「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

絶望への対処

2016年01月30日 20時34分44秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDは 慈心, 情熱, 創造性, 感情に対して 驚くべき能力を持っています。
 
 しかし調整能力の欠如で、 人生は混沌とし、 圧倒的な悲しみを感じているのです。
 
 セラピーで良くなり始めるときに、
 
  「人生を無駄にしてしまった」 と 悲嘆の余り、 自殺行動が出ることがあります。
 
 これは家族にも反映されます。
 
 あなたにできる最も重要なことは、 あなたの悲しみを観察して、 描写することです。
 
 あなたの思考と感情を 識別しましょう。
 
 感情に圧倒されないように、
 
 感情を経験することと、 感情を手放すことの バランスを取りましょう。
 
  「私は感情を手放す」 と 自分自身に言い聞かせます。
 
 それから 他の何かに集中し、 気を紛らわせたり、 自分を慰めたりしましょう。
 
 感情の経験を抑圧していると、 より強力になって戻ってきてしまいます。
 
 実際に感情の中に 少しだけ入ってください。
 
 身体のどこで感じているか 描写してください。
 
 受容の技能を使って、 自分自身の感情を認めましょう。
 
〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64905992.html 〕
 
 マインドフルネスや 内観, 瞑想の実践も有効です。
 
 あなたの悲しみについて BPと話し合うかどうかは、
 
 BPの許容力, あなた方の関係性, 話し合いの目的によります。
 
 時としてBPは、 失望について話したがります。
 
 もしあなたが 同じ感情を認識していると言えば、 非常に承認的になるでしょう。
 
 一方でBPは、 その承認を、 あなたが自分と張り合っている と思ったり、
 
 あなたさえもが その人を絶望的だと思っている と考えるかもしれません。
 
 爆発の危険性のあることを伝えるには、 外部の支援や助けが有効です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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恐怖と共に生きる (4)

2016年01月29日 19時37分13秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 真の脅威の存在を 査定する
 
 あなたが知覚する脅威ではなく、 現実の脅威が存在するのかどうか、
 
 自問してください。
 
 賢明な心へのアクセスを 試みましょう。
 
〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64972619.html 〕
 
 介入が、 長い目で見て BPの幸福に有効か、
 
 或いは あなたの気が済むためのものなのか、 省みてください。
 
 脅威が存在していて、 結果が甚大であれば、 介入しましょう。
 
 脅威が現実のものでないか、 結果が有益でない場合には、
 
 あなたを恐がらせているものに アプローチしましょう。
 
 会話をしたり、 限界を伝えたりしましょう。
 
 可能ならば、 脅威が差し迫っているか、
 
 長い目で見ると 更なる問題行動の原因になるものかを 考えてみましょう。
 
 恐怖に対処しつつ 賢明な心の反応を試みるのは、
 
 時として 非常に危険な状況になります。
 
 ある決断をし、 いくつもの感情に対処するには、
 
 あなた自身のサポートを 得ることが必要です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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恐怖と共に生きる (3)

2016年01月28日 20時33分57秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ BPの面倒を見ることで、 あなたの恐怖の面倒を見る
 
 家族は BPの人生を引き受けて、 コントロールしようとしてしまいます。
 
 そうしないと 何が起こるかと恐れているので、
 
 BPと同時に 自分の恐怖の 面倒を見ているのです。
 
 それは いつまでもBPを管理することになり、
 
 BPの無力感を強化してしまうでしょう。
 
 あなたの不安は 決して緩和されないのです。
 
 不安を手放して、 大惨事は起こらないのだと 脳に学習させることです。
 
 最も賢明な心で、
 
 BPが緊急の危機に瀕していると 信じるならば、 脅威は存在しています。
 
 その時は介入し、 BPが生きるために 必要なことをしましょう。
 
 問題は、 これが あなたの不安を強化してしまうことです。
 
○ 恐怖と罪責感の循環
 
 BPの人生をコントロールするのを やめようとするとき、
 
 恐怖と罪責感は 循環し始めます。
 
 BPを世話をやめたときの 不安があるので、 安堵できません。
 
 そして 世話を本当にやめたとき、
 
 BPは感情的リアクションをし、 あなたの罪責感が姿を現します。
 
 あなたは 感情的リアクションを恐れて、 夜中の電話に出ます。
 
 自分が 危機的行動を強化しているのではないかと 恐れます。
 
 そして循環が持続します。
 
 私たちが、 BPは余りに脆いと 見なすので、 循環が続くのです。
 
 罪責感と同じで、 世話をする衝動に 屈しないことが大切です。
 
 苦悩に耐えるスキルを 使いましょう。
 
〔参照:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64967178.html 〕
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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恐怖と共に生きる (2)

