「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自己愛性パーソナリティ障害に関して (2)

2009年05月08日 19時42分43秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 自己愛性パーソナリティ障害の人と 接するときの秘訣は、

 相手の嫌な側面は いったん問題にせず、 賞賛する側に回ることです。

 王様か天才のように 扱うことに徹します。

 そうすると彼は 自分の中の 素晴らしい部分を あなたに投影して、

 自分の素晴らしさが 分かる人物として あなたを格付けされます。

 次第にあなたの言葉は 彼にとって特別な重みを 持つようになり、

 あなたの進言に 耳を傾けるようになるでしょう。

 ただし 義務や道理を説くより、 不安や嫉妬心、 功名心を刺激することです。

 自己愛性パーソナリティ障害の人は 基本的に小心で 負けず嫌いなので、

 不利益な事態に触れたり 競争心を突つくだけで、 有効な動機付けになります。

 自己愛性パーソナリティ障害の人は、

 実際に優れた才能を 持っていることが多いのです。

 欠点を補ってくれる 優秀なマネージャー的 パートナーと出会うと、

 彼は非常に 能力を発揮します。

 自己愛性パーソナリティ障害の人が 最も苦手なのは、

 人の言葉や教えを 謙虚に聞くということです。

 もしそれができるようなれば、 彼は本来の 有能な力を活かし、

 現実の中で成功したり、 破綻から免れることができます。

 因みに 「風と共に去りぬ」 の スカーレット・オハラは、

 精神医学的にも 自己愛性パーソナリティ障害の 見事な描写として、

 注目されたキャラクターでした。

 スカーレットは レッド・バトラーと結婚して 破綻しますが、

 本命のアシュレーと 結ばれていれば、 幸せになれたのかもしれません。

 最後に、 自己愛性パーソナリティ・スタイルについて書いた

 記事のURLを紹介しておきます。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43613894.html

〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕
 
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自己愛性パーソナリティ障害に関して (1)

2009年05月07日 23時56分41秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 自己愛性パーソナリティ障害も

 BPD (境界性パーソナリティ障害) と同じ、 自己愛の障害です。

 BPDが 自己否定の泥沼で のたうち回っているのに対して、

 自己愛性パーソナリティ障害は 自己否定を避けるために、

 誇大な自信を身にまとう  「自己愛型防衛」 を行なっています。

 どちらも根底に 自己愛の傷つきがあるのです。

( ただしBPDとNPDは 隣接したパーソナリティ障害であり、

 心子もそうだったように、 BPDにも自己愛型防衛があるでしょう。

 心子も 自己愛性パーソナリティ障害的な 面も持っており、

 自分は優れた存在だと 賞賛を欲したり、

 それが得られないと 極端に落ち込むときもありました。 )

 自己愛性パーソナリティ障害は、

 傲慢で尊大な特権意識を 振りかざしているとは限りません。

 引きこもりやうつ, 対人恐怖, 心気症などの

 陰に隠れていることが 少なくありません。

 うつ病の2割に 自己愛性パーソナリティ障害が認められています。

 自己愛性パーソナリティ障害における引きこもりは、

 肥大した自己愛的理想と現実との 大きなギャップから生じます。

 自分の小さな世界に 引きこもることで、

 失望したり傷つくことから 身を守るのです。


 自分の能力が 人からねたまれて、

 迫害を受けているという 被害妄想を抱くこともあります。

 ムシャクシャすると “気分転換に”、

 犯罪的行為を犯してしまう というケースもあるようです。

 虐待や攻撃に 手を染める場合、

 反撃されにくい弱者に 対するのも特徴です。

 「 やろうと思えば 自分は何でもできる 」との 思い込みもあります。

 自己愛性パーソナリティ障害は 他への共感が 乏しいと同時に、

 防衛による 自己正当化が強いため、

 心からの 反省の念を抱くのには とても時間がかかります。

〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕

(次の記事に続く)
 
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行動療法的な手段 2 …… ボーダーラインの子どもの子育て (9)

2009年04月12日 21時56分39秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

○マイナスの強化をやめる。

 「励ましはするが、 治すのではない」。

 その一貫性を いっそう高めたものです。

 不安なことに対して 手を出すのではなく、 応援に徹することです。

 子どもは経験を重ねることで、 不安な状況に次第に慣れ、

 避けることが少なくなっていきます。

 自己評価を高めるために 欠かせないことです。

・回避行動を止めさせるときは、

 落ち着いて、 自信に満ちた、 一貫した態度で臨みます。

 子どもの操作的な行動は 無視します。

・子どもの苦しみを 肯定してやる。

 「あなたならできる」、

 少なくとも 「やってみることはできる」 と はっきり伝えます。

 挑戦することも 成功の印です。

 抱き締めて 励ますのもいいでしょう。

 挑戦してこそ得られる 最高の気分が、 推進力になります。

 ただ あまり大げさに誉めすぎると、 子どもは それを見抜くでしょうし、

 すぐ評価してくれることを 期待するようになってしまいます。

 以上の方法は、 大人のBPDにとっても 有効です。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より
 
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行動療法的な手段 1 …… ボーダーラインの子どもの子育て (8)

