「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

監訳者あとがき

2016年02月12日 20時36分11秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 臨床の場では BPの周りの人々が、 感情的に消耗して相談に来ます。

 様々な方法で努力しても 事態が好転せず、 万策つきた疲弊状態で 訪れるのです。
 
  「相手が病気なのか、自分が悪いのか分からない」 「どう関わればいいのか」 と、
 
 正に暗闇の中 手探りでもがいているのです。
 
 BPDの成因は、  「感情的脆弱性」 と 「自己無効化」 が影響している
 
  「生物社会論」 です。
 
 生物学的な感情調整不全の素因と、
 
 感情的な応答を 「認めてもらえない」 (非承認的な) 環境という 誘因が、
 
 相互に作用しあうというものです。
 
 従って、  「認めること」 (有効化や根本的受容) が、
 
 二人の関係を穏やかにする 重要かつ必須の条件になります。
 
  「BPの行動には 同意できなくても、 そこに至る感情や思考は 理解できる」
 
 という姿勢です。
 
 BPは、 悲痛な感情を避けるため 次々と衝動的な 逃避行動をとる一方、
 
 喪失を繰り返す 悲哀の感情を、 自らシャットダウンしてしまいます。
 
 BPの不可解な行動が、  「病的な症状」 としてではなく、
 
  「BPがどう感じ、 どう体験しているか」 として理解し、
 
 それを受容することで、 間接的に BPの行動が変化してくるのです。
 
 社会全体が 「承認的」 になることが、
 
 BPの苦しみを 和らげるだけでなく、
 
 BPとの破壊的な人間関係から 解放してくれるかもしれません。
 
                                  〈荒井秀樹〉
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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BPが利用できる治療法 (2)

2016年02月11日 20時12分35秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 転移焦点化精神療法 (TFP)
 
 BPDは 生物学的脆弱性と環境に由来するとします。
 
 環境とは、 BPが 自分を他人と区別したり、 社会的合図を読み取ったりできず、
 
  「未成熟なメカニズム」 を 作ってしまう環境です。
 
  「未成熟なメカニズム」 には 次のものがあります。
 
・ 万能のコントロール感
 
  (自分が他人によって 過度にコントロールされていると考えるので、
 
  他人を過度にコントロールする)
 
・ スプリッティング ( 「良い」 と 「悪い」 を 統合する能力の欠如)
 
・ 投影 (自分自身の好ましくない性質を 他の人に押しつける)
 
 これらは 非機能的行動, パラノイア, 対人関係での恐怖という
 
 結果になってしまいます。
 
 未解決のままの ネガティブで強力な感情が、
 
 BPの経験を 他人の経験から 切り離すことを妨げます。
 
 非機能的行動を変えるために、 セラピストとの転移関係を 媒介として用います。
 
 
 以上の療法の中で、 弁証法的行動療法が最も効果がありますが、
 
 他の療法も 開発と研究が進んでいます。
 
 BPDの専門家が見つからなければ、 認知行動療法のセラピストをお勧めします。
 
 最も良いのは、 あなたとBPの両方が サポートと治療を探し、 見つけることです。
 
 BPDは 今では治療可能とされています。
 
 道のりは長いですが、 希望があるのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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BPが利用できる治療法 (1)

2016年02月10日 20時58分10秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 弁証法的行動療法 (DBT)
 
 弁証法的行動療法は、 自殺行動の50%以上を減少させています。
 
 生きるに値する 人生を送ることが、 自殺傾向を減らします。
 
 弁証法的行動療法は、 感情を調整し、 現実をあるがままに経験し、
 
 壊れた人間関係を修復し、 新しい人間関係を創造し、
 
 自分自身の人生の 目的達成に役立つように援助します。
 
 苦悩耐性スキル, 感情調整スキル, マインドフルネス・ スキル,
 
 対人関係スキルによって行ないます。
 
 1年 (または6ヶ月) の契約で行なわれ、
 
 毎週 個人セラピーと グループ技能訓練を受けます。
 
 診療時間外でも 電話連絡することを許可しています。
 
○ メンタライゼーション・ セラピー (MBT)
 
