(前の記事からの続き)
精神病症状は幻覚や妄想などで、
不自然な考えや信念を持つ BPDの人に効果があるものもあります。
第一世代抗精神病薬, 第二世代抗精神病薬がありますが、
前者は副作用の関係で BPDには投与されていません。
第二世代抗精神病薬には、
リスパダール, ジプレキサ, クロザリルなどがあります。
副作用は、 倦怠感, 低血圧, 体重増加, 心臓の活動の変化などです。
重い副作用としては、
顔などの不随意運動, 体温上昇, 血圧の変化, 意識変容などがあります。
抗精神病薬は 脳のドーパミン受容体を阻害し、
ドーパミンの働きを 抑えると言われます。
精神病症状がないBPDに 効果があるかは不明ですが、
体重増加などの 重い副作用が認められています。
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以前 治療者は、
BPDの症状によって 薬を使い分けるのが ベストだと思っていました。
けれども今は、 気分安定薬でも 抗精神病薬でも 抗うつ薬でも、
不安定な感情, 怒り, その他の精神症状に 効果を示すことが分かりました。
脳内の化学成分に 異なる作用をもたらす薬も、
実際には 様々な感情の問題に 似たような効果を示すのです。
ただし 「抗BPD薬」 というものはありません。
心理療法と合わせて受けたほうが 効果的なのです。
薬物療法が 自分に適しているかどうか、 できるだけ沢山の情報を集め、
主治医によく相談し、 メリット・ デメリットを 充分に考えあわせ、
薬が効いているか症状観察記録を取り、
自分で責任を持って 決めることが求められます。
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