「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「しょうがいしゃ」 の表記について (3)

2016年02月29日 19時59分30秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)
 
 「しょうがいしゃ」 の表記について、
 
 まず 「障碍者」 は、 前々日の記事に記した通り 適切だと考えません。
 
  「障がい者」 「しょうがい者」 は、
 
 漢字と仮名の交ぜ書きに 日本語として少々抵抗を感じますし、
 
 言葉の意味が 曖昧になるということもあります。
 
 「害」 を平仮名にするのは、
 
 問題を覆い隠すだけだという 意見もあります  (当事者の中にも)。
 
 このように、 なかなか適切な言葉がありません。
 
 今は差し当たり  「障がい者」 あたりが 無難なのかとも感じますが、
 
  「統合失調症」 「認知症」 のように、
 
 新たな言葉が作られるのが いいのかもしれません。
 
 最近は、 「チャレンジド」 という呼称も 唱えられています。
 
 障害に負けずポジティブに生きる人 という意味合いで、
 
 アメリカなどで広まっているそうです。
 
 しかし、 挑戦して生きるのは 健常者でも誰でもいるわけですから、
 
 この言葉は 「障害を持つ人」 という 元の範疇からずれてしまうと思います。
 
 下手をすると、 健常者はチャレンジしないという、
 
 逆差別的な表現になってしまう 恐れもあるのではないでしょうか。
 
 また、 社会的な障壁に 障害者だけが取り組んでいくという 印象が強く、
 
 社会全体で取り組んでいかなければならないという 社会モデルにも反するとして、
 
 否定する意見もあります。
 
 他には、  「要支援者」 も提案されているようです。
 
 でもこれは現在、
 
 介護の世界で 高齢者を対象とした言葉として 定着しているでしょう。
 
 また 助けを必要とする人という、 弱者のイメージを 与えてしまうことにもなるし、
 
 支援が必要でない障害者もいます。
 
 とても難しい問題ですが、 何か相応しい言葉が 考えられるといいですね。
 
 果たして皆さんはいかがでしょうか? 
 
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「しょうがいしゃ」 の表記について (2)

2016年02月28日 20時09分19秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)
 
  「障害者」 を どういう表記にすべきか、 僕自身は現時点で 答が出ていません。
 
 僕は 発表した自分の作品の中で、 障害者という言葉を 使うことがなかったため、
 
 ある程度以上 深く考える時間を費やさずに、
 
 今まで個人的に  「障害者」 という書き方を してきてしまっていました。
 
 それは 安易さを反省しなければならないと思います。
 
  「精神障害」 「気分障害」 などという表記自体は 問題ありません。
 
  「障害者」 という言葉は、
 
  「障害を持つ人」 という意味で、  「障害を与える人」 ではないので、
 
 言葉の成り立ちからして、
 
 僕は 「障害者」 でも構わないのではないか と考えていました。
 
 もし、 人に対して 「害」 を当てるのは好ましくない
 
 というだけの理由だとしたら、
 
  「被害者」 という表記も 不適切ということになってしまいます。
 
  「被害者」 は  「被害を受けた人」 という意味で、
 
  「被害を与える人」 という意味ではないため、 問題はないのだと思います。
 
 なお、 障害は 個人の中にある (医学モデル) のではなく、
 
 社会の側がそれを受け入れない 障壁を作っている (社会モデル) のであり、
 
 それを是正していかなければならない という考え方からも、
 
  「障害者 = persons with disabilities」 を
 
 肯定する障害者団体もあります。
 
 従って  「障害者」 でもいいのではないかと 考えるわけですが、
 
 現実に多くの当事者の方たちが、  「障害者」 という言葉に
 
 不快感などを感じるのであれば、 これは考慮しなければなりません。
 
(次の記事に続く)
 
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「しょうがいしゃ」 の表記について (1)

2016年02月27日 11時43分22秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)
 