2009年04月11日 21時21分20秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

原則8: 行動療法的な手段を用いる。

 子どもが 境界や規則に従わないときは、 ふたつの方法があります。

・やめさせて、 間を置き、 方向転換をする。

 子どもが従おうとしない, 持続性がない, 規則を破る,

 反論するような場合に 効果があります。

・マイナスの強化をやめる。

 子どもが ネガティブな言動を強化する (繰り返して習慣化する)

 ようなことをやめます。

 このふたつについて もう少し述べていきます。

○やめさせて、 間を置き、 方向転換をする。

 子どもが 望ましくない行動を 取ったあとではなく、

 その最中に 用いなければなりません。

 首尾一貫して、 罰を与えるような手段を 避ける努力が必要です。

1. 子どもの好ましくない行動を やめさせ、

 椅子に座らせたり、 壁に向かわせたりします。

 他には何も言わず、 何もしないでください。

 事前の警告や 注意, 脅しなどは一切せず、

 今回だけは許すということも してはいけません。

2. 子どもが静かになるまで 間を置きます。

 子どもの反論や挑発は 一切無視し、 やり取りをしてはいけません。

 15秒, 30秒間、 落ち着いていられるようになるまで 待ちます。

3. 次は方向転換です。

 子どもが何をしたのか、 冷静に、 確固たる態度で 説明します。

 子どもが 規則をよく理解しているのが 前提です。

 今後どうしたらいいかを 説明します。

 子どもが悪い, 間違っている, 恥じるべきだ、 などの言い方は慎みます。

 それは子どもを いっそう不快にさせてしまいます。

 子どもを罰せず、 落ち着かせてください。

 冷静に、 一貫した態度で臨み、 言い争いや喧嘩は 避けてください。

 子どもはやがて 決められた行動に慣れるでしょう。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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効果のない方法 …… ボーダーラインの子どもの子育て (7)

2009年04月10日 21時57分33秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

原則7: 効果のない方法で 子どもをコントロールするのはやめる

 以下のような方法は 効果がありません。

・一貫性なく 規則を守ることを強要する。

 子どもは それを親の非と捉えることは ほとんどありません。

 子どもは親に依存しており、

 自分が悪い子なんだという メッセージを受け取ってしまいます。

・子どものするべきことを 肩代わりする。

 すぐに手を出すのは 賢い親のすることではありません。

 我が子を導き、 励ます方法を 心得ている親こそが、 賢明な親です。

・子どもが何かをすると かばう。

 現実を避けることに 手を貸す。

 でも 子どもが暴力的なときには、

 他の家族から 引き離さなければなりません。

 ただし 復讐するかのようではなく、

 全ての家族の 安全を守る必要があると 強調してください。

・ 「どうしてそんなことをするの?」 と質問する。

 ほとんどの子どもは 衝動的に行動してしまい、

 なぜ自分がそうするのか 分かっていません。

 尋ねても 子どもに嘘を付かせるだけになります。

・子どもの上を行って 操作しようとする。

 報酬を与えたり 罰したり、

 手を変え品を変えて 子どもをコントロールしようとすると、

 子どもからの 逆操作に遭うだけでしょう。

 子どもは 「相手と競い合う」 ことは 覚えますが、

 本当の自立にはなりません。

 二人の人間が 互いを操作しようとすると、

 どちらか一方が 負けることになります。

 愛情ではなく 敵意に満ちた環境を 作り出してしまうのです。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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境界設定 …… ボーダーラインの子どもの子育て (6)

2009年04月09日 21時31分20秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

原則6: 納得のいく、 妥当な境界を設定する。

 境界設定は 年齢相応であるべきです。

 子どもが納得するまで話し合い、

 彼らが完全に理解していることを 確認します。

 子供ができる範囲で、 しかも

 頑張って挑戦する価値がある 境界を設定するのです。

 誓約書を書かせてもいいでしょう。

 例えば 次のようなことがあります。

・ドクターの指示通りに 薬を飲むこと。

・週に3回、 運動すること。

・治療に従い、 一生懸命取り組むこと。

・人に当たり散らしたり、 物を投げたりしないこと。

・人に怪我をさせたり、 損害を与えたりしないこと。

・頭を冷やすため 自分の部屋へ 行くよう言われたら、 そうすること。

・両親に、 両親だけでいられる時間を 確保してあげること。

 子どもが しなければならないことは何か、

 親の責任でないことは何かを、 はっきり定めます。

 親自身も、 共依存の度合いを チェックすることができるでしょう。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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無意識の 「操作」 との関連 …… ボーダーラインの子どもの子育て (5)

