「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

他の方法/結び

2014年08月13日 21時31分37秒 | 「BPDファミリーガイド」より

o 手がかりに注目しましょう

 以下の兆候が見られたら、

 本人の気持ちを 紛らわせてあげられるかもしれません。

・ 緊張した顔の表情

・ そわそわする

・ 手を握りしめる

・ 唇が震える

・ 前かがみになる

・ 眉をひそめる

o 皆さん自身に 正の強化をしましょう

 自分自身に対しても 正の強化を用いることができます。

 できなかったときに 自分を責める代わりに、 できたときに 自分を褒めるのです。

 自分の感情を把握するために、 皆さん自身の手がかりにも 注意してください。

○ 称賛についての 「TIPS」

 ちょっとした進歩に報いてください。

 物事は完璧である必要はありません。

 TIPSは以下の頭文字です。

T: 誠実に (true)。

  人は、 受けるに値しない称賛を 見抜くものです。

I: 迅速に (immediate)。

  その行動が行なわれたときに 褒める。

P: 前向きに (positive)。

  その行動が再現される可能性が 高まります。

S: 具体的に (specific)。

  判断するのではなく、 観察したことを述べてください。

  「あなたは怒り狂う前に、 10まで数えて 喧嘩を避けたのよ」 のほうが、 

  「あなたが10まで数えたやり方が よかったと思うわ」 より良いでしょう。

  前者は 自己評価を築く助けになりますが、

  後者は 本人を皆さんの意見に 依存させてしまいます。


● 結び 「今日からスタートです」

 希望と奇跡は、 よく目を凝らせば、 皆さんの周りにあります。

 希望は自分自身で抱くものであり、 選択は自分自身で行なうものです。

 大切な人を変えることはできませんが、 皆さん自身を変えることならできます。

 必要なのは、 次の3つだけです。

1. 大きく、 胸いっぱいに深呼吸しましょう。

2. 「信頼に基づく賭け」

  BPDの人の行動を、 例え それが人を傷つけるものであろうと、

  個人的に受け止めないことです。

  境界設定や強化の 効果が見えないときでも、 信じて努力を続けましょう。

3. さあ、 皆さんのボートを 見つけに行きましょう。

(以上)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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望まない行動を訓練しない

2014年08月12日 19時42分28秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
o 「最も強化しないシナリオ」

 関心を引くことを意図した 不愉快なコメントに対しては、

 無表情なままでいる (頭から爪先までのポーカーフェイス) のが、

 「最も強化しないシナリオ」 です。

 どのような反応も 行動を誘発するからです。

 反応したいという衝動を、 自己コントロールする必要があります。

 ただし、 虐待的, 危険な行動に対して これを用いてはいけません。

o 相容れない行動

 BPDの人を止めるよりも、

 別のことに 彼らの関心を向けるほうが たやすいものです。

 望ましくない行動とは相容れない、 別の行動へと向けてあげてください。

 BPDの人は、 怒ることと笑うことを 同時にはできないのです。

 本人にとって大切なことを 褒めてあげると、

 怒っていたのが 話し合えるようになるかもしれません。

o 問題のある行動がなくなったら、 それに報いましょう

 BPDの人が文句を言っているときは、

 最も強化しないシナリオ (無視するのではなく見逃す) を用います。

 しかし 他の話をするときには、 熱心におしゃべりしましょう。

 BPDの人の多くは時に、 全く正常に行動します。

 これは他の行動を強化する 豊富なチャンスを与えてくれます。

 本人の好ましい点を よく考えてください。

 成功の鍵は、 好ましい行動が起こっているときに 強化することです。

・ 「あなたの……なときが好きなの」

・ 「君といるとすごく楽しいよ」

・ 「……してくれてありがとう」

・ 「あなたは本当によく頑張ったね」

 触れたり、 近づいたりすることで、 言葉を介さず 強化することもできます。

o 一般的な称賛

 本人のネガティブな点を 話すのではなく、

 彼らの長所を 伸ばせるようにしてください。

 ポジティブな対処行動に対しても、 報いてあげてください。

・ 「この前、 君は動揺したとき 物を投げる代わりに 散歩に行ったよね」

 しかし 子供に対しては、 褒めすぎないよう注意してください。

 子供は進歩すると、 親が 全て順調だと考えて 離れていくのではないかと恐れます。

 「本当によく頑張ったね。

 でも、 あなたにとって ストレスが大きくはないかと心配してるの」

 といったメッセージなら、 共感的で危険も少ないでしょう。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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消去バースト