 ネット上では、 「しょうがい」 の表記について、
 
 本来 「障碍(礙)」 と書かれていたが、
 
 戦後、 当用漢字の 「害」 が 当て字として書かれた、
 
 という記述も幾つかありました。
 
 しかし、
 
 《障がい者制度改革推進会議  「『障害』の表記に関する検討結果について」》
 
 の記述のほうが 信憑性があると思います。
 
 以下に要約します。
 
 《 「障碍(礙)」 は元々仏教用語で、
 
 明治に至るまで  「しょうげ」 と読まれ、
 
 平安時代からは  「悪魔、 怨霊などが邪魔すること」 という意味で使われていた。
 
  「障害」 は 遅くとも江戸時代には用例がある。
 
 明治に入ると  「障碍(礙)」 を 「しょうがい」 と 読む例が現れる。
 
 混乱を避けるためもあって、
 
  「しょうげ=障碍(礙)」 と 「しょうがい=障害」 を 書き分けるようになり、
 
 大正期になると 「しょうがい」 は、
 
  「障碍(礙)」 よりも  「障害」 のほうが一般的になる。
 
 戦後、 当用漢字に 「碍」 が含まれなかったため、
 
  「障碍」 の表記がほとんど消え、
 
  「しょうがいしゃ」 も 「障害者」 とされることとなった。
 
 (人を対象とした  「障害者」 という概念が確立されたのは 戦後)
 
  「碍」 を常用漢字にするように という意見もあるが、
 
  「障碍」 と表記しても 根本的解決にはならない。
 
 仏教語の語源の問題もあり、  「障碍」 は不適切という 議論が起こりうる。》
 
  「障碍者」 と表記すべきという 意見も多いですが、
 
 必ずしも適切ではないようです。
 
 僕自身は、  「障碍者」 は 多くの人が読めない文字なので、 賛成していません。
 
 不特定多数の人々に 物を伝える立場からすると、
 
 読めなくては そもそも伝えることができませんから。
 
 もし  「碍」 を常用漢字にするとしても、
 
 少なくとも当面は この字は使えませんし、 将来常用漢字になったとしても、
 
 その教育を受けていない世代の人は 読みがたいでしょう。
 
(次の記事に続く)
 
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「精神障碍者」

2016年02月26日 19時47分05秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)
 
 この講師の方は、
 
  「精神障害者」 を 「精神障碍者」 という 表記をしていました。
 
  「害」 という字は、
 
  「害悪」 「害虫」 など マイナスのイメージがあるとして、
 
  「障碍者」 「障がい者」 「しょうがい者」 などの 表記をする人がいるのを、
 
 僕は 30年ほど前に知りました。
 
  「害」 は 「損なう。 悪くする」 などの意味で、
 
  「障害者」 という言葉は 他人を害するなどの印象を 与える恐れがあるため、
 
 人間について  「害」 の字を当てるのは 相応しくないという趣旨です。
 
 一方 「碍」 は  「さまたげる」 など比較的中立な意味で、
 
 差別的な意味合いを避けるために、 講師の方は 「障碍者」 を使っていたわけです。
 
 しかし そういう意識があるのであれば、
 
 何故 「パーソナリティ障害」 に対しても
 
  「人格障害」 という表現を 改めようとしないのか、 理解しにくいことです。
 
  「障碍者」 という、
 
 決して一般的ではない用語を 使う配慮までしているにも拘らず。
 
 精神看護学の世界では、
 
 パーソナリティ障害の情報が 古いままなのだと思えてなりません。
 
 現状が認識され、  「パーソナリティ障害」 に修正されると信じたいです。
 
 
 現在、 良し悪しは別にして、
 
  「障害者」 が数の上で 多数派なのが実状ではあります。
 
 どの表記にすべきかは 様々な議論があって、 定説はありません。
 
 最近は  「障がい者」 とする自治体なども 増えてきているようですが、
 
 法令などでは  「障害者」 としなければならないそうです。
 
 今後 議論が重ねられていくことを期待します。
 
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65059355.html
 
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精神看護学で 「人格障害」 (2)

