足裏の豆もできず歩き易かったのではないか。
それから替えの下着や行動食も多過ぎたと思う。もっと荷物を減らせば、歩きも随分楽だっただろう。1回歩いてコースも覚えたので、次回歩く時には迷う事も無いしもっと良いタイムが・・・・
・・・アッこんな事書いて来年も参加しようと思っている、もう一人のバカな自分が居る。アナ恐ろしや。アナ恐ろしや。