2014年08月11日 20時01分45秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 状況は改善する前に 必ず悪化します。

 境界を試される段階は長く、 辛いものになるでしょう。

 BPDの人は状況を戻そうとして 一層行動化します。

 これは 「消去バースト」 と呼ばれます。

 消去バーストは、 行動が報酬が引き出さなくなったときに 起こります。

 BPDの人は 行動のレベルを上げ、 それでも境界が堅固だと、

 さらにレベルを高めます。

 重要なのは、 激しくなった行動を予測し、 なすがままにさせることです。

 強化を与えなければ、 行動は最初はゆっくりと、 やがて迅速に減り始めます。

 ただし、 境界を時々守らないと、 断続的強化を与えてしまいます。

 最初の数週間~数カ月間は、 最も困難になると 心に留めておいてください。

 BPDの人は、

 「以前はうまくいっていた。 もっと激しく行動したら またうまくいく」 と考え、

 より強い、 または別の不適切な行動を 取ることがよくあります。

 どれほど強烈に巻き込まれそうになっても、 断固として境界を守ると、

 行動化の時間はだんだん短くなり、 激しさも薄らいできます。

 やがてBPDの人は、 自分を落ち着かせ、

 そのあと話をすることができるようになるでしょう。

 ここに辿り着くまでには 何年もかかりますし、 何度も練習を重ねる必要があります。

 でもBPDの人は 自分に起こっていることに気付き、

 自分をよく理解するようになるかもしれません。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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強化

2014年08月10日 19時59分29秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

o 強化子と境界

 BPDの人が 境界を守らないことに対して、

 本人に正の強化をすることは 控えてください。

《正の強化子と 負の強化子を見つけましょう》

 境界がうまくいかないのは、 BPDの人が それを守らないからではありません。

 non-BPの人が 自分自身の境界を守らなかったからです。

 彼はBPDの人にとって  「迫害者」 から 「救済者」 になってしまいます。

 議論は強化になり得ます。

 重要なのは、 皆さんが何をするかであり、 何を言うかではありません。

 あなたが言うことが正しいとしても、

 BPDの人との言い争いには 対処していないのです。

 あなたの仕事中に電話をかけない という境界を設定したとします。

 BPDの人が 仕事中に電話をしてきたら、

 「帰ってから話しましょう」 と言って 受話器を戻し、

 BPDの人が電話をかけてくるたびに、 その行動がなくなるまで、

 これを繰り返します。

o 断続的な強化

 あなたが一貫して行動し、 仕事中は電話に出なければ、 BPDの人は学ぶでしょう。

 問題行動はそれが止まったときには  「消えている」 のです。

 もしある日、 仕事中に電話に出たら、 電話することを強化してしまいます。

 これは 「断続的強化」 と呼ばれます。

 断続的強化により、 行動は消えることが ほぼ不可能になります。

 よい例がパチンコです。

 パチンコは 時には儲かることがあるのでやめられません。

 境界を設定したら、 違反が起きるたびに 注意することが重要です。

 境界を遵守するのは、 最初はかなりエネルギーが必要です。

 小さなことから始める 理由でもあります。

 BPDの人は1年後2年後に 皆さんを試すことさえあるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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パワーツール5 : 適切な行動を強化する

