「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

発達障害がベースにあるタイプ -- 症状が複雑すぎる

2009年12月31日 15時39分14秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 典型的なのは、 広汎性発達障害 または 行為障害に、

 境界性パーソナリティ障害が 合併したケースです。

 虐待やネグレクトを 受けているケースが大部分です。

 病像が複雑で、 対処が困難なことが多く、

 発達障害に対する支援だけを 行なっても改善しません。

 見捨てられたことによる 心の傷と、

 身に付けた 不適切な行動パターンや認知を 修正する必要があります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 
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未分化型パーソナリティのタイプ -- 低年齢のケースに多い

2009年12月31日 15時35分42秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 12~3才の児童にも、

 境界性パーソナリティ障害と 診断されるケースが増えています。

 ベースになるパーソナリティは 形成途上で、 未分化な状態にあります。

 快・不快という 瞬間的な感情に支配され、 非常に衝動的なことと、

 構ってもらえる相手に 無警戒に接近し、 べったり依存することが特徴です。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 
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妄想性が強いタイプ -- 愛する人も信じられない

2009年12月30日 21時59分46秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 人を信じられず、 裏切られているとか 悪意を持たれていると邪推する

 妄想性パーソナリティの人も、 BPDを合併することがあります。

 愛すれば愛するほど、 相手が信じられなくなるという 葛藤を抱えやすく、

 しばしば 激しいDVや ストーカー行為に至ります。

 気分の波があり、 高揚している時期は 人との関わりも積極的で、

 ひとつ間違うと 攻撃的になりやすくなります。

 しかし うつ状態になると、 人付き合いに消極的になり、

 攻撃性は自分自身に向かい、 希死念慮が強まることも 多くあります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子が 元々妄想性だったという 徴候はありませんでしたし、

 DVやストーカー行為も ありませんでした。

 でも、 エネルギーがあるときは 社交的で、 反面 攻撃的にもなりましたが、

 うつ状態だと 自分を責め、 自殺行動もありました。

 これは 多くのBPDの人に 見られるのではないでしょうか。
 
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反社会性が強いタイプ -- 危険なスリルを求める

2009年12月29日 21時31分10秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 反社会性パーソナリティは、

 危険に対する無頓着さや 権威に対する反発を 特徴とします。

 しかし 必ずしも、 法律を破る 犯罪常習者というわけではありません。

 最大の特徴は、 危険に身をさらして スリルを味わうことが、

 大きな快感だということです。

 愛情剥奪や 不認証体験によって、

 親や 権威ある人物に対して 強い失望を味わった人が 大部分です。

 反社会的なスタイルで アイデンティティを確立することもありますが、

 ワルに徹することが できない場合、

 境界性パーソナリティ障害を 合併することが少なくありません。

 このケースでは、 非常に衝動的で、

 薬物乱用や 危険な行動が見られやすくなります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は、 正義やモラルを 非常に重んじていました。

 不正行為を憎み、 権威には少しも 恐れを持っていませんでした。

 スリルを味わうということは ありませんでしたが、

 自分を目茶苦茶にしたい、 もう一人の 無意識の自分がいたようです。


 ところで、 心子は高校生のとき、 友達がチンピラに 怪我をさせられ、

 その落とし前を 付けるために、 単身で やくざの事務所に 乗り込んだそうです。

 制服の女子高生が、 懐にカッターを忍ばせ、

 襲われそうになったら 自ら首を切る 覚悟だったといいます。

 心子は 親分の目の前に、 人指し指を1本 突き出しました。

 百万円が 相場なんだそうです。

 心子の度胸を 見込んだ親分は、 組に入らないかと 心子を誘いましたが、

 心子は 「勉強があるから」

 と言って 断ったとのこと。

 でも 後になって考えると、

 さすがにこれは、 心子の作話だったのではないか と思います。
 
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演技性が強いタイプ -- 性と外見に 異常にこだわる

2009年12月28日 21時17分13秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 演技性パーソナリティは、 内面的な空虚感や寂しさを、

 注目と関心を得ることで 代償しようとするタイプです。

 演技性パーソナリティの人も、

 境界性パーソナリティ障害を 合併することが しばしばあります。

 周囲が驚くような パフォーマンスをしたり、 過度に性的に 振る舞ったりします。

 このタイプの ある女性は、 自分にとって 大切なことの第一番に、

 「人に見てほしい。 いいねと言ってほしい」 と いうことを挙げました。

 そのために お金が必要だと。

 愛情は三番目でした。

「私が 友達を作りたいのは、 人の目を 気にしているからです。

 本当は、 人といると 疲れるのに」

 このタイプの 人にとっての基準は、 人の注目なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子も 演技性の面を持っていました。

