「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「境界に生きた心子」 が目の前で

2007年07月29日 12時42分36秒 | 「境界に生きた心子」
 
 きのう新宿で 紀伊国屋に寄り、ボーダーの新しい本を 一冊買って、

 向かいの棚で 立ち読みをしていました。

 若い女性が 境界性人格障害のコーナーで 本を物色にきたので、

 σ (^^;)の本も 見てくれないかな~と、気がかりで 横目で見てました。

 その人は 何回か行き来して、やっと 拙著を手に取り、

 パラパラとめくり始めました。

(^_^;) 『買うてくれ~』

 と内心 念じていると、その人は拙著を ためつすがめつ眺め、

 そして 別の一冊と一緒に 買ってくれたのでした。 (^o ^)/

 実はσ (^^;)、目の前で 拙著が読まれて

 買ってもらえるのを 見たのは初めてです。

 心理のコーナーは全体でも、いつも 客が一人いるかいないかですし。

 嬉しく ありがたい一時でした。 (^^)

(この数日、アマゾンでもよく売れてます。)
 

 それにしても、BPDの本は このごろ随分増えました。

 心子と付き合っていた時は ほんの数冊だったのに、

 いま紀伊国屋には ざっと40~50冊 並んでいます。

 あの頃 もっと情報があったら、と思います。

 それでも、一般にはまだまだ BPDはマイナーで、

 知られていないし 理解されていないんですね。

 もっと頑張らなければ。 (¨;)
 

光市母子殺害事件 第2回集中審理(5) 母胎回帰ストーリー

2007年07月28日 00時23分39秒 | 光市母子殺害事件
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49164455.html 続き)

 弁護側が描く 「母胎回帰ストーリー」 というのは、次のようなものです。

 元少年は 事件の2日前、父親に暴力を振るわれ、

 父に対する 恐れの感情が高まっていた。

 事件当日、仕事を休もうとしたが、父に知れるといけないので、

 作業服を着て 出勤するふりをした。

 その際、父が 元少年の名前を書いたほうの 作業着を選び、父親にアピールした。

 一旦外へ出るが、昼頃に帰宅する。

 義母がテレビを見ている 後ろ姿を目にして、寂しさから甘えたくなり、

 後ろから抱きついたが、すげなくされた。

 再び外へ出たが、孤独を感じ、誰かと話したいと思った。

 アパートなら 多くの人がいるだろうと思い、アパートへ行った。

 その時、配管の修理を装って

 「トイレの水を流してください」 という 言葉を思いついた。

 ロールプレイングゲームのようなもので、この言葉を言えばクリア という感覚だった。

 15軒の家を回って、弥生さんが初めて 家の中に招いてくれた。

 家に入るのは 想定外だった。

(できれば 話をしたいと思った。)

 弥生さんは やさしそうな女性で、

 こんな人が母親だったら どんなにいいだろうと思った。

 修理の仕方は 分からないので、トイレの中で しばらくじっとしていた。

 そして 黙って外に出て、アパートの階段の踊り場で 煙草を吸っていた。

 しかし、作業が終わったことを 弥生さんに告げないと、

 このことが 父親にばれてしまうのではないか と恐れた。

(父親と本村さんは 関連事業に勤めているので、

 黙って帰ると 弥生さんが不審に思って 本村さんに話し、

 作業着に名前が書いてあるため、そこから 父親に伝わってしまう という意味か。)

 部屋に戻ったのは、性的行為が目的ではない。

 部屋へ入り、弥生さんに 母親の姿を重ね、甘えたくなって 後ろから抱きついた。

 弥生さんが驚いて 声を上げたので、

 口を押さえようとして、誤って 首を絞めてしまった。

(その後は、例の魔界転生,ドラえもんの話。

 部屋を出た後は、アパートが 巨大な怪物のように感じられたなど、

 精神の不安定も強調。)
 

