GABACHOP〜あがんにゃな日々〜

趣味について、日記がてら。

IN-HI活動休止

2007年01月08日 | 沖縄音楽

 沖縄インディーズミュージックの創世記を支えて来たIN-HI(インハイ)が、1月6日のラストライブを最後に活動休止することになりました。

 なんというか、イケメンが揃っているわけでもなく(むしろかなり濃い面々)、歌が特別うまいわけでもなく、歌詞や曲も一般受けしない、でも心にひっかかる不思議なバンドでした。

 沖縄民謡とハードコアと悪ノリを、純情とメロコアで割ったような、アッガイタンディにズミッと振り切りぬいた音楽性は、いい意味でも悪い意味でも他の追随を許さなかったような気がします。

 後輩のモンパチやHY、オレンジレンジらの創り上げたR-POPブームの波に乗るかのように、2003年にメジャーデビュー。そのちょっと前のシングル『ハイサイ兄さん』で、僕は彼等の曲と出会いました。コアなサウンドと三線が見事にマッチ、青臭くも燃えるストレートな歌詞に、一発ではまりました。

 しかし、一般受けはしなかったのか、2枚のシングルと2枚のアルバムを出した時点でインディーズに逆戻り。ギターメンバーの脱退もあり、もう終わりかな、誰もがそう思いましたが、そこからの復活劇はすごく勇気付けられました。新メンバーでの復活第一弾アルバムの名は『不倫中の海人(ふりんちゅうのうみんちゅ)』。メジャーアルバムでは控えめだった悪ノリ感も久々に爆発した、開き直りまっくた一枚。超名盤。

 そして2005年12月。結果ラストアルバムとなった『RYUKYU DISTORTION』は、一般から出資者を募る、いわゆるミュージックファンドでの製作。かく言う僕も、少しだけ出資して、投資家気分を味わいました。ブックレットに名前が載ったのも、今となってはいい思い出です。

 6日のラストライブには仕事で行けず、i-podのヘビーローテで我慢。次のカラオケでは、周りの迷惑なんのその、がっつり歌いまくってやるさあ。





【IN-HIの曲が試聴できるサイト】
i dub okinawa



ぼくとフリオと校庭で

2007年01月08日 | マンガ

 唯一無二の世界観を持つ諸星大二郎の短編集『ぼくとフリオと校庭で』。

 漫画てのは非現実を描くもので、不思議な世界観なのも当たり前なのだけど、諸星作品てのは、さらにその向こう側を、小窓の隙間からから覗き込んでいるような、そしてその小窓を開ければそこに行くことができ、永遠に抜け出せなくなるような、そんな「身近な異界」を体験することができます。

 子供達の鬼ごっこに付き合ったことがきっかけで異世界に迷い込み、本当に鬼になってしまう「鎮守の森」、少年の体験する嘘と現実がごっちゃになったような迷宮のような日常を描く表題「ぼくとフリオと校庭で」、国の運営する臓器売買システムとその真の意味に翻弄され破滅していく若者を描くトラウマ作品「蒼い群れ」、アニメ「エヴァンゲリオン」に影響を与えた「影の街」(エヴァ一度も見たことないんで本当かは知らん)など、脳髄をゆっくりストローで吸われるかのごとく、じわじわ頭がしめつけられて行く読後感。

 まあ、読んでみそ。





『ぼくとフリオと校庭で』諸星大二郎
1991年双葉社
2006年双葉文庫



宗像教授伝奇考

2007年01月08日 | マンガ

 諸星大二郎とともに、伝奇漫画の2大巨頭として知られる星野之宣(ほしのゆきのぶ)。そのライフワーク的作品『宗像教授伝奇考』を今回はご紹介します。

 日本、世界各地に残る神話や伝記などに残る謎を、主人公の宗像教授が解き明かすという伝奇物王道ストーリーです。諸星大二郎の『妖怪ハンター』もこの系譜。主人公の様相は、両作ともに黒いスーツの異端学者と共通しているけど、『妖怪ハンター』の稗田礼次郎が長髪なのに対し、宗像教授はヒゲにスキンヘッド。名前の由来も、ともに歴史上の人物から。案外お互い意識し合っているのかも。

 シナリオはかなり練られており、無論フィクションばかりなのだけれど、説得力はNHKのドキュメンタリーばり。読後に推敲すると、つっこみどころも多数なのだけれど、宗像教授の有無を言わせぬ怒涛の解説地獄を前にしては、ただただ、うなずくしか術がありません。

 この作品が連載されていたのは、伝説の月刊誌「月刊コミックトム」。知名度は低いものの、その産み出した作品群の濃さは他の追随を許しません。話がそれてしまうけど、いくつか代表作を並べてみます。

横山光輝『三国志』『項羽と劉邦』『殷周伝説』
松本零士『天使の時空船』
手塚治虫『ブッダ』『ルードウィヒ・B』
藤子・F・不二雄は『ポコニャン』『T. P.ぼん』
みなもと太郎『風雲児たち』
諸星大二郎『西遊妖猿伝』『碁娘伝』
山岸涼子『ツタンカーメン』『青青の時代』
安彦良和『虹色のトロツキー』
坂田靖子『天花粉』
くさか里樹『永遠の都』
白井恵理子『GOGO玄徳くん!!』
たがみよしひさ『メタルハンターズD』『お江戸忍法帖』
神坂智子『カラモランの大空』
堀田あきお『アジアのディープな歩き方』
仲宗根みいこ『ホテルハイビスカス』
大峰ショウコ『迷宮の関帝廟』(ん?)

 上記作品群は一切ハズレないので目にするチャンスがあればぜひ手にとってほしいものばかり。少女漫画家の作品もあるけど、かなり読みやすいので、硬派でケンカ早くて常時ガクラン着用で語尾は「~じゃい」で“強敵”と書いて“友”と読むようようなゴリゴリな男衆でも楽しめることこの上ないはず。

 あれ?なにをレビューしてるんだっけ。

 ああ、そうそう、『宗像教授伝奇考』はすごくおもしろいから、みんな読んでね。





『宗像教授伝奇考』
1996年-1999年 潮出版社 全6巻
2004年 潮出版社より文庫化

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