2009年04月08日 21時08分11秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/58352032.html からの続き)

原則4: 無意識の 「操作」 と 自己評価の関連

 BPDの人は 本質的に羞恥心を持ち、 自己評価も低い 傾向にあります。

 自己評価とは、 困難なことから逃げずに

 挑戦したときに得られるものです。 (結果はどうあれ)

 操作的な行動は、 最初は子どもにとって 気分よく感じられるかも知れません。

 けれども それを許してしまうと、 自己評価と自立を 打ち砕いてしまいます。

 子どもに いくらでもお金を与えたり、

 暴力を大目に見たりするのも その例です。


原則5: 無意識の 「操作」 と 現実喪失の関連

 操作によって世渡りすることを 覚えた子どもは、

 現実をかなり脚色して 見るようになります。

 目下の操作にとって 都合がよいように 現実を見るのです。

 ほとんどの子は 操作を自覚しておらず、

 自分の見方を 正当化するといいます。

 それを認めさせることにかけては 天才的です。

 操作は、 スプリッティング (親は支持者か敵対者),

 甚だしい一般化, ステレオタイプ的な批判に つながることもあります。

 操作が失敗すると 腹を立てて 辛辣なことを言い、

 成功すると 愛情に満ちた 態度を取ります。

 そういう事態を変えるには、 親が自ら進んで 変わらなければなりません。

 以下の 原則6~8が参考になります。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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無意識の 「操作」 は依存 …… ボーダーラインの子どもの子育て (4)

2009年04月04日 15時09分25秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

原則3: 無意識の 「操作」 は、 本当は依存である。

 「操作」 という言葉は、 BPDの人が狡猾で、 ひねくれており、

 抜け目ない態度を 取っているかのように 思われてしまいます。

 BPDの人は 実際は操作しようとしているのではなく、

 彼らなりの方法で、 激しい感情的苦痛に 対処しようとしているだけなのです。

 お腹がすいたときに、 泣いて知らせることを覚える 赤ん坊と同じです。

 操作の目的は たいてい回避です。

 子どもは 不快なことを避けようとし、

 一方親は 子どもとの騒動を避けようとします。

 小さい子どもは 否定的な感情を示せば、

 親が思い通りにしてくれることに 気付きます。

 苦痛を避けることができると、 再び それを試みるようになります。

 子どもが 哀れな様子を見せると、

 親は情け心から  “助けて” しまいます。

 それは子どもの自立を 阻むことになり、

 非常に依存的な人間に してしまうでしょう。

 愛情豊かな親が、 子どもの衝動性, 恐怖, 激しい感情から

 我が子を守ってやりたいと思うのは、 ごく自然なことと言えます。

 しかし皮肉にも、 それが子どもに 依存心や怒りを生じさせしまうのです。

 BPDの人は 自分がどのように操作しているのか、

 自分が何をしているのか、 自覚していないようです。

 操作と言っても、 それは生きていくための 一手段に過ぎないのです。

 そうする中で 操作は習慣的になり、 かなり無意識な行動になります。

 ところが 大きくなるにつれて、

 このような方法は 周りに通じなくなってしまいます。

 でもBPDの人は 他に方法を知らないのです。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(続く)
 
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緊張を和らげる …… ボーダーラインの子どもの子育て (3)

2009年04月03日 20時48分05秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

原則2: 緊張を和らげる コミュニケーション手段を身に付ける

○子どもの年齢に応じて、 文章は短く、 簡潔に話す。

○やってほしいことを 伝えたあとは、 さっさとその場を 去るのもいい。

( BPDの子は 相手がいる限り 議論を続けるが、

 いなくなると ブツブツ言いながらやることをやる。 )

○BPDの子どもの中には、

 抽象的な概念や 言葉のあやを 理解できない子がいるということを、

 心に留めておく。

○脳に障害がある人と コミュニケーションを取るためのコツ

・手短に話す。

・相手のイライラに気付く。

・常に理性的な話ができると 期待しない。

・相手の関心を引くようにし、 会話を先導する。

・あくまでまま向きに。

・相手の沈黙や 反応の遅れを気にしない。

・境界を引くときには、 明確で具体的に述べ、 断固とした姿勢で望む。

・どんな小さな進歩でも、 必ず誉めて 励ます。

・脳の障害を憎んでも、 当人のことは憎まず、 愛する。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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相手を認める …… ボーダーラインの子どもの子育て (2)