 以上、一見 ひとつの筋が 通っているかのようですが、

 ひとつひとつの行為に 後付けで理由を くっつけているようなもので、

 リアリティや説得力が あるとは思えません。

 作業の終了を 告げに戻ったとき、部屋に上がった理由も 分かりませんし、

 そこから 抱きつくというのも飛躍があるでしょう。

 そして、元少年が獄中から 友人に出した手紙によって、

 性行為が目的だった というのは明らかです。

 ここを 弁護団が何と説明するのか、見物です。

 次回の公判は、9月18日です。
 

光市母子殺害事件 第2回集中審理(4) 精神科医の証言

2007年07月27日 00時10分02秒 | 光市母子殺害事件
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49154711.html からの続き)

 昨日は、関西学院大学の 精神科医・野田正彰氏による、

 精神鑑定の証言がありました。

 元少年は 野田氏との接見で、

「弥生さんはまだ生きている。」「来世で弥生さんと結婚する。」

 などと話したそうです。

 野田氏によれば、元少年は 被害者の死の意味を 理解していないということです。

 弁護側は、元少年は 父親の虐待や 母親の自殺によって 精神的発達が遅れ、

 現実認識能力を欠いていた と主張しています。

 「精神的に未発達 または正常でなく、責任能力が充分でない」

 ということを 訴えたいのでしょう。

 しかし、人格障害も 同じような理由で生じますが (および生物学的な原因)、

 刑事責任能力はある とされています。

(心子は 犯罪とは無縁でしたが、仮に 感情をコントロールできずに

 犯罪を犯してしまったとしたら、彼女は潔く 刑罰を受けるでしょう。

 僕としては 医学的な見地から 刑の減免、または 情状酌量を望むでしょうが。)

 反社会性人格障害は、反社会的な犯罪を犯して、

 良心の呵責を全く感じない というものです。

 池田小学校で 児童殺傷事件を起こした 宅間守は、

 反社会性人格障害といわれ、死刑に服しました。

 しかし 元少年は、人格障害とも診断されていません。

 とすれば、人格が未発達などという 曖昧な理由で、

 減刑されることは ないはずでしょう。

 そもそも 犯罪というものは、人格が未成熟な人間が 犯すことで、

 多くの犯罪者は 何らかの不遇な環境で 育ってきています。

(その程度が 余りにも悲惨な場合は、情状酌量の余地が あるかもしれませんが。)

 この点でも 弁護側の論法は、無理があると思われるのですが。

 
〔追伸〕

 野田氏は、膨大な鑑定試料を 読むのが面倒で、全部は読んでいない

 ということを明らかにしました。

 野田氏は 死刑廃止論者です。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49183925.html
 

光市母子殺害事件 第2回集中審理(3) 上野正彦氏の証言

2007年07月26日 15時28分07秒 | 光市母子殺害事件
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49144088.html からの続き)

 「死体は語る」 の上野氏が、昨日の公判で どのような証言をしたのか

 ということを、インタビューを交えて TBSで放送していました。

 弥生さんの首には、被告の4本の指の跡が 付いていますが、

 下側 (鎖骨に近いほう) の指跡が長く、

 上 (顎に近いほう) にいくに従って 短くなっています。

 検察は、被告が左手で、順手で (人指し指が顎のほうで、小指が鎖骨のほう)