2016年01月27日 20時12分37秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
※ 休暇をとるか、 関係を終わらせる決断をする
 
1. 「プラス面 vs マイナス面」 の 比較表を作ってください。
 
   〔参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64893617.html 〕
 
   「休暇をとる vs 休暇をとらない」, 「休暇をとる vs 関係を終わらせる」,
 
   「関係を終結する vs 関係を終わらせない」
 
2. 休暇 あるいは 関係を終わらせることを 伝えてください。
 
   可能なら、 BPに 行動を変えるチャンスを 与えましょう。
 
   (もし○○が変わらなければ、 休暇をとらなければならない)
 
3. あなたにとって最善であり、 必ずしもBPにとって最善でないことを認め、
 
   伝えましょう。
 
4. 休暇をとる場合、 関係が改善する希望を 表現しましょう。
 
5. どのように休暇を終えるか 伝えましょう。
 
○ 恐怖から 効果的に振る舞えない
 
 私たちはしばしば、 恐怖から効果的でないことをします。
 
 自分が降伏しないと 何が起こるか分からないと 恐れるので、
 
 BPに盲従してしまいます。
 
 BPに従えば BPの感情を強化してしまうと 分かっていても、
 
 恐怖をどうすることもできません。
 
 必要なのは、
 
 強化しないこと (夜中の電話に出ないなど) を 繰り返し行なうことです。
 
 BPが破壊的行動をしてしまっても、 その結果に耐えなければならないのです。
 
 強化がなければ、 破壊的行動は 時間と共に減っていくはずです。
 
 そのたびに、 BPの恐怖は 少しずつ和らぐでしょう。
 
 問題行動も恐怖も 徐々に減っていくでしょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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恐怖と共に生きる (1)

2016年01月26日 21時14分16秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 恐怖は、 低レベルの心配から 極度の圧倒的恐怖まで、 幅があります。
 
 ここでは、 恐怖, 心配, 不安を 同意語に扱います。
 
 どれも同じ根源的な感情、 つまり恐怖に由来するからです。
 
○ 自分をなだめる
 
 恐怖と不安は 人を消耗させます。
 
 BPが生死のギリギリにいるとき、 恐れないことは難しいでしょう。
 
 不安を中和するには、 落ち着かせる技法で、 あなたの身体をケアすることです。
〔参照:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64907475.html 〕
 
○ 管理されていない恐怖は 回避につながる
 
 恐怖は、 その原因から逃げたいと思わせます。
 
 あなたは BPを避けることになるのです。
 
 BPの家族は 身体問題を発症したり、 感情的にすり減ってしまい、
 
 関係から手を引かなければならないこともあるのです。
 
 関係の終結よりも、 関係からの休息 (休暇) が勧められます。
 
 休暇をとる目的は、 関係が終わりになるのを防ぐことです。
 
 休暇をとる際は、 BPへの愛情を保証して、 BPが傷つくことを承認し、
 
 将来の関係への 希望を表現しましょう。
 
 休暇は何度とってもいいのです。
 
 関係からの休暇をとるときは、
 
 その関係の プラス面とマイナス面の 比較を行ないます。
 
 妥当な罪責感を経験するか 確認するために、
 
 あなたの価値観を 検証する必要があります。 
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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罪責感が妥当なら (2)

2016年01月25日 20時17分41秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 次のステップは、 罪責感を手放すことです。
 