2009年04月02日 19時51分15秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/58202515.html からの続き)

 BPDの子どもを育てるときの 原則の続きです。

3. 理解を深める。

 話をよく聞き、 感情を出させてあげたら、

 いくつか質問をして、 問題解決に役立つ事実を 明らかにしていく。

( 子どもの思い込みを 解いたりする。 )

4. 気にかけているけれど 信頼していると表現する。

 常に親が 介入するのではなく、

 子どもが自分自身で 問題を解決する力があると 信じていると伝える。

 子どもがどうやって 解決するか尋ねたり、 自分で考えるよう 手助けをする。

 自分でできるようになると、

 自己評価が高まり、 自立していけるようになる。

5. 親に向けられた 怒りを理解し、 気持ちを分かってあげる。

   ただし 落ち込んだりしない。

 子どもが怒っている場合、 その気持ちを認めるには、

 一歩引いて、 その場の興奮から離れる。

 親が声を荒らげれば、 子どもは負けじと 声を張り上げるので、

 親は とにかく落ち着くこと。

 自分の子ども時代を振り返り、

 自分の思い通りにならなかったときの 欲求不満や不愉快さを思い出す。

 そして その感情を10倍にすれば、

 BPDであることが どういうことか分かる。

 親は 子どもの気持ちを分かってやり、

 不安になるのも無理はないと 認めてあげる。

 その一方で 自分の境界を守る。

( ダメなことはダメと、 愛情を持って はっきりと言う。 )

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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ボーダーラインの子どもの子育て (1)

2009年03月21日 09時32分19秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
 BPDの子どもの 育て方の原則を 幾つか提案します。

( それらは 大人のBPDの人に対しても 通じるでしょう。 )

 中には まだ臨床的に 試されていないものもあります。

 有効なことは確かですが、 統計的な研究は まだされていません。

 また、物事は時々、 良くなる前に いったん悪くなる、

 ということを 覚えておいてください。

 変化はたやすいことではありませんが、 未来の幸せのためには 不可欠です。


原則1: 相手を認める

 BPDの人たちは  「認めてもらえない環境」 の出身だと言われます。

 罰せられたり、 馬鹿にされたり、 辛い気持ちを無視されたまま、

 感情をコントロールするよう 命じられるのです。

 相手の感情を 認めないことは、 対人関係を蝕みます。

 どのように 相手の感情を認めればよいか、 例を示します。

1. 推測しない。

 話を聞くとき、 勝手に判断したりせず、 ただ耳を傾ける。

 誰に責任があるのか 憶測は一切しない。

 必ずしも問題を 解決しようとしなくてもよい。

2. 気持ちを分かってあげる。

 子どもの感情を 出させてやる。

 できれば、 子ども自身が 感情を理解できるよう、 手を貸す。

( BPDの人は 自分の感情を なかなか特定できない。 )

 子どもが 何が起こったのか 振り返ることができたとき、

 有効な話し合いができる。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(続く)
 
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BPDの原因 …… 子どものBPD (5)

2009年03月20日 21時36分17秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 BPDの人の75%が 機能不全家族の出身であり、

 性的, 肉体的, 感情的虐待を 体験しているという話を耳にします。

 しかし 仮にそれが事実だとしても、

 裏を返せば 25%は安定した家族の 出身だということです。

 虐待の経験は、 多くは BPDの子どもの自己報告です。

 BPDをもつ子は 必ずしも真実を 語るとは限りません。

( ただしもちろん、 実際に虐待を 受けた子もいます。)

 多くの臨床医も 親に問題があると 決めてかかっていますが、

 我が子のことを心配し、 自分の生活の ほとんどを費やして、

 我が子を救おうとしている親も 少なくありません。

 また 虐待を受けるのは、 親からだけとは限らないのです。


 虐待の他に、 子ども時代のストレスとして 次のようなものがあります。

・幼いときの 親の離婚, 別居, 別離。

・身体的な病気や怪我。

・親の精神疾患。

 ただし そのような体験をする子どもの 大多数は、

 BPDの兆候を 示していません。

 中には 非常に敏感な子どもがいるのです。

 親のBPDが 子どもに遺伝するのか、

 親が病んでいるため 子育てが危うくなって 子どもが発症するのか、

 それには さらに多くの調査が必要です。

 いずれにせよ、

 親は 罪悪感や悲嘆に暮れている 時間もエネルギーもありません。

 それよりも もっと他に、 しなければならないことがあるでしょう。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より
 
