小規模多機能型というのは、 少人数の利用者の必要に応じて、
通い・ 訪問・ 泊まりなどの サービスを行なう介護施設です。
認知症の高齢者は 大規模施設にはなじめないので、
その受け皿として 1980年代から広まりました。
宅老所をモデルとし、 2006年度に介護保険に導入され、
定員は、 利用者登録25人、 通い1日15人、 泊まりは9人までとされています。
地域に密着して きめ細かなサービスを提供し、
「住み慣れた地域で 最期まで」 という理念に 欠かせない存在です。
多様なニーズに応じるには、 地域の様々な組織との 連携がカギとなります。
ある宅老所では、 介護保険で デイサービスを行ないながら、
保険外で 宿泊や長期滞在も受け入れています。
利用者の多くは認知症ですが、 本人のペースを尊重し、 自由に過ごしてもらいます。
時には利用者宅を訪問し、 スタッフが泊り込むこともあります。
利用者や家族と深く関わり、 生活全体を見て、
臨機応変に対応するのが 小規模施設の強みです。
逆に 少人数ゆえの弱みを補うため、
近隣の小規模施設と 協力ネットワークを作っています。
急な宿泊者に 対応できないときなど、
他の施設が 助っ人を出したり、 空きのある施設が 受け入れたりします。
緊急時だけでなく、 日頃から 利用者と一緒に ドライブを兼ねて、
互いの施設を訪ねるなど 馴染みの関係を作ります。
利用者を含めた 合同旅行を行なったり、
大規模施設とも スタッフの交換研修などで 協力しています。
複数の施設を 一体的に運営する 「ライフサポートセンター構想」 もあります。
中核施設と、 2~3ヶ所のサブ施設で 構成し、
中核施設が スタッフの調整などの 管理業務を一括して行ないます。
独立した事業者同士の連携は、 コスト削減にならず 広がりにくいですが、
連携により経営効率化できる 一体的運営方式が導入されれば、
小規模多機能ケアの普及に つながるでしょう。
〔 読売新聞より 〕
(次の記事に続く)