 ただし、 性的なことや外見には こだわりが余りありませんでした。

 服装は地味でしたし、 性的にも貞節でした。

 心子は 切なくて気を引きたいとき、

 まるで演技ではないかと 感じられるような振る舞いを することがありました。

 わざと演技と分かるように 芝居をしていたのか、

 演技力が未熟だったのかは 定かでありません。

 一方、 自分を誇示して 関心を引きたいときの作話は、

 彼女が亡くなった あとになって、 初めて

 客観的事実とは異なっていた ということが判明したものです。

 意識的な作り話だったのか、

 それとも 彼女の中では 心的事実として 厳然と存在していたのか、

 或いは その両方があったのか、 明確には 分からないところがあります。
 
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施設で 餅つき大会

2009年12月27日 19時41分17秒 | 介護帳
 
 きのうは 研修先の施設で餅つきがありました。

 毎年恒例の イベントだそうです。

 デイサービス, グループホーム合同で、

 利用者さんのご家族や 近隣の人たちも参加です。

 地域との繋がりも 施設の理念のひとつです。

 デイサービスは豚汁作りの担当で、

 昼前から100人分の豚汁を、 利用者さんたちと一緒に作りました。

 できるだけ利用者さんに 仕事をしてもらうのが方針です。

 100人分はかなりの量で、 皆さん頑張って 作っておられました。

 昼過ぎから もち米をふかして、 いよいよお餅つき。

 男性の利用者さんはもちろん、

 女性の利用者さんや 近所の女の子も 杵を振るいました。

 普段は あまり動かない利用者さんも、 大いに張り切って 気炎を上げていました。

 僕も 大分つかせてもらいましたが、

 あとで 指に力が入らず、 ペンや箸が うまく使えませんでした。  (^^; )

 利用者さんも 腰を痛めていたりしないか、 心配です。

 ついたお餅は、 大根おろし, あんこ, きな粉で味わいました。

 のどに詰まらせる リスクが付き物ですが、

 危険を回避ばかりしていると、 利用者さんの楽しみが 減ってしまいます。

 リスクを承知したうえで、 対応してやっていくことが 大切だといいます。

 とにかく 皆が参加して、 沢山食べて、 楽しい一日でした。

 新しい施設での ケアが始まっても、

 利用者さんが喜ぶようなことを していきたいものだと思います。
 
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新しい職場の 落成式

2009年12月26日 23時44分42秒 | 介護帳
 
 先日、 介護の新しい職場の 落成式がありました。

(来年から オープンする施設で、 今は 系列の別施設で研修中です。)

 9人のユニットふたつの グループホームと、

定員12人のデイサービスで 構成されており、

σ (^^;)は デイサービスのほうです。

 グループホームは 1ユニットが、 1階と2階に分かれています。

 ここはバリアフリーではなく 階段や段差があり、

 生活の中で 自然と体を動かして、 リハビリとなるようにしてあるのです。

 一方、 フロアは 狭く作られています。

 狭いことは お年寄りにとっては 動きやすいということになり、

 運動の自立度が 高まるそうです。

 また、 家具などにつかまりやすく、 安全度も高まります。

 階段は、 基準の中で 最も狭い幅に 作られており、 左右両方の手すりが使えます。

 そして、 狭いと 人と人が繋がる きっかけにもなるのだといいます。

 利用者さん同士の関わりも非常に大切にしています。

 1階と2階は 吹き抜けになっており、

 1階にいるスタッフが 2階の利用者を 見やすい構造です。

 2階の音が よく聞こえるようになっていて、

 何か起きたときにも 気付きやすいわけです。

 利用者の立場で考えられている 象徴的なものが、 キッチンのガスコンロです。

 最近の施設は 簡便性のために、

 ほとんど どこも電気コンロを 設置しているそうです。

 しかしそれは、 お年寄りたちの 長年の習慣とは合いません。

 利用者さんの視点で作られていることに、来賓の人が感動していました。

 細かい所まで考えられて 設計されていますが、 まだ未知数の 可能性もあり、

 これから 新しいスタッフと利用者さんで 作っていくのだということです。

 期待と不安で やっていきたいと思ってます。
 
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自己愛性が強いタイプ -- 過剰な自信と 劣等感を抱える

2009年12月24日 22時54分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 一見すると、 自信に満ち、 魅力に溢れています。