 これは手ごわいプロセスです。
 
 罪責感が妥当でも、 意図していなかったという事実は 重要です。

 BPが 激しい感情的リアクションを示し、 あなたを非難したら、
 
 それを承認してください。
 
 そして、 自分は謝罪したのだと思い出し、
 
 自分の感情を 手放す努力をしてください。
 
 いつか、 BPがあなたを非難しても、 罪責感が削減されるでしょう。
 
 BPは 家族が 「犯した過ち」 を 家族に話します。
 
 それは非難めいたものになり、 非難される人は 不可避的に守勢に立ってしまいます。
 
 しかし、 家族の感情調整ができて、 話し合いを持てば、 両者にとっての利益
 
 -- BPにとっては承認、 家族にとっては罪責感の削減 -- は漠大なものです。
 
 また、 BPのその非難が 否定されたり、 矮小化されたりすると、
 
 感情と自殺傾向が増加してしまいます。
 
 BPが言ったことを否定せず、 あなたがBPにしたことの 理由を説明してください。
 
 それから、 BPが誤解して ひどく恐ろしかったに違いないと 承認してください。
 
 BPは慰められ、 あなたは罪責感を持つのを 防げるでしょう。
 
※ 罪責感に効果的に対処する方法
 
1. 罪責感の原因になる行動を リストアップしましょう。
 
2. あなたのしたことが 価値観に反しているかどうか 確認しましょう。
 
3. 価値観に反しているなら、 それを具体的に描写しましょう。
 
4. あなたの行動がBPに与えた、 意図された結果と 意図されなかった結果を
 
   リストアップしましょう。
 
5. 罪責感が妥当なら、 補償をしましょう。
 
6. BPが補償にリアクションするのを 認めましょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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罪責感が妥当なら (1)

2016年01月24日 19時44分17秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 妥当と思われる罪責感の大半は、 意図しなかった害への罪責感です。
 
 それを認識すれば、 度を越さずに、
 
 適切な補償 (償い) で 罪責感を和らげられるでしょう。
 
 もしBPが子供のとき、
 
 あなたが  「泣くのはやめなさい」  などと言ったとしたら、
 
 BPは 自分の感情が間違っていると 感じてしまったかもしれません。
 
 あなたがしたことと、 あなたが意図していた結果と、 意図されていなかった結果を、
 
 具体的に考えてください。
 
 罪責感を仕分けするために、 違いを理解するのが重要です。
 
 意図していなかった結果に対する 罪責感に圧倒されずに、 償うことが可能になるか、
 
 妥当でない補償を回避できるでしょう。
 
 あなたは、 子供が感情調整できなくなる結末や、
 
 泣くことは悪いという 信念を教え込むことを 意図していません。
 
 妥当な罪責感を 引き起こした行動がはっきりしたら、 補償をしましょう。
 
 あなたのしたことと その結果に対して、 謝罪することが必要です。
 
 昔の行動については、 できるのは謝罪だけ という場合が多いでしょう。
 
 そして、 BPに あなたの補償に対して 自由に反応させましょう。
 
 弁証法的行動療法ではこれを、  「結果を潔く受容する」 といいます。
 
 BPは激怒するかもしれませんが、 あなたは 自分のできることを全てしたことで、
 
 罪責感を減らせるでしょう。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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親の感受性

2016年01月23日 21時05分07秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDの子供の親 (養育者) は、
 
 障害が 自分の落ち度によるもののように 感じます。
 
 しかし 責任はあなたにはありません。
 
 BPDは、 生物学的なもの, 適合の良し悪し,
 
 多数の要因が集まった 嵐のようなものです。
 
 BPの多くが、 子供にとって申し分のない 家庭に育っています。
 
 親は最善を尽くしたのです。
 
 鍵となるのは 生物学と環境との適合度と 考えられます。
 
 誰でも意図せず、 人に対して 非承認になってしまうことがあります。
 
 親は罪責感から 償いをしたくなりますが、
 
 必要のない償いをしてしまうと、 親族と効果的に対処できなくなり、
 
 子供がBPDを改善させるのを 邪魔しかねません。
 
 家族は償いをしようとして 人生を費やします。
 
 誰もが他人を傷つけますが、 多くは意図したものではありません。
 
 その罪責感で、 子供を過保護にするのは よくないことです。
 
 過度に助けようとするのは、 BPの能力を奪い、 無能力を強化してしまいます。
 
 知らないうちに 自殺行動や問題行動を 強化してしまうのです。
 
 あるBPの女性は、
 
 子供のとき 弟が病気のために、 両親から面倒を見てもらえませんでした。
 
 成人後BPD症状が生じ、 病院で過ごしました。
 
 退院後、 両親は罪責感から 彼女に大金を費やして養います。
 
 彼女はますますうつ状態になり、 自殺企図と入院を招きました。
 
 両親の罪責感が 効果的な行動の妨げになっていたのです。
 
 両親は彼女と セラピーを受け、 彼女への過度の援助をやめました。
 
 彼女は自分で 働かなければならなくなったのです。
 
 彼女は苦労しましたが、 その後二度と入院しませんでした。
 
 両親の問題は、 妥当でない罪責感から 償いをしたことではなく、
 
 彼女が自分の役割を 果たさなかったときに、
 
 妥当な罪責感を感じなかったことなのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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あなたの罪責感は妥当ですか? 