 グループと個人での心理療法を 交互に行なう、 2年間のグループプログラムです。
 
 自分と他人の感情, 思考, 欲求を理解し、
 
 感情と欲求がどのように 自分と人の行為に 影響を与えるか理解し、
 
 それらから距離を置く 能力を養います。
 
 相手の行動を説明できるものを 考えることによって、
 
 不快な出来事から 自分自身を切り離すのです。
 
○ スキーマ焦点療法 (SFT)
 
 認知療法, 行動療法, 対象関係療法, マインドフルネス瞑想を統合したものです。
 
 スキーマとは、 より深いレベルにある 認知構造です。
 
 BPの問題は、 子供時代に発達して 生涯進化する、
 
 問題のあるスキーマに 由来するとします。
 
 非機能的行動をやめさせるには、 有害な子供時代のスキーマを 変えることです。
 
  「治療的再養育法」 を用いて、 クライアントとセラピストの関係,
 
 セラピー外での生活, クライアントの子供時代を扱います。
 
 少なくとも週1回のセッションが 3年必要とされます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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治療とサポートを受ける

2016年02月09日 19時59分20秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BP (BPDの人) にも、 BPを支える家族にも サポートが必要です。
 
 破壊的な結果を減らす 振る舞い方を学ぶために、 セラピーを受けましょう。
 
 BPも家族も、 できる限りの最善を尽くしながら、 やっとの思いで進んでいます。
 
 激してしまう瞬間に、
 
 BPもあなた自身も、 最善を尽くしていると 思い出すことが大切です。

 これは感情調整に 本当に役立ちます。
 
○ サポートを与えてくれる資源
 
 BPに治療を強要しないように。
 
 強要されて受けるのでは、 セラピーは効果を発揮しません。
 
 BPが治療に行かなければ、 あなたが行くのです。
 
 多くの弁証法的行動療法は、
 
  「友人と家族」 グループのプログラムを 提供しています。
 
 感情調整, 苦悩の許容, 対人関係スキル, マインドフルネスの
 
 技能を教えてくれます。
 
 アメリカには、 家族のための支援団体があります。
 
 マインドフルネスのセンターも 国中にあります。
 
 セラピストを見つける場合には、 必ずBPDを扱った 経験のある人にしてください。
 
 次のようなセラピストは注意しましょう。
 
 BPを価値判断する, BPや育てた人を非難する,
 
 BPとの関係を終わらせることを勧める。
 
 ウェブ上には、 BPDとBPD治療に関する 誤った情報が沢山存在します。
 
 資格や経験のないセラピストの 餌食になってしまうと、 取り返しがつきません。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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入院の良し悪し

2016年02月08日 20時17分52秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 入院は、 退院できなくなるほどに BPを悪化させます。
 
 外来治療は入院に比べて 自殺の増加に繋がっていません。
 
 入院は 自殺を減らす効果が ないことが示されています。
 
 弁証法的行動療法が 自殺行動を減らすのに有効なのは、
 
 入院せずに済むから という仮説があります。
 
 自殺傾向のある人にとって 一番リスクが高いのは、 病院から退院した直後であり、
 
 入院が自殺行動を 解決することはないということです。
 
 入院を促すのは次のようなときです。
 
1. BPの自殺行動が続いており、 身体的・ 精神的に混乱していて、
 
   BPが自分は死なないと 言えなくなっているとき。
 
   短期の入院 (1~5日) が勧められ、 入院の目的は、
 
   睡眠をとらせ、 不安を減らし、 致死的な手段から遠ざけることです。
 
   自分自身で対処しようとしないでください。
 
2. あなたが限界にきていて、 BPが急性の自殺傾向にあるとき。
 
   自殺危機は 数日から数週間続きます。
 
   あなたにも休息が必要なのです。
 
 短期の入院は、 BPの危機を終わりにする 方法を与えてくれます。
 
  「止むことのない危機」 にあるとき、
 
 非効果的な決断は 更なる衝動的行動に繋がります。
 
 短期入院はその行動を終わらせ、 やり直しの機会を提供します。
 
 感情と行動のサイクルから 脱することができます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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自殺行動への対応