 被害者の首を締めた跡だ という見解です。

 下側の指跡は 小指の跡で、中指や人指し指の跡より 長くなっているのですが、

 それは 小指の付け根から掌の部分 (空手チョップで相手を打つ部分) の跡が

 付いたためだとしています。

 これに対して上野氏は、掌の部分は柔らかいので、この部分の跡が付くとしたら、

 もっと面積が広くなっているはずだ と指摘します。

 従って 長いほうの指跡は人指し指で、

 被告は逆手で 被害者の首を締めたことになる、という結論です。

 この裁判は不思議で、法医学的な鑑定がなされないまま 最高裁までいってしまった、

 と上野氏は 疑問を呈しています。

 しかし もし、被告が逆手で 被害者の首を押さえたとしても、

 手が滑ったのではなく、初めから絞殺するつもり だったかもしれません。

 また仮に 誤って手が滑ったのであれば、すぐに手を離すはずで、

 窒息するまで 締め続けたというのは、やはり殺意があった

 ということになるのではないでしょうか。

 最高裁の認定は、被告は 弥生さんの首を両手で、順手で 締めたというものです。

 これに対して 今回の弁護側は、片手で、逆手で締めたと 主張しています。

 上野氏は 弁護側の説を認める 死体所見を述べましたが、

 手が滑ったとは限らず、殺意がなかったとは考えていません。

 被告には極刑があってもいいと 個人的に言いながら、

 しかし殺害方法は 検察側のいうようなものではない、という立場です。

 
 また、夕夏ちゃんについて 最高裁は、

 被告が夕夏ちゃんを 床に叩きつけ、ひもで首を強く絞めた としています。

 一方 弁護側は、あやそうとしたが 力が入らず落としてしまった,

 泣き止ませようと チョウチョ結びにしたという意見です。

 そして上野氏は、叩きつけたにしては 被害者の傷の 皮下出血の程度が弱く、

 180センチ近くの高さから落とされれば 即死することもあるのではないか

 と述べました。

(実際は 夕夏ちゃんは泣き止まず、弥生さんのほうへ這っていった)

 「落下しただけ」 という 新証言のほうが

 自白よりも信用できる と証言しています。

 首に巻いた ひもに関しても、それほど強い力で 締めた跡はないとし、

 最高裁の認定には 否定的であるようです。

(確かに 床に叩きつけたという点には、僕も漠然と 不自然さを感じていました。

 けれども 大勢に流されて、深く考えていなかったみたいです。(・_・;) )

 それから 元少年は今回、最初に 被害者の後ろから

 スリーパーホールドのように 首を押さえたと、新たな証言をしました。

 弥生さんの顎には 円形の傷があり、それは 被告の作業着のボタンの跡と一致すると、

 法医学の証人・大野教授は述べ、元少年の新証言の 信憑性を認めています。

 もっとも、これらは 元少年の殺意を 否定することにはなりません。
 
 ただ一審二審は、粗雑な審議をしてきた ということなのかも知れません。
 

 昨日の法廷で、元少年は ランニングに短パン姿、

 頬を膨らませるように 口の中で舌を動かしながら、証言を聞いていたということです。

 弁護団の方針が 殺意はなかったするものなので、

 反省する必要がない ということなのでしょうか。

 本村さんも言うように、弁護団は 元少年の改悛の機会をも奪っている

 と思わざるを得ません。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49164455.html
 

光市母子殺害事件 第2回集中審理(2)

2007年07月25日 23時59分24秒 | 光市母子殺害事件
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49124214.html からの続き)

 元少年は 今日の午後の法廷で、上は 薄い青(グレイ)の タンクトップ一枚、

 下はイージーパンツとでもいう、ゆったりしたズボン姿で 現れたそうです。

 いかにも 家でくつろいでいるかのような 出で立ちで、

 傍聴席からも ざわめきの声が聞こえたといいます。

 本日は 弁護側の証人として、日本医科大学大学院・大野教授と、

 「死体は語る」 で著名な、元東京都監察医務院長・上野正彦氏が 出廷しました。

 弁護団の 新たな主張であるところの、

 元少年は 声を上げた弥生さんの 口を押さえようとして、

 手が滑って 逆手で首を絞める 結果になってしまった、

 という筋立てを 追認する証言をしたといいます。

 検察側の反対尋問に対しても、殺意はなかったという 内容で反論しています。

 上野氏は マスコミにもよく登場し、説得力のあるコメントを 述べていましたが、

 今回の件に関しては どうなのでしょう? 

 自然に考えれば、弁護団の主張は いかにも無理があると 思えるものですが。

 ここまで 弁護側の主張が 繰り返されているだけで、新しい攻防が 見えてこず、

 非常に歯がゆい思いですが、この先の展開が 待ち望まれます。

 明日は、弁護側による 精神鑑定の専門家の 証人尋問が行なわれます。

 大体 言うことは予想できるのですが。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49154711.html
 

光市母子殺害事件 第2回集中審理(1)