 でも少し親しくなると、 気分の起伏が激しく、

 急に不安に駆られたり、 不機嫌なったりします。

 境界性パーソナリティ障害と オーバーラップしたタイプでは、

 非常に不安定で衝動的で、 自己破壊的傾向が加わります。

 見かけの強さからは うかがえない、 脆さや孤独、 劣等感を抱えており、

 依存対象を必要としています。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 自己愛性パーソナリティ障害は

 境界性パーソナリティ障害と 隣接しているものですから、

 心子にも そういう面がありました。

 心子はカウンセラーとしてはプライドを持っていました。

 他のカウンセラーが 誰もお手上げだったクライアントを、

 独自のやり方で回復させたとか、 その時のレポートが 論文として評価され、

 創学以来 最年少の講師に 推薦されたとかいう話を よくしたものです。

(ただし 決して自慢話には 聞こえませんでした。)

 技量や自己研鑽も 自負していました。

 因みに、 心子は俗っぽいことには 余り関心がなく、

 アイドルのことなどは よく知りませんでした。

 僕が ある心理学の 入門講座を受けたときに 講師が、

 子供のクライアントと 話をするには、 歌手やテレビのことも

 知っておかなければならない という話をし、 それを心子に伝えました。

 心子は傷つき、 消沈した様子で、

「どこの講師か 知らないけど、 そんな人の言うこと 真に受けて……」 と、

 講師と僕に対する 批判を口にしました。

 普段の自信は 脆く崩れ、 容易に劣等感へと 裏返ってしまうのです。
 
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自己愛性が強いタイプ -- 過剰な自信と 劣等感を抱える

2009年12月23日 22時48分50秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 一見すると、 自信に満ち、 魅力に溢れています。

 でも少し親しくなると、 気分の起伏が激しく、

 急に不安に駆られたり、 不機嫌なったりします。

 境界性パーソナリティ障害と オーバーラップしたタイプでは、

 非常に不安定で衝動的で、 自己破壊的傾向が加わります。

 見かけの強さからは うかがえない、 脆さや孤独、 劣等感を抱えており、

 依存対象を必要としています。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 自己愛性パーソナリティ障害は

 境界性パーソナリティ障害と 隣接しているものですから、

 心子にも そういう面がありました。

 心子はカウンセラーとしてはプライドを持っていました。

 他のカウンセラーが 誰もお手上げだったクライアントを、

 独自のやり方で回復させたとか、 その時のレポートが 論文として評価され、

 創学以来 最年少の講師に 推薦されたとかいう話を よくしたものです。

(ただし 決して自慢話には 聞こえませんでした。)

 技量や自己研鑽も 自負していました。

 因みに、 心子は俗っぽいことには 余り関心がなく、

 アイドルのことなどは よく知りませんでした。

 僕が ある心理学の 入門講座を受けたときに 講師が、

 子供のクライアントと 話をするには、 歌手やテレビのことも

 知っておかなければならない という話をし、 それを心子に伝えました。

 心子は傷つき、 消沈した様子で、

「どこの講師か 知らないけど、 そんな人の言うこと 真に受けて……」 と、

 講師と僕に対する 批判を口にしました。

 普段の自信は 脆く崩れ、 容易に劣等感へと 裏返ってしまうのです。
 
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本音に向き合えない -- 回避性パーソナリティ

2009年12月22日 20時37分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 回避性パーソナリティの人は、 本当の自分の気持ちと 向き合えません。

 自分が何者か、 何を (誰を) 好きだとか、 根本的な感情を 曖昧にしたり、

 逆に 本心を打ち消して 向かい合うことから逃げてしまいます。

 自信がないため、 やりたいことがあっても 自分には無理だと思い込んでしまいます。

 やりたいことを やっていないので、

 フラストレーションが 溜まっていってしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 もうひとつ、 心子が悲壮な覚悟で 困難に立ち向かった 例を書きましょう。

 勤め先の会社で 苛めに遭い、 神経性の腰痛で 半年間入院した時に、

 苛めと 対応を怠った会社を、 精神的苦痛の労災として 認めさせようとしました。

 でも当時、 それはまだ 非常に困難な時代で、

 弁護士に土下座して泣きついても 断られました。

 それでも 心子は労働組合に入り、

 仮に 1%でも可能性があれば 全力を尽くすと言って、

 傷みきった心身に 鞭打って奮闘していました。

 例え 自分がちっぽけなアリでも、

 社会の不正という巨象に 立ち向かうことから逃げなかったのです。

 回避性の極にあったと 言えるのではないでしょうか。

 ただし、それが 一度ぽっきり折れてしまうと、

 もう自分には 何もできないと消沈してしまいます。

 不可能に挑戦する 凄まじい気構えを 見せる一方、

 何もかも見限って 放り出してしまう、 両極端の間を行き来していたのです。
 
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回避性の強いタイプ -- 傷つくことに敏感すぎる

2009年12月21日 20時37分26秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 このタイプは、 失敗や恥をかくことを 過度に恐れ、