2016年02月07日 19時40分19秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ BPが 自殺を計画していると伝えたとき
 
 BPが自殺の計画を伝えたら、 すぐにその人のセラピストに 連絡してください。
 
 BPがセラピストを選ぶときには、
 
 時間外の電話に対応してくれる セラピストを見つけるよう勧め、
 
 自殺危機のときには BPがセラピストに電話をして、 指示してもらい、
 
 あなたにも確認の電話をするよう 助言してください。
 
 BPにセラピストがいなければ、 救急病院か119に電話してください。
 
○ 自殺行為への反応の仕方
 
 BPがすでに 自殺に繋がることをしてしまったら、
 
 何をしたかを知らなければなりません。
 
 薬を飲んだのなら、 薬の名前や数量、 どのくらい前に飲んだのか。
 
 身体を切ったのなら、 どこをどのくらい切ったのかなど、 具体的に聞きましょう。
 
 BPが危険な状態でないなら、 その人のセラピストに電話させてください。
 
 自分では何もできないなら、 救急隊に通報しましょう。
 
 BPが意識を保っていられるように、 話し続けてください。
 
 
○ あなた自身を助けること
 
 BPが自殺傾向があれば、 だれもストレスが大きくなります。
 
 次のようなときに、 BPを助けることをよしとします。
 
1. あなた自身の限界の範囲内だと はっきり分かっているとき
 
2. あなたが燃えつきていないとき
 
3. BPにとって最善であるとき
 
4. 他の選択肢がないとき -- 何かしないと 悲劇が生じる可能性が高いとき
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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BPに自殺傾向がある場合

2016年02月06日 21時17分00秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 自殺傾向には、 慢性的なものと急性のものがあります。
 
 慢性的な場合、 自殺思考から安堵感を得ており、 多数回の自殺企図をします。
 
 急性の自殺傾向は、 圧倒的なストレスへの反応で、 リスクが高くなります。
 
 慢性的な自殺傾向にある人は、 急性の自殺傾向が 出る可能性があります。
 
 慢性的な自殺傾向に 非承認的になるのは、 効果的ではありません。
 
○ 意味と希望を促進する
 
 人間関係や有意義な活動を 失ったり、 手に入れられなかった人が 自殺を図ります。
 
 BPが自殺に繋がらない 生活を創造できるように、 力を貸すのが最善策です。
 
 BPが希望を持っていなくても、 その人への希望を持つことは 有効です。
 
  「そのうちいいことがある」 と 言う代わりに、
 
  「あなたが希望を持てないのは分かる。 私があなたへの希望を持ってもいい?」
 
 と言いましょう。
 
 痛みと絶望感を承認し、 希望に満ちた言葉を述べましょう。
 
○ その人を失った場合の 衝撃を伝達する
 
 自殺傾向にある人は、 自分はいないほうがいいのだと 思い込んでいます。
 
 BPDの人に子供がいるなら、
 
 親が自殺すると 子供が自殺する危険が高くなる と伝えるのは有効です。
 
 自殺があなたにとって 何を意味するかを話すのが、 役に立つでしょう。
 
 婉曲的でなく 明白な言葉 (自殺,死など) を使います。
 
 けれども BPが極度に怒っていたら、 やめてください。
 
 いかに怒っているかを示すために、 自殺するかもしれないからです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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自傷行為と自殺行動 (4)

2016年02月04日 20時25分10秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
※ 自殺行動の潜在的な強化子
 
 知らず知らずにしかねない、 自殺行動を強化すること:
 
・ BPとより頻繁に、 長時間話をする
 
・ より優しくする
 
・ 通常はしない 償いや謝罪をする
 
・ 自殺企図のあとに 病院を訪ねる
 
・ 自殺行動の直後に、 BPが欲していることをする
 
 (援助を増やす, BPに要求していたことを撤回する)
 
・ 思春期の青年なら、 時間や注目を与えなくなることを 強化的と思うかもしれない
 
 自殺行動を強化しうる他のこと:
 