2016年02月24日 21時23分36秒 | ボーダーに関して
 
 精神看護学の世界では、
 
  「人格障害」 が 「パーソナリティ障害」 になる 移行期だと言われましたが、
 
 下記のように、 すでに移行済みです。
 
2003年: DSM-Ⅳ新訂版の日本語訳
 
 (「分裂病」 を 「統合失調症」 としたのと同時)
 
2005年: WHOのICD-10の日本語版
 
2007年: 精神医学ハンドブック
 
2008年: 日本精神神経学会, 新聞報道
 
2010年: 厚生労働省
 
 出版物でも、 大体この10年の間に 発刊されたものは、
 
 ほとんど全て  「パーソナリティ障害」 になっています。
 
  (「人格障害」 になっている 数少ない書物の中の一冊が、
 
 なるほど精神看護学の本でした。
 
 その他には、 かなり偏った パーソナリティ障害の体験談で、
 
 評判のよくない本 (2冊) などがあります。)
 
 今どき 「人格障害」 という言い方をする 病院には行かないほうがいい
 
 と言っていた人もおり、 僕もそう思いますが いかがでしょう。
 
 ところが 講座に同席していた 他の受講生の人たちも、
 
  「人格障害」 は差別的表現で 改めてほしいという僕の訴えに、
 
 なかなか首肯してもらえませんでした。
 
 中には、 精神障がい者に接する仕事をしていながら、
 
  「パーソナリティ障害」 よりも 「人格障害」 のほうが 分かりやすい
 
 と言う人までいたほどです。
 
 人の痛みや人権などに 配慮があるはずの人たちの 講座だっただけに、
 
 差別的表現に対する鈍感さに がっかりしてしまいました。
 
 最後には何となく 僕のことを認めてくれたようなものの、
 
 結構ショックを受けた 出来事でした。
 
 但し、 もし僕と講師の方の 立場が逆だったら、 つまり、
 
 講師の方が  「パーソナリティ障害」 という言葉を使い、
 
 受講生の僕が  「人格障害でもいい」 と言ったしたら、
 
 他の受講生の人たちは 講師の言うことを信じて、
 
 僕を差別表現をする奴だと 思うことでしょう。
 
 そのように 影響力のある立場の人だからこそ、
 
 正しい認識で 的確な言葉を広めてほしいのです。
 
(続く)
 
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精神看護学で 「人格障害」 (1)