2007年07月25日 00時01分39秒 | 光市母子殺害事件
 
 本日から3日間、差し戻し審の 第2回集中審理が開かれ、

 今日は 前回に続き 弁護人による被告人質問が 行なわれました。

 元少年は 事件の2日前、父親に暴力を振るわれたこと、

 事件直前には 義母に甘えようとして 後ろから抱きついたこと、などを語りました。

 相変わらず 強姦目的と殺意を否認、ゲーム感覚に陥っていたこと などを主張し、

 新しい進展はないようです。

 弁護人の こと細かい 重複する質問に、

 さすがに裁判長が 釘を刺した場面もあったそうです。

 繰り返しになりますが、この差し戻し審では

 事実はすでに 揺るぎなく証明されており、事実関係を 新たに争う場ではありません。

 死刑を回避する 特別な事情があるのかどうかを 審議するものです。

 公判を引き延ばすような戦術は、厳に謹んでほしいと 望むばかりです。

 明日は 弁護側の証人として、

 被害者の遺体を鑑定した 法医学者の専門家が出廷します。

 弁護側に有利な証言を 引き出そうというのでしょうが、

 どんな内容が飛び出してくるのか 気になります。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49144088.html
 

「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」 (4)

2007年07月23日 22時06分57秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49076918.html からの続き)

 心子も 「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」 の

 両方の性質を 持っていました。

 傍目には 社会生活に適応して、仕事でも 高い実績を上げていましたが、

 ひとつの職場を 長期に渡って 続けることができず、

 優れた実力には見合わない アルバイトでした。

(某大手の会社の 社長秘書をやっていたとも 話していましたが、

 それが 客観的事実だったかどうか、今は分かりません。)

 攻撃は 相手に向かうことも、自分に向かうこともあります。

 潜在的には自己評価は 極めて低かったでしょうが、

 とても誇りが高い ところもありました。

 精神科だけでなく、病院や薬は好きでしたね。

(ただし 精神科への入院は、絶対に嫌だと言っていましたが。)

 障害者基礎年金も 申請に行きました。

 学業は 非常に優秀でしたが、運動神経はゼロで、稀に見る不器用でした。

 幾つもの資格を 持っていたり、超人的な記憶力など 特殊な能力を持っている反面、

 おっちょこちょいで 滑稽な失敗ばかりする 三枚目でもありました。

[参考文献:「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」(星和書店)] 
 

「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」 (3)

2007年07月22日 20時56分38秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49059232.html からの続き)

 「アクティング・イン・タイプ」 の人は、仕事を続けることができず、

 実際の能力よりも 低い仕事に 甘んじていたりします。

 自傷行為や自殺企図,薬物乱用,自己批判など、自分を傷つける 行為を行ないます。

 それによって 自分の恥の感情から 免れようとします。

 このタイプの人は 自分が悪いと思っているので、

 専門家の助けを求めたり、障害者手帳のお世話になっています。

 典型として、マリリン・モンローが 挙げられています。

 大変な内面のもろさを 抱えていたということです。

 
 「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」、

 両方の特徴を持つ ボーダーの人は、

 両極の真ん中、または どちらかに偏った位置にいます。

 例えば ダイアナ元妃がいます。

 摂食障害,自傷行為,うつ状態に 苦しめられながら、

 公の場で活動し、慈善事業を行ない、立派に二人の子供を育てたのです。

[出典:「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」(星和書店)] 

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49100040.html
 

「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」 (2)

2007年07月21日 22時26分04秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49040917.html からの続き)

 「アクティング・アウト・タイプ」 の ボーダーの人は、

 実社会で 活動的に働いており、一見 社会に適応しているように見えます。

 自傷行為や自殺企図はせず、まっとうな仮面を かぶっています。

 しかし家族の中や パートナーとの間では、暴言を吐いたり 暴力をふるったり、

 激しい感情をあらわにします。

 自分に対する低い価値観を 相手に投影し、相手を貶めたり 苦しめます。

 自分に責任はないと 思っているので、一般に 治療を受けようとしません。

 子供のときから成績がよく、

 スポーツや芸術などで 優れた能力を見せる 優等生です。

 けれども 同じ友達と長く付き合うことはなく、

 体の隠れた部分には 傷があったりします。

 このような言動は、家族やパートナーに 自己否定の感情を与え、

 接するのが 苦痛になってしまいます。

 このタイプの例には、ハリウッド女優の

 ジョーン・クロウフォードが 挙げられています。

 華々しい スターの顔の裏側で、私生活は 酒と男にまみれ、

 虐待や極度の潔癖症で 荒れ果てていたそうです。

[出典:「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」(星和書店)] 