・ その行動から感情的, 生理的安堵感を得る
 
・ 病院へ行き、 ストレス要因からの休息を得る
 
・ 生活で要求されることが 圧倒的に感じるとき、 それをせずに生活できる
 
 (仕事を休む, 家族などの面倒を見なくてすむ)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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自傷行為と自殺行動 (3)

2016年02月03日 21時25分34秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 問題解決としての自殺
 
 自殺行動と非自殺的自傷行為は、 不適切な問題解決方法です。
 
 自殺傾向があることは 根本的な問題ではありません。
 
 それは問題解決方法のひとつなのです。
 
 苦しみを終わらせるか、 そこから逃げたいのです。
 
 自殺行動が、 BPの解決策として ひとたび行動レパートリーに入ってしまうと、
 
 それは選択肢に残ってしまいます。
 
 自殺の代わりに使える 他の行動 (あるいは問題の解決策) を 
 
 身に付けることが必要です。
 
 しかしながら、 解決策としての自殺が 完全になくならないと理解しておくべきです。
 
 慢性的に自殺傾向がある人は、
 
 (事故や病気で) 死ぬという 想像上のシナリオを与えられると、
 
 生理的覚醒度 (つまり感情的覚醒度) が低減しました。
 
 この現象が、 負の強化と呼ばれるものです。
 
 自殺行動が 不快な感情や状況を 除去するのです。
 
○ 苦痛の表現としての自殺
 
 時として、 自殺傾向があるBPの 周りの人たちは、 BPの苦痛をつかめません。
 
 BPは、 苦痛を他人に伝える能力がなく、
 
 自殺行動は 苦痛を他人に示す働きをするのです。
 
 自殺行動は 他者からの注目によって 結果的に強化されるかもしれず、
 
 注目を引き出すかもしれません。
 
 これはBPが  「注目を求めている」 という意味ではありません。
 
 BPの脳が無意識に、 自殺行動と人の注目を 関連づけてしまうのです。
 
 自殺行動が注目を求めるものだ と考えると、 あなたは懲罰的になるかもしれません。
 
 BPに対して 非承認的な結果になってしまうでしょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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自傷行為と自殺行動 (2)

2016年02月02日 21時59分50秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 自殺行動の 差し迫った警告サイン
 
 (所有物を譲る, 遺書を書く, エネルギーの増加を示す) には
 
 注意を払いましょう。
 
○ 衝動的な自殺行動
 
 大多数の人たちが 自殺企図気直前に 何か警告サインを出します。
 
 しかし 致死的な自殺企図をした人の 約30%が、
 
 自殺について 5分未満しか考えず、 兆候を示さなかったということです。
 
 実に多くの人が 衝動的な自殺行動をします。
 
 自殺行動のお膳立てとなる物事として、 長期的な危険因子をリストアップします。
 
・ 過去の自殺企図
 
・ 自殺行動の家族史
 
・ 簡単に手に入る自殺手段
 
・ 自殺モデルの存在 (頻繁に報道された自殺)
 
・ 結婚生活や恋愛関係での問題, 仕事での問題, 友人との問題
 
・ よそ者であるという 慢性的な気持ち
 
・ 医学的問題
 
・ 身体の痛み
 
・ 不安

・ 絶望感
 
・ 硬直した思考
 
・ 不眠
 
・ 激しい興奮状態
 
 けれども これらも一部に過ぎません。
 
 これらの危険因子があれば、
 
 あらゆる悪い知らせ (失業や失恋など) が 止めの一撃になるので警戒しましょう。
 
 このようなことが起こったら、 すぐ専門家の手を借りましょう。
 
○ 感染の影響
 
 長期的な危険因子の中に、 自殺モデルの存在があります。
 
 伝染と呼ばれます。
 
 広く報道される自殺があると、 不可避的に他の自殺が起こります。
 
 有名人の自殺は、 絶望感, 怒り, 生きるに値する人生への 疑念を増す、
 
 と言います。
 
 自殺の許可が得られると 信じる人もいます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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自傷行為と自殺行動 (1)