2014年08月09日 23時07分32秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を設定したら、 それを維持することです。

 non-BPの人の 次のようなコメントがあります。

・ 「彼が境界を取り除こうとし、 私は弱気になってしまいました。

  もう耐えられないのに、 さらに耐えることになってしまったのです」

・ 「境界は設定されては壊されます。 その繰り返しなのです。

  まさに地獄と化したのです」

 BPDの人は 境界を何度も試すでしょう。

 重要なのは、 皆さんが何をするかであり、 何を言うかではありません。

 (BPDの人に境界を守らせる 説明や議論をするのではなく、

 あなたが境界を守ることです。)

 境界を有効にする行動を、 強化してください。

 境界を遵守するのです。

○ 強化

 「強化子」 とは、

 再びその行動をする可能性を 増大させるか、 低下させるかに

 作用するものをいいます。

o 正の強化子と 負の強化子

 繰り返し実行される可能性を 高める行動は 「正の強化子」,

 低める行動は 「負の強化子」 と呼ばれます。

《赤ん坊が泣く》

正の強化子:

 赤ん坊が抱き上げられる, ミルクを与えられる。

 これらの行動は、 赤ん坊が寂しかったり、 お腹が空いたときに、

 再び泣く可能性を高くします。

負の強化子:

 赤ん坊が無視される。

 孤児院の大人が 子供を見ないでいると、

 子供は頭をぶつけても 泣かなくなってしまいます。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界について話し合いましょう (3)

2014年08月03日 21時30分03秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○本人が 自分の立場を尊重されていると感じられるように 伝えましょう

 本人のニーズと願望を承認し、

 境界を定着させるか、 何度も繰り返し述べてください。

・ 「私たちのどちらかが正しいと 決めたいわけじゃないの。

  関係を最善のものにしようとしているのよ。

  私に必要なのは……」

・ 「僕は自分自身について、

  何ができて何ができないのか、 何を必要としているのか、 学んでいるんだよ」

・ 「僕は自分の気持ちに素直に、 誠実であろうとしているんだ。

  僕に必要なのは……」

・ 「僕たちが 物事を同じように見ていないのは 確かだよね。

  僕に必要なことは……」

○ 練習, 練習, 練習です

 BPDの人が目の前にいるつもりで、

 皆さんが言おうとしていることを 思い浮かべてください。

 もっとよいのは、 友人と一緒にロールプレイすることです。

○ ポジティブなセルフトークを試しましょう

 セルフトークとは、 ほぼ常時行なわれている、 頭の中での会話です。

・ 「自分の境界を設定するのは、 慣れるまでは違和感があって 馴染めないものさ」

・ 「私は恐れている…… でも、 自分の安全を守るために これを作ったのよ」

・ 「僕は彼女のことを とても大切に思っているんだ。

  彼女はそれが理解できないけど、 それはそれでいい」

・ 「長い目で見て、 彼のニーズに応えられるために、

  今は私自身の境界を 守る必要があるんだわ」

○ お子さんのために境界を設定しましょう

 BPDの夫を持つある女性は、 次のように言っています。

 「夫が息子たちに激怒し始めたら、

 子供に、 自分の部屋へ行っていてね、 と話します。

 子供たちが問題なのではなく、

 父親のほうが 自分の感情に対処する時間を 必要としていると、

 分かってもらうためです。

 子供たちには、 お父さんが怒っているときには、 お父さんのことは気にしちゃだめ、

 と言ってあります」

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界について話し合いましょう (2)

2014年08月02日 20時36分12秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○許可を求めたり 過剰な説明をしないでください