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49076918.html
 

「アクティング・アウト・タイプ」 と 「アクティング・イン・タイプ」 (1)

2007年07月20日 22時43分51秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
 ボーダーの人たちは 驚くほど共通する部分を 持っている反面、

 人によって 全然異なった言動を 示すこともあります。

 同じ事柄に対して、全く正反対の 反応を見せるのです。

 それが 人々の理解を さらに困難なものにさせ、専門家をも悩ませています。

(アメリカ精神医学界の 診断基準 「DSM-Ⅳ」では、

 境界性パーソナリティ障害の 9個の診断項目のうち、

 最低5つが当てはまれば ボーダーと診断されますが、

 その組み合わせの種類は 膨大な数に達するでしょう。

 それだけ多種多様な姿が あるということになります。)
 

 ボーダーの人は大別して、他者に向かって 行動化するタイプと、

 自分に向かって 行動化するタイプに 分けられるといいます。

 前者は 高機能で 「アクティング・アウト・タイプ」、

 後者は 低機能で 「アクティング・イン・タイプ」です。

 これらは外面的には あまりにも大きく異なるため、

 あたかも二つの 別の障害であるかのようです。

 ただし、これは理念型である とも言えるでしょう。

 実際には ボーダーの人たちには 双方の側面があって、

 このふたつのタイプを両極とする グラデーションの中の、

 どこかに位置している と言うことができると思います。

[出典:「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」(星和書店)] 

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/49059232.html
 

「ユング心理学研究会」

2007年07月19日 15時53分00秒 | 心子、もろもろ

 今日は、僕が所属している 「ユング心理学研究会」 のセミナーがあります。

[関連記事:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/24115652.html ]

 本日のテーマは 「タイプ論」。

 ユング心理学の 中核をなす理論ひとつで、

 ユングは人間を 心理的な機能によって、8つのタイプに 分けました。

 自分のタイプを知ることで 得手不得手を認識し、

 バランスの取れた人格を 育てていくために役立てるものです。
 

 さて、心子の生前、彼女にユングのことを教えて と言われたことがあります。

 でも ユングは非常に難しくて、当時 勉強し始めたばかりの僕は、

 まだ 人に説明できるほどには なっていませんでした。

 それでも彼女は、知りたいの! と求めてきました。

 純粋な向学心を 表わしているのでしょう。

 僕は一生懸命 話そうとしましたが、

 うまく説明できなかったり、言葉が食い違ったりしました。

 すると 心子は、「さっきと言うことが違うね」 などと突っ込むのです。

 いい加減なことを 許せない彼女でしたが、

 こっちだって精一杯なのに、辛いものがありました。(・_・;)

 事を荒立てずに、上辺だけ穏便に 付き合っていくことができない,

 自分はそういう人間なんだ ということを訴えたい,

 そんな心子を 思い出したりします。

「ハリー・ポッターと 不死鳥の騎士団」

2007年07月16日 00時08分51秒 | 映画
 
 魔法界の 闇の帝王が復活し、ハリーは襲われて 謀られる。

 一方 魔法大臣は、ホグワーツの校長に あらぬ疑いをかけ、

 配下の次官を ホグワーツにスパイとして送り込んだ。

 話題のハリポタを 先行上映で観てきました。

 従来のシリーズより、CGの ダイナミックなアクションシーンは 少なかったものの、

 内面の攻防を 表すストーリーが 深められていたと思います。

 今回の闘いは クラス対抗のゲームなどより、現実の 魔法界の闇勢力。

 ハリーも成長し、我が身を張った闘いに 臨むようになったということでしょうか。

 ハリーと仲間たちが 力を合わせて魔力を磨き、大きな敵に 立ち向かっていきます。

 自分の感情を いかにコントロールするかという、

 精神の力を 身に付けることが、魔法の神髄であることが 描かれます。

 ハリーの心の中の、善と悪との せめぎ合いもあり、

 見た目の派手さだけではなく、火花を散らす葛藤に 汗を握ります。

 スーパーマンや スパイダーマンなどでもあったように、

 自分自身の 光と闇の対立は 定番でもありますが、通っていく道なのでしょう。

 ハリーのロマンスもあります。

 でも 何で相手は ハーマイオニーじゃないんだ? 