2016年01月21日 20時46分17秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 あなたの罪責感を検証するためには、 あなたの 「賢明な心」 に自問してください。
 
 皆が直感的に活用できる 知恵の能力です。
 
 賢明な心にアクセスするには、 息を吸って
 
  「自分の価値観に 反することをしただろうか」 と問い、 聞いてください。
 
 答を得られるまで これを行なってください。
 
 正しく、 そして容易に答を出せることに 驚くでしょう。
 
○ 妥当でない罪責感への 反応の仕方
 
 罪責感が妥当でないと確かめても、 罪責感が消えない場合は、
 
 罪責感の引き金になっている行動に 繰り返し関わることです。
 
 (昨日の日記の夫の例では、 花を用意しないことを 何度も繰り返すことです。)
 
 好ましくない感情を静めるために 行動を変えると、
 
 その感情は 減る前に まず増加してしまいます。
 
 (「消去バースト (消去抵抗)」 といいます。)
 
 感情を低下させるには、 その行動をしたい衝動を 無視し続けなければなりません。
 
 罪責感が高まった状態で 補償行動に出る (花を買う) と、
 
 罪責感を強化してしまい、 静めるのがより難しくなってしまいます。
 
 ただし 罪責感が発するシグナルは、 高まっても次第に落ち着いてくるものです。
 
 例えば、 週末にレジャーに行くことに 罪責感を感じる人がいました。
 
 彼は週の間は 一生懸命働き、 罪責感を持つ理由はありません。
 
 罪責感を収めるには、 罪責感がなくなるまで 週末にレジャーに行くことです。
 
 でもBPへの罪責感を扱うのは より難しくなります。
 
 恐怖が生じるからです。
 
 あなたが罪責感から、 BPのために 有益でないことをするとき、
 
 それを思いとどまったら、 BPは破滅的な行動に出ると 恐れますか? 
 
 あなたは恐怖と罪責感、 罪責感と恐怖のサイクルに囚われ、 消耗し、
 
 最終的にBPを 一層悪化させてしまいかねません。
 
 これらふたつの感情は とても緊密に織り合わさっています。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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必要のない補償をしようとすること

2016年01月20日 20時29分04秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 多くのnon-BPが、 妥当ではない罪責感を持ちます。
 
 倫理観の範囲内のことをしても、 罪責感を持ってしまうのです。
 
 これはnon-BP, BP, 二人の関係にとって 有害です。
 
 例えば BPが夜、 酔っぱらって電話をしてきて、 感情を露にしたため、
 
 あなたは限界を超えて 電話を切りました。
 
 そして、 それに対して罪責感を持ちます。
 
 この罪責感に対して、 ふたつのことをする可能性があります。
 
1. BPに電話をかけ直し、 話をする。
 
  (BPが酔っぱらって電話をすることを 強化します。)
 
2. 次回、 BPが好ましくないものを必要とするとき、
 
   それが有益でないと知りながら 与えてしまう。
 
 あるBPは、 夫と喧嘩したとき、 大量服薬して入院しました。
 
 退院すると、 夫は沢山のバラを用意し、 食事を作り、 毎日掃除をしました。
 
 その次に 二人が意見が合わなかったとき、 BPは大量服薬しました。
 
 夫は再び花を買い、 行動を変えました。
 
 夫は 口論には罪責感がありませんでしたが、 入院には罪責感があったのです。
 
 しかし 彼の罪責感は妥当ではないし、
 
 そこから出た彼の行動は、 妻の行動を強化し、 
 
 彼女の自殺傾向や入院を 増やすのです。
 
 彼女が大量服薬をした場合には、 花を買ったりしないことが必要です。
 
 夫は別の感情 -- 悲しみ, 恐怖, 欲求不満 -- を感じるでしょうが、
 
 彼の行動が 自殺企図の原因ではありません。
 
 彼は補償行動をせずに 入院を許容しなければなりませんが、
 
 やがて妻は大量服薬をやめ、 入院もしなくなりました。
 
 強化子は、 気付かないうちに働くのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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あなた自身の 困難な感情に対処する

2016年01月19日 19時19分15秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BP (BPDの人) を大切に思い、 相次いで危機に対処してきて、
 