 言わないことは、 言うことと同じくらい重要です。

 自分の期待を述べる代わりに、 境界設定の許可を求めるというのは、

 最もよく見られる過ちです。

 言い争いに引きずり込まれないために、 本人の同意を得なければという

 強い欲求を手放してください。

 過剰に説明したり、 弁護してはいけません。

 質問に ただちに答える必要はありません。

 侮辱されても、 本人の心底からの気持ちと 捉えないでください。

 本人が言うほど 皆さんが悪い人間なら、 彼らは皆さんのそばにいないでしょう。

○ アサーティブに、 でも優しく

 やり取りの焦点が境界設定になると、

 通常は双方とも、 理解されていないと感じます。

 BPDの人が異常で 操作的であるように感じるでしょうが、

 本人は自分のほうが誤解され、 承認されていないと感じているのです。

 声の調子や表情などの身体言語は、 言葉よりはるかに多くを述べています。

 時には優しくしたいと思い、 時には有無を言わせず 断言したいと思うでしょう。

すべきこと:

・ アイ・コンタクトを用いましょう。

  誠実に、 しかし確固として。

・ 立っている場合は、 足を広げて、 姿勢を大きく見せると、

  しっかり自分を主張する感じになります。

・ 穏やかで、 落ち着いた、 優しい声色で話しましょう。

・ 速すぎない速さで話します。

・ 脅威を与えないよう、 近づきすぎないように。

すべきでないこと:

・ 指を差す

・ 大声を出す

・ 睨みつける

・ 卑屈な感じで下を見る

・ 腕を組む

・ 腰に手を当てる

・ 椅子に浅く腰かける

・ 相手に近寄りすぎる

・ ため息をつく

・ 両手を握りしめる

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界について話し合いましょう (1)

2014年07月31日 22時05分25秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 本人との話し合いは、 何カ月にもわたるでしょう。

 境界をイベントとしてではなく、 プロセスと考えてください。

 最初はひとつかふたつの境界で ゆっくり始めましょう。

○ 安全第一

 BPDの人を説き伏せようとするのは 悪い考えです。

 いつも安全第一です。

 虐待的な振る舞いを 大目に見てはいけません。

 境界を設ける方法には 幅があります。

 その部屋から出ていくという方法も、 救急車を呼ぶという方法もあるでしょう。

 誰かが暴力的になったときには、 身の安全を守ることが重要です。

 目をつぶっては、 事態をエスカレートさせるだけです。

○ DEARテクニックを活用しましょう

 BPDの人とのコミュニケーションのための、 一連のスキルが 「DEAR」 です。

 描写する (describe), 表現する (express),

 主張する (assert), 強化する (reinforce) の頭文字です。

 共感的に認め、 障害の生物学的理由, BPDの人が感じる 羞恥心と恐れなど、

 すべて心に留めておくことは 重要です。

描写 (describe):

 事実に基づき、 感情的にならず、 その状況を 目にしたように述べてください。

表現しましょう (express):

 その状況に何を感じているか、 どう考えているか、 はっきりと表してください。

主張しましょう (assert):

 境界を簡潔に主張してください。

 境界は小規模で、 達成可能であるべきです。

 この境界を 繰り返し述べてください。

強化 (reinforce)

 適切なら、 境界の利点を強化してください。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の話し合いのための準備 (2)

2014年07月29日 20時51分59秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 代償を見積もりましょう