 ハリーの新しい理解者である “不思議ちゃん” も チャーミングでした。
 

「西遊記」

2007年07月15日 00時34分42秒 | 映画
 
 香取慎吾 (孫悟空) を主人公に、深津絵理 (三蔵法師),

 内村光良 (沙悟浄), 伊藤淳史 (猪八戒) のメンバーで送る、

 TVドラマシリーズの 劇場版です。

 僕は 香取慎吾の孫悟空は ミスキャストに思われて、TVは見ていません。

 まず、猿にしては 長身すぎる。

 そして、無駄に テンションばかり高めた 演技もいかがなものかと。

 でも 映画の評判がいいので 観てきた次第です。

 やはり 孫悟空に対しては 同じ印象でしたが、CGなどは良くできていました。

 悟空の きんとん雲と、銀角大王の 黒い雲との空中戦は、

 なかなかのものだったと思います。

 また、TVでメーキング番組を 見ていたので、

 アクションシーンの大変さなどは 分かりました。

 ご都合的な展開はありましたが、まぁそれなりに楽しめました。
 

 それにしても、三蔵法師が女優 という役所は、

 すっかり 決まり事のように なってしまいましたね。

 1978年の日本テレビで、夏目雅子が初めて 三蔵を演じたときは

 画期的なことでした。

 高貴で中性的なイメージの 三蔵法師を具現化し、

 夏目雅子の 美しさと凛々しさは 絶品だったと思います。

 堺正章の孫悟空も 格好のはまり役で、

 きんとん雲を呼ぶときの 指の仕草も当時 流行ったものです。

 ゴダイゴの 英語の歌詞による主題歌とも相まって、

 全く新しい 西遊記像が作り上げられたのでした。

 以来、TVドラマの西遊記は、三蔵を女優が演じる パターンが踏襲され、

 宮沢りえ,牧瀬里穂,そして今回の 深津絵理に受け継がれています。

 初代の 夏目雅子のときのように、男性を女性が演じる というのではなく、

 元より 女性の役を演じている感があります。

 今回の映画で、ニセ三蔵として登場する 倖田來未にいたっては、

 なんと 超ミニスカート姿ですよ。

 今の若い世代では、三蔵は尼僧だと思っている人が 多いのではないでしょうか? 

 次に 西遊記を作るときには、ぜひ本格的な 男優を抜擢してほしいものです。

(三蔵が尼僧だと思ってる人は、仰天するでしょうね。 (^^;))
 

 ちなみに、TVドラマ歴代の 三蔵法師以外の配役は下記の通りです。

(僕はやはり、初代のキャストが 最も適役だと思っています。 (^^) )

        三蔵法師  孫悟空   沙悟浄   猪八戒

1978年  夏目雅子  堺正章   岸部シロー 西田敏行
                             (パートⅡは左とん平)

1993年  宮沢りえ   本木雅弘  嶋田久作  河原さぶ

1994年  牧瀬里穂  唐沢寿明  柄本明   小倉久寛

2007年  深津絵理  香取慎吾  内村光良  伊藤淳史

偽者一行  倖田來未  南原清隆  草なぎ剛  猫ひろし
 

「キサラギ」

2007年07月13日 22時15分03秒 | 映画
 
 「ALWAYS三丁目の夕日」 の 古沢良太の脚本を、

 「古畑任三郎」 「僕の生きる道」 の 佐藤祐市監督が演出しました。

 D級アイドル・如月ミキが 自殺して一周忌の日、

 ファンサイトの5人が 追悼会のために集まります。

 家元,オダ・ユージ,イチゴ娘,安男,スネーク という

 ハンドルネームのオタクたちが、初めて 現実に顔を合わせる設定です。

 オタクたちを演じるのは、小栗旬,ユースケ・サンタマリア,香川照之,

 塚地武雅(ドランクドラゴン),小出恵介という、個性的な役者たち。

 舞台は この部屋の中のみ という密室劇で

(カリカチュアされた一部の回想シーンを除いて)、

 現在進行形で話は進み、映画の時間と 出来事の時間は同じです。

 如月ミキを偲んで 楽しむはずだった追悼会は、

 ミキの死の真相を巡って 大荒れになります。

 ミキは 自殺ではなかった、ミキは殺された、誰に……!? 