2016年02月23日 21時01分19秒 | ボーダーに関して
 
 先日受講した 精神障害のとある講座の中で、 パーソナリティ障害の話がありました。
 
 精神看護学の講師で 人間的にはとてもいい方だったのですが、
 
  「人格障害」 という言葉を使っていました。
 
 今は 「パーソナリティ障害」 になっていると 僕が伝えると、
 
 それは小耳に挟んだことがあるが、
 
 精神看護学の現場では  「人格障害」 が使われていると言われました。
 
  「人格障害」 は 人格に障害があるという 誤解・ 偏見を招くことを訴えても、
 
 それはその通りなのだけれど、
 
 現在はまだ  「パーソナリティ障害」 という言葉に変わる 移行期で、
 
  「人格障害」 が使われていることを 分かってほしいと言うのです。
 
 精神看護学の講師であれば、
 
 精神障害への偏見を 率先して是正しなければならない 立場だと思うのですが、
 
  「人格障害」 は もはや時代錯誤という現実を
 
 なかなか分かってもらえませんでした。
 
 患者さんの痛みを 誰よりも理解し、 人権を尊重しなければならないはずなのに、
 
 どうして精神看護の世界で 人格障害という言葉が使われているのか、
 
 不思議でなりません。
 
 看護教育の現場で、 若い学生の人たちに この言葉が教えられて、
 
 パーソナリティ障害は 何か人格に問題があるというような 目で見る看護師が、
 
 もし育っていくとしたら、 本当に居たたまれません。
 
 パーソナリティ障害の代表とも言える BPDは、
 
 ただでさえ 甚だしい誤解や偏見にさらされ、
 
 当事者や家族の人たちは この上なく苦しんでいます。
 
 BPDは 最も苦しい精神障害だとも 言われていますが、
 
 それに更に追い打ちをかけるような 表現がなされるのは、
 
 身を切られるような気持ちです。
 
 精神看護という、 患者のことを第一に支える 看護師を教育する場でこそ、
 
 是が非でもイニシアチブを取って
 
  「人格障害」 という言葉を 改めていってほしいと、
 
 提出するレポートで 再度切望するつもりです。
 
 (繰り返しますが、 講師の方は人間的には素晴らしく、
 
 僕のことも評価してくださっていました。)
 
(続く)
 
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精神疾患が5大疾病に

2011年08月21日 20時22分16秒 | ボーダーに関して
 
 厚生労働省は 先月、 精神疾患を、

 がん, 脳卒中, 心臓病, 糖尿病と並ぶ  「5大疾病」 に位置づけ、

 重点対策を行なうことを決めました。

 2008年の調査では、 精神疾患の患者は 323万人にのぼり、

 237万人の糖尿病, 152万人のがんなど、

 他の4大疾病を 大幅に上回っています。

 日本の精神病床数は 35万床弱 (09年) で、 全病床の約2割を占めています。

 平均在院日数は300日を超え、 世界でも突出しています。

 一方で、 精神病床の医師数は 一般診療科の3分の1でよいと 規定されており、

 手薄な入院治療が 長い間行なわれてきました。

 在宅で 充分な支援を受けられないために、

 長期入院を強いられる 「社会的入院」 が、 約6万2000人にのぼっています。

 こうした不必要な入院を減らし、 患者の社会復帰を促すなど、

 施設収容型の精神医療を 変えると期待されるのが、

 訪問診療や訪問看護など 在宅医療です。

 また、 初期に患者を見つけて、 悪化を防ぐ 早期支援体制も予想されます。

 統合失調症は 発症してすぐに 治療を始めると、

 脳のダメージが少なく、 悪化や再発が しにくくなるといいます。

 ところが 国内の患者は、

 発症から医療機関にかかるまで 平均17ヶ月となっています。

 在宅医療が充実すると、 患者の生活環境を 改善しやすくなり、

 早期に対応すれば、 薬物療法だけでなく 認知行動療法も活用できるでしょう。

 ただし 課題もあります。

 統合失調症は誤診も多く、

 統合失調症の薬で 逆に精神状態が著しく悪化する ケースも少なくありません。

 今のままで 早期発見を推進すると、 被害者が増えかねません。

 うつ病では、 製薬会社の抗うつ薬のキャンペーンに 影響され、

 診断が 過剰になったことがあります。

 うつ病でない人に 抗うつ薬が処方されると、

 回復がかえって遅くなったり、 自殺衝動が表れる人もいるのです。

 5大疾病の 治療の一翼を担う 精神科医の責任は、 ますます重くなります。

〔 読売新聞より 〕
 
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眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (3)

2011年06月14日 20時17分22秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 睡眠中の過食として もうひとつ、  「夜間摂食症候群 (NES)」 があります。

 夜間に覚醒して、 意識がある状態で むちゃ食いをし、

 翌朝も記憶があることから、 睡眠関連摂食障害と区別されます。

 夜間に偏った、 異常な食行動としての 睡眠障害です。


 また、 眠剤の副作用によって、 夜間の過食が起こることもあります。

 睡眠状態で 記憶がないケースと、

 眠剤を飲んでも眠れずに 過食してしまうケースなどがあるようです。

 心の問題を抱えて 眠剤を服用している人は、

 その副作用で 夜間過食をしている場合も 少なくないのでしょう。

(心子も そうだったのかもしれません。)