2016年02月01日 20時25分05秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BP(BPDの人)の約75%が 一生の間に自殺を試みます。
 
 その8~10%が 自殺を完遂してしまいます。
 
 最も重要なのは BPを死なせないことです。
 
○ 自殺行動と自傷行為の違い
 
 自傷行為 (非自殺的自己傷害行為) は、
 
 切る, 焼く, 引っかく, 叩く, 毒物を飲むなどの行為です。
 
 BPの60~80%が 何らかの自傷を行ないます。
 
 重要なのは、 自殺の意図はないということです。
 
 自傷は、  「注目を集めるため」 「助けを求める助け」 という
 
 誤ったレッテルが貼られてきました。
 
 自傷の主な理由は 感情調整です。
 
 切ることで安堵感が得られ、 感情が管理可能になるのです。
 
 それゆえに 非常に強い強化が起こります。
 
 自傷が 実際には自殺行動であるというのは、 誤った考えです。
 
 それでも10%は 本当に自殺で亡くなってしまう リスクがあります。
 
 自殺行動には、
 
 自殺を考えること (自殺念慮), 自殺の計画, 自殺の実行が含まれます。
 
 自殺を考えるだけでも、 感情的な苦悩から 解放を与えてくれます。
 
 それで問題が解決しなければ、 行動は計画段階に移るかもしれません。
 
 自殺の計画が 安堵感を与えることもあります。
 
 衝動的な自殺企図では、 自殺を考えたり計画する 期間がないかもしれません。
 
 自殺企図には、 自殺の行為も含まれます。
 
 重要な要素は、 死ぬという意図です。
 
 失敗に終わっても、 その人が死にたかったのなら、 自殺企図なのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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絶望への対処

2016年01月30日 20時34分44秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDは 慈心, 情熱, 創造性, 感情に対して 驚くべき能力を持っています。
 
 しかし調整能力の欠如で、 人生は混沌とし、 圧倒的な悲しみを感じているのです。
 
 セラピーで良くなり始めるときに、
 
  「人生を無駄にしてしまった」 と 悲嘆の余り、 自殺行動が出ることがあります。
 
 これは家族にも反映されます。
 
 あなたにできる最も重要なことは、 あなたの悲しみを観察して、 描写することです。
 
 あなたの思考と感情を 識別しましょう。
 
 感情に圧倒されないように、
 
 感情を経験することと、 感情を手放すことの バランスを取りましょう。
 
  「私は感情を手放す」 と 自分自身に言い聞かせます。
 
 それから 他の何かに集中し、 気を紛らわせたり、 自分を慰めたりしましょう。
 
 感情の経験を抑圧していると、 より強力になって戻ってきてしまいます。
 
 実際に感情の中に 少しだけ入ってください。
 
 身体のどこで感じているか 描写してください。
 
 受容の技能を使って、 自分自身の感情を認めましょう。
 
〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64905992.html 〕
 
 マインドフルネスや 内観, 瞑想の実践も有効です。
 
 あなたの悲しみについて BPと話し合うかどうかは、
 
 BPの許容力, あなた方の関係性, 話し合いの目的によります。
 
 時としてBPは、 失望について話したがります。
 
 もしあなたが 同じ感情を認識していると言えば、 非常に承認的になるでしょう。
 
 一方でBPは、 その承認を、 あなたが自分と張り合っている と思ったり、
 
 あなたさえもが その人を絶望的だと思っている と考えるかもしれません。
 
 爆発の危険性のあることを伝えるには、 外部の支援や助けが有効です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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恐怖と共に生きる (4)

2016年01月29日 19時37分13秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 真の脅威の存在を 査定する
 