 いや、事故死だった……! 

 ドラマは 二転三転、四転五転していきます。

 コミカルかつサスペンスフルに 劇は進行し、一瞬たりとも飽きさせません。

 笑いは 大爆笑というより、勘のいい人から順番に

 笑いがここかしこから 沸き上がってくる、という類のものです。

 真犯人は誰か、話が進むにつれ 新事実が徐々に発覚し、

 それと共に 各人とミキとの、意外な個人的関係が 次々とあらわになっていきます。

 ミキが死んだのは 誰のせいだったのか、

 ミキにとって 誰が一番大切な人間だったのか?

 劇は綿密に計算され、ダイナミックに展開し、

 散りばめられた数々の伏線が、あとでピリッと効いてきます。

 やがて 推理は集約していき、全ての事実が繋がって 謎が解き明かされ、

 大団円を迎えた と思いきや、再び 新たな疑問が出てきて、さらに二転三転。

 そして最後は、皆が救われる思いでした。

 さすがに エンドロールの後のシーンは、屋上屋を重ねる 蛇足でしたが、

 笑わせて、ハラハラさせて、そして最後は じんわりとさせる、卓抜したシナリオです。

 たった一部屋の中だけの ワンシチュエーションドラマですが、

 シナリオの 完成度の高さによって、こんな傑作ができるのだ という作品でした。
 

「あるスキャンダルの覚え書き」

2007年07月12日 20時10分14秒 | 映画
 
 二大オスカー女優、

 ジュディ・デンチ (「恋におちたシェイクスピア」,「プライドと偏見」) と、

 ケイト・ブランシェット (「ロード・オブ・ザ・リング」,「バベル」) が

 真正面からぶつかり合います。

 労働者階級の子ばかりが通う ロンドン郊外の高校で、

 歴史を教える オールドミスのバーバラ (デンチ)。

 厳格で経験豊富な ベテラン教師ですが、斜に構えた 辛辣な物言いのためか

 恋の体験もなく、密かに孤独に 苛まれています。

 そこへやってきた 新米美術教師・シーバ (ブランシェット)。

 掃き溜めの鶴のような エレガントで美しい彼女は、

 ブルジョア階級の育ちで、平穏な家族にも恵まれ、人からも好感を持たれます。

 しかし 夫とは20才の歳の差、長男はダウン症で、

 40才になっても 一人前になれず、何か満たされない 孤独感を抱いているのです。

 そんなシーバに バーバラは関心を持ち、

 自分が求めていた 友人だと信じて 接近していきます。

 シーバも 人生の先輩バーバラを敬愛し、

 自宅に招いたりして、二人の関係は深まります。

 バーバラは シーバとの全てを 日記に記し、

 そのバーバラの独白を ナレーションとして、映画は進められていきます。

 ところが シーバは、15才の教え子と 肉体関係に陥ってしまいます。

 バーバラは 失望すると同時に、

 シーバの秘密を握ることによって 彼女を支配しようとするのです。

 複雑な愛憎が相まみえ、二人のパワーバランスは 揺れながら絡まりあっていきます。

 震撼するような音楽は 観る者の心を昂らせ、二人の情念は 激しく錯綜します。

 シーバに 欲情さえ感じる バーバラの歪んだ友情。

 醜くも凄まじい 妄念を演じる デンチの真骨頂です。

 極度に 相手に執着する 捩じれた愛情は、人格障害的な 傾きもありますが、

 ラストシーンのバーバラには、思わず 「恐え~!」 と感じてしまいました。