 一方、 睡眠関連摂食障害を、

 睡眠薬で誘発された 異常行動のひとつとして 捉える人もいます。

 睡眠薬による意識低下に基づき、 食行動障害を伴うものです。

 稀な副作用で、 解明されていない点が多いですが、

 留意する必要があるとしています。

〔 星和書店 / 精神科治療学24 巻02号抄録本文
  http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/bn/24/02u.html 〕


 従来、 摂食障害の患者は、 夜間の過食と その記憶がないことも多いので、

 記憶障害は 解離性症状だと思われていました。

 夜間の過食は 摂食障害の部分症状であり、 記憶がある場合も ない場合もある、

 という程度の 理解をされていました。

 ところが、 眠剤も飲んでおらず、 夜間の過食と その記憶がないことだけを訴える、

 または それを主症状とする患者がいます。

 そういう患者は、 摂食障害というより、

 睡眠障害の観点からも診るべきだ という意見が出てきたのです。

〔 赤城高原ホスピタル 「睡眠関連摂食障害」
  http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/ED_sleep-related.htm 〕

 以上のように、 睡眠関連摂食障害は 本人が知らないうちに起こり、

 切実な問題も含んでいるだけに、 研究や理解が 早く進んでいけばと思います。
 
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眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (2)

2011年06月13日 19時22分00秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 睡眠関連摂食障害 (SRED) では、

 典型的な場合、 患者は就眠直後から 1時間以内に過食を始めます。

 多くの場合、 食事内容は、 脂肪分や糖分の多い 高カロリー食です。

 患者はストレス状況下にあり、

 自信を喪失して 混乱していることが多いといわれます。

 患者は 夜間の過食を避けるために、 ベッドルームや冷蔵庫に 鍵をかけたり、

 台所に誰かに寝てもらったり、 冷蔵庫のドアに 鈴をつけたりしますが、

 全て役に立ちません。

 SRED患者の 3分の2は女性で、

 患者の平均年齢は27才  (多くの場合、 10代後半か20代前半に発病)。

 夜間に高カロリーの食事をし、 43%の患者は肥満しています。

 84%は、 全くか 或いはほとんど 夜間過食の記憶がありません。

 SREDは時には、 アミトリプチリンなどの 抗うつ剤投与に続いて出現します。

 また時には、 睡眠時無呼吸症候群に続いて

 夢遊病とSREDが 見られることがあります。

 脳炎やナルコレプシーなどが 引き金になることもあります。

 SRED患者は 正常者よりも、 アルコール症、 薬物乱用、 睡眠障害などの

 既往歴がある場合が 多いことが知られています。

 気分障害や不安障害を合併している、 あるいは 併発する可能性が高いものの、

 これらの特定の精神障害との 関係性は知られていません。

 多くの研究者が、 SREDは 摂食障害ではなく睡眠障害である、

 と考えている一方で、

 摂食障害患者の10~15%が この障害を経験している という報告もあります。

 また SRED患者の半数以上が、

 情緒的、 身体的 または性的虐待被害者である という報告もあります。

 治療に関しては、 精神行動療法、

 抗うつ薬や 抗てんかん薬などが試みられています。

 睡眠剤によって 病状を悪化させることがあります。

 ストレスを低減することが重要なので、

 ストレスマネージメントクラス、 アサーティブトレーニング、

 カウンセリングなどが有効です。

 患者は、 アルコール、 カフェイン、 薬物乱用を避けることが重要です。

〔 赤城高原ホスピタル 「睡眠関連摂食障害」 より
  http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/ED_sleep-related.htm 〕

(次の記事に続く)
 
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眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (1)