 絶望を感じているときに、 別の感情が背景に潜んで 蓄積することがあります。
 
 それは罪責感, 恐怖, 絶望です。
 
 罪責感は、 自分の倫理観や価値観に 反することをしたときに 経験する感情です。
 
 罪責感は、 与えてしまった害への 補償 (謝ったり償ったりする) を
 
 したい気持ちを起こさせます。
 
○ 検証されていない罪責感の落とし穴
 
 BPはしばしば 制御不能の罪責感を持っています。
 
 あらゆることに罪責感を持ち、
 
 自分がそれらの原因だと 信じてしまうか --大半がこれです--、
 
 あるいは 人に与えた苦痛を理解せず、 ほとんど何の罪責感を持っていないか、
 
 どちらかです。
 
 セラピーでは、 罪責感を理解させ、 自己嫌悪と自己非承認を減らすのです。
 
 non-BP (BPと接する人) にも 罪責感は蔓延しています。
 
 主に検証されないままであることが多く、 有害になり得ます。
 
 あなたが罪責感を抱いたときには、 自動的に補償をしようとするかもしれません。
 
 罪責感が即座に 恥を感じさせるのであれば、 あなたは罪責感を覆い隠そうとして、
 
 何の穴埋めもせずに 先に進もうとするかもしれません。
 
 罪責感には、 妥当なものと妥当ではないものがあり、 検証が必要です。
 
 もし妥当でないのに 妥当なように振る舞うと、
 
 役に立たない補償をしてしまうかもしれません。
 
 罪責感が妥当なのに 補償をしなければ、
 
 BPとの交流を ポジティブに変えるチャンスを 逃しているかもしれません。
 
 妥当な罪責感は、 倫理観に反する行動をしたときに 生じるものです。
 
 妥当でない罪責感は、
 
 根拠のない罪責感 -- 倫理に反していないのに 感じる罪責感です。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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悲嘆の抑制に関してすべきこと (2)

2016年01月18日 20時02分57秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65003339.html からの続き)
 
o 感情表現がないことで感じる 安堵を受容する
 
 BPが感情をシャットダウンして、 あなたが安堵感を経験するとしたら、
 
 それを認めましょう。
 
 しかし感情の抑制は 効果的な対処技能ではなく、
 
 BPの惨状から出てきたものだと 理解することが大切です。
 
o エクスポージャー (曝露) 療法を探す
 
 悲嘆の抑制を克服する 唯一の方法は、 実際に感情を経験することです。
 
 しかしBPは、 感情そのものも感情を引き起こす出来事も 回避します。
 
 行動療法には、
 
  (感情的合図への) エクスポージャー (曝露) と呼ばれる 技法があります。
 
 感情を回避するのではなく、 経験するように援助するものです。
 
 エクスポージャーは 精巧で難しい技法なので、
 
 訓練を受けた専門家に 治療してもらうことが有益です。
 
 感情を経験させることは、  「感情を外に出す」 ことと 同じではありません。
 
 悲しみを全て吐き出すことで、 BPの気分がよくなる証拠はありません。
 
 BPを悪化させるかもしれず、 自殺行動の増加に繋がりかねません。
 
 究極の目標は、 感情が積もって 悲劇を招かないように、
 
 感情が生じたときに それを経験する手助けをすることです。
 
 承認して、 希望を表現し、
 
 激しい感情表現がないことで 安堵するあなた自身を許し、
 
 専門家の治療を受けられるか 試してください。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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15年目の祥月命日

2016年01月17日 19時45分34秒 | 心子、もろもろ
 
 今日は 心子の15年目の祥月命日でした。
 
 15年 …… 本当に早いです。
 
 十年一日のごとくにも 感じる一方、 歳月の流れと共に、
 
 心子との想い出の色々な場所が だんだんなくなったり、
 
 変化したりしてしまっているのも事実です。
 
 2年半前には、 心子と暮らした僕の部屋が 取り壊しにもなってしまいましたし。
 
 墓前で心子とお話をしてきたあと、 久しぶりに 心子の実家の場所へ行ってみました。
 
 心子のお兄さんやお母さんが 亡くなって、 しばらくして更地になっていましたが、
 
 今回見てみたら、 駐車場になっていました……。
 
 止むを得ないことではありますが、 やはり個人的には寂しく感じます。
 
 でもこうして 世は移ろっていくのですね
 
 心子が住んでいたマンションは、 今の僕の住まいの 比較的近くなので、
 
 ときたま行ってみることがあります。
 
 外観は全く当時のままですが、 今はどんな人が住んでいるのでしょう。
 
 ところで、  「境界に生きた心子」 を 読んでくれた読者の中に、
 
 毎年 心子の命日やその前日に、 メールを送ってくださる方がいます。
 
 会ったこともない心子の笑顔を いつもまぶたに浮かべ、 想いを寄せてくれています。
 
 (その人には、 心子の写真を メールで送らせてもらったことがあります。)
 