 あなたが知覚する脅威ではなく、 現実の脅威が存在するのかどうか、
 
 自問してください。
 
 賢明な心へのアクセスを 試みましょう。
 
〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64972619.html 〕
 
 介入が、 長い目で見て BPの幸福に有効か、
 
 或いは あなたの気が済むためのものなのか、 省みてください。
 
 脅威が存在していて、 結果が甚大であれば、 介入しましょう。
 
 脅威が現実のものでないか、 結果が有益でない場合には、
 
 あなたを恐がらせているものに アプローチしましょう。
 
 会話をしたり、 限界を伝えたりしましょう。
 
 可能ならば、 脅威が差し迫っているか、
 
 長い目で見ると 更なる問題行動の原因になるものかを 考えてみましょう。
 
 恐怖に対処しつつ 賢明な心の反応を試みるのは、
 
 時として 非常に危険な状況になります。
 
 ある決断をし、 いくつもの感情に対処するには、
 
 あなた自身のサポートを 得ることが必要です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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恐怖と共に生きる (3)

2016年01月28日 20時33分57秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ BPの面倒を見ることで、 あなたの恐怖の面倒を見る
 
 家族は BPの人生を引き受けて、 コントロールしようとしてしまいます。
 
 そうしないと 何が起こるかと恐れているので、
 
 BPと同時に 自分の恐怖の 面倒を見ているのです。
 
 それは いつまでもBPを管理することになり、
 
 BPの無力感を強化してしまうでしょう。
 
 あなたの不安は 決して緩和されないのです。
 
 不安を手放して、 大惨事は起こらないのだと 脳に学習させることです。
 
 最も賢明な心で、
 
 BPが緊急の危機に瀕していると 信じるならば、 脅威は存在しています。
 
 その時は介入し、 BPが生きるために 必要なことをしましょう。
 
 問題は、 これが あなたの不安を強化してしまうことです。
 
○ 恐怖と罪責感の循環
 
 BPの人生をコントロールするのを やめようとするとき、
 
 恐怖と罪責感は 循環し始めます。
 
 BPを世話をやめたときの 不安があるので、 安堵できません。
 
 そして 世話を本当にやめたとき、
 
 BPは感情的リアクションをし、 あなたの罪責感が姿を現します。
 
 あなたは 感情的リアクションを恐れて、 夜中の電話に出ます。
 
 自分が 危機的行動を強化しているのではないかと 恐れます。
 
 そして循環が持続します。
 
 私たちが、 BPは余りに脆いと 見なすので、 循環が続くのです。
 
 罪責感と同じで、 世話をする衝動に 屈しないことが大切です。
 
 苦悩に耐えるスキルを 使いましょう。
 
〔参照:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64967178.html 〕
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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恐怖と共に生きる (2)

2016年01月27日 20時12分37秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
※ 休暇をとるか、 関係を終わらせる決断をする
 
1. 「プラス面 vs マイナス面」 の 比較表を作ってください。
 
   〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64893617.html 〕
 
   「休暇をとる vs 休暇をとらない」, 「休暇をとる vs 関係を終わらせる」,
 
   「関係を終結する vs 関係を終わらせない」
 
2. 休暇 あるいは 関係を終わらせることを 伝えてください。
 
   可能なら、 BPに 行動を変えるチャンスを 与えましょう。
 
   (もし○○が変わらなければ、 休暇をとらなければならない)
 
3. あなたにとって最善であり、 必ずしもBPにとって最善でないことを認め、
 
   伝えましょう。
 
4. 休暇をとる場合、 関係が改善する希望を 表現しましょう。
 
5. どのように休暇を終えるか 伝えましょう。
 
○ 恐怖から 効果的に振る舞えない
 
 私たちはしばしば、 恐怖から効果的でないことをします。
 
 自分が降伏しないと 何が起こるか分からないと 恐れるので、
 
 BPに盲従してしまいます。
 
 BPに従えば BPの感情を強化してしまうと 分かっていても、
 
 恐怖をどうすることもできません。
 
 必要なのは、
 
 強化しないこと (夜中の電話に出ないなど) を 繰り返し行なうことです。
 
 BPが破壊的行動をしてしまっても、 その結果に耐えなければならないのです。
 
 強化がなければ、 破壊的行動は 時間と共に減っていくはずです。
 
 そのたびに、 BPの恐怖は 少しずつ和らぐでしょう。
 
 問題行動も恐怖も 徐々に減っていくでしょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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