2011年06月12日 21時00分05秒 | ボーダーに関して
 
 ボーダーの人が書いた ブログを見ていたら、

 「■寝ている時の過食症。」 という記事がありました。

(「境界例ガールのサクセス日記。」)

 眠っている間に 無意識に起き出して、 過食をしてしまうというもので、

 「睡眠関連摂食障害」 と言われます。

 実は 心子にもこれがありました。 (と、話していました。)

 重症ではありませんが、 寝ている間に ゆであずきをむしゃむしゃ食べたり、

 カニ缶をふたつ 平らげたりしたと言っていました。

 でもこの数年で 言われ始めたものらしく、

 このブログの著者さんも、 何ヶ所もの病院に通院していながら、

 「寝てる間の過食なんて 聞いたことない」 と言われ、

 診断が付かなかったそうです。

 睡眠中の脳波測定も 異常なかったとのこと。


 wikipediaからの  「睡眠関連摂食障害」の抜粋です。

「神経性大食症 (過食症) が 睡眠時に現れるもの。

 原因は主に ダイエットによるストレスで、 食事制限で食欲が満たされないために、

 睡眠時に 睡眠状態のまま歩き出し、 過食してしまう。

 食べて満足すると、 そのまま寝床へ戻る。

 これらの症状が 睡眠時に無意識に起こるため、 症状を自覚しないことが多い。」

 この著者さんにとっても  「謎の過食症」 で、

 朝起きたとき、 自分が食べた物の 残骸を見つけたり、

 自分の下に 食べかけのジャムパンがあって、 髪の毛も枕も ジャムまみれだったり、

 朝耐えがたいぐらいの 胃もたれがしたりしたそうです。

 それで自分の過食症への  「恐怖心」 が起きたといいますが、

 そういう恐さだけでなく、 事態はもっと深刻です。

 不本意な体重増加は元より、 うとうとして食べるため 物がのどに詰まる可能性,

 時には 料理までしているということで、 火事を起こす危険性,

 眠ったまま車を運転して コンビニに食べ物を買いにいくという

 恐ろしさなどがあるのです。

〔 参考 : 「境界例ガールのサクセス日記。 ■寝ている時の過食症。 」
       http://bpd1976.blog27.fc2.com/blog-entry-34.html

(次の記事に続く)
 
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「イネイブリング」 から抜け出す

2011年05月26日 19時17分21秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 僕は心子に対しては、

 一昨日の 「イネイブリング」 チェックリストの 2番と4番が当てはまりました。

 3つ以上ではありませんでしたが、

 ご多分にもれず 僕もボーダーのパートナーとしての 隘路に陥っていたのですね。


 さて今日は、 イネイブリングから抜け出す テクニックを書いてみましょう。

1. 彼の症状や不機嫌は、 あなたの責任ではない ということを忘れない。

2. 彼が考えることも、 彼の気持ちも、 彼の行動も、

 あなたにコントロールできるものではない ということを忘れない。

3. あなたは彼を治療し、 変えることはできない ということを忘れない。

4. 彼の機嫌の悪さや ひどい行為について、 言い訳したりかばったりしない。

5. 彼には 専門的な治療が必要だということを、 あなたがまず認め、 受け入れる。

6. できるだけ、 彼の機嫌によって

 あなたの家事や仕事が 左右されることがないようにする。

7. 「彼のために できることはここまで!  これ以上はできない!」

 という限界を きっぱりと示し、 守ること。

8. 彼のことについて 心配したり悩んだりする時間を なるべく短くできるように、

 あなた自身が楽しめることをし、自分の心身の健康に気を配る。

9. 自分自身や子供を 最優先して守る。

 彼が あなたや子供を傷つけるならば、 やめてほしいと頼み、

 それが無理なら 離れて暮らすことを考える。

〔 「オトコのうつ」 (星和書店) より 〕
 
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「イネイブリング」  チェックリスト

2011年05月24日 21時36分47秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 以上のことは、 ボーダーについても 同じことが言えます。

