「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「無意識の彷徨」 (12)

2007年04月24日 20時10分23秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47026933.html からの続き)
 

○警察署・留置場

  ベッドに座って考え込んでいるような裕
  司。
  突然、留置場の格子の扉に鍵が差し込ま
  れる音が響く。
  はっと我に返る裕司。
看守「(扉を開けて)面接だ」
  おずおずと立ち上がる裕司。
  裕司が外に出て看守が扉を閉めたとき、
  裕司のズボンの裾が鉄格子の壊れた金具
  に引っ掛かる。
  看守は気づかずつかつか前へ進む。
  裕司は足が動かない。
看守「(立ち止まり振り返る)どうした?
 早く来い!」
  裕司は急き立てられて異様なほど動転す
  る。
看守「何してるんだ?(仁王立ちで威圧的
 に)」
  裕司、必死に足を抜こうとするが抜けな
  い。
  混乱をきたす裕司。
看守「もたもたするな! 早く来ないか!」
  看守、ずんずんと裕司の方へ迫り寄って
  くる。
  我を失って恐怖にかられる裕司。
  向かってくる看守が手に持った鍵が鉄格
  子に当たり、カンカンという金属音が響
  く。
  裕司、時間の感覚がなくなり、看守の動
  きと声がスローモーションのように感じ
  られる。

○フラッシュバック

  カンカンという警報機の音。
  踏切で点滅する赤い光。

○留置場

  裕司の恐怖の表情。
  看守の黒い大きな影が裕司に覆いかぶさ
  る。

○フラッシュバック

  黒い鉄の固まりのような電車。
  けたたましく警笛を鳴らし、轟音を立て
  て迫ってくる。
  手を差し伸べる則子。
  則子の姿があっと言う間に小さくなって
  消滅する。

○留置場

裕司「あああ~~~………!!(頭を抱えてう
  ずくまる)」

○フラッシュバック

  9才の裕司。
  踏切の脇の草むらから線路の方を見てい
  る。
  額から血が流れている(現在の傷痕の場
  所)。
  遮断機が降り警報機が鳴っている。
  線路にブーツの踵を挟まれて動けない則
  子。
  電車が警笛を鳴らしながら飛び込んでく
  る。
  恐怖に引きつる則子の表情。
  無表情の裕司の顔。
  則子と電車が交錯する。
  画面一杯に飛び広がる血飛沫の色。
  フェイドアウト---。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46975546.html
 
コメント
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