 自分に責任がかかることを 避けようとします。

 あまり褒められずに 育てられた人が多く、 自分に 極度に自信がありません。

 しかし最近は、 過保護に育てられた ケースもあり、

 叱られたこともなかったのに 社会に出てから 自信を打ち砕かれ、

 人付き合いを 避けるようになることもあります

 外の生活に適応できず、 家に引きこもり、 家族に依存することを きっかけに、

 境界性パーソナリティ障害に 陥ってしまいます。

 うまくいかない苛立ちを 家族にぶつけ、

 自傷や自殺企図をして 周りを振り回します。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は、 精神科医になりたいという 夢を持っていました。

 けれどもそれは 経済的に全く無理だったし、

 心身を患っていたので 無理をしてはいけないと、 主治医からは止められていました。

 心子は 自分が医者になるのは 奇跡だと言いながらも、 働きながら予備校に通い、

 食費を参考書代に当て、 道を歩きながら 英単語を覚えたといいます。

 失敗を恐れず、 そうしたことが 少しも苦にならないのです。

 現実的に どうしても医者を 断念しなければならなったときは、

 夢を捨てる苦しみに もがきました。

 その後、 医者が無理なら 心理学者になりたいと、

 超過密スケジュールの 心理学セミナーに出席し、

 無遅刻無欠席で、 試験は オール優を取りました。

 自分の限界以上の 苦難にも挑戦し、 決して逃げないという 気骨を持っていました。

 しかし 精神的に傷つくことに対しては、 時に 過度に恐れることがありました。

 苛めのある会社へ 行くことを怯えたり、 毎週の受診に 不安を訴えたりしました。

 それは 僕に甘えていたのでしょうか? 
 
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失調型の傾向が 強いタイプ -- ガラス細工のように 繊細である

2009年12月20日 21時01分34秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) から、

 ベースにある性格によって パーソナリティ障害のタイプが異なる、

 という話の続きです。

(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/59999039.html からの続き)

 --------------------------------------

 生まれもった繊細さのため、

 人と接することに 緊張や不安を 感じてしまうタイプです。

 気分が落ち込んだり、 一時的に幻聴があったり、

 精神病のような 状態になることがあります。

 ひっそりと、 単調な生活をすることを 好む面と、

 新奇な刺激を求める面を 併せ持ちますが、 変化の激しい環境には 対応できません。

 不安定になったり、 神経的な 「発作」 を起こして、 危機を迎えてしまいます。

 寛容で誠実な パートナーと出会えば、

 人並み以上の能力を 発揮することができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 「失調型」 という言葉が どういう意味で使われているのか、

 参考までに 「失調型 (スキゾタイパル) パーソナリティ障害」 の

 症状を書いてみましょう。

 奇異な考えや知覚に とらわれており、 周りからは変人扱いされます。

 非社交的で 自分の世界に住んでいますが、

 頭の中は 驚くほど活発に動いていて、 考えが際限なく広がっています。

 常識にとらわれず、 直感や創意に富み、

 学者や芸術家, 宗教家としての 優れた業績を 成し遂げることもあります。

 外面的なことには関心がなく、 内面的な精神性こそが 重要であり、

 人に合わせることは苦手です。

 疑り深かったり、 妄想様観念を持つこともあります。

 理解者や支えとなる環境に 恵まれないと、 孤立したり、 引きこもったり、

 社会との接点を 失ってしまいます。

〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕
 
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「3万人の命に」 (2)

2009年12月19日 22時39分37秒 | 自死について
 
 記事では  「完全自殺マニュアル」 (太田出版) を取り上げています。

 本書は 自殺を推奨も阻止もせず、 首吊り, ガス, 飛び込みなど、

 死ぬ方法を図解入りで、 ただ事実とデータのみを 詳述しています。

 筆者の鶴見済 (わたる) 氏は、

 「自殺がいいとは言わない」 と 前置きした上で、

 「どんなに苦しくても生きろ と言うのはおかしい」 と 断言します。

 樹海で この本を持った自殺遺体が 見つかった一方、

 「この本で救われた」 という 瀬戸際の人たちからの 声が寄せられました。

 自殺を助長する という批判と、

 「死に向き合う事で 生きようと思った」 と 絶賛する意見、 賛否両論です。

 この本の後書きには こう書かれています。

「強く生きろ、 自殺は弱いもののすることだ、などということが

 平然と言われている 生き苦しい世の中に 風穴をあけて、

 ちょっとは 生きやすくしたいからだ」

 