 家族は ボーダーの人のためにと思って 世話を焼いたり、

 トラブルの尻拭いをしたり、 あつれきを恐れて 言う通りにしたりしますが、

 それが結局 ボーダーの言動を強化してしまうのです。

 そういう環境を 作っていないかどうか、

 うつの人への対応の チェックリストがありますが、

 ボーダーにも適用できるでしょう。

 3つ以上当てはまると、 イネイブリングや共依存の恐れがあります。

 ただし、 世話を焼いたりすることが 全ていけないわけではありません。

 ~~しすぎていないか、 ということを振り返る きっかけにしてください。


1. 自分の生活や 人生についての心配よりも、

 彼 (ボーダーの人) の行動や症状について 考えている時間のほうが長い。

2. 彼の機嫌がいいかどうかを 常に気にしていて、

 次はいつ爆発するか、 荒れるのかとビクビクしている。

3. 彼の機嫌がいいかどうかで、

 自分と彼の間が うまくいっているかどうかを判断する。

4. もし自分が 彼の世話を焼き、 あれこれと気を配るのを やめてしまったら、

 彼はダメになってしまうのではないか と考えている。

5. 彼が不機嫌になったとき、 あるいは不満そうにしているとき、

 それは自分のせいだと考える。

6. 彼が仕事を休むときや、 誰かとの約束を守らなかったとき、

 電話をかけて言い訳をするなど、 彼をかばう行動をとっている。

7. 他の人が  「彼、 この頃おかしくない?」 と尋ねたとき、

 「どこもおかしくない」 「怒ってるんじゃない」 「別に何も隠してない」 と

 彼の状態を隠そうとする。

(次の記事に続く)

〔 「オトコのうつ」 (星和書店) より 〕
 
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「イネイブリング」 (2)

2011年05月23日 21時08分52秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 依存症者の家族が 本人を心配したり、 止むを得ないと思える行動が、

 結果的に イネイブリングになっている例の続きです。

○依存症者の脅しに屈して、 薬物を与える。

 暴言や暴力によって お金や薬を用意する。

 その結果、 家族を脅せば 薬物が手に入ることとなり、

 暴言・ 暴力はエスカレートする。

○実行できない脅しを 繰り返す。

 「今度薬を使ったら 家を出て行ってもらう」 と言うが、 実行しない。

 その結果、 お互いの信頼を さらに損ない、

 どうせ口だけだとタカをくくって 薬物を使い続ける。

○世間体を気にする。

 家庭内のトラブルや、 本人の薬物依存症を 周囲に隠す。

 その結果、 私の家は平穏だと繕う。

○依存症者に代わって、 対外的処理をする。

 依存症者が迷惑をかけた相手に、 家族が代わって 謝ったり弁償する。

 その結果、

 人から責任を問われたり、 非難されるなどの思いをせずに、 薬を続ける。

○知らない間に トラブルを始末する。

 依存症者が壊したものを 家族が片付けて、

 翌朝には 何もなかったかのようになっている。

 その結果、 自分のために生じた 現実を見ず、 痛い思いをしないですむ。

○依存症者に対して、 自分のつらさを言葉にしない。

 「私はつらい」 など言わず、 黙ってじっと耐える。

 その結果、 家族の気持ちに直面することなく、 薬を続ける。

(次の記事に続く)

〔 ASKアルコール通信講座テキスト

 全国薬物依存症者家族連合会:
 http://www.yakkaren.com/bigina.b/hissatusirinugui.html より 〕
 
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「イネイブリング」 (1)