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いい子ぶる …… 子どものBPD (4)

2009年03月19日 21時53分22秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 BPDの子どもの中には、 表面的には普通に見え、

 まともな行動を している子がいます。

 でもそれは いい子ぶっているのでしょう。

 仮面をかぶっている, 役を演じているとも言えます。

 常に 関心や承認を得るために、 完璧であろうと努力し、

 トップの成績や賞を取って 注目を集めようとします。

 このような子の親は、

 我が子の心の苦しみに 気付いてさえいないことも多いのです。

 BPDの子どもは 成人になってから 高校時代のことを、

 精神的な 地獄だったにも拘らず、

 全てうまくいっているように見せようと 決意していたと述べています。

 子どもは、 全く関心を 払われないくらいなら、

 例え 否定的な目であっても 見てもらえる方がいいと 思うものです。

 だからこそ、 否定的な行為ではなく、

 好ましい行為に 目を向けさせることが 非常に重要です。


 自分を罰しなければならないという、 自責の念に とらわれている子もいます。

 自分の責任ではないのに、 責めを引き受けてしまいます。

 逆に、 自分の行動の責任を 取れない子もいます。

 例え 自分の行動を認めたとしても、 それを正当化しようとします。

 批判を 受け入れられるようになることが、 成熟の証になります。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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報酬システム …… 子どものBPD (3)

2009年03月18日 20時12分33秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 BPDの子どもの親は、

 過度に操作されているように 感じることがあります。

 BPDの子は 欲しいものを手に入れるために、

 直截的で 幼稚な方法を用いるのです。

 彼らは感情のレベルが 非常に激しいので、

 欲求のひとつひとつが 死活問題になります。

 親が求めに応じて それに折れると、

 同じことが 繰り返されるようになってしまいます。

 それを ペットの犬の話に 例えています。

 お客さんが来ると 犬が激しく吠えかかるので、

 主人は 犬におやつを与えて 静かにさせるようにしました。

 すると犬は、 誰が来ても 必ず吠えて

 おやつを期待するように なってしまいました。

 このような報酬システムが できあがってしまったら、

 一切の例外を認めず、 報酬を与えることを やめなければなりません。

 もし 10人目のお客さんのときに、

 飼い主が根負けして おやつを与えたら、

 それは犬に、 報酬を得るためには 吠えるのを10回繰り返せばよいと

 教えているのと同じです。

 今や事態は 10倍悪くなってしまったのです。

 子どもが素直に、 人を操作することなく、

 自分のニーズを きちんと伝えられるよう、 励ましてやることが必要です。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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子どものBPD (1)

2009年03月16日 14時45分35秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
 ランディ・クリーガーの

 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」 (星和書店) という本に、

 子どもにもBPDはある ということが述べられています。

 今まで、 子どもには

 境界性パーソナリティ障害の診断は 適用されませんでした。

 BPDは 症状が継続的 (固定的) な 状態であるのに対して、

 子ども成長の途中で、 性格や行動などは 変化するものと考えられるからです。

 しかし 「DSM-Ⅳ」 (アメリカ精神医学界・精神科診断基準) では

 1994年、 子どもにも

 BPDの診断が 下される可能性を 認めたということです。

 ただし、問題となる行動が 1年間以上続いており、

 またその行動が、 通常の発達段階, 物質乱用の影響,

 一時的なうつ状態や摂食障害などで 説明ができない、

 という場合に限られます。

 しかしアメリカでも 大半の専門家は、

 新しい診断基準の定義を 知らなかったり、

 実際にそのような子どもを 診た経験がないといいます。

 そのため、 どうしたらいいか分からずに 悩んでいる、

 BPDの子の親が 多いというのです。

 BPDの子どもは 支配したがり、 思い通りにならないと 怒鳴ったり、

 他の子の悪口を 言ったりします。

 ささいな喧嘩の域を 遥かに超えて、

 劇的な激しい怒りを 示すこともあります。

 心の底で 他の子どもを恐れていて、

 無意識的に、 相手に拒絶される前に 自分から拒絶するかもしれません。

 親は、 子どものどのような行動が 人を遠ざけているのか、

 指摘してやるといいでしょう。

 人気のある子は どのように他の子と接しているか、

 よく観察してごらんと 勧めるのです。

〔 「BPDをもつ子どもの 親へのアドバイス」
  ランディ・クリーガー (星和書店) 〕 より

(次の記事に続く)
 
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