 また、 南条あやが ネット上で書いていた日記。

 「いつでもどこでもリストカッター」 と 自称して、

 奇妙に軽いタッチで、 自殺未遂を繰り返す 自らの日常を記しています。

 高校卒業の直後に 大量服薬で亡くなるまでの 日記は、

 彼女の父親が  「卒業式までは死にません」 (新潮社) として 出版しました。

 今も10代から  「お守りにしています」 という 手紙が届くそうです。

 それから10年。

 「自殺は弱い人」 と 決めつける言い方は減ってきました。

 「その点はよくなった」 と 鶴見氏は言います。

〔 朝日新聞 「3万人の命に」, 「ウィキペディア」 より 〕
 
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「3万人の命に」 (1)

2009年12月18日 23時31分30秒 | 自死について
 
 朝日新聞夕刊の1面に  「3万人の命に」 という、

 自殺に関する記事が 連載されています。

 NPO東京自殺防止センターでは、 夜の間中 ボランティアが電話を受けます。

 ビルの屋上、 ひとりぼっちの部屋などから かかってくるそうです。

 ボランティアは 敢えて切り出します。

 「自殺したいのではないですか?」

 危ないと思うと、 直接会いに行きます。

 「死なないで」 と 説得するのではなく、

 「心配している人がいますよ」 と 告げに行くのです。

 「人は 死にたい時にも生きたい。

 矛盾しているけど、 そこに賭けるんです」
 

 記事では 自殺遺族のことも書いています。

 自殺で家族を失った 遺族は、 罪や恥の意識に 苦しめられます。

 親族からも 「隠せ」 という 圧力を受けるといいます。

 全国に300万人という 遺族に、 支援はほとんどありません。

 「自分が 本人の悩みに 気付いてあげられなかったから」

 「追い詰めたのは自分だ」

 病気や事故の 遺族とは異なり、 誰にも言えずに 苦しみ続けます。

 そんな人たちが 安心して話せる場を 作ろうと、

 各所で 自殺遺族の会ができています。

 あるいは、 「自殺って言えなかった」 という本を 出版したり、

 首相官邸を訪問して 自殺対策を訴えた 自殺遺児たちもおり、

 06年には 自殺対策基本法が成立しました。

 「あの人は死んでよかった」 と話す 遺族もいるそうです。

 「苦しみぬいての選択は 認めてやりたい」 と。

 もはや 自殺は悪でもないし、 気付いて防ぐべきことでもない といいます。

 これも 命を見つめた末の 境地なのでしょう。

〔 朝日新聞 「3万人の命に」 より 〕
 
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死に瀕している人に 向き合って (2)

2009年12月16日 21時05分51秒 | 自死について
 
(前の記事からの続き)

 もうひとつ、 先のメッセージの主は、

 大病のため 生きたいのに生きられない 人から見たら、

 何て命を粗末にする、 勿体ないことかという 意味合いのことも書いていました。

 自殺するくらいなら、 その健康な体や命を 自分と替わってほしいという、

 身体障害者や難病の人の 声はよく聞きます。

 それは その通りでしょう。

 けれども、 敢えて 誤解を恐れずに 言ってみたいことがあります。

 真に苦しみを苦しみ、 悲しみを悲しんでいる人は、

 願わくは交換してほしいと 思うのではないかと。

 この心の苦しみを 替わってくれるなら、

 体の障害や難病も、 甘んじて引き受けると。

 それほどまでに、 心の苦しみは 体の苦痛に 勝る場合もあり得ると。

 もちろん 全ての場合がそうではありません。

 肉体の苦難を 低めることなどできるはずもありません。

 ただ、 身体に障害や病を 抱える人は、

 それに耐えたり 乗り越えたりする力もありますが、

 心の障害や病を 持つ人は、 その力自体に 障害があり、 病んでいるのです。

 耐えること自体、 頑張ること自体が できない障害なのです。

 それ故に 苦悩が いや増しに増して、 精神を苛み蝕んでしまいます。

 心の健康な方は、 そんなことも 少し考えてみていただけたらと 思います。

 深く苦しんでいる人の 心の中や、 どのように接したほうが 望ましいのかを、

 多くの人々にも 知ってほしいと願っています。
 
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