2011年05月22日 20時34分51秒 | ボーダーに関して
 
 「イネイブリング」 とは、 アルコール依存や薬物依存の 人に対して、

 彼らが飲み続けるのを 可能にしてしまうことを言います。

 英語の動詞  「enable」 から来たもので、

 「誰かが何かをするのを 可能に (able) する」 という意味です。

 依存症者が飲み続けるのを 可能にしてしまう (周囲の) 人は、

 「イネイブラー」 と言われます。

 実は彼らは よかれと思ってやっていることが、 裏目に出てしまっているのです。

 これは 境界性パーソナリティ障害にも共通します。

 ボーダーの人の家族などが、 ボーダーに困って 何とかしたいと思いながら、

 結果的にボーダーの言動を 助長・ エスカレートさせてしまっているのです。

 薬物依存を例に 書いてみましょう。


○ 薬物使用をコントロールしようとする。

 薬物を捨てたり、 隠したり、 使えないようにする。

 その結果、 依存症の人は、 離脱症状や脅迫的薬物欲求があるため、

 巧妙に薬物を手に入れようと 必死になる。

○ 薬物で病んでいる人に 説教する。

 「いい加減にして!」  「まったく情けない」 と責める。

 その結果、 薬物使用中の依存者は、

 選択的記憶システム (自己中心的記憶回路) によって、

 責められた印象だけが残り、 怒りや恨みをためこみやすい。

○ トラブルなどの肩代わりをする。

 「借金」 「窃盗」 「交通事故」 などの 後始末, 尻拭いをする。

 その結果、 依存症の人は 金銭的に困らず、 罪の意識を持たない。

(次の記事に続く)

〔 全国薬物依存症者家族連合会:
 http://www.yakkaren.com/bigina.b/hissatusirinugui.html より 〕
 
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広汎性発達障害への対応

2011年05月18日 19時48分44秒 | ボーダーに関して
 
 自閉症児の教育は難しいですが、 以下のような点に注意します。

1.得意・ 不得意のアンバランスが著しいので、

  その子の能力を 正しく評価し、 その子に合った 教育が必要です。

2.ただ禁止することは、 かえって問題を増やす 元となります。

  替わりに何をしたらよいのか 分からないからです。

3.物事を教えるときに  「構造化」 という工夫が必要です。


 「構造化」 とは、 次のようなことを言います。

 例えば、 「夜になったらパジャマを着る」 ということを 考えてみましょう。

 これを正しく行なうためには、

1.どのタイミングでパジャマを着るか 判断することが必要です。

  自閉症の子は 周りの状況から 判断することが苦手です。

  また、 言葉による指示も 理解できないことがあります。

  → タイミング, 状況を伝える工夫

2.パジャマを正しい順番で 身に着けなければなりません。

  順序立った行動が 苦手です。

  → 段階的に 複雑な手順を習慣づける

 以上のことを 自閉症児に教えるためには、

 言葉だけに頼らない, 見て理解するのは 比較的得意であること,

 習慣づけを利用すること などに配慮が必要です。


 構造化には、 以下のような方法があります。

1.物理的構造化 (決まったことを 決まった場所でする)

2.ルーチン化 (課題や指示の手順を 一定にする)

3.一日のスケジュールを一定にして、 見て分かるように示す

4.ワークシステムの確立

5.視覚的構造化 (目で見て 分かるように示す)


 治療教育の原則は 次のようなものです。

1.親, 学校が共同で:

  学習や習慣づけには 繰り返しが必要ですし、

  皆で理解しなければ、 自閉症児は安心して生活できません。

2.個別の評価・ 個別プログラム:

  得意不得意がアンバランスなため、 オーダーメイドが必要です。

3.健常者も歩み寄る:

  自閉症児の成長はゆっくりなので、

  子供だけに修行させるのでは 上手くいきません。

4.構造化:

  自閉症児療育の基本です。

5.理解して誉める

6.低刺激:

  沢山の情報には 混乱してしまいます。

7.地域の理解・ 協力:

  親も子も 気楽に床屋に行ったり、 買い物ができるように。

〔「広汎性発達障害とは」
  http://www2k.biglobe.ne.jp/~motoi/lecture/pdd1.html より〕
 
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