「パーソナリティ障害がわかる本」に 人格障害の治療として、
境界性パーソナリティ障害の 治療を中心に 述べられています。
その中で、最も有効な 療法のひとつとして
注目されているのが 「 弁証法的行動療法 (DBT) 」 です。
[ 参考記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html ]
弁証法的行動療法 (DBT) では、
完璧な愛情か 完全な絶望かというボーダーの人の 二分化された見方を、
弁証法的に乗り越えていく、思考や行動を 身に付けていくのです。
DBTの 中核的な戦略として、 「有効化」 と 「問題解決」 があります。
一般にボーダーの人は 自己評価が低いため、
自分のやったことは 悪いことだ,価値がない,意味がないものだという、
「無効化」 をしてしまいます。
それに対して 「有効化」 は、ボーダーの人の 行動や感情の中にある、
プラスの側面や 意味を見出し、ポジティブな価値を 認めることです。
適切な言動では ないかもしれないが、現状への適応として、
本人にとっては意義がある と理解するのです
全てを丸ごと受け止める 受容ではなく、部分的な肯定です。
それは、全か無かの 二分化した思考を 是正していくことになります。
自分の愚行の中にも 一分の理があった と知ることで、
全面的な否定に 陥ることを免れるのです。
受容的な 「有効化」 に対して、「問題解決」 は 変化を求めるスキルです。
支持的なアプローチと、自分を変えるアプローチの
バランスを取ることが、DBTの要となります。
変化を助ける4つの技法があります。
(1)不測の事態への対処
(2)行動スキルトレーニング
(3)暴露に基づく技法
(4)認知の修正
特に、自殺企図のコントロールに関する 「不測の事態への対処」 について、
学習理論による強化と、消去の作業を 徹底して続けることが、
長期的な問題行動の 改善につながります。
自殺行動によって 相手を操作しようとする人に対して、それに応えてしまうと、
短期的には良くても、長期的には 事態をさらに 悪化させてしまうからです。
〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