 いつまでも こんなに心に留めていてくれる 人がいて、 心子は幸せだと思います。
 
 それも 拙著で心子のことを 伝えることができたからでしょうか。
 
 やはり 心子の生きた証を 残すことができて良かったと思います。
 
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悲嘆の抑制に関してすべきこと (1)

2016年01月16日 21時05分43秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 悲嘆の抑制を 治療することはできないでしょう。
 
 承認こそ最善の策です。
 
o BPの感情を承認する
 
 BPが感じているに違いない 感情を承認し、
 
 その感情を経験するのが いかに苦しいかを承認しましょう。
 
 極端な感情的リアクションは、
 
 BPを ひとつの極から他方の極へと 押しやる可能性があります。
 
 BPが 喪失に対処するのに必要な 悲しみを感じていないとしたら、
 
 あなたは 自分自身の感情的リアクションを 穏やかにしなければなりません。
 
 あなたがひどく悲しめば、 BPは衝動的なことをするかもしれません。
 
 その一方で、 あなたが 本物の悲しみで反応しなければ、
 
 BPの悲しみを承認しないことになるか、
 
 衝動性と自己非承認の方向へ 動かしてしまうでしょう。
 
o 希望を生み出す
 
 ふたつめにすべきことは、
 
 BPが悲しみを乗り越えて 生き延びる希望を生み出すことです。
 
 失われたものを認め、 BPの生活を再生する 解決策を提案することができます。
 
 5つのステップのプロセスを 思い出してください。
 
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64876995.html
 
 BPが感情を回避せずに 経験するのを手伝いましょう。
 
 感情を経験しながら 想い出を語ってもらいましょう。
 
 感情のシャットダウンを始めたら、 身体で何を感じているか 質問しましょう。
 
 感情は身体感覚なのです。
 
 感情を経験するには、
 
 あなたの身体で感じていることを 自問し、 感覚に注意を払ってください。
 
(続く)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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悲嘆の抑制 (2)

2016年01月15日 21時27分25秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
(前の記事からの続き)
 
○ 感情の内的経験の回避 (2)
 
o 解離
 
 BPはしばしば 悲しみを抑制し、 全く悲しそうに見えません。
 
 これは時として 解離しているからかもしれません。
 
 解離は 意識を感情から離して、 感情をシャットダウンすることです。
 
  「ぼうっとしている」 ときや  「気が抜けている」 とき、
 
 人は感情を経験していません。
 
 これらの感情は 未経験のまま蓄積し、
 
 のちには噴火して 極度の危険を生み出すでしょう。
 
o 別の感情へのシフト
 
 時として人は、 別の感情を経験するという手段で、 ある感情を回避します。
 
 例えば怒りは、 悲しみを回避することを助けてくれます。
 
 怒りは悲しみより対処しやすいものです。
 
 もしBPが悲しいのに 怒りや他の感情で回避していたら、 悲しみを承認しましょう。
 
 悲しいのに怒っている とは言わないように。
 
 そう言うと承認していないことになり、 爆発に繋がるでしょう。
 
 代わりに、  「私だったら悲しい」 のように言って、 反応を見ましょう。
 
 時には 正常な感情へ導くことができます。
 
 あなたの言うことを 否定するかもしれませんが、 口論しないように。
 
 悲しみは恐ろしく、 その中で溺れさせはしないと 伝えましょう。
 
○ 悲しみの外的な合図の回避
 
 悲嘆を抑制するとき、 悲しみを引き起こす 外的なでき事を回避するかもしれません。
 
 過去の悲しみや喪失に関連する 場所, 人, 物を避けるのです。
 
 例えば、 愛する人と別れて、 再会したいと望んでいても、
 
 もう一度 喪失するのではないかと恐れて、 会うことを拒否するBPがいます。
 
 そしてより孤立し、 より悲しく、 罪責感, 恥を感じるようになりました。
 
 次には これらの感情を回避しなければならなくなり、 衝動的な行動をします。
 
 それが ネガティブな感情を さらに多く引き起し、 周りの誤解を生み、
 
 またそれが 回避すべきネガティブな感情を さらに引き起こします。
 
 最終的には、 破滅的な行動に繋がってしまいます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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