 私たちは 解決できない問題に直面すると、

 見て見ぬふりをしたり、 うまくいったことがない方法を用いたりします。

 そして危機が生じます。

 代償は 思った以上に高くつきます。

 私たちは 物事を成り行きに任せがちです。

 non-BPDは 自分の生存が脅かされるまで、

 境界設定を先延ばしにするようです。

 そして 自分自身を好きでなくなってしまいます。

○ 境界特性その5

 『長期にわたって境界を維持していくには、

 その境界が必要であるという 確信を持たなければなりません。

 確信は、 代償を理解したときに生まれます。』

○ 結末を提示しましょう

 BPDの人が 境界に従わなかったときには、

 実際に家を出たり、 別の結末を用意する必要があります。

 人は不愉快な行動は避け、 張り合いのあることをやるものです。

 健全な人間関係では、 境界は、

 他者を喜ばせたい欲求と、 自分を喜ばせたい欲求の バランスで成り立っています。

 non-BPDは あまりにも弱い境界しか持たない 傾向があります。

 受け入れることと受け入れられないことの、 「基準線」 を変えてください。

 皆さん自身と二人の関係のために 結末を用意するのであって、

 本人に対抗してそうしているのではありません。

 境界は 皆さん独自のものであると覚えておいてください。

○ 同意を図りましょう

 家族全員の足並みが そろっている必要があります。

 協力し合わない両親には、 夫婦間の問題が生じるでしょう。

 それもまた、 スプリッティングを悪化させます。

○ 起こりうる結果を考慮しましょう

 BPDの人の行動が改善する前、 例外なく いったんは悪化します。

 最初のステップは、 その状態から脱することです。

 起こりうる結果を全て考慮し、 問題解決に備えます。

 以下の兆候が見られたら、 専門家の支援が必要です。

・ 大激怒, 自殺の脅しなど、 安全を脅かす

・ 二人の関係が長年 機能不全である

・ BPDの人が 権威ある立場にある

・ BPDの人が脅しをする

・ BPDの人が 味方を引き入れる

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の話し合いのための準備 (1)

2014年07月28日 21時44分09秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を設定しようとすると、

 スプリッティング-羞恥心-恐れの螺旋が 活性化されます。

 安全ネットの計画として、 以下の5つの 「C」 が肝要です。

・ 明確化する (clarify)

・ 代償を見積もる (calculate costs)

・ 結末を提示する (come up with consequences)

・ 同意を図る (create a consensus)

・ 起こりうる結果を考慮する
 (consider possible outcomes)

○ 境界を明確にしましょう

 設定したい境界を考えてください。

 他の人たちと ブレイン・ストーミングをしてください。

(他の人は non-BPDが気付けないこと気付きます。)

 高機能BPDの人の場合、 次のような質問から始めてみましょう。

・ どのようなテーマは避けた方がよいか

・ 私にとって最善のことは何か

・ BPDの人にとって最善のことは何か

・ 私は何を望んでいるか

・ 私は何を必要としているか

・ どうしたら安全か

・ 何が私を腹立たせるか

 低機能のBPDの人なら、

 より現実的で 小さな目標を設定できるよう 助けてあげてください。

 家族内で率直に話し合い、 全員が忠実に守れる計画を 立ててください。

 境界は、

 皆さんが 他者に何を期待するかではなく、 皆さんが 何を受け入れられるかです。

 親たちは、 子供に多くをやりすぎる 傾向があります。

 低機能のBPDの人が 自力で何はでき、 何はできないかを判断するには、

 試行錯誤が必要です。

 親がお節介をして 事態を悪化させれば、 それは親のせいになります。

 計画を立てる際には、 交渉の余地を残しておいてください。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (4)

2014年07月24日 20時54分44秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○ 境界特性その4

 次の特性は 最も重要なものです。

 『自分自身の境界に 責任を持つことによって、 被害者であることをやめましょう。

 境界に BPDの人がどう反応するかについては、 彼ら自身に責任を持たせます。

 それによって、 BPDの人が自分自身を救う 機会を与えるのです。』

 自分の決断は自分のものである という考えは、 非常に強力です。

 できごとにどのように反応するかは、 多様な選択肢があると認識できます。

 家族は、 BPDの人ができないことと、

 できること (できるけれどもする必要がない、 と本人が望むこと) を

 区別しなければなりません。

 境界を設定することで、 人はより大きな責任を担い、

 BPDの人が 自分の中に適切な境界を持つよう 動機づけられるのです。

 BPDの人を、 その行動の結末から 保護してはいけません。

 壁に突き当たるのは必要なことです。

 家族がBPDの人を救った 結果は複雑です。

 第1に、 問題行動がしつこく続くことになります。

 BPDの人が 何らかの報酬を得たからです。

 第2に、 家族は本人をかばうなかで、 犠牲を払ったことに憤慨するでしょう。

 この場合、 家庭内の緊張が高まります。

 第3に、 BPDの人は この行動を家庭外で示し始め、

 より大きな被害と損失を 目の当たりにすることがあります。

 現実世界への準備を させないままにしてしまうのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (3)

2014年07月23日 21時37分29秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○自分の知覚, 感情, 意見を信頼しましょう

 私たちが信じていることを 誰かが絶えず覆そうとすると、

 私たちの信頼は揺らぎ始めます。

 BPDの人は 私たちを孤立させ、 一貫したメッセージにさらし、

 「洗脳」 が生じるのです。

 皆さんの価値観, パーソナリティについて、 否定的な判断をさせます。

 ほとんどの家族が、 境界を設定する際、

 BPDの人から 「利己的だ」 と言われます。

 利己的というのは、 ほとんどのノン・ボーダーの人にとって、

 嫌で堪らない言葉です。

 しかし 皆さんは自分自身の信念を 持つ権利があります。

 その信念が BPDの人と異なっていてもです。

○ 境界からBPDの人を救助するのを やめましょう

 「カープマン・トライアングル」 を思い出してください。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63841545.html

 論争の最中に、 家族のメンバーが、

 被害者, 迫害者, 救済者 (被害者を救う人物) の役割を 交替で演じます。

 ノン・ボーダーの人が 境界を設定すると、

 BPDの人は 自分を被害者役に、 ノン・ボーダーの人を迫害者役に 当てはめます。

 ノン・ボーダーの人は プレッシャーを感じて、 その境界を撤廃してしまいます。

 ノン・ボーダーの人は 迫害者から救済者へと移動し、

 知らないうちに 自分の境界を破滅してしまいます。

 そして ノン・ボーダーの人が被害者, BPDの人が迫害者となっているのです。

 親たちにとって、 罪悪感は 二極間を行ったり来たりします。

 まず 我が子の行動に失望し、 怒りにかられます。

 その後、 子供が自暴自棄になり、 自殺企図や自傷行為が見られるようになると、

 親は震え上がります。

 親は介護モードになり、 我が子を入院させます。

 子供は謝罪し、 親は 治療から我が子を救済します。

 親の罪悪感は軽減します。

 やがて、 子供は再び行動化し、 そのサイクルが繰り返されるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (2)

2014年07月22日 20時21分46秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
《義務感と罪悪感》

 私たちは家族に対しては、 めったに境界を設定しません。

 人生の全てを 家族に喜んで捧げているようなものです。

 私たちは2つの理由から、 家族に充分な境界を設定しません。

 自己誘発的な罪悪感, 人がどう思うだろうかという 恐れです。

 私たちは、 家族に対して 境界を設ける権利があるとさえ 考えていないようです。

 けれども本当は、

 BPDの家族が 他の誰とも同じ基準に従うべきと 認める責任もあるのです。

 自分自身を労ることは 利己的ではありません。

 要求に対して 無条件に反応する人は、

 あまりにも疲れ、 思いやりを持つことができないのです。

 罪悪感と義務感というのは、 境界を設定する際の 一般的な感情です。

 あまりにも不快なので、 すぐに境界を維持することを 諦めてしまいます。

 あるノン・ボーダーの人はこう言います。

 「境界を設けようとすると、

 本人は何時間かかっても、 私が諦めるまで文句を言います。

 最初の30秒で屈してしまうほうが ずっと簡単なのです」

 FOGを切り抜けるために 最も強力なテクニックは、

 「私は我慢できる」 と 繰り返して言うことです。

 自身と、 人生を統御できるという 感覚が高まります。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (1)

2014年07月21日 21時28分07秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界設定の心の準備をする 3つのポイントがあります。

・ FOG (霧)を避ける。

 恐れ(fear), 義務感(obligation), 罪悪感(guilt)の

 頭文字です。

・ 自分自身の知覚, 感情, 意見を大事にする。

・ BPDの人が境界を超えるのを 許したり、 彼らを救い出したりしない。

○ FOGを避けること

 FOGは 皆さんの視線を曇らせてしまいます。

《関係を失うことへの恐れ》

 ここで取り上げるのは、 人間関係を失うことへの恐れです。

 BPDの人は 障害はあっても、

 聡明で、 愉快で、 愛情が深く、 美しく、 素晴らしい人です。

 BPDの行動が その人の中心的部分だということを、

 受け入れるのは大変なことです。

 BPDの人の虐待的な行動から 我が身を守るために、 私たちは妥協してしまいます。

 それはBPDの人にとって 報酬となります。

 私たちは次第に 自分の境界を後退させ、 相手の侵入を大目に見たり、

 虐待的な行動も容認できると 自分を納得させるようになるのです。

 non-BPDの女性が、 自分自身の時間や 友人関係も必要だと言うと、

 BPDの彼氏は、 彼女のもとを去って、 嘘や噂を言いふらし、

 彼女の生活をだめにしてやる と言います。

 しかし彼女は 彼を失うことを恐れ、

 彼がどれほど素晴らしい人間か、 他の人たちにも理解してほしいと 思うのです。

 虐待のサインには、 生活の指図をする, 家族や友人から孤立させる,

 金銭を管理する, 相手が虐待していると批難する, 嫉妬深く独占する,

 暴力を振るう、 などがあります。

 皆さんは沈黙を守ることで 本人を 「助けている」 と考えるかもしれません。

 しかし、 専門家の支援を ただちに受ける必要があります。

 ストックホルム症候群を思い出してください。
(5月27日の記事の後段: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64069507.html )

 助けを求めないと、 結果は悲劇的になりかねません。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界の特性 (2)

2014年07月15日 20時29分41秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 境界特性その2

・ 皆さんは 誰かの求めに応じて 境界を設けましたか? 

  それとも 全員のニーズの バランスを取ろうとしましたか? 

・ 皆さんの意図は、 罰する, あるいはコントロールすることでしたか? 

  それとも、 全ての要因をもとにし、 理に適った計画を立てることでしたか? 

 ほとんどのノン・ボーダーの人は、 自分以外の全員に配慮しようとします。

 「ノー」 と言っていいことや、

 自分のニーズは 他の人のニーズと同じように 重要だということは、

 思いもよらないのです。

 『皆さんの境界は、 皆さんのためのであり、 他の人のためのものではありません。

 それは 皆さん自身, 他者, 人間関係を尊重することになるのです。』

 BPDの人は、 境界を

 彼らを罰する, コントロールするためのものと 見なすことがあります。

 彼らにとっては、 感情は事実に等しいものです。

 もし 皆さんが妥協するとしても、

 皆さんの感情が重要でないから という理由ではなく、

 皆さんが 「そうしたいから」  という理由でしてください。

 だからこそ皆さんは、 自分が何を望み、 何を必要としているかを

 はっきりさせる必要があるのです。

○ 境界特性その3

 この演習をした人の中には、

 諸経費が主な関心事で、 芝刈りは大した問題ではない という人もいます。

 きれいな家に 価値を置く人もいます。

 『それぞれの人が、 それぞれ異なる 境界のスタイルを持っています。』

 境界は 次の3点で変わってきます。

1. 境界の透過性: 境界がどれほど厚いか薄いか

2. 境界の柔軟性: 境界がどれほど可変的か

3. 境界の複雑さ: 境界がどれほど 相互に入り組んでいるか

 私たちは 自分自身の境界スタイルを持っており、

 それは 上記3つの相互作用によります。

 融通の利かない境界を 持つ人もいるし、 大雑把で柔軟な人もいます。

 高機能のBPDの人の中には、 かなり厳格な境界を 持つ人もいる一方で、

 non-BPDの中には、 何でも受け入れてしまう人がいます。

 そのため彼らは 圧倒された気持ちになるのです。

 境界の相違は、 衝突や不満の原因となります。

 しかし、 しばしば 別のことが原因に見えたりします。

 例えば お金, 子供, 約束を破ったなどについての 